TOEIC(R) 990点を目指して

平成18年度第8回専攻特別講義 I,II
第140回定例談話会
2006.11.24 於本校視聴覚教室
®
TOEIC 990点を目指して
仙台電波高専 総合科学科
久保田佳克(英語)
1
本講義の流れ
第1部 TOEIC®とは
第2部 私の英語学習法
第3部 効果的な英語学習法
2
第1部 TOEIC®とは
1
2
3
4
5
6
TOEIC®とはどんな試験か
TOEIC®の問題形式と採点方法
スコア別コミュニケーション能力
日本人とTOEIC®
日本人受験者像
新TOEIC®について
3
TOEIC®とはどんな試験か
Test of English for International Communication
米国のテスト開発機関 ETS(Educational Testing
Service)が開発・制作
世界60カ国で実施
年間受験者数は約450万人
4
英検とTOEIC®の違い
実用英語検定(英検)
– 級別
– 対策が取りやすい
– 四技能(二次で面接,一級は英作文有り)
TOEIC®
– 点数別
– 対策が取りにくい
– 二技能(現時点では)
5
TOEIC®の問題形式と採点方法
問題形式
リスニング
100問(45分)
リーディング
100問(75分)
採点方法
1問5点ではない
正答数を各セクションで5~495点に換算
合計で10~990点のトータル・スコア
6
スコア別コミュニケーション能力
220点以下
コミュニケーションができるまでに至っていない
470点以下
通常会話で最低限のコミュニケーションが
できる
730点以下
日常生活のニーズを充足し,限定された範囲
内では業務上のコミュニケーションができる
7
スコア別コミュニケーション能力
860点以下
どんな状況でも適切なコミュニケーション
ができる素地を備えている
860点以上
Non-Nativeとして十分なコミュニケーショ
ンができる
8
日本人とTOEIC®
世界の全受験生の
14%が韓国人
67%が日本人
国別受験者平均スコア
フランス人
韓国人
タイ人
日本人
684点
541点
489点
454点
– ( TOEIC® Report on Test Takers Worldwide -2004)
9
日本人受験者像
公開テスト平均スコア
IPテスト平均スコア
大卒新入社員平均スコア
大学4年生平均スコア
短大2年生平均スコア
高専5年生平均スコア
562点
449点
471点
502点
418点
361点
– ( TOEIC®テスト DATA & ANALYSIS 2005)
10
新TOEIC®について
2006年5月の公開テストから
主な変更点
– リスニング
ナレーションの英語
アメリカ英語のみ
→ 米・加・英・豪4カ国の発音
– リーディング 長文化
誤文訂正 → 長文穴埋め
ダブル・パッセージの導入
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第2部 私の英語学習法
私のTOEIC®受験歴
私が行ってきた英語の学習法
–
–
–
–
–
–
–
–
中学校時代
高校時代
大学時代
イギリス語学学校時代
フリーター
大学聴講生時代
大学院時代
就職後
12
私のTOEIC®受験歴
1回目 1990年 ?
24歳 ? 900点
( 1993年? TOEFL 614点 )
2回目 1999年5月 33歳
3回目 2004年1月 38歳
( 同 7月 英検1級合格 )
4回目 2006年1月 39歳
5回目 2006年5月 40歳
13
2回目の受験
14
3回目の受験
15
4回目の受験
16
5回目の受験
17
990点は満点ではない
18
私が行ってきた英語の学習法
1
2
3
4
5
6
7
中学校時代(福島市立岳陽中学校)
高校時代(福島県立福島東高校)
大学時代(東北大学文学部哲学科)
