大学生活と就職活動の関係について 大阪学院大学 流通科学部 流通科学科 土屋 ひかり はじめに 平成26年度10月1日時点での大学生の就職内定率は 86.0% となっており、前年同月の81.7%に比べて4.3% 高い結果となっている。 近年はアベノミクス効果により求人倍率も高くなってきて いるというデータもある。 しかし偏差値の高い大学の学生でないと早く多く就職 活動をしても内定をもらえないという見解がある。 本当に就職できるのは偏差値の高い大学の学生だけな のか? 就職活動において重要なのは大学生活ではないのか? 発表(卒論)の構成 1. 2. 3. アンケート概要 仮説 アンケートの分析 I. II. III. IV. 4. 就職成果の分析 I. II. III. IV. V. 5. 大学生活について 就職活動について 就職活動とキャリアセンターについて 内定について 内定との関係について 上位校・下位校ともに当てはまる 上位校のみに当てはまる 下位校のみに当てはまる 内定先の満足度について おわりに 1. アンケート概要 アンケートは 関西の5大学に依頼 4年生が対象 2014年10月~12月に実施 大学名と性別のみを記入 大半の質問は選択式 で行い、計136名分の有効な回答を得た。 質問内容は大学生活、就職活動、キャリアセンター、内定 についての4つに分けられている。 1. アンケート概要 大学生活についての質問は 授業 アルバイト ゼミ サークル への積極度の他に、友人関係や大学への満足度も質問 し比較対象とする。 1. アンケート概要 就職活動については 活動開始時期 活動内容 相談相手 何を困難と感じたか を質問し、就職活動の仕方の違いを明らかにしていく。 また、キャリアセンターに関する質問も同じように大学ごと の違いが見られるか参考にする。 1. アンケート概要 内定については 内定の有無 時期 社数 企業規模 内定先に対する満足度 を質問し、これらと大学生活、就職活動の関係があるのか を調査する。 2. 仮説 大学で親しい友人がいること →就職活動時期などで周りに後れを取らない。 セミナーや合同企業説明会に一緒に参加の可能性 サークルやゼミなどで先輩と関わること →リアルな就職活動の体験談が聞ける キャリアセンターを利用すること →大学に来ている求人情報を教えてもらえる 過去の就職活動の情報を参考にできる これらが就職活動において内定を受ける要因になるので はないかと予想する。 3. アンケートの分析 I. 大学生活について 上位校の方がサークル・部活動に参加している 上位校は異年代の友人を作ることに積極的 上位校の方が自分の入学した大学に満足している 下位校の方が授業に出席している 下位校の方がアルバイトの週平均回数が多い 下位校は3年生時のゼミの受講に積極的 下位校は様々な場で友人を作ることに積極的 上位校は授業に参加しなくとも学力に問題がない。 下位校はサークル等に参加していない分、アルバイトに行く時 間がある。 入学した大学に満足しているかどうかは就職実績によって左右 されている可能性がある。 3. アンケート分析 II. 就職活動について 上位校の方が就職を希望する業界や業種を決めた時期は 早い 上位校の方が就職WEBサイトを利用し始めた時期は早い 上位校の方がエントリーした会社数は多い 上位校の方が就職活動の講座、セミナーに参加した回数は 多い 上位校は希望業界に就職できるが、下位校は就職がうま く行かず希望業界を変更しているのではないか。 WEBサイトの利用時期が早ければその分エントリー会社 数が多い。 3. アンケート分析 III. 就職活動とキャリアセンターについて 上位校は家族、先輩、友人に相談している 上位校はエントリーシート提出、面接でつまずいたと感じている 上位校は資格取得に取り組んでいる 下位校はキャリアセンターに相談している 下位校はつまずいたことがないと感じている 下位校の方がキャリアセンターを利用している 下位校の方がキャリアセンターの個別面談を受けている 上位校はサークル等で先輩、友人との関わりがあるので相談し やすい。 