創造産業クラスターの展開 札幌 2006.3.17 道都大学経営学部非常勤講師 富沢木実 目 次 1. 北海道と札幌市の概要 2. 札幌ITクラスターの形成 3. 創造都市さっぽろ(sapporo ideas city) ◆札幌の気候 2月最低△7度C 札幌市 8月最高26度C 降雪日125日 知 床 北緯43度 東経141度 1.5 時間 26往復×2社 片道約3万円 1.北海道と札幌市の概要 北海道 • • • • • 100年余りの歴史 ・・・・明治2(1896年) 560万人 ・・・・フィンランドと同程度 広大・人口密度低い ・・・・フィンランドより高い 寒冷地 ・・・・札幌とヘルシンキ似た気候 日本の食料基地 ・・・・大規模農業 ・・・・小麦53%、ジャガイモ65% ・・・・牛乳46%、水産業28% 日本での優位性:観光・農業 ただし国際競争力は弱い 札幌市 • 182万人 ・・・・全国5番目の人口都市 • 15-64歳人口が相対的に少ない ・・・・大学、就職で本州に • 製造業が極端に低い ・・・・大阪16%、名古屋14%、札幌6% • 札幌一極集中 ・・・・ヘルシンキ10% ・・・・東京23区6%、札幌32% IT~コンテンツに注力 北海道人口減少・札幌一極集中 北海道の人口 6,000,000 5,000,000 札幌市 札幌市以外 全道 3,000,000 2,000,000 1,000,000 2004 2000 1995 1990 1985 1980 1975 1970 1965 1960 1955 1950 - 1945 人 4,000,000 2.札幌ITクラスターの形成 • 札幌市の重点産業:IT産業育成 – 本州から離れた北海道における大都市 – 第三次産業人口83%、支店経済 – 製造業6% 60年:汎用系情報処理産業の集積 76年:北大マイコン研究会→サッポロバレー 85年:札幌テクノパーク←本州企業支社(U・Iターン) 94年:ハイパー風土記→NCF 2000年:札幌Biz Café(サッポロバレーのブランド化) 2001年:ICC(札幌デジタル創造プラザ) 北海道のIT産業の形態 北海道のIT産業の時系列 札幌ITカロッツェリア sapporo ideas city コン テンツ サッポロバレー企業のルーツ インターネット ビジネスの発生 プロ ダクツ パソコンの誕生 受託 入力 大容量・汎用マシーン 76 96 ■組込 札幌ITクラスターの形成 2006年 2006年 Sapporoショートフェスト Sapporo ideas city 宣言 「SELECTED CREATORS OF HOKKAIDO IN 2005」刊行 2006 北海道ITク ラスター推 進協議会 札幌ITカロッツェリア構想 2003 情報産業クラスター・フォーラム Biz Cafe 2000 2000 「サッポロバレーの誕生」出版 2000 三浦・青木賞 1998 企業連携 Cool Village 19961993 NORTH インターネット技術向上・普及 1997 拓銀破綻 NCF産官学によるネットワークコミュニティ 1994-95 ハイパー風土記 oroppas 1994年 北海道マルチメディア協会 1980年代 1986年 札幌エレクトロニクスセンター 札幌バレー企業の誕生 産官学協働の原動力 1985年 札幌テクノパーク造成 1980年代 1976 各業界団体設立 北大青木教授 マイコン研究会 データクラフト高橋社長作 成の図を参考に富沢作成 集 結 統 合 2001 e-シルクロード 2000-02 北海道VC 北海道IT推進協会 2002- 経産省 2001年 ICC コンテンツSOHOインキュベーション 1999年 2003 NPO法人Biz Cafe 2004 北海道IT応援隊 2002-2006 文科省 HARP 北大R&BP産学官連携 事業推進室 2005 2006年 札幌国際短編祭 1960年代 パソコンの登場とともに生まれたサッポロバレー 汎用系情報処理を中心にした情報産業の形成 (ソフトウェア、情報 処理、システムハ ウス、CGなど) 札幌ITクラスターの玉突き現象 • 無意識に集積 • 北大からベンチャー誕生 • 札幌市が重点政策化 – 大企業誘致 – インターネットの初期に場を提供 • • • • • • • 拓銀破綻 市民活動の広がり IT業界が積極的なブランディング(サッポロバレー、北大) IT団体の集結統合 IT業界が国の制度活用、道や経産局の積極的係り 札幌市がコンテンツ産業育成へ→市立大学 道が電子自治体化促進 産 学 官 連 携 に よ る 北 海 道 再 生 3.