イギリス語学学校時代
フリーター時代
大学聴講生時代(東北大学文学部)
大学院時代
(宮城教育大学・東北大学文学部英文科)
8 就職後(山形女子短期大学・仙台電波高専)
19
中学校時代
中学校1年生で英語の勉強を始める
最初は何が何だかわからず
単語覚えられず
語順わからず
父に単語テストをされる(中学1年生)
英会話クラブ(中学3年生)
ALTは3年間で1回だけ
20
高校時代
高校入試40点(50点満点)
リーダーとグラマー
ノート作り
単語集からの単語テスト
文法参考書からの文法テスト
大学受験に向けての勉強
『試験に出る英単語』は挫折
21
大学時代
共通一次試験は150点程度(200点満点)
1・2年生では授業のみ(週2コマ+購読)
1年の時,ネイティブの試験で20点
3・4年生では専門書購読のみ
3年の時,ネイティブの授業は放棄
英会話教材買ったが,挫折
22
イギリス語学学校時代
友達に誘われて
入学時面接は単語のみで答える
春学期は習熟度別6クラス中4番目のクラス
放課後にリスニングを継続
一度帰国 → 3か月勉強(リスニング)
秋学期では1番上のクラス(試験対策クラス)に
ケンブリッジ英検準一級合格
23
フリーター時代
イギリスから帰国しての3か月+3か月
バイトと睡眠以外は英語漬け
アルク社のヒアリングマラソン開始
Graded readers を多読
TIME を購読し始める
英語の学習法の本を乱読
バイトしながら,単語カード
24
大学聴講生時代
ネイティブの授業(原書講読)
ヒアリングマラソン
短波ラジオ(BBC,Voice of America)
映画・ビデオ
Graded readers を多読
バイト・睡眠・授業以外は英語漬け
25
大学院時代(宮教大)
授業では訳読(文学書・研究書)
修士論文のための専門書多読
修士論文は英語で書く
自宅ではリスニング
NHKテレビ英会話
NHKラジオ英会話は挫折
26
大学院時代(東北大)
授業では文学書(散文・詩)を訳読
アサインメント(文学書・専門書10冊程度)
リーディング・マラソン(原書1月に1冊)
英詩の訳読読書会(週1回)
ネイティブの授業(詩の講読)
自宅ではリスニング
NHKテレビ英会話
27
教員になってから
授業準備
NHKラジオ英会話(5年間継続)
アルク社TOEFLマラソンは挫折
アルク社ボキャブラリーマラソンは挫折
音読筆写との出会い
多読100万語との出会い
アルク社コエダス修了(平成16年)
インターネットの利用
28
第3部 効果的な英語学習法
1
2
3
4
5
6
7
私の英語力の自己診断
私のとってきた学習法の検証
インプット仮説
アウトプット仮説
今,私が~歳に戻れたら
お勧めの学習法
お勧めの教材
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私のCan-doリスト
読むこと
TIMEや英字新聞はほぼ理解
児童文学は楽しめる,小説はある程度楽しめる
聞くこと
英語のニュースはほぼ理解
映画は半分くらい理解
話すこと
意志は伝えられる
書くこと
ある程度正確な文章は書ける
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私のとってきた学習法の検証
ひたすらインプット(聞く・読む)
英語漬けになる時期があった
結果:宣言的知識 → 手続き的知識
– 自分の性格に合っていた
– 結果:TOEICや英検一次はいいが,英検
二次では苦労
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インプット(入力)仮説
S. Krashen の仮説
理解可能なインプット “i+1” が言語の習得には不可欠
理解可能なインプットとは
・全体の意味はほぼ理解できる
・まだ身につけていない文法・語彙が含まれる




