川ではない,滝だ ある外国人は言う 「これは川ではない滝 だ」 それほど日本の川は短く,急な,「暴れ川」 なのだ。 そんな暴れ川の氾濫原に土地を開いてき たのが日本人だった。 川を治める 川を治める事を「治水」と言う。 氾濫原に土地を開いてきた日本人にとって 治水することは,なにより大切な仕事だっ た。 治水しない事には、水も使えない 日本人の治水の技術は,世界でも非常に 優れたものだった。 土に返す 昔の日本人の治水は,「降った雨を土に返 そう。」とした。 そんな日本人のなかで、優れた技術を 持っていたのが武田信玄や、加藤清正だ。 このニ人の将軍は,暴れ川をみごとに治め た治水の天才なのだ。 治水の天才 武田信玄 加藤清正 信玄は,釜無川(富士川の 清正が考えた提は、越流提 というものだった。 上流)にかすみ提という 提を築いた。 越流提とは、提の一部を特 かすみ提とは,大雨のとき に低くしておき、川の水か には,洪水が逆に流れて, さが増してくると,そこか 川の外へあふれ出るよう, ら水があふれ出る仕組み だ。 途切れ途切れに提を築い ていくものだ。 水の力 「水をあふれさせる。」といっても、洪水の 勢いはすさまじい。 洪水で,本当に恐ろしいのはたくさんの水 がやってくると言うことではなく,猛烈な勢 いで突進してくる,水の勢い,水の力なの だ。 そしてもう一つ,恐ろしいのは,水とともに 流れてくる土砂だ。 竹やぶや森林 提のそばには、決まって竹やぶや森林が 育てられた。 竹やぶや森林は,あふれ出る洪水の力を 弱め,土砂もこしてくれた。 竹やぶや森林のおかげで,洪水になって も,被害はできるだけ少なく食い止められ たのだ。 遊水池 遊水池とは、水をしばらく遊ばせておくため の土地だ。 水につかることを覚悟して,人間は土地を 使うのだ。 人々は,山をなによりも大切にしたのだっ た。山は水の勢いを弱め,土砂をせき止め てくれたのだ。 まとめ 昔の人たちは,水を大地に返すことに心を 砕いてきたのだ。 土に返してこそ,滝のような暴れ川も緩や かになり,水も使うことができたのだ。
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