No.2 実用部材の疲労強度 に関する研究 鹿島 巌 酒井 徹 材料 → 機械加工 → 製品 実用部材の疲労強度 疲労破壊 → 表面から発生 表面粗さ 疲労強度の影響因子 残留応力 表面層の加工硬化 昨年度: 表面粗さ → 疲労限度を推定 本年度:三つの影響 →疲労限度を推定 欠陥材の疲労限度評価に村上の理論 wP 1.43Hv 120 area 16 表面粗さあり 昨年度 残留応力なし 加工硬化なし 表面粗さあり 本年度 残留応力あり 加工硬化あり σwP:疲労限度 (MPa) Hv:ビッカース硬さ area :欠陥の投影面積の 平方根 (μm) 疲労限度の推定 良好 疲労限度の推定 検討 使用材料の機械的性質 σsl (MPa) σB(MPa) σT(MPa) 焼なまし材 焼入れ焼き戻し材 317 605 572 793 993 1407 Ψ(%) E(GPa) 50.3 63 211 213 製作した試験片 平滑材 ノーズ半径 r 粗さ材 r = 0.1 送り f f = 0.1 f = 0.15 f = 0.2 試験片製作工程 CNC旋盤等にて加工 φ15 φ12. 5 φ10 R60 R3 0 エメリー紙を用いて試験部を加工 80 50 210 試験片形状 80 エメリー紙を用いて試験部を加工 粗さ材 平滑材 CNC旋盤を用いて粗さを加工 粗さ測定器にて粗さを測定 試験部の硬さを測定 残留応力を測定 1本につき8ヶ所 → 5本 疲労試験 計40ヶ所 表面粗さの置換 表面粗さ (Ry)max から進展 き裂問題 Ry Sm a 2b 最大高さRy 凹凸間の平均間隔Sm き裂深さa き裂列のピッチ2b (Ry)maxの算出 極値統計 一定数のデータの集合を取り出した あ最大値や最小値が従う分布 降水量や洪水などの自然災害の あ予測 微小介在物の最大値の予測が可能 極値統計の例 6 y = -ln(-ln(F)) そ れ ぞ れ の 定 数 4 2 0 -2 99.95 T = 1/(1-F) 99.90 99.80 1000 99.50 200 100 500 99.00 98 Cumulative Frequency 8 粗さの40ヶ所データ F (%) y 50 95 20 90 10 直線状に分布 極値統計処理 可能 80 f=0.1 f=0.15 f=0.2 50 10 1 0.1 0 20 40 60 80 100120140160180200 粗さ Ry (μm) area の算出 最大高さ(Ry)maxの推定 再帰期間T 粗さ測定長さ L0 検査基準面積S0 (Ry)ave. 破断する 可能性有り S0 S S T ≒ S0 S0 予測する面積S (Ry)max area 考 察 深さ方向硬さ分布 加工硬化の 連続載荷法 深さと硬さの関係 500 500 粗さ材 400 ビッカース硬さ Hv ビッカース硬さ Hv 400 300 200 100 0 0 深さ f = 0.1 f = 0.15 f = 0.2 平滑材 10 20 表面からの深さ(μm) 平滑材 30 300 200 100 0 0 f = 0.1 f = 0.15 f = 0.2 平滑材 20 10 表面からの深さ(μm) (a)焼なまし材 (b)焼入れ焼戻し材 エメリー紙で研磨 平滑材 加工層浅い 研磨せず 加工層深い 粗さ材 30 焼なまし材疲労試験結果 (S-N曲線) 粗さ材は,平滑材より 500 f = 0.1 f = 0.15 f = 0.2 平滑材 応力振幅 σa ( MPa) 450 疲労限度が上昇 400 350 粗さ材 300 欠陥に鈍い 250 平滑材 200 5 10 6 7 10 10 繰返し数 N 8 10 加工層が 深い 焼入れ焼戻し材疲労試験結果 疲労試験結果焼入れ焼戻し材 (S-N曲線) unregistered 500 粗さ材は,平滑材より 平滑材 応力振幅 σa ( MPa) 450 疲労限度が低下 400 350 300 粗さ材 ○ f0.1 250 □ f0.15 ◇ f0.2 △ 平滑材 200 5 6 7 10 10 10 繰返し数 N 欠陥に敏感 8 10 残留応力と表面付近の硬さの影響 平滑材 f = 0.1 f = 0.15 f = 0.2 焼なまし材試験結果 Hv(10N) √area(μm) 残留応力(MPa) 197 - -158 222 57 -98 218 67 -64 241 87 -28 一般 硬い に・・・ 圧縮の残留応力小 σw (MPa) 265 270 285 290 疲労限度高い 疲労限度低い 硬さの影響が強い 焼入れ焼戻し材試験結果 平滑材 f = 0.1 f = 0.15 f = 0.2 Hv(10N) 265 301 311 307 √area(μm) 残留応力(MPa) - -238 45 111 72 76 81 61 σw (MPa) 430 355 355 350 一般に・・・ 硬さ変化無し 引張りの残留応力小 疲労限度変化無し 疲労限度高い 両材は,硬さの影響が強い 粗さ材の疲労限度の予測 実験値と予測値の比較モデル σw /σwP f 0.1 1.5 1.4 1.3 1.2 1.1 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 8種類 Hv 載荷荷重 0.1 0.25 0.5 1 2 3 荷重 W (gf) 5 10 荷重 F (N) σw σwP 実験値 予測値 危険 >1 