恐竜絶滅の震源地・ ユカタン半島で考える生物多様性 ユカタン半島沿岸湿地保全計画(2003-2010) 中川 圓 (JICA専門家・湿地保全/環境教育/業務調整) 目次 • 生物の絶滅の歴史(おさらい) • ユカタン半島の概要と自然 • JICAプロジェクト・ ユカタン半島沿岸湿地保全計画について • 生物多様性について 生物の大量絶滅の歴史(&地球の地質時代) 現代(6度目の大量絶滅?) (約700万年前 人類の祖先誕生) 約6500万年前 メキシコ・ユカタン半島に隕石衝突 地球上の生物の約75%が絶滅した 約2億年前(75%) 約2億5000万年前(95%) 約3億7000万年前(80%) 約4億4000万年前 (85%) (5億3000万年前 カンブリア爆発=多様な生物の出現) 生物種の絶滅スピード 1975年頃には年間1000種類程度の生物種が絶滅していた。 現在では、毎年40000種の生物が地球上からいなくなっている。 →現代が第6番目の大量絶滅期に当たるという根拠になっている COP10支援委員会HPより 約6500万年前、ユカタン半島に直径約10 ~15Kmもの隕石(小惑星)が衝突した 約6500万年前 メキシコ・ユカタン半島に直径約10~15Kmの 隕石が衝突 地球上の生物の約75%が絶滅。白亜紀の 終わり 参考:東京駅ー中野駅の直線距離が約10Km チチュルブ隕石衝突の様子 ©NASA作成 ユカタン半島に残る隕石衝突の痕跡 チチュルブクレーター チチュルブクレーターの重力分布図(USGS) チチュルブクレーターを中心としたセノーテ(地下泉)の分布(NASA) ユカタン半島の位置 ユカタン半島の位置 2 ユカタン半島の地形 気候 河川 先住民(マヤ)の言語を話す割合 マヤ族のテリトリー Linguistic Maps of Mesoamerica,FAMSI マヤ文明の隆盛 ウシュマル遺跡 A.D.900-1524 マヤスタイルの塩田 ユカタン半島の特徴(まとめ) • 広大な低地平野(200*300Km) 真っ平ら! • 亜熱帯半乾燥地 カラカラで暑い! • 河川が一本もない! にもかかわらず・・・ • マヤ文明が栄えた 世界の文明は「大河川」のほとりだったはずなのに・・・ セノーテ(地下水脈) 衝突点を中心に円形に広がるセノーテ(地下水路) 地表に露出したセノーテ ユカタン半島の自然 ハチクイモドキ Turquoise-browed Motmo シマトラフサギ Tigrisoma mexicanum ユカタン半島の自然 ユカタン半島の自然 ユカタン半島の自然 ユカタン半島の自然 ユカタン半島の自然 ユカタン半島の自然 ユカタン半島の自然 ユカタン半島の自然 ユカタン半島の自然 ユカタン半島沿岸湿地保全計画 • 2003.03-2010.02 • 日本国・国際協力機構(JICA) • メキシコ合衆国・国家自然保護区委員会 (CONANP) • ユカタン半島北部 リア・セレストゥン生物圏 保護区の湿地生態系修復および保全と保護 区管理システムの整備 リア・セレストゥン生物圏保護区 81000ヘクタール マングローブの大量枯死 総面積1000ヘクタールに 上る広大な枯死林が拡 大中だった マングローブ生態系修復 漁業資源の大幅な減少 稚魚まで根こそぎにする地引き網漁等の違法漁業 や漁業人口の増加によって、資源圧迫。 漁業の代替産業 廃棄物による保護区全域の汚染 野積みにされ放置される ゴミによって保護区内の 自然環境が悪化。 廃棄物処理 メキシコ特有の縦割り主義 研究機関 NGO セレストゥ ンの自然 保護 州政府 情報共有 連邦機関 各機関が個別に一方向な援助をセ レストゥンコミュニティに実施。時に は二重支援を受けることも。各機関 の情報は共有されず。 住民の理解不足 土地の違法占拠。ゴミの不法投棄(ゴミを回 収しない文化)。違法開発。保護区に住んで いることを知らないetc 環境教育 プロジェクト5つのテーマ JICA協力の意味 マングローブ生態 系修復 日本の技術的優位 漁業に代わる経 済活動 日本の経験 廃棄物の適切な 処理 日本の経験 Centro de Investi gación ONGs Conservaci ón de Reserva Celestún Instituc iones Federa es 関係機関が協調 する仕組み作り Instituc iones Estatal es 協働 環境教育 協働 活動 (マングローブ修復~2010) • マングローブ修復活動 苗床作り 試験植林地における結論: 畝作り 水路造成によって水の流入を回復し あとは自然の力に任せることがベスト 調査 東北学院大学・宮城豊彦教授 ISME・鶴田浩一専門家 →遷移・極相 成果 (マングローブ修復~2010) 2006年 • マングローブ生態系修復 (プロジェクト前→後) 2008年 ユカタン半島および類似地域における マングローブ生態系修復手法の確立 2007年 2005年 成果 (マングロ-ブ修復~2010) • マングローブ生態系修復 (プロジェクト前→後) 2005年以前 2009年9月24日 成果 (~2010) • マングローブ生態系修復 (プロジェクト前→後) Google Earth, 2005 Septiembre, 2009 Fase I Fase I Fase II Fase II • マングローブ生態系修復 (プロジェクト前→後) 成果 (~2010) 2005年3月 2006年10月 2007年8月 2008年8月 2009年11月 2010年2月 • マングローブ生態系修復 (修復前2006年) • マングローブ生態系修復 (プロジェクト終了時2010年) 生物多様性の意味 生物多様性からの恵み COP10支援委員会HPより (直接的な人間社会への利益) 生物多様性の意味 • 生態ピラミッドの上位にいるものは他のすべての種に依存している • 生態ピラミッドの下位にいるものも上位者に影響されている (恐竜の絶滅で哺乳類が大型化し、やがてヒトが全盛期を迎えたように、ある種の絶 滅が他種の隆盛や衰退に影響を与える。ただ、どの種の絶滅が他のどの種の変 化につながるかは未だわからないことが多い) • 画一的社会は環境のわずかな変化に影響される • 「生き物」全体としての安全保障(リスク管理) 生物多様性条約とは 「生物の多様性に関する条約(生物多様性条約:Convention on Biological Diversity)」は、ラムサール条約やワシントン条約などの特定の地域、種の保全の取 組みだけでは生物多様性の保全を図ることができないとの認識から、新たな包括的 な枠組みとして提案されました。 国連環境開発会議(地球サミット)に先立つ1992年5月22日に採択され、リオデジャ ネイロ(ブラジル)で開催された同サミットおいて署名開放されました。翌1993年12月 29日に発効し、2009年12月末現在、193の国と地域がこの条約を締結しています。 日本も1993年5月に締結しています。 条約の3つの目的 1.地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全すること 2.生物資源を持続可能であるように利用すること 3.遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分すること COP10支援委員会HPより 名古屋COP10について • 生物多様性条約第10回締約国会議締約国会議 • 10th Conference Of Parties • 期間:2010年10月11日(月・祝)~29日(金) • 会場:名古屋国際会議場(名古屋市熱田区) • 議長国:日本 COP10支援委員会HPより ¡Muchas Gracias! 感謝! ¡Visitenos a Celestún, un paraiso de la Bíodiversidad! 名古屋・COP10でお会いしましょう!
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