「理解可能であること」
「興味の持てる内容であること」
「本物であること」
「文字・音声両方のモードで取り入れること」
32
アウトプット(出力)仮説
M. Swainの仮説
相手が「理解可能なアウトプット」を学習者が産出
しようと努力することが言語の習得には重要
– (1)自分の穴に気づく
– (2)目標言語と中間言語のギャップに気づく
– (3)理解可能なアウトプットを産出する
:使用してこなかった言語知識の活性化
– (4)仮説検証の機会が生まれる:フィードバック
– (5)統語処理・文法意識化が促される
– (6)言語知識の自動化が進む
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今,私が12歳に戻れたら

教科書を暗記するまで音読する

英語の絵本を読む

NHKラジオ基礎英語を聞く

英検準2級をとる
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今,私が15歳に戻れたら

教科書を暗記するまで音読する

和文英訳を一生懸命やる

文法書の例文を暗記する

NHKラジオ英会話入門を聞く

英検2級をとる
35
今,私が18歳に戻れたら

大学のESSに入る

TOEIC®を受ける

英検準1級をとる

音読筆写と多聴・多読をやる

海外の大学留学を目指す
36
お勧めの学習法
1 効果的なインプット法
2 音読筆写
3 多読・多聴
4 単語・熟語の覚え方
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効果的なインプット法
教材:スクリプト付の音声教材
① 音声を聞く
② 文字スクリプトを見る
③ 音声 → 文字スクリプトで確認
④ パラレル・リーディングやシャドウイングなど
⑤ 語彙との「関わり」を深め,記憶に残す作業
⑥ 間隔を空けて,同じインプットを繰り返す
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音読筆写
教材:100語前後の英文(訳・音声のついたもの)
① 英文を音読(1回)
② 日本語訳を音読(2回)
③ 音声を聞いた後,音読(3回)
④ 最大スピードで音読(3回)
⑤ 音読しながら,筆写(3回)
⑥ ディクテーション
⑦ 日本語訳を見ながら,英文を書く
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目指せ100万語(多読)
教材:Graded Readersなど易しめの読み物
3原則
1 辞書を使わない
2 わからないところは飛ばす
3 つまらなくなったらやめる
語数を記録する
40
ヒアリングマラソン(多聴)
1年間で1,000時間,英語を聞く
教材はCD2枚とスクリプト
“Hearing” ではなく “Listening”
:聞き流しは効果なし
41
単語・熟語の覚え方
リスト学習と文脈学習の組み合わせ
関連のある語句はまとめて
反復することが重要
興味・関心のある分野から
高専生向けのWeb教材 “COCET 3,300”
発音も一緒に
42
お勧め教材(私が使ったもの)
NHKラジオ英会話シリーズ
1,2年生の英語Aで使った教科書
鹿野晴夫他 (2002) 『 TOEIC® TEST 実践
トレーニング』(丸善)
Graded Readers:
Penguin, Oxford, Cambridge, Macmillan等
English Journal(アルク)
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記録の大切さ
点数よりも語数や時間を目標に
読んだ語数・ページ数をこまめに記録
聞いた時間をこまめに記録
5~15分単位で
時々,まとめて稼ぐ
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TOEIC®で高得点を取るには
準備段階
– 語彙力の増強
– 読解力の増強(日本語訳をせずに)
– 読むスピードをつける(150~200wpm)
試験本番(問題は全て解く)
– リスニングは設問を先に読む(読むスピード)
– 穴埋めは1問5~20秒で(知っているか知らないか)
– 読解は設問を先に読む(何を読み取るか)
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スコアアップに必要な時間
300点 → 400点
200時間
400点 → 500点
250時間
500点 → 600点
300時間
600点 → 700点
350時間
700点 → 800点
400時間
800点 → 900点
450時間
(自己学習の場合は,この2倍)
(『 TOEIC® TEST 英語学習ダイアリー』より)
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最後に
英語学習の習慣化
量をこなす
自分の性格に合った学習法を
言語習得にゴールはない
Persistence pays off.
(継続は力なり)
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参考
川島隆太,鹿野晴夫 (2006) 『いちばん脳を鍛える「英語速音読」ドリル』
(アイビーシーパブリッシング)
酒井邦秀 (2002) 『快読100万語!ペーパーバックへの道』(筑摩書房)
竹内理 (2003) 『より良い外国語学習法を求めて』(松柏社)
千田潤一,鹿野晴夫 (2001) 『TOEIC(R) TEST 英語学習ダイアリー』(丸
善)
村野井仁 (2006) 『第二言語習得研究から見た効果的な英語学習法・指
導法』(大修館書店)
ロバート・ヒルキ,ヒロ前田 (2005) 『新TOEIC®テスト完全攻略ガイド』
(アルク)
TOEIC運営委員会 (2006) 『TOEIC®テスト DATA & ANALYSIS 2005』
(TOEIC運営委員会)
Educational Testing Service (2005) TOEIC: Report on Test Takers
Worldwide – 2004 (ETS)
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