下位校は就職活動がうまく行かないのでキャリアセンターに相 談する。 3. アンケート分析 IV. 内定について 上位校の方が内定をもらっている 上位校の方が内定を受けた時期は早い 上位校の方が内定先の企業規模は大きい やはり上位校は就職活動において全体的に良い結果を 得ている。 就職活動の積極性は上位校の方が高いと言えるので、当 然の結果であろう。 4. 就職成果の分析 I. 内定との関係について サークル活動または部活動をしていると内定を受けやすい 自分が入学した大学に満足していると内定を受けやすい 就職WEBサイトの利用開始時期が早いと内定を受けやす い エントリー社数が多いと内定を受けやすい 合同企業説明会に参加していると内定を受けやすい 講座・セミナー等に参加していると内定を受けやすい キャリアセンター(就職部)を利用していると内定を受けやす い 4. 就職成果の分析 I. 内定との関係について キャリアセンター(就職部)の個別面談を受けていると内定を受け やすい キャリア関連科目の受講をしていると内定を受けやすい 誰にも相談していないと内定を受けにくい 先輩に相談していると内定を受けやすい 友人に相談していると内定を受けやすい 筆記試験・SPIにつまずいたと感じていると内定を受けやすい 面接でつまずいたと感じていると内定を受けやすい 全体的に上位校がこちらの要因を実践しており、内定も上位校 の方が受けている。 4. 就職成果の分析 II. 上位校・下位校ともに当てはまる 自分の入学した大学に満足していると内定を受けやす い 就職WEBサイトの利用開始時期が早いと内定を受け やすい エントリー社数が多いと内定を受けやすい キャリアセンター(就職部)に相談していると内定を受け やすい 4. 就職成果の分析 上位校のみに当てはまる III. サークル活動または部活動をしていると内定を受けやすい 講座・セミナー等に参加していると内定を受けやすい 誰にも相談していないと内定を受けにくい 先輩に相談していると内定を受けやすい 友人に相談していると内定を受けやすい 面接でつまずいたと感じていると内定を受けやすい 上位校の先輩は上位校出身の可能性が高く、より的確なアドバイ スがもらえる。 友人も同じように上位校の可能性が高く、就職活動に積極的なの で周りにおくれを取ることが少ない。 4. 就職成果の分析 IV. 下位校のみに当てはまる 合同企業説明会に参加していると内定を受けやすい キャリアセンター(就職部)を利用していると内定を受けやす い キャリアセンター(就職部)の個別面談を受けていると内定を 受けやすい キャリア関連科目の受講をしていると内定を受けやすい なかなか内定の受けられない下位校の学生が合同企業 説明会に参加し、そこで出会った企業に内定を受けてい るのではないか。 4. 就職成果の分析 V. 内定満足度との関係について 自分の入学した大学に満足していると内定先に満足 している 就職活動について家族に相談していると内定先に 満足している 満足する内定を受けられたことで、入学した大学に満足 しているという逆の可能性もある。 就職活動について家族に相談し、家族も納得する企業 に内定をうけているので満足している。 5. おわりに(まとめ) 結果として、やはり上位校の方が内定を多くもらっており、 また内定獲得の要因となる大学生活、就職活動におけ る行動も上位校の方が実践していることが分かった。 しかし、内定の受けにくい下位校の学生でもキャリアセ ンターに相談に行く、個人面談を受けに行く、といった 行動が内定に繋がることも分かり、さらにこれは下位校 のみに当てはまる要因だということが明らかになった。 5.おわりに(提言) 学校としても学生がキャリアセンターに来るのを待つの でなく、利用しやすい環境づくりが必要ではないか。 下位校の学生は活動時期、活動量ともに上位校よりも 少ないという分析が出たので、周りの学生に遅れること なく業界を絞りすぎずに就職活動を始めることが重要に なるのではないか。
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