多母集団の同時分析 - 大阪大学 大学院基礎

多母集団の同時分析
豊本満喜子
大阪大学人間科学部
1
目的

二つの母集団の因子構造を「統計的」に
比較したい


探索的因子分析結果の比較は記述的
検証的因子分析

個別分析


母集団ごとに分析
同時分析

因子負荷の相等性の検定
2
解析の流れ

個別分析(検証的因子分析)




母集団によらず同じところにパスをひく
母集団によってパスが異なる
配置不変となるようにモデルを小修正
同時分析

因子負荷量は母集団間で等しいと制約した
モデルからスタート
3
個別分析(検証的因子分析)
共分散行列を用いて
4
初期モデル
不安
うつ
混乱
V V V V V V V V V
1 8 9 10 11 19 20 21 22
V V V V V V
3 5 7 12 14 15
V V V V V V
2 4 6 13 16 17
5
スタートのモデル
震度7のデータ
の個別分析(1)
適合度
χ^2値
792.1
df
186
P値
<0.001
GFI
0.919
CFI
0.881
RMSEA
0.059
LM検定結果
パス
χ^2値
V8,F3 55.776
V19,F3 47.520
V16,F1 46.504
V22,F2 33.012
V1,F2 32.650
不安
うつ
混乱
V V V V V V V V V
1 8 9 10 11 19 20 21 22
V V V V V V
3 5 7 12 14 15
V V V V V V
2 4 6 13 16 17
6
V8,F3のパスを追加
震度7のデータ
の個別分析(2)
適合度
χ^2値
736.1
df
185
P値
<0.001
GFI
0.926
CFI
0.892
RMSEA
0.056
LM検定結果
パス
χ^2値
V19,F3 48.580
V16,F1 43.747
V1,F2 42.122
V1,F3 36.158
V4,F2 31.973
不安
うつ
混乱
V V V V V V V V V
1 8 9 10 11 19 20 21 22
V V V V V V
3 5 7 12 14 15
V V V V V V
2 4 6 13 16 17
7
V19,F3のパスを追加
V16,F1のパスを追加
V4,F2のパスを追加
V1,F2のパスを追加
適合度
LM検定結果
震度7のデータ
の個別分析(3)
不安
不安
不安
不安
適合度
LM検定結果
適合度
LM検定結果
適合度
LM検定結果
χ^2値 641.6
684.9 パス
パス χ^2値
χ^2値
χ^2値
χ^2値
596.7
パス
χ^2値
χ^2値 df 561.2184 パス V16,F1
χ^2値
42.753
df
183
V4,F2
41.536
df
182
V1,F2
35.444
df P値 181<0.001V22,F2V4,F2
26.007
37.710
P値
<0.001
V1,F2
36.021
P値
<0.001
V22,F2
32.555
P値 GFI<0.0010.932V22,F3V1,F2
19.619
36.370
GFI
0.937
V22,F2
33.245
GFI
0.941
V1,F3
27.510
GFI CFI 0.9440.901V9,F2
18.297
V22,F2
33.531
CFI
0.910
V1,F3
27.698
CFI
0.918
V22,F3
23.930
CFIRMSEA0.9250.054V7,F1V1,F3
14.933
27.477
RMSEA
0.052
V22,F3
21.420
RMSEA
0.049
V7,F1
17.487
RMSEA
0.047
V21,F3 14.630
うつ
うつ
うつ
うつ
混乱
混乱
混乱
混乱
VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV VVVVVVVVVVVVVVVVVV VVVVVVVVVVVVVVVVVV
V
V
V V1 V8 V9 V
V
V
V
V
V V3 V5 V7 V
V
V V2 V4 V6 V
V
10
11
19
20
21
22
12
14
15
13
16
17
1
8
9
10
11
19
20
21
22
3
5
7
12
14
15
2
4
6
13
16
17
1
8
9
10
11
19
20
21
22
3
5
7
12
14
15
2
4
6
13
16
17
1 8 9 10 11 19 20 21 22 3 5 7 12 14 15 2 4 6 13 16 17
8
V22,F2のパスを追加
震度7のデータ
の個別分析(4)

LM検定の  値の顕著に大き
いものがなくなったところでモデ
ル修正を終了する
2
適合度
χ^2値
533.8
df
180
P値
<0.001
GFI
0.947
CFI
0.930
RMSEA
0.046
LM検定結果
パス
χ^2値
V9,F2 15.397
V7,F1 14.543
V11,F3 13.925
V20,F2 13.742
V5,F1 13.162
不安
うつ
混乱
V V V V V V V V V
1 8 9 10 11 19 20 21 22
V V V V V V
3 5 7 12 14 15
V V V V V V
2 4 6 13 16 17
9
震度4個別分析
適合度
χ^2値
533.0
df
180
P値
<0.001
GFI
0.946
CFI
0.929
RMSEA
0.047
震度4のデータ
の個別分析
不安
うつ
V V V V V V V V V
1 8 9 10 11 19 20 21 22
V V V V V V
3 5 7 12 14 15
LM検定結果
パス
χ^2値
V12,F3 17.782
V2,F2 16.042
V11,F3 14.881
V16,F1 14.103
V9,F2 12.439
混乱
V V V V V V
2 4 6 13 16 17
10
不安
個
別
分
析
の
ま
と
め
うつ
混乱
震
度
4
VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
不安
うつ
混乱
震
度
7
VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
11
個別分析の
まとめ(その2)

