PowerPoint プレゼンテーション

平成18年度 岐阜県宗務所布教研修会
第1部 地球温暖化とは
(持続不能問題としての温暖化)
駒宮博男
名城大学大学院経営学研究科客員教授
(特活)地球の未来 理事長
(特活)ぎふNPOセンター理事長代行
比較思想学会会員
そもそも、環境問題の原点は?
・国際的な意味での環境問題の原点
1972年 : 『成長の限界』(ローマクラブ、メドウズ)
人間社会の限界を指摘
しかし、みんな本気にしなかった!!
1992年 : 再度、シミュレーション
20年前にシミュレートした線上を人類は歩んできた
リオ、京都、ヨハネスブルグの環境サミット
リオ : 国際社会が人類の将来の危機を認識
京都 : 数値目標を設定(気候変動枠組条約)
ヨハネ: 企業社会の責任を確認
・日本の環境問題の原点
古くは『足尾鉱毒事件』
基本的には、公害問題が原点
1970年代までは、日本は環境先進国だった
欧米から、多くの視察団が訪れた
今は誰もこない・・・・・
(現在の環境先進国は、北欧、ドイツ等)
21世紀の問題群の発端とは・・・
1972年 : 『成長の限界』(ローマクラブ、メドウズ)
環境問題は、『持続不能問題』の一部に過ぎない
日本のエネルギー、食糧は大丈夫か?
NYの最高値 : 75$/B
2008年85$説
日本の食料自給率は、
OECD諸国中最低!!
アメリカは、2015年世界
的食糧危機発生を予測
し、シーレーン防衛強化
エネルギー問題と温暖化は密接に関係
現代社会が抱える危機(問題)の種類
現代社会が抱える危機(問題)の種類
局
地
的
・地震
・身近な環境問題
・高齢者福祉
いわゆるNPOの活動領域
・教育問題
・身近な経済問題
市町村合併に伴う地域の公共サービスの質の低下、減少の可能性
財政破綻
・環境破壊
・地球温暖化
・オゾンホール
・その他
・南北格差の増大
広
範
囲
食糧危機、エネルギー危機
・戦争
・危機はこの矢印に沿って顕在化する
・ある閾値を越えると行動の誘引化
・グローバル経済
緩慢
突発
持続不能社会の構図(脱温暖化社会を考える)
社 会
エ
ネ
資ル
源ギ
ー
人の活動
(生産・消費・流通)
未利用エネルギー
二酸化炭素
悪影
響
<再生可能エネルギー>
気候変動
自然の物質循環
(森林・生態系)
化石燃料
廃棄物
(非再生資源)
(分解不能)
太陽光エネルギー
地 球
地球温暖化の実態 : 北極圏の氷
(わずか25年でかなり減っている)
*直線的に少しづつ上昇するのではない
*IPCC : 気候変動に関する政府間パネル
(『地球温暖化』ではなく、『気候変動』)
日本の夏季平均気温の変化
(地球シュミレータの予測、1900~2000年)
現在より、
3~4℃上昇
異常気象によ る 被害額と 保険支払額の推移
被害額は近年、急増
出典 : パンフレット「STOP THE 温暖化」 環境省
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二酸化炭素排出量の分野別構成比
家庭部門
13.3%
(5.5%)
業務その他部門
15.8%
(7.7%)
その他
5.9%
(3.9%)
エネルギー
転換部門
6.6%
(30.4%)
2002年度
CO2総排出量
12億4860万トン
産業部門
37.5%
(30.1%)
注1) 外円は、電力・熱配後の分野別CO2排出量、内
円は、直接排出量
運輸部門
20.9%
(20.4%)
注2) 電力・熱配分とは、
発電に伴うCO2の排出量をそのままエネギー転換部
門(発電所等)からの排出として扱う方法を「直接排出」
と言い、発電及び熱発生に伴うCO2排出量を電力の最
終消費部門の排出として扱う方法を「電力・熱配分後」
という。
温室効果ガスの排出割合
国際的運動が結実し
た数少ない例
主原因は、石炭
世界全体
日本
2
京都議定書の発効 (2005.2.16)
京都議定書は、締結した先進国の1990年の二酸化炭素排出量合計が
先進国全体排出量の55%を超えた場合に発効すると規定。
2004年10月にロシア議会が批准を承認した結果、京都議定書の発効要
件が満たされ、2005年2月16日に発効。
附属書Ⅰ国の排出量の割合
(1990年二酸化炭素のみ)
附属書Ⅰの締約国
先進工業国
市場経済移行国
京都議定書の発効要件
以下の2条件を満たした後90日後
①55カ国以上の国が締結
②締結した附属書Ⅰの締約国の CO2の1990年の排出量が、附属
書Ⅰの全締約国の合計排出量
の55%以上
オーストラリア
2.1%
フ ランス
2. 7%
ポーラ ン ド
3. 0%
イタリ ア
3. 1%
カ ナダ
3. 3%
英国
4. 3%
そ の他
12. 1%
米国
36.1%
ド イツ
7. 4%
日本
8. 5%
ロシア
17. 4%
備考: 青字は議定書締約国、 赤字は非締約国
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CO2の排出と、自然吸収力 → 自然は最早支えきれない!
