キャリアで語る経営組織 第7章 トラブル発生 ーコンフリクト・マネジメントー テキスト177~209ページ プロローグ 最近,自分の管理する部署ではもめごとがた えない。そもそもきちんと分業がなされていて, それぞれが組織の目標に向かってその役割を果 たしているかぎり,コンフリクトは起こらない はずなのに,といつも思う。…それぞれ自分の 仕事に一生懸命なのに,もめごとが起こってい るのである。むしろ一生懸命だからこそ個人間, 部署間などさまざまなところでもめごとが起 こっているような気もする。 疑問7-1 (テキスト179ページ) コンフリクトにはどのようなタイプがあり, どこで起こるのだろうか? コンフリクトとは何か コンフリクトの定義 2つあるいは3つ以上の個人や集団の間に生じる対 立的ないし敵対的な関係 コンフリクトの4つのタイプ ①目標コンフリクト:異なる目標を追求している ②認知コンフリクト:意見や考えが一致しない ③感情コンフリクト:感情的にそりがあわない ④行動コンフリクト:受け入れがたい行動 コンフリクトはどこで起こるのか • 個人内コンフリクト • • • • 接近と回避 やりたいことが2つ以上:接近-接近コンフリクト やりたくないことが2つ以上:回避-回避コンフリクト やりたいけどやれない:接近-回避コンフリクト • 個人間コンフリクト • 一見集団間に見えて個人間のこともある • 組織内コンフリクト • 同じ組織内の集団間コンフリクト • 例)営業と開発 • 組織間コンフリクト • 異なる組織間での集団間コンフリクト • 例)開発業者と自然保護団体 図7-1 コンフリクトのタイプと場所 (テキスト183ページ) タイプ 関 係 目標コンフリクト 認知コンフリクト 感情コンフリクト 行動コンフリクト 個人内 個人間 集団内 集団間 疑問7-2 (テキスト183ページ) コンフリクトはなぜ起こってしまうのだろうか? コンフリクトの源泉 • 資源の希少性 – ビジネスの機会や人的資源,予算が限られている – 2つのイベントに参加したくても時間が同じ • 自律性の確保 – 自律性を確保しようとすると他者の自律性を奪う – 高速道路でのスピード制限 • 意図関心の分岐 – それぞれが目標を持ってしまう 具体的なコンフリクトの要因 • 個人的要因 – – – – 個人差:性格や価値観の相違,態度 例)内向的な人→誤解をうんだり,コミュニケーション不足 例)権威主義的な性格や曖昧さへの耐性がない人 →すぐに白黒つけたがる人 • 構造的要因 – – – – 仕事の依存性:ヤマアラシのジレンマ 利害関係の対立や競合 組織内関係の未熟さ:意思決定のルールのなさ 例)官僚制はコンフリクトが起こらない 疑問7-3 (テキスト188ページ) コンフリクトは解消することができるのか? 図7-2 コンフリクトのプロセス 困るなあ! 今度は きちんと文句を 言おう 概念化 不 満 (テキスト189ページ) (frustration) (conceptualization) 潜在的 顕在化 どうしたら 解決できる だろうか 行 動 結 果 (behavior) (outcome) (出所) Robbins[2005]邦訳,266ページ。 コンフリクトのプロセス 第一段階 潜在的対立 第二段階 認知と個人化 第三段階 行動 集団業績 の向上 認知される コンフリクト 先行条件 コミュニケーション 構造 個人的変数 第四段階 結果 明白な コンフリクト 認知されない コンフリクト 集団業績の 低下 コンフリクト に対処する行動 競争,協調, 適応,回避, 妥協 図7-3 コンフリクトの解消方法 自 己 主 張 競 争 (テキスト191ページ) 協 調 妥 協 回 避 (出所) Thomas[1976] p.900. 適 応 協力的 疑問7-4 (テキスト194ページ) コンフリクトのない集団はつくれるのか? 同質性のマネジメント みんなが協力的で,同じ目標を共有すれば コンフリクトは起こらない! • コミットメントによる同質性のマネジメント – 組織コミットメントの2つのタイプ – 情緒的コミットメント: 組織への愛着や一体感 – 功利的コミットメント: 組織へのしがらみ – 情緒的コミットメントが強いことの意味 – – – – – 組織の目標や仲間への愛着が強い人 コミュニケーションが盛ん コンフリクトを前向きに対処しようと考える 自分を犠牲にしても組織に貢献する コンフリクトが起きにくい 疑問7-5 (テキスト196ページ) 情緒的コミットメントが強い組織や集団は いかにしてつくるのだろうか? コミットメントの強い集団をどうつくるのか • 直接働きかけるマネジメント – 集団の雰囲気を良くする(チャレンジ意欲やお互い認め 合うような組織風土) – 責任を強く感じさせるような仕事(自分が重要であるという 認識) – 例)あなた以外にいないと言われれば? • 間接的に働きかけるマネジメント – 強い価値観をメッセージとして示す – 繰り返し価値観を示す – 価値観に合わない人は出て行く ただし同質性のマネジメントは他の集団や組織と コンフリクトが起きやすい 疑問7-6 (テキスト200ページ) 本当にコンフリクトはないほうが よいのだろうか? コンフリクトに関する3つの見解 • 伝統的見解 – コンフリクトは悪である – コンフリクトはそれ自体が問題を引き起こすと同時に組織の内部に問 題を抱えている証拠 – コンフリクトが起きない組織にする:健全な組織 • 人間関係論的見解 – コンフリクトは起きるもの – 大事なことはそれにどう対処するのか • 相互作用論的見解 – – – – コンフリクトは善であり,奨励すべきもの コンフリクトが起こることで,問題が顕在化する 変化や改善へのきっかけとなる 生産的コンフリクトと非生産的コンフリクト ダイバシティ(異質性/多様性) ・マネジメント • 背景 – 女性や高齢者の雇用の増大 – 外国人労働者の雇用の増大 → 従業員の多様性 – 企業のグローバル展開 • 異質性のマネジメント – – – – るつぼ型 メンバーの多様性を融合し,新しい価値を生み出す サラダボール型 メンバーの多様性をうまく組み合わせる • 多様性を受け入れる価値観の必要性 図7-4 コンフリクトと業績の関係 (テキスト204ページ) 次回の問い 組織をどうやってデザインすればよいのか?
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