学術コミュニケーションの変容 と大学図書館

学術コミュニケーションの変容と
大学図書館
国立国会図書館
尾城孝一
2001/09/13
大学図書館研究集会
1
学術雑誌の誕生と機能
 1665年世界最初の学術雑誌創刊
Journal des scavans
Philosophical Transactions
 学術コミュニケーションの不可欠なメディア
 雑誌の機能
研究成果(学術論文)の配信
品質保証
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2
学術雑誌の問題点
 論文の投稿から刊行までのタイムラグ
 タイトル数と論文数増加による文献探索の
困難さ
 一般的な物価上昇率をはるかに上回る値
上がり
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3
危機の背景
ビッグサイエンス
の登場
研究者数
の増加
論文数
の増加
刊行経費
の上昇
価格の高騰
(20世紀半ば)
大規模プロジェクト研究
「マンハッタン計画」
「アポロ計画」...
研究競争
の激化
研究領域
の細分化
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タイトル数
の増加
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購読者数の
減少
4
商業出版社の進出
論文数
の増加
新たな流通経路
の必要性
タイトル数
の増加
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商業出版社
の進出
価格高騰の
進行
●雑誌市場の独占
●寡占的な価格政策
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5
図書館の対応
 雑誌コレクションの維持
雑誌購入費の増額要求
図書購入費の流用
 購入タイトルの削減
 ILL、ドキュメントデリバリサービスの援用
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6
電子ジャーナルの登場

オンライン査読誌数
の推移
(ARL Directory of Scholarly Electronic
Journals and Academic Discussion
Lists)
1991年
7タイトル
1997年 1,049タイトル
2000年 3,915タイトル
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7
電子ジャーナルへの期待
 メリット
迅速な配信、同時多数アクセス、検索機能、
リンク機能...
 生産コストの低減
印刷、製本、輸送費
 価格上昇の抑止?
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8
真実
 冊子体とのバンドル販売
電子ジャーナルの単独購読が不可
 単独購読可能の場合でも
価格は冊子体と同水準
 価格の高騰は続く
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研究者によるイニシャティブ
 著作権譲渡に対する抗議行動
 編集委員の反発と対抗誌創刊の動き
 ボイコット運動(Public Library of Science)
 e-printアーカイブによる学術コミュニケー
ションの変革
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10
e-printアーカイブとは
 e-print(電子論文)の保管庫
 研究者自身によるセルフアーカイビング
プレプリントのアーカイブ
査読後のポストプリントのアーカイブ
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11
ロスアラモス研究所のarXiv

arXiv.org e-Print archive

論文数
1991年創設(by Paul
Ginsparg)

総数 155,000件
2000年新規投稿数
30,000件
分野
高エネルギー物理学
→物理学全般、数学、
コンピュータサイエン
ス
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
利用統計
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1日のアクセス数
110,000件-130,000件
年間ダウンロード数
1,300万件(2000年)
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e-printアーカイブの可能性
 迅速性
雑誌による流通
– 著者→出版社(査読、編集)→取次店→図書館→
利用者
e-printアーカイブによる流通
– 著者→利用者(peer-to-peer)
 経済性
安価な運営経費
無料投稿、無料アクセス
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e-printの品質保証

e-printアーカイブの欠点
品質保証の不備

オーバレイジャーナルの登場
arXivのe-printへのハイパーリンクのみを提供
Annals of Mathematics等々
品質保証の付与

機能分化
配信→e-printアーカイブ
品質保証→オーバレイジャーナル
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e-printアーカイブの拡がり
CPS(化学)
 CogPrints(認知科学)
 DSpace(マサチューセッツ工科大学)
 eScholarship(カリフォルニア大学電子図書館)
 NCSTRL(コンピュータサイエンス)
 NDLTD(学位論文)
 NetPrints(臨床医学)
 PhilSci Archive(科学哲学)
 RePEc(経済学)

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OAI
 Open Archives Initiative
複数のe-printアーカイブを相互に利用するた
めのフレームワークの確立
 OAIの3層モデル
データ層
メタデータ収集層
サービス層
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学術情報流通の将来モデル
雑誌
(冊子、Web)
品質保証
(査読、編集)
著者
サービス層
カレント
アウェアネス
引用
リンキング
横断検索
プロトコル層(OAI Metadata Havesting Protocol)
分野別
アーカイブ
学術機関毎
アーカイブ
個人アーカイブ
データ層
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アクセス
・無料/有料
提供者
・学会
・大学
・営利企業
読者
アクセス
・無料
提供者
・学会
・大学
・研究者コミュニティ
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大学図書館の課題

コンソーシアムによる電子ジャーナルの導入拡
大
日本イデアル・オープン・コンソーシアム
ナショナルサイトライセンスの試み(国立情報学研究
所)

研究者コミュニティとの連携
研究者コミュニティのイニシャティブ支援
SPARC Japan?

将来の学術コミュニケーションモデルにおける新
たな役割の模索
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18
本日の発表のアーカイブ
 http://home.catv.ne.jp/rr/ojiro/scomm.ppt
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