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中国の発展と課題、アジア協力及
び中日米関係
馮昭奎
愛知大学客員教授 中国社会科学院研究員
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一、中国の発展と課題
• 1、改革開放以来中国「奇跡」:経済成長、
産業社会変化
• 2、中国発展の世界に対する影響
• 3、「奇跡」背後の問題:環境資源、格差
社会、人口と健康問題、腐敗問題
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改革開放以来中国発展の「奇跡」
• 中国の高成長:史上最高;予想外;「真
の大躍進」?;今後の予測。
• 高い成長率背後の産業社会の変化:産
業構造の変化;インフラの整備;都市化;
消費構造の変化;教育と労働力素質;情
報化;社会の多元化と多層化;開放社会。
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産業構造変化
• 工業化加速(重工業比重:00年62.5%、
04年67.6%);鉄鋼の生産量:1980年
3600万ドン、1996年初めて億ドンを突
破、04年2.73億ドン、世界の25%以上、
日米の和を超え、2005年3億ドンを超え、
二年間一億ドン増(前回七年間)。「大煉
鋼鉄(1040)」;世界一の生産量の製品
は大勢(少数例外)。
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インフラの整備
• 世界中建築量半分が中国で。「世界的
建築現場」。週一つの新しい発電所が誕
生。ハイウェーが現3.4万キロ超、毎年
建設5000キロ、12年8万キロに。アメリ
カ9万キロに近い。インフラ整備、投資環
境改善、外資導入、経済成長が相互促
進の良性循環。中西部にもインフラ整備
が進んでいる。
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都市化の進展
• 78年以来都市に遷移した農村人口3億、
今後30-40年間毎年1200万人口が農
村から都市へ;その中、00-04年都市人
口4.59億から5.43億、8400万遷移。 2
0年都市人口8億に。非農労働力78年
1.18億、02年3.68億、2020年5.33億。
94年農民工0.44億、03年1.46億。人員
流動の活発化が社会の活力に。「中国
の都市化と新技術革命は21世紀人類に
影響を与える二つの最重要の大事」。
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消費構造の変化
• 一人当たり収入の向上は、消費構造の
変化をもたらし、経済構造の変化を促し、
経済成長を促進した。住宅、乗用車、通
信、旅行、都市インフラ、サービスとその
他の文化消費は迅速に成長することに
よって、産業構造の変化を促し、新たな
経済成長期に入った。2020年まで毎年
5億平米の住宅を建設。
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教育レベルと労働力素質の向上
• 高等教育規模の拡大。入学率が19%に
達した(03年)。大学教育の質が9カ国で
第6位(NIRA)。高校までの教育を受け
た人口も迅速に増加。「人力資本大国」
に前進。インフラを整備するよりも、国家
の人民自身を改善することはもっと重要。
ただ、高等教育を受けた人口が総人口
の3.5%、先進国の約10分の1。
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社会の多元化と多層化
• 多元化:78年以前都市部就業人口90%
が正規部門(国有と集団部門)に、現在、
大多数の就業人口は非正規部門に。03
年都市部就業人口が2.6億、正規部門
(以上と外資企業)に1億、非正規1.6億。
多層化:「二つの階級と一つの階層」か
ら「十大階層」に、中間階層の拡大と農
業労働者階層の縮小。
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情報化の進展
• ネットユーザー1.2億;携帯ユーザー4.5
億(05年末、日本8800万) 。情報製品
(携帯、固定電話、テレビ、ケーブルテレ
ビ)最大消費国、最大生産国、最大輸出
国。都市と農村の情報化格差大。ネット
結婚をエンジョイしている人々は100万
人、バーチャル都市で結婚登録、住宅
購入、家庭生活、子供生み育てをする。
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世界で最もオープンな「新興市場」
• WTO加盟(06年まで)により、半開放社
会から全面開放(市場社会経済)社会へ。
10の「新興市場国家」なか、実際の開
放度が最高。最重要な成功経験。 04年
6月から外資の貿易合弁企業設立可。
05年12月独資でも可、資本金6.2万ドル
(貿易)或いは30万元(小売)、商業部に
申込書殺到。深圳で審査期間3,4週だけ。
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社会開放度の向上
• 海外旅行は98年843万、04年2885万、
2.4倍増(78年)日本を超え、年平均2
3%増(98-04)、ただ全人口2%、観
光客一人購買消費987ドル(日本人より
多い)、世界一;04年中国に外国旅行者