・年32億t(1.5ppm)増加(人為排出量は年63億t) → 50%削減が最低条件!!
温暖化は、どのように進行するか? 実は人間の行動次第
様々なシナリオが
あり、どれを選択
するかが鍵
どの位CO2を削減したら良いか?
一番緩くても
50%削減
(2375年)
82%削減
(2090年)
82%削減ライン
2006年1月、小池環境大臣、英国環境担当大臣が会談し、2050年に50%削
減するための日英共同研究を開始することを合意
目標とすべき数値は?
『チーム -6%』???
「-6%」は単なる政治の産物で何の意味もない。
(強いて言えば、数値目標が設定されたことに意味がある)
『チーム -82%』が本筋
この目標は不可能化??
デンマークの計画
2015~2020年には、全ての電力は再生可能資源から発電
風力
: 70%
バイオマス : 30%
バックキャストとフォーキャスト(“ナチュラルステップ的思考)
例 : チーム -6%
例 : チーム -82%
環境問題の真の原因は何か??
・科学技術は人類を救えるか??
新技術は新たな危険を常に内包している
・産業と自然の乖離
『エコシステム』からはみ出した産業構造
・人間と自然の乖離
ヨーロッパ文明 : 自然との対立
・『足るを知る』ことの意味
物質的豊かさを捨てられるか?
・そもそも、人類は進歩してきたのか??
『新人類』は存在するか??
平成18年度 岐阜県宗務所布教研修会
第2部 環境問題解決の鍵 東洋思想
(西ヨーロッパ世界が生み出した持続不能問題)
もしかしたら、釈迦に説法かもしれませんが・・・・・・
(皆様の忌憚のないご意見をお聞かせください)
簡単な歴史のおさらい
・中世までのヨーロッパ社会の構図
イスラム、東方キリスト教会の支配
特に、地中海貿易はイスラム独占
・大航海時代以降のヨーロッパ
スペイン、ポルトガルの台頭
世界の植民地化
産業革命・自然科学の進歩
・しかし、19世紀中頃までは、世界の中心は中国
GDPNo.1大国は、何たって中国
ヨーロッパの圧倒的輸入超過
・西ヨーロッパが世界を牛耳り始めたのは最近のこと
19、20世紀は、西ヨーロッパが歴史的鬱憤を晴らした世紀であり、
長期的に見れば特異的な時代
・石油文明の始まり、そして、終わり
数百年の人類の歴史の中で、極めて特異的な文明
(わずか100年余りで終わろうとしている)
問題点の多い、近代ヨーロッパ文明
・プロテスタンティズムから発生した?『二律背反』思想
自他分離、心身分離(デカルトが発信源?)
命題理論(真か偽か)、要素還元主義、言語至上主義
人間と自然の分離
客観と主観の分離
“on” と “off”(コンピュータの内部構造)
・
・
・
『救われるもの』と『救われないもの』
・1920年前後の科学的発見と、認識論的反省
『不完全性定理』(ゲーデル)
『量子力学』(ボーア、ハイゼンベルグ、シュレディンガー)
・その前後からの不幸な歴史
大量殺戮兵器による初めての世界大戦
第2次大戦
冷戦
科学技術は人類を救えるか?
・新たな技術に内包する危険とは・・・・
自動車、原発、コンピュータ・・・・・・・・・・・
普及して初めて分かる危険性
自然界にない化学物質
既にヨーロッパでは、『疑わしきは罰する』ことを原則とする
・科学技術至上主義は、『恥の上塗り』??
・大量生産大量消費社会をどう是正するか
工場 : 物理的にコントロールされた空間での再現性
科学技術神話の源
市場に出る商品は均一
工場で不良品は必ず出るが、市場には出ない
『手作り』はどこまで通用するか?
・コントロール不能な技術
危険、不具合等々を解決する新技術?
結局はイタチゴッコ?
人智を超えている技術と見るべき(グローバル金融経済も)?
・『等身大の科学』という考え方の必要性
『風三郎』(恵那市三郷町野井)は等身大の科学そのもの?
