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専門医制度の発足
家庭医と業務分担
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医療保険に対する国民の満足度
ドイツ 2000年
完全に満足
9%
どちらかというと満足
65%
どちらかというと不満足
22%
全く不満足
3%
分らない
2%
ドイツ医師会雑誌 97巻24号、2000
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ドイツ人の大多数が家庭医に満足
ドイツ医師会雑誌 2003年10月2日
アンケート調査
• 1000人のうち87%が、自分の家庭医は能力があ
り、包括的に助言をしてくれると感じている
• 74%が医師を替えることを考えていない
• 78%は、十分な時間を取ってくれたと感じている
• しかし、24%は将来家庭医を自由に選択したいと望
んでいる
• 医師の報酬請求に批判的。70%以上がより透明で
あることを要求した
• 41%が待ち時間の長いのに苦情を述べた
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専門医制度確立と
家庭医重視の伝統
• 専門医制度は1924年に14の専門科で発足。
• 興味深いその経緯(日本の現状のような混
乱を克服した)
以下はドイツ医師会長であった
Sewering教授の論文ドイツ医師会雑誌1987年9月3日号
から引用
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• 『医学は前世紀の中頃から予想を超えた広
がりと深みを増した。その結果として各種の
専門領域が分れてきた。この専門性は、病気
の際に開業医を迂回して、直接に専門医の
助けを受けるという傾向を助長し一般化して
しまった。その必然的結果として、自由診療
だけでなく、保険診療においても開業医は押
し退けられ、年配の経験ある家庭医は消滅
へ追いやられることになった。
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• そのように開業医に被害が生じたので、開
業医も一般診療の傍ら一つの専門に転じ、
「一般医+専門医」という第三の分類に属す
る医師群を発生させた。これはその後、一
般の人をも巻き込んだある種の混乱を引き
起こし、また医師としての職業の尊厳性を傷
つける結果となってしまった。
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• このような弊害は、立法手段によって取り除く
ことは困難である。その理由は、営業規則の
ようなものが適用されたならば、その中で医
師の身分に序列化が条件づけられてしまうと
いう憂うべき可能性があったからである。そこ
で医師たちは、一致して立法的干渉を拒絶し、
営業規則の制定ではなく、その上を行くもの
として、自分たちで自由に作る身分規定によ
り明確な身分を創り出すことを決定した。(つ
まり専門医規則を創ることにした)
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•
開業医は、家庭医として再び以前の権利に
復帰されるべきであり、専門医は数年間の特
別教育を受けて試験委員会によって証明され
ることにより、専門医として認定されるべきで
ある。但し、専門医はその専門領域に限定さ
れ、家庭医としての開業を行ってはならない。
開業医と専門医の癒着は職業倫理を損うも
のとして禁止する。』
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• 30年ほど前に、私は医学部の図書館で1924
年前後の雑誌を調べたが、[ドイツで専門医
制度が施行された]という記事は見つからな
かった。この経験によって、日本は学問・技術
としての医学は熱心に取り入れたが、患者や
社会と結びついた医学・医療には無関心で
あったことを痛感した。これが私を今の仕事
に駆り立てる原因の一つになった。
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