1.1億、世界14.5%。77国際結婚。04年
中日間だけ1.3万組超。 03年上海の日
本人居住者2.35万、ニュヨクなど第4位。
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世界経済成長に対する貢献
• 世銀、主要国が世界経済成長に対する
貢献度:80年代米国21%、中国12%、
日本10%;90-02年中国27.1%、米国
21%、日本2%。中国成長率が世界平
均の3倍以上。イギリスの「エコノミスト」
によれば、00年以来中国が世界経済成
長に対する貢献度はインド、ブラジル、
ロシア3大新興経済体の和の二倍。
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世界貿易成長に対する貢献
• 外貿:01-02年1千億ドル増、02-03年2千億増、
03-04年3千億増、01-04年倍増、世界貨物貿
易20%以上を、第三貿易大国。中国の輸入は世界
貿易最重要貢献要素。世界に未曾有巨大市場を提
供(主に対アジア)、 01-05年中国輸入総額2.17
兆ドル、コンテナー使用量が世界4分の1。06-10
年中国輸入累計4兆ドル、年平均8000億ドルに達
する(6割以上アジアから) 。 04年導入した外国直
接投資が600億ドル超、世界第二、05年中国対外
投資69億ドル、世界8970億ドルの0.8%、累計5
17億ドル、外国直接投資6462億ドルの8%。
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「made in China」製品の洪水
• 靴:130億足:70億(その中40億輸出);おも
ちゃ:4:3個が深センで生産;クリスマツリー:
10:8本;世界一タバコ生産国、年産1.9兆本;
世界一のタングステン生産国、アメリカは戦
略物資としてタングステンを備蓄しているが、
大部分が中国から供給され。毎年23億コン
ドームを生産、その中2億個に欠陥がある。ア
スピリン、ビタミンCの最大生産国。欧州で売
り出したスキーウェア6着の中5着、子供服3
枚の中2枚が中国産。
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中国の輸出が多ければ多いほど、
日本からの輸入も多くなる
• クーラーの半分、テレビの3:1、洗濯機
の4:1、携帯3:1、デジカメ2:1。なかの
デバイスと原材料が日本からの輸入に
頼っている。だから、中国の輸出が多け
れば多いほど、日本からの輸入も多くな
る。石炭の33%、炭鉱事故の死亡人数
が79%を占める。04年8000万ドンの石
炭を輸出。コークスの世界市場の56%
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先進国産業構造高度化に対する刺激
• 中国対外貿易の拡大は世界の商品市
場と商品価格に全面的、深刻的影響を
与えている。中国の輸出構造の変化は
米国、日本など先進国の産業構造の高
度化を刺激、促進する役割を果たした。
• 日本が「フルセット主義」(無空洞化)か
ら「空洞化」へ。
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世界石油など資源をめぐる競争激化
の一因?
• 中国の石油など資源の輸入増加が世界の石
油など資源をめぐる競争激化の一因という見
方がある。石油の輸入依存度が40%になる
が、エネルギー自給率が94%。それでも外
国の対中警戒心を理解し丁寧に対処すべき。
中日間もこのような配慮が互いにできればい
い。フィナンシャル・タイムズの前北京駐在記
者がChina Shakes the World: the Rise of a
Hungry Nation という新著を出し話題を呼ん
でいます。
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「奇跡」背後の問題
• 自然条件があまりよくない、最大人口を擁す
る、改革途上と発展途上国。世界人口の20.
7%;欧州の2倍、アメリカの10倍、日本の1
0倍、カナダの40倍、先進国人口総和を超え。
中国労働力人口が世界の25.40%;先進国の
労働力人口の世界比率より10ポイント多い。
どんな大きな成果があっても、13億で割ると、
小さくなる;どんなに小さい問題があっても、
13億で掛けると大きな問題となる。
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「1.2億人口経済」と「13億人口経
済」はやはり違う
• 中国全体一人当たりが1700ドル(05
年)、世界百位以下。東部一人当たり
GDPが19262元(2408ドル)、西部3
777元(472ドル)、5.1対1の格差(0
4年)。日本と中国:それぞれ先進国と発
展途上国であるが、ともに改革途上国で
ある。多くの問題が社会主義制度のもと、
計画経済から市場経済への移行期、体
制転換のなかで発生した。
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環境汚染:最大の問題
• 水、大気、土壌などの汚染問題がますます深
刻化している。環境汚染と生態破壊は巨大な
経済損失をもたらす、人民の健康を脅かす、
民衆の身を切られる痛さとなる。10年間で森
林面積が23%減少、伐採可能の蓄積量が5
0%減少、毎年砂漠化されていた土地が300
0平方キロ。国土の実質的縮小。「寸土必争」
寸土といえども手離す訳にはいかない。主権
と使用権?
