2001年度都市環境総合プロジェクト 環境制御と法規制 名古屋大学環境学研究科都市環境学専攻 辻本 誠 公的規制の根拠 社会的規制 情報の非対称(住宅の売買) 外部不経済(公害) 経済的規制 独占(電気、通信) 公的規制の根拠 社会的規制 外部不経済(公害) →あまたの行政法 (環境学のフィールド) 理系も文系も死んでるやないか •理系 – 境界条件と最小二乗法 •文系 – 司法試験に縛られた法の運営 (憲法、刑法、民法) 理系も文系も死んでるやないか •理系 – 境界条件と最小二乗法 – 許容値の設定とその固定化・絶対化 •文系 – 司法試験に縛られた法の運営 (憲法、刑法、民法) 1.大気汚染と排ガス規制 2.日照権と日影規制 3.震災被害における不公平感 1.大気汚染と排ガス規制 1960年代の大気汚染 ↓ 汚染物質の特定と許容濃度の設定 ↓ 濃度は規制実施前後で変化していない? マスキー法の三不思議 ①規制値を1/10へ ② 排ガス濃度から排出量へ ③汚染濃度は変化していない? マスキー法の三不思議 ①規制値を1/10へ、かつ日本が先行 CO 39→3.4g/mile 炭化水素 3.4→0.41g/mile 窒素酸化物 3.0→0.4 g/mile 乗用車排出ガス規制の延期 規 制 マスキー法 規 制 実 施 年 実 施 対 象 規 制 値 予定年 アメリカ 日本 物 質 g/mile CO 3.40 1975 年 1981 年 1975 年 HC 0.41 1975 年 1980 年 1975 年 NOx 0.40 1976 年 1994 年 1978 年 これによって、日本は世界で最も厳しい規制を行なう こととなった 日本がマスキー法の排出ガス規制 を実施できた要因 • 資本の自由化を控え、メーカーの生き残り をかけた競争の激化 • アメリカ市場進出のために排出ガス規制対 策は必要不可欠 中堅メーカーを中心にした積極的な技術開発 の取り組みによって規制の達成を実現 ↓ 環境は? マスキー法の三不思議 ② 排ガスの濃度に上限 乗軽量車で一酸化炭素1.5-2.3%、 炭化水素275-410ppm ↓ 上限をg/mileに マスキー法の三不思議 ①規制値を1/10へ ② 排ガス濃度から排出量へ ③汚染濃度は変化していない? 一酸化炭素 自排局 一般局 1998 1994 1990 1986 1982 1978 1974 1970 ppm 10 8 6 4 2 0 年 アメリカ 2nd.MAX g/km 20 15 10 5 乗用車(G) 中量車(G) 乗用車(D) 軽量車(D) 軽トラック(G) 中量車(D) 2002 1998 1994 1990 1986 1982 1978 1974 1970 0 年 軽量車(G) 二酸化窒素 ppm 0.04 0.03 0.02 0.01 自排局 一般局 1998 1994 1990 1986 1982 1978 1974 1970 0 年 アメリカ平均 g/km 2 1 乗用車(G) 軽トラック(G) 軽量車(D) 小型車(D) 軽量車(G) 中量車(D) 2002 1998 1994 1990 1986 1982 1978 1974 1970 0 中型車(D) 中量車(G) 年 窒素酸化物排出量内訳(1994年度) バス 5% 特殊車 7% 乗用車 12% ガソリン車25% 軽貨物車 10% 小型貨物車 窒素酸化物 3% 普通貨物車 49% 排出量 55万トン 乗用車 5% 小型貨物車 9% ディーゼル車75% 普通貨物車 0% バス 0% 特殊車 0% 1994年燃料別保有台数比率 ガソリン車 ディーゼル車 乗用車 89% 11% トラック・バス 68% 32% 計 81% 19% 自動車走行距離の大幅な増加 (1970年に比べおよそ2.5倍) 兆㎞ 60 50 40 30 20 10 自動車走行キロ数の推移 1997 1995 1993 1991 1989 1987 1985 1983 1981 1979 1977 1975 1973 1971 0 年 度 二酸化窒素について • 2000年に乗用車の規制が再強化 • 問題のディーゼルトラックも近年規制が強 化され、更なる強化が検討 • 低公害車の利用を促進するため、2001年 度 からグリーン税制導入 環境規制の指標は? • 物理量が健康・安全の許容値以下 (30年も実現できないものが指標か) • 今の事態がこれ以上悪くならない 1.大気汚染と排ガス規制 2.日照権と日影規制 3.震災被害における不公平感 受忍限度による規制 仮に心理的に定まる判断基準がベース になって規範が決まっているとすれば •心理に変化があれば判断基準を変え てよいか •変える方法論は? 1.大気汚染と排ガス規制 2.日照権と日影規制 3.震災被害における不公平感 大震災時の火災と市民行動 研究者と市民の意識のズレ ↓ 自分の家は、地震では構造的な被害はまっ たく無いかった。けれど近所の家から火が出 て、・・・ ↓ 民法709条:損害賠償責任 vs 「失火の責任に関する法律」(明治32年) 都市と防火 「建築基準法の違反により発生するコストは 違反者が負担する」のが合理 ↓ 失火に関する明治32年の法律の廃止? ↓ 「近代社会では隣同士お互い迷惑をかけな い」を原則に彼岸への投資には国が補償 具体的な問題を解く 本来、災害による個人的被害は公が負担すべき でない 一方、滅多に起こらないことには備える気になら ない 滅多に起こらないことに備える人は他からの被 害のみ保証される 1.大気汚染と排ガス規制 2.日照権と日影規制 3.震災被害における不公平感
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