第三講 国際競争とは無関係に進む内需の不振

第三講 国際競争とは無関係に進む内需の不振
小川 雄大
・「戦後最長の好景気」のもとで減り始めた国内新
車販売台数

国内新車販売数の減少は世界不況になってから急にテレビ、新聞
などで騒ぎ始められたが、日本国内での新車販売台数をここ10年
でみれば00年をピークに01年から下がり始めていた。
・その原因は? 若者の車離れ?

大都市圏の中心近くの住んでいる一部の人間を除いた
ほとんどの日本人にとって車というのは嗜好品ではなく
必需品である。
そのため飽きたから買わないというものではない。そして
06年あたりの好景気時に台数が減ってしまう理由として
「若者の車離れ」では説得力がない.
興味がないから安いので済ませ
ようと考える人は増えているかもし
れないがそれは単価減少→売上
高の減少にはなるが販売台数減
少の理由にはならない。
・小売販売額はもちろん、国内輸送量や一人当たり水道
使用量まで減少する日本

長期的に見て減少しているものは車の国内販売だけではなく、小
売販売額、書籍、雑誌の販売部数などが減少している。
・減少の原因として現在考えられているものは正しいのか?
小売販売額は減少
が始まって08で12年
になる。しかしこの12
年の間に実質GDP
は十数%伸びている。
国内の書籍、雑誌の
合計売り上げは96年
をピークに、販売部
数は97をピークに
減っている。
逆資産効果?
好景気で株価が回復し
ていた間も日本の小売
りに関して、資産効果は
なかった。それなのに
急に逆資産効果は出る
ものなのか?
インターネッ
トの普及?
インターネットが普及し
たのは2000年以降であ
り96-97年あたりはまだ
普及されていなかった。
このような数字は失業率や有効求人倍率に比べれば
関係している日本人ははるかに多い。それなのに小
売販売額を無視して、失業率や有効求人倍率をもと
にした景気を論じるのはおかしい。と筆者は述べてい
る。
・なぜ「対前年比同期比」ばかりで絶対数を見
ないのか
日本に広まったアメリカ流のファイナンスは構造的に無理があった。
しかし短期的投資の世界ではそのことは関係ない。「事実は何か」
ということよりも皆がどう思って、その結果どうなるかのほうが重要に
なる。
経済報道はこのような考えを持った短期的な売りぬけを志向する人
向けに作られ、報道している。
その結果去年、一昨年の水準はどうだったかという、実数の変化に
気づかない事態が起きてしまった。
このような報道の欠陥を踏まえた上で、自分で絶対数を確認
し、長期的なトレンドを把握することが大事。と筆者は述べて
いる。
論点
 小売り産業が生き残るためには?