安全 <1 ① ビッカース硬さHvのみによる予測 平滑材の経験式 wP 1.6Hv Hv:ビッカース硬さ 1.5 1.4 f 0.1 f0.15 f 0.2 1.3 σw /σwP 1.2 wP 1.6Hv 1.1 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.1 0.25 0.5 荷重 W (gf) 1 2 3 5 10 荷重 F (N) すべて1より小さい値 焼なまし材 1.5 f 0.1 f0.15 f 0.2 σw /σwP 1.4 1.3 1.2 1.1 1.0 0.9 有用ではない 0.8 0.7 0.6 0.5 0.1 0.25 0.5 荷重 W (gf) 1 2 3 荷重 F (N) 焼入れ焼戻し 5 10 ②Hvと area による予測 村上の式 wP 1.43Hv 120 area 16 1.5 f 0.1 f0.15 f 0.2 1.4 1.3 σw /σwP 1.2 1.1 1.0 wP 1.43Hv 120 area 16 載荷荷重3N~5N 0.9 0.8 0.7 15%程度の誤差内予測 0.6 0.5 0.1 0.25 0.5 荷重 W (gf) 1 2 3 5 10 荷重 F (N) 焼なまし材 積載荷重3N~5N 1.5 f 0.1 f0.15 f 0.2 1.4 1.3 σw /σwP 1.2 疲労限度の予測が可能 1.1 1.0 0.9 0.8 載荷荷重0.25~5N 0.7 0.6 0.5 0.1 0.25 0.5 荷重 W (gf) 1 2 3 荷重 F (N) 焼入れ焼戻し 5 10 15%程度の誤差内予測 ③ Hv, area ,応力比Rによる予測 村上の式 平均応力が作用する場合 P 1.43(Hv 120) (1 R) 1/ 6 2 ( area) min m a R max m a 4 0.226 Hv10 a : 応力振幅 m : 平均応力 max : 最大応力 min : 最小応力 1.5 f 0.1 f0.15 f 0.2 1.4 1.3 σw /σwP 1.2 1.1 P 1.43( Hv 120) (1 R) 1/ 6 ( area) 2 1.0 0.9 0.8 載荷荷重10N 0.7 0.6 15%程度の誤差内で予測 0.5 0.1 0.25 0.5 荷重 W (gf) 1 2 3 5 10 荷重 F (N) 焼なまし材 有用な載荷荷重が大きく異なる 1.5 f 0.1 f0.15 f 0.2 1.4 1.3 共通の予測式を設定 σw /σwP 1.2 1.1 困難 1.0 0.9 0.8 0.7 載荷荷重0.25N~2N 0.6 0.5 0.1 0.25 0.5 荷重 W (gf) 1 2 3 荷重 F (N) 焼入れ焼戻し 5 10 15%程度の誤差内で予測 ④ Hv, area ,平均応力σmによる予測 松本の式 平均応力が作用する場合 P 1.43(Hv 120) 1 m 1/ 6 2 ( area) 1.5 f 0.1 f0.15 f 0.2 1.4 1.3 σw /σwP 1.2 1.1 1.0 P 1.43(Hv 120) 1 m 1/ 6 2 ( area) 0.9 0.8 ほとんど1より小さい 0.7 0.6 危険 0.5 0.1 0.25 0.5 荷重 W (gf) 1 2 3 5 10 荷重 F (N) 焼なまし材 1.5 f 0.1 f0.15 f 0.2 1.4 1.3 σw /σwP 1.2 1.1 両材でのばらつきが大きい 予測は有用ではない 1.0 0.9 ほとんど1より大きい 0.8 0.7 0.6 0.5 0.1 0.25 0.5 荷重 W (gf) 1 2 3 荷重 F (N) 焼入れ焼戻し 5 10 20%以上の誤差 結 言 (1) 粗さ材の疲労限度は残留応力よりも硬さの影響が 大きい. (2)疲労限度はビッカース硬さの載荷荷重3~5Nを用 いて以下の予測式によりある程度求めることが可能. P 1.43( Hv 120) 1/ 6 ( area) 最大高さ(Ry)maxの推定 再帰期間T S S0 T S0 S :予想を行う面積 応力の90%が作用し破断 する可能性がある面積 S0:検査基準面積 基準長さL0を用いる S0 Sのとき 有効幅bを(Ry)ave.と選定 S T≒ S0 S d1 L T S0 Ryave. L0 d1:試験部直径 L :危険長さ (Ry)maxを導出する基準化変数 y ln lnT 1 T S0≪S y≒ ln T area の算出 無限個の円周き裂列を有する丸棒の応力拡大係数 KⅠmax F 0 a σ0 z F:補正係数,a:切欠き深さ y area 近似的にKⅠmaxは次式で与えられる x o KⅠmax 0.65 0 area σ0 以上の式を等式化する。 area F 0.65 a 2 3 2 (F/0.65) 2 (F/0.65) → y a/2b→ x y=0.38/x (x>0.195) 2 2 y=2.97–3.51x–9.74x (0≦x≦0.195) 1 0 1 2 3 a/2b この近似式を用いて area を求めることが出来る 0 x 0.195 の場合 2 Rymax Rymax area 2.97 3.51 9.74 Rymax Sm Sm 0.195 x の場合 area 0.38 Sm
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