母集団間でパスの
位置は一致しない
(配置不変は成立し
ない)
震度4
不安 うつ 混乱
.87
.50
.46
.84
1.26
-.39
.89
-.72
.52
.97
.79
1.80 -.97
.71
.56
.83
.49
.67
.25
.74
-1.31 1.82
-1.08 1.84
.91
.93
.73
V1
V8
V9
V10
V11
V19
V20
V21
V22
V3
V5
V7
V12
V14
V15
V2
V4
V6
V13
V16
V17
震度7
不安 うつ 混乱
.68 .37
.53
.58
.97
1.22
.83
-.78
.54
1.17
1.04
1.39 -.44
.72
.54
.79
.62
.51
.42
.79
-.84 1.20
.81
.90
.45
.41
.70
12
同時分析
震度4と震度7の
因子構造を比較
13
因子負荷は母集団間で等し
い?

同一モデルで比較(配置不変)
母集団間でパスの位置が一致するように
モデルを小修正

一方にのみあるパスを他方にもひく




次のパスを加える
震度4: (V1-うつ)、(V16-不安)
震度7:(V10-混乱) 、(V6-うつ)
14
個別分析から同時分析へ

同時分析で用いるモデル
不安
うつ
混乱
VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
15
し対
い応
?す
る
パ
ス
の
大
き
さ
は
等
不安
うつ
混乱
震
度
4
VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
不安
うつ
混乱
震
度
7
VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
16
同時分析



母集団間で、対応する
パスの大きさは等しい
という制約を置く
対応するパスの大きさは
それぞれ全て等しい
(測定不変が成立する)
モデルからスタート
それぞれの対応するパス
について、等値であるか
を検定する
V1
V8
V9
V10
V11
V19
V20
V21
V22
V3
V5
V7
V12
V14
V15
V2
V4
V6
V13
V16
V17
震度4
不安 うつ 混乱
.79 .16
.53
.50
.91
1.24
-.20
.85
-.75
.53
1.07
.91
1.52 -.64
.72
.55
.82
.55
.59
.33
.76
-1.10 1.53
-.64 1.41
.89
.35
.58
.71
震度7
不安 うつ 混乱
.79 .16
.53
.50
.91
1.24
-.20
.85
-.75
.53
1.07
.91
1.52 -.64
.72
.55
.82
.55
.59
.33
.76
-1.10 1.53
-.64 1.41
.89
.35
.58
.71
17
検定すべき制約
(1,V14,F2)-(2,V14,F2)=0;
(1,V10,F3)-(2,V10,F3)=0;
(1,V16,F3)-(2,V16,F3)=0;
(1,V15,F2)-(2,V15,F2)=0;
(1,V20,F1)-(2,V20,F1)=0;
(1,V10,F1)-(2,V10,F1)=0;
全ての対応するパス
χ^2値
1187.0
df
385
P値
<0.001
GFI
0.941
CFI
0.920
RMSEA
0.034
震
度
4
χ^2値
20.58
13.86
10.98
10.62
10.37
8.77
P値
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
制約の検定(1)

不安
不安
(1,V14,F2)‐(2,V14,F2)=0
が棄却される
うつ
うつ
混乱
混乱
震 VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
度 1V
V 11
V 19
V 20
V 21
V 22
V V3 V
V 14
V 15
V V2 V
V 16
V 17
VV
8V
9 10
5V
7 12
4V
6 13
7
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
18
(
V
14
,
F
2
異)
の
なパ
るス
の
大
き
さ
は
不安
うつ
混乱
震
度
4
VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
不安
震
度
7
うつ
混乱
VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
19
検定すべき制約
(1,V10,F3)-(2,V10,F3)=0;
(1,V16,F3)-(2,V16,F3)=0;
(1,V20,F1)-(2,V20,F1)=0;
(1,V15,F2)-(2,V15,F2)=0;
(1,V10,F1)-(2,V10,F1)=0;
(1,V11,F1)-(2,V11,F1)=0;
(V14,F2)の制約を外す
χ^2値
1166.0
df
384
P値
<0.001
GFI
0.942
CFI
0.922
RMSEA
0.033
震
度
4
χ^2値
13.47
12.23
9.43
9.26
8.06
6.55
P値
0.00
0.00
0.00
0.00
0.01
0.01
制約の検定(2)

