東海地震がわかる本 名古屋大学災害対策室著 東京新聞出版社 総合科学課程1年 佐藤紫帆 目次 この本は大きく四つのテーマについて全十章で構成されている PARTⅠ 東海地震はいかなるものか! 第一章 PARTⅡ それならばどうする! 第三章 PARTⅢ 第四章 第五章 地震情報 第六章 PARTⅣ 第二章 第七章 第八章 歴史と活断層に学ぶ地震と防災 第九章 第十章 内容紹介 PARTⅠ 東海地震はいかなるものか! 第一章 東海地方で起きていること 地下で起きたゆっくり滑り この章では2000年から始まった東海地方の異常地殻変動に触れ、 東海地震の前触れかと疑われているプレートの動き等について書か れている。 その動きとは「スロースリップ」といって、プレート同士の摩擦力が弱 まることによってプレートが静かに振動も出さずに滑ることをいい、急 激に滑って大きな振動を出す地震とは異なるものである。 この現象が本当に東海地震に続くのか、それともこのまま収まるのか どうかははっきりとわかっていない。 第二章 東海地震って何? 第二章ではまず東海地震が何故発生を確実に想定されていたのかを、 プレートの状態と共に説明している。「東海地震は明日来てもおかしく ない」といわれていた理由と、それは本当に正しいことなのか書かれて いる。 他にも静岡県内に整備された世界一密度が高い地殻の観測網や、観 測技術の発達による観測情報の活かし方、またそれを利用した予知の 可能性について等も紹介されている。 PARTⅡ それならばどうする! 第三章 地震に強い建物 三章では地震に強い建物の構造と、逆に弱い構造について紹介さ れている。 まず強い構造としては鉄筋コンクリート造の家、積層ゴムによる免 震構造。また建物の周期を地震動の揺れの周期域から逃して揺れ を軽減させる制震構造などがある。 そして弱い建物には、壁や筋かいが少ない、バランスが悪い、重い、 老朽化が進んでる、柱やはりの接合の不備がある、といったことが ある。 第四章 身の回りの防災 この章は防災の方法として、基本の防災グッズや家の簡単な耐震診 断などが書かれている。また阪神・淡路大震災での被災状況から、 どのようなことに注意するべきか、そしてライフラインの確保について も説明されている。 第五章 ほんとうにわかっているの? この章では地震に関係することについていくつか例を挙げ、それ 等が本当に正しいのかどうか検証されている。例えば、地下は本 当に安全なのか、地震保険は役に立つのか、列車の非常停止シ ステムは有効であるのか等。もっと単純なものでは地震発生時の 対応についても書かれている。一般的によくいわれている、「揺れ を感じたらコンロの火を止め机の下に隠れる」という行動は常に正 しいわけではなく揺れに合わせた対応が必要と述べられている。 PARTⅢ 地震情報 第六章 大都市圏の地震危険度 この章は前半は東海地震が起きた場合どのような状態になるのか を東京、静岡、名古屋、三重の四つの都市でシミュレートした内容が 書かれている。そして後半は日本の大都市である仙台、東京、名古 屋、大阪で直下型地震が起きそうな場所と、その地震危険度が書か れている。 第七章 揺れと津波 七章では主に地震の揺れについて詳しく書かれている。P波とS波の 違いから地面の固さと揺れの関連性、そして地震の強い揺れが引き おこす「液状化」という現象についても紹介されている。 また揺れが原因となる代表的な災害である津波の原理、その恐ろし さ、そして避難についても書かれている。 第八章 よく分かる地震基礎講座 ここではタイトル通り地震の基礎的なことについて十の項目に わけられて説明されている。まずは地震の原因となる断層の 動きから始まり、地震の発生確率、地震の分類によるいろいろ な呼び方、P波とS波の違い、と続き最後に余震についての説 明が図解で分かりやすく紹介されている。 PARTⅣ 歴史と活断層に学ぶ地震と防災 第九章 歴史から学ぶ東海地震 第九章では古い時代に起きた地震について書かれている。まず 史上最大の巨大地震といわれている宝永地震や、安政東海地震 等の古文書に書かれている地震についてふれ、そして文書として 記録されてはいないが液状化した大地の形跡から、もっと古い時 代から地震があったことを紹介している。 そして過去の地震の周期を利用して次の大地震を予想する、「時 間予測モデル」といった方法にも触れている。 第十章 陸の下に潜む地震 この章は兵庫県南部地震を例にあげ、活断層が原因である直下 型地震の原理や被害の状態を紹介する。そして章の中盤から後 半にかけては活断層とはどういうものか、ということについて書か れていて、最後に現在の活断層地震防災のあり方について簡単 に触れている。まだ地震の発生を正確に予知できない現段階で 出来ることは何なのか述べられている。 感想 図や写真が多く載っていて、専門用語もあまり使 われていなかったので分かりやすい解説だった。 東海地震について広く知ることができ、他にも東 南海地震のことについても触れていて、簡単にだ けれども知ることができた。 なぜ「地震=ナマズ」という図式ができたのか等、 東海地震とは直接関係ないが面白い話も紹介さ れていて楽しく読むことが出来た。
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