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エネルギーを含める資源ボトルネック
• 一人当たりの擁する量と世界平均レベルの比:鉱産
資源量が1/2 ;エネルギーが1/7;石油資源が1/10;
森林面積が1/3;淡水資源が3分の1;石炭埋蔵量
が全世界の1/3を占め、生産量も世界一が、一人当
たりとなりと、ただ世界平均レベルの3/5。経済発展
が遅れた昔、「地大物博」という総量の大きさは強調
されがちだったが、人口増と経済成長につれ、一人
当たり数量の少なさが強調されるようになった。中
国発展最大の制約要素は自然資源の厳重な不足
である。
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環境問題が国境なし
• 都市汚水処理率が45%、半分以上汚水が
処理されないまま排出。600余都市のなか、
200余都市は汚水処理率がゼロに近い。90
0余ごみ処分場のなか、標準に従いごみを埋
めるのは15%。地下水との隔離をもきちっと
していない。ごみから発生するメタンガス(温
室効果が二酸化炭素の21倍)もあんまり利
用されていない。砂塵嵐が現れたとき、日本
人がわかったことは、狭隘な「一国環境主義」
は大自然の懲罰から逃げることができない。
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社会の格差の拡大
• 80年代初期中国社会が相対的に平等だっ
た。いま、収入ジニ係数が0.46に上昇、財
産ジニ係数が0.5を超えた(02年)。一番裕
福の1.3億人の財産は一番貧しい1.3億人
の財産の59倍。都市部と農村部のジニ係数
はそれぞれ0.34と0.37で、社会全体のジ
ニ係数( 0.46 )より1ポイント低い。それは、
都市と農村の格差が全国ジニ係数拡大の主
要原因。都市部と農村部の貧富の格差が改
革開放初期の2.57:1から3.22:1に拡大。
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経済成長と社会発展のアンバランス
• 03年温総理が「びっこ論」或いは「二輪が整合して
いない」を指摘:経済成長が早いが、社会発展が相
対的に緩慢。05年中国経済規模は世界第四。同年
中国の人類発展指数は世界第85位(日本が第11
位)、90年より20位をも上昇,GDPの順序よりずっ
と後ろとなる。国連開発計画署「人類発展報告書」:
中国の社会発展がすでに経済発展より遅れている。
中国が直面している挑戦はいかに収入の成長を非
収入面の人類発展の持続可能な成長に転化するこ
とである。まだ中国地域間のアンバランスを指摘し、
上海の人類発展指数がポルトガルに相当し、貴州
省の人類発展指数がナミビアとほぼ同じだと。
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東アジア共同体の実現条件
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精神方面:歴史和解、民族主義
インフラなど物質方面:物流、フェーリーなど。
制度方面:投資協定、知識財産権、FTA
環境問題:一国環境主義の克服
安全方面:朝鮮核問題、中国脅威論
社会方面:調和社会構築
人的交流:移民問題
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アジア共同体と中日関係
• 日米が旧ソ連に代わり中国を同盟関係潜在的対象として選
択する傾向は見えた。しかし、日中間の共同利益の基礎は
本物で確かなものであり、両国政治関係の冷却化と緊張化
の原因となるものには、かなり大きな心理的かつ感情的な要
素が存在している。中国としては「平和国家」イメージを大切
にし、「中国脅威論」影響を取り除き、日本及び周辺国の猜
疑と不安を解消することを外交課題とすべき、中国の「和諧
世界」戦略と日本国内の平和主義と相呼応するための中日
戦略対話のメカニズムーを強化することが必要。中日共同で
非伝統的な安全保障への脅威に対応するということこそ、必
ずや両国新たな共同の戦略的要求、および両国関係の新た
な戦略的紐帯となるだろう。
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米国の帝国体系の中のアジア
• 「アジア依然として米国の帝国体系の中、大変重要
な浸透性地域である。中日間日増しに競争状態は
米国の帝国体系のため政治的基礎を提供している。
現在、中国と日本は深く身を米国の帝国体系のな
かに置かれている。しかも、異なる方式で米国と米
国の帝国体系とつながっている。日本が終始国家
経済戦略と国際安全戦略を堅持するが,中国は国
際経済戦略と国家安全戦略に従う(中国の安全戦
略がずっとわりと伝統的な国家路線に従う)。中国と
日本の均勢が変わっても浸透性のアジアは依然と
して米国の帝国体系に依存するだろう。」
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アジア同一性、歴史記憶、反米主義
• アジア同一性は国家と民族の同一性の補充
として利用されている
• シンガポールのアジア観、国家統一の道具
• マレーシア、オーストラリアのアジア観
• アメリカと日本のアジア観:アジアよりもアジア
太平洋あるいは環太平洋
• 歴史記憶と反米主義
• 華人経済
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