不安
不安
(1,V14,F2)‐(2,V14,F2)=0
(1,V10,F3)-(2,V10,F3)=0
の制約を外して
が棄却される
うつ
うつ
混乱
混乱
震 VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
度 1V
V 11
V 19
V 20
V 21
V 22
V V3 V
V 14
V 15
V V2 V
V 16
V 17
VV
8V
9 10
5V
7 12
4V
6 13
7
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
20
パ
ス
の
(
制大
約き
がさ
棄が
却有
さ意
れに
る異
)な
る
不安
うつ
混乱
震
度
4
VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
不安
うつ
混乱
震
度 VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
7 1 8 9 101119202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
21
検定すべき制約
(1,V1,F1)-(2,V1,F1)=0;
(1,V12,F2)-(2,V12,F2)=0;
(1,V4,F2)-(2,V4,F2)=0;
(1,V4,F3)-(2,V4,F3)=0;
(1,V19,F1)-(2,V19,F1)=0;
(1,V11,F1)-(2,V11,F1)=0;
(V1,F2)の制約を外す
χ^2値
1111.6
df
379
P値
<0.001
GFI
0.944
CFI
0.927
RMSEA
0.032
震
度
4
χ^2値
8.13
7.73
6.67
6.64
5.89
3.51
P値
0.00
0.01
0.01
0.01
0.02
0.06
制約の検定(3)

不安
不安
 2 値が顕著に大きいもの
(1,V1,F1)-(2,V1,F1)=0
の
制約を外して
がなくなったところで終了
うつ
うつ
混乱
混乱
震 VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
度 1V
V 11
V 19
V 20
V 21
V 22
V V3 V
V 14
V 15
V V2 V
V 16
V 17
VV
8V
9 10
5V
7 12
4V
6 13
7
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
22
不安 (1,V1,F2)=0の検定
Wald
パ
ス
(の
有
意
検性
定の
)検
定
推定値
.07
震
度
4
t-値
1.12
うつ
混乱
VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
不安
うつ
混乱
(1,V10,F3)=0の検定
推定値 t-値
-.05
-0.89
震
度 VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
7 1 8 9 101119202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
23
最
終
モ
デ
ル
不安
うつ
混乱
震
度
4
VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
最終モデル
χ^2値
1113.9
df
381
P値
<0.001
GFI
0.944
CFI
0.927
RMSEA
0.032
不安
うつ
混乱
震
度 VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
7 1 8 9 101119202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
24
最終モデル(標準
解)
しんぱいで いらいらして おちつかない
ねむれなかったり とちゅうで めがさめる
じしんのゆめや こわいゆめを みる
ふいに じしんを おもいだす
テレビや しんぶんを みると こわい
こわくない じぶんは へいきだ(逆転項目)
ちいさな おとに びっくりする
いつも ゆれているような きがする
また じしんがくるのが しんぱいだ
わけもなく かなしくて なにもしたくない
あじや いたさを かんじなくなった
ひとりぼっちに なったような きがする
じぶんの せいだと おもう
だれとも はなしたくない
じしんあそびを する
Q01
Q08
Q09
Q10
Q11
Q19
Q20
Q21
Q22
Q03
Q05
Q07
Q12
Q14
Q15
むしゃくしゃして らんぼうになり すぐかっとするように なった Q02
テレビゲームや どくしょなどに ねっちゅうする
Q04
べんきょうが つまらなくなった
Q06
すぐわすれたり おもいだせない
Q13
あたまいたや おなかいたなど からだのぐあいが わるい Q16
かんたんなことが できなくなった
Q17
m
χ^2値
CON6wald 1113.9
不安
.58
.32
.62
.74
.62
-.48
.64
.54
.92
震度4
うつ 混乱
.30
-.20
.34
-.39
.63
.58
.65
.53
.72
.22
-.65
-.38
.24
.54
.91
.88
.58
.44
.56
df
P値
GFI
381 <0.001 0.944
震度7
不安 うつ 混乱
.58
.15
.32
.30
.62
.74
.62
-.48
.34
.64
.69
.92 -.39
.63
.58
.65
.53
.54
.37
.54
-.65
.91
-.38
.88
.58
.24
.30
.56
CFI RMSEA
0.927 0.032
25
最終分析結果

母集団間でモデルは異なる

引くパスの位置が異なる(配置不変でない)
(Q1-うつ) : 震度7のみ
 (Q10-混乱): 震度4のみ


因子負荷の値が統計的に異なる箇所

上の2つのパスを含む計6箇所について、
母集団間で因子負荷が等しいという制約が
棄却された
26
山田先生へたっち。
27
不安
うつ
混乱
VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
不安
うつ
混乱
VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
1 8 9 10 11 19202122 3 5 7 121415 2 4 6 131617
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不安
うつ
混乱
VVVVVVVVV VVVVVV VVVVVV
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不安
うつ
混乱
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