創造都市さっぽろ sapporo ideas city 2001 ICC(札幌市デジタル創造プラザ:インタークロス・クリエーティブ・センター) – – – – – 遊休施設を利用したインキュベーション施設 イベント、セミナー、ワークショップ開催 入居企業のプロモーション、マーケティング →人材が育ってきた 久保チーフコーディネーター Tomatoとの出会い(Steve Baker) 2004 第一回 Reach-Moving Exhibition for a Small World (NY、ロンドン、カッセル) 2004 ICCメディアアート交流プログラム(NPO法人S-AIR) 2005 経産局「SELECTED CREATORS OF HOKKAIDO IN 2005」 2006 第二回 Reach(ソウル、シンガポール) 2006 sapporo ideas city宣言 http://www.ideascity.jp/ 2006 札幌市立大学開校 2006秋 SAPPOROショートフェスト2006(札幌国際短編映画祭誕生) 札幌における文化的できごと sapporo ideas city 1950 さっぽろ雪まつり (2006年、第57回、観客動員198.5万人) 1986 (財)札幌市芸術文化財団 「札幌芸術の森」「札幌コンサートホールKitara」「札幌市教育文化会館」「札 幌市民ギャラリー」「札幌市写真ライブラリー」管理・運営 1990 PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル) (Leonard Bernstein芸術監督:野村證券、トヨタ、松下電器、JAL) 1992 YOSAKOIソーラン祭り (2005年、第14回、334チーム、4.3万人参加、観客動員21.4万人) 1998 2000 2003 2004 2005 シアターキノ(市民出資による映画館) ショートショートフィルムフェスティバルin北海道 さっぽろフィルムコミッション NPO法人北海道コミュニティシネマ・札幌 モエレ沼公園完成(イサム・ノグチのマスタープラン) 創造都市さっぽろの狙い sapporo ideas city • 「creative」ではなく「ideas」 – – • artistという一部の人たちのものではなく市民一人一人の創造性を 発揮するまちという意味 建物、都市計画主体でなく、コンテンツ主体 経済部主体 – – ICCで人材育成とネットワーク化→産業化 イベントではなく、産業に結びつける • • – – 映画祭もそこに流通市場をつくる(見本市、ライツ) フィルムコミッションも、観光地化はもちろん、コーディネート企業誘致、 ポスプロ誘致などにより産業をつくる 都市計画、観光などの部局とも連携し都市ブランドへ 当面、ショートフィルムとキャラクター 「創造都市さっぽろ(sapporo ideas city)」の体系図(案) Creative Style ○クリエイティブ国際イベント ○さっぽろアートステージ ○アートによる札幌PRコンペ (サイレントCM) .etc Creative Economy ○ショートムービー産業創出事業 ○フィルムコミッション事業 ○札幌ブランド構築・推進事業 .etc Creative People ○札幌市立大学の開学 ○クリエイター人材海外交流事業 ○札幌市立大学の産学連携事業 .etc Project ESIN Creative Economy Creative People Creative Style John Warwicker 作成 • Steve Baker • まちの至るところでいつ も何か新しいことが起 こっている • 誰もが参加できて、先 生と生徒が入れ替わる ことも • プロの再生、新人育成 • 札幌は自然も、食べ物 も、文化も・・good! 国の制度(文科省:知的クラスター創成事業)を使った 地域イノベーションシステムの難しさ 地域の自立 1. – – – – – – 経済界、当該産業にビジョンを描き制度を使いこなす力がない 市場から遠い 資金欲しさにビジョンを制度に合わせてしまう 地方自治体が本省との間で中間管理職化 地方自治体の縦割り行政 沢山の関係機関→根回しと調整に多くの時間が費やされる プロジェクトマネジメント能力 2. – 多様な立場の担い手をコントロールできない • • • – 地域における殿様たち 担い手自身のメリットと地域への貢献のバランス 専門家への畏怖→任せてしまう プロジェクトの出口を想定していない 実践による能力の蓄積 ICC以降の成功要因 (人材育成、ネットワーク構築) 札幌市単独の事業 1. – – 根回しと調整が軽減 今後市役所内の縦割りの克服が出てくるかも 新しい産業起こし 2. – – – 行政が方向性を打ち出している 道庁、北大、北電などの殿様は不在 tomatoとの出会いが本質を外さない結果に プロデューサ(久保、Backer)を得た 3. – – – 行政だけではやりきれない(人材育成、プロモート、交流など) エレセンはインキュベーションなどは上手くいかなかったのでは アーティストと行政との間の通訳 多様なNPOと連携 4. – – アーティスト・イン・レジデンス 映画による町おこし 今後の課題 (産業化、地域への浸透、持続的発展) • 如何に産業化していくかの知恵 – 市場は東京 – 地域の産業基盤弱い – 国のコンテンツ政策の問題点 • プロデューサ不足 – Bakerさんの活用 – プロデューサの育成・誘致 – それには産業化の成功が前提 • 国内外からの人材交流の活発化 – 真の国際都市化をやれるか
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