四肢まひを持つこどもさんの ケアについて

痙直型四肢まひを持つ
こどもさんのケアについて
大阪府理学療法士会 障害児保健福祉部
榎勢道彦
地域の普通中学校
に通う15歳の男の子
ゲームセンターに行ったり、キャンプに行ったり
と好きなことはたくさんあります。
最近ではパソコンが使えるようになったので、
メールやインターネットでの検索もよくやっていま
す。
でも、現在中学2年生ということもあって、高校進
学を目指して、この夏休みは勉強もしっかりやろ
うと思います。最近、テストの点数も上がってき
ました。
痙直型四肢まひのこどもさん
へのケアの実践のために
① 現在、こどもさんの「できる」機能が
日常生活の場面で「している」機能として
発揮されていますか?
② こどもさんの将来的な生活のイメージを
持てていますか?
四肢まひを持つこどもさんの
発達で留意しておくべき事柄
①体重増加による肥満が心配・・・
②筋力や体力の発達が追いつかない・・・
③ご両親も年をとっていく・・・
④股関節の脱臼や背骨の歪み、手足の変
形が心配・・・
など・・・
長期的な視点を持ったケア計画の必要性
「どんな運動や体操、ストレッチを
したらいいですか?」
運動や体操、ストレッチを
行うことはとても重要なことです。
しかし、それだけでは
変形は予防できません。
日々の姿勢ケアが重要です
姿勢ケア
目的
・股関節脱臼・脊柱側彎の進行予防
・日常生活活動遂行・参加の実現
原則
①寝る、座る、立つ姿勢をできるだけ対称的に
②ストレッチの時間の確保する
③生活スタイルに合わせて姿勢をかえる
④運動能力が強化できる姿勢と課題を工夫する
⑤年齢相応の活動や参加を援助する
一日の生活と姿勢ケア
7
時間
朝洗起
登
食
面床
校
・ ・
生活状況
姿勢
12
臥位
15
下
校
座位
18
なパ
どソ
コ
ン
帰
宅
立
位
21
夕
食
座
位
入
浴
フ
リ
ー
就
寝
臥位
福祉機器の利用
痙直型四肢まひのこどもさん
へのケアの実践のために
① 現在、こどもさんの「できる」機能が
日常生活の場面で「している」機能として
発揮されていますか?
② こどもさんの将来的な生活のイメージを
持てていますか?
③ 手の機能が最大限に発揮されていますか?
または、手の代替手段を使っていますか?
幼児期からの援助の強調点
① こどもさん自身が目標を持てるよう
「動機付け」のある活動・環境を提供する
② 過介助になりすぎず、こどもさんの能力が
最大限発揮できるよう「実行を援助」する
③ 活動を行った「結果についての知識」を
提示する
ケアとは、
生活にかかわるあらゆることを
創造的に、健康的に整えるという
援助行為を通して、
その人のもてる力が最大に
発揮できるようにしながら、
生活の自立と
その質の向上を図ること。
3つの生活の質
「生活していくために必要なこと」
生命維持や移動能力、日常生活での課題遂行、
健康増進、二次障害の予防など
「目的や楽しみを達成するために必要なこと」
家庭、教育、同年代の子どもたちとの遊び、
交流、地域社会などの場における、
主体的な活動
「社会的な役割を担うために必要なこと」
家族や友人、大人との社会的関係を
構築する中で、果たされる機能的役割