産業と自然の乖離
・資源は無限という神話の崩壊
気付くのが遅かった、自然資源の有限性
『右肩上がり』の経済は持続しない
・『エコシステム』の外部化と崩壊の危機
人間は生態系(エコシステム)の内部か外部か?
当然、内部に決まっているのだが・・・・・
・エコシステムからはみ出してしまった『産業・経済・社会』
T型フォードが世界を変えた
都市の発達と自然からの乖離
都市の持続不能性、持続不能な都市からの発想
自然を排除した都市の様相(養老猛等)
・所詮人間は、食って出して寝るだけ
・根本が狂っている? 近代ヨーロッパ文明
・最後の頼りは、東洋思想!!
人間と自然の乖離
・都市とは何か
日本 : コミュニティーとコミュニティーの間
(三内丸山遺跡等=神野直彦『地域再生の経済学』等)
ヨーロッパ : 城壁とその外部
城壁の外に自然がある(農奴は自然の一部)
農奴社会の外部化としての植民地主義、自由、平等、博愛
・都市の危険性
自然資源がない(持続不能)
災害に弱い
・コミュニティーの崩壊
日本のコミュニティー : エコシステムの内部
生産財の全ては身近な自然資源のみ(自然崇拝の起源)
コミュニティー = 共有材の管理システム(入会地等)
国民国家の成立とコミュニティーの崩壊
国家と個人の二極分離
最後の切り札、東洋思想(1)
・衆生平等
→ 生態系の仏教的表現
生態系を構成する全ての生き物、物質は、例え一見人間に害を及
ぼすものでも平等なる権利を与えなければならない
cf.欧米の平等思想 : 人間世界の中だけ
・禅における修行の意味
日常生活そのものが修行(自然物との日常的対話)
・華厳哲学における個の存在(『ユング心理学と仏教』河合隼雄)
*関係性の追及こそ、為すべきこと
物質も生物も単体で存在できない
*関係性は時々刻々変化する流動的なもの
生態学が示唆する『関係性』の科学
*関係性を後付けにした『要素還元主義』
量子力学的宇宙論
エンデの名言
要素還元主義を否定、『関係性』を重視した考え方
最後の切り札、東洋思想(2)
・言語の否定
『群盲象を語るの愚』(論理学的言語の否定、『原始仏典』中村元)
『禅』における問答の意味
趙州禅師(晩唐、~897年) : 『庭前の柏樹子』 (『意味と本質』井筒俊彦)
言葉に出した瞬間に真理は消滅(お釈迦さま)
・言語アラヤ識
イマージュ世界から言語へ(『意味の深みへ』井筒俊彦)
cf.シニフィエとシニフィアン(フッサール)
・言語至上主義を基調とする欧米文化
アメリカ社会 : あるのは明文化された法律のみ
自然科学 : 厳格な言語のみを使用して論理展開
*科学的事実 : ①厳格なる言語で記述
②同一条件で同一結果
・東洋哲学の根源 = 自然との融合
自然の厳密なる観察によって生まれた哲学?
果たして、人類は進歩しているか??
・進歩主義のルーツは?
歴史的進歩主義 = 欧米の勝利者史観
さらに、『歴史の終焉』(フランシス・フクヤマ)
・生物の種『ヒト』としての進歩は有史以降は有り得ない?
有史=3,000年とし、1世代20年とすると、わずか150代
150代で、『進化』はほぼ不可能
・では、何が進歩か???
進歩は、実は個人内部の問題であり、種や社会は進歩しない??
・古来、真理は様々な風土の、主に宗教家によって追求された
しかも、古来哲人の追及した真理は同一のもの??
特にアジア哲学は、ほぼ同値?(『意味の高みへ』井筒俊彦)
仏教、イスラム神秘主義、キリスト教神秘主義
道教、儒教、・・・・・・・
最後に・・・・
・人間としての身の丈を考える
窓から見える隣の山
ほんの小さな生態系さえ記述できない『科学』
・持続可能社会は、小地域から
持続可能な小地域が集まって、初めて持続可能社会となる
国際社会、国、県、市に出来ることは限られている
・究極のNPO、宗教法人
長野県NPOセンター理事長はお寺のご住職
松本市浅間温泉神宮寺
http://www.jinguuji.or.jp/
欧米のボランティア、地域活動は教会が中心
・地域の中心としてのお寺
その昔、お寺は地域の中心だった
役所としての役割
学校としての役割
もう一度、地域の中心に!
宗教教育の重要性(『武士道』(新渡戸稲造)冒頭のエピソード)
(
風
穴
延
沼
禅
師
)
鷓
鴣
啼
く
と
こ
ろ
百
花
香
し
長
し
え
に
憶
う
、
江
南
三
月
の
う
ち
ご清聴 有難うございました。