感染症流行予測調査事業から 〜麻疹〜

わが国の風疹の現状とその対策
国立感染症研究所感染症情報センター
風疹対策チーム
鹿児島県保健福祉部
鹿児島県徳之島における風疹予防対策検討会議資料
IDSC
平成16年7月7日
研究者一覧
国立感染症研究所 感染症情報センター
・岡部信彦
・多田有希
・谷口清州
・多屋馨子
・大山卓昭
・田中政宏
・重松美加
・安井良則
・砂川富正
鹿児島県
・千村 浩(保健福祉部長)
IDSC
風疹対策チーム
・中島一敏
・大日康史
・新井 智
・佐藤 弘
・上野正浩(FETP)
・松舘宏樹(FETP)
・山口 亮(FETP)
・鈴木葉子(FETP)
・太田正樹(FETP)
・相星壮吾(鹿児島県徳之島保健所長)
風疹の発疹とリンパ節腫脹
IDSC
風疹患者報告数の推移
-感染症発生動向調査(1982-2004年第19週)-
(人/週)
一 12
定
点 10
当
8
た
り 6
患
者 4
報
2
告
数 0
(人/週)
一
定
点
当
た
り
患
者
報
告
数
1.2
0.1
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
年
1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004年
(2004年5月14日現在報告数)
サーベイランス事業開始
1977年から女子中学生に対する定期
接種開始
IDSC
1989-1993年麻疹ワクチン対象者がMMR
選択可能
1995年 12~90ヶ月の男女に対する
定期接種開始
風疹の累積報告数(1999年4月~2004年第23週)
感染症発生動向調査より
総報告数(人)
1999年(4月~)
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年(1~23週)
定点当たり報告数(人)
2,972
1.03
3,123
2,561
2,971
1.05
0.85
0.98
2,975*
3,109*
0.92*
1.02*
*暫定値
IDSC
厚生科学研究費補助金(新興・再興感染症研究事業)による「効果的な感染症発生動向調査のための国及
び県の発生動向調査の方法論の開発に関する研究(主任研究者:谷口清州)」により永井正規らの調査で、
全国年間罹患数推計値が算出されている。
全国年間罹患数推計値:2000年3.5万人、2001年2.9万人、2002年3.3万人(永井ら)
小児科医療機関(定点)あたり週別風疹患者報告数
(1994年第1週-2004年第21週)
小児科定点:
全国約3,000の小児医療機関:
0.8
定点当たり
報告数(人)
IDSC感染症発生動向調査よりhttp://idsc.nih.go.jp/kanja/weeklygraph/rubella.html
今、風疹が流行している県
0.8
IDSC
IDWR週報より:http://idsc.nih.go.jp/kanja/idwr/idwr-j.html
風疹
IDSC
定点当たり報告数推移
2000-2004年第23週
Source: 感染症発生動向調査
風疹患者の年齢分布(2000-2004年第23週累積)
10-14歳
1歳
20歳以上
2004年(-23w) (3,109人)
6ヶ月未満
12ヶ月未満
1歳
2歳
3歳
4歳
5歳
6歳
7歳
8歳
9歳
10~14歳
15~19歳
20歳以上
2003年(2,795人)
2002年(2,971人)
2001年(2,561人)
2000年(3,123人)
0%
IDSC
20%
40%
60%
80%
100%
Source: 感染症発生動向調査
風疹患者の年齢分布(2004.第1-15週累積)
-2つの流行県と全国値の比較-
10~14歳
A県
6 ヶ 月未満
1 2 ヶ 月未満
1歳
2歳
3歳
4歳
5歳
6歳
7歳
8歳
9歳
1 0 ~1 4 歳
1 5 ~1 9 歳
2 0 歳以上
20歳~
B県
全国
0%
IDSC
20%
40%
60%
80%
100%
Source: 感染症発生動向調査、私信
性別・年齢群別報告数 2004年第1-23週累積
(人)
400
350
男性
300
女性
250
200
150
100
50
IDSC
上
以
20
歳
19
歳
15
~
歳
14
歳
10
~
9
歳
8
歳
7
歳
6
歳
5
歳
4
歳
3
歳
2
歳
1
月
12
ヶ
~
~
6ヶ
月
0
Source: 感染症発生動向調査
注目!
IDSC
昭和54年4月2日〜昭和62年10月1日生まれの方
(H16.7.7.現在16歳9か月〜25歳3か月)は昨年の9月30日までなら定期接種
(公費負担)で受けられました!!現在は任意接種で、全額自己負担です。
先天性風疹症候群の症状
妊娠2カ月以内に感染したものは白内障、先
天性心疾患(動脈管開存、肺動脈狭窄が主。)、
難聴の2つ以上を合併するものが多いが、妊娠
3〜5カ月に感染したものは難聴のみの事が多
い。その他、子宮内発育遅延、網膜症、小頭症、
髄膜炎、精神運動発達遅滞、緑内障、肝脾腫、
血小板減少性紫斑病などが認められる。
IDSC
風疹の合併症



脳炎(1/4,000〜6,000人)
血小板減少性紫斑病(1/3,000〜5,000人)
成人では、関節炎(5〜30%)(ほとんどは一
過性)
全国年間罹患数推計値:
2000年3.5万人、2001年2.9万人、2002年3.3万人(永井ら)
IDSC
風疹が流行すると、先天性風疹症候群の赤ちゃんが生
まれることを恐れて、人工流産が増えています。
まだ見ぬ命がこんなに亡くなっています。
IDSC
もう一つの目的!
産まれる前に亡くなっている命を助けたい!!
風疹ワクチン接種時の注意事項と
副反応



あらかじめ約1か月間避妊した後接種すること
接種後は約2か月間避妊すること
副反応の説明



主には発熱、局所反応、発疹であるが、頻度は少ない
ショック、アナフィラキシーショック、アレルギー反応につい
ては、その他のワクチンと同じ
急性血小板減少性紫斑病が100万人接種あたり1人程度


IDSC
接種後数日から3週頃に紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等があった場合は、
適切な処置を行う
成人ではリンパ節腫脹、関節痛の頻度が若年者に比してやや高
いが一過性で自然に治癒する。
中学生に対する風疹ワクチン実施率
1977年〜2001年(厚生労働省)
100
予防接種法改正
90
中学生女子対象 集団接種
中学生男女対象 個別接種
80
74
72 .4
72 .2
72 .6
72 .1
70 .1
70
70 .6
68 .2
63 .7
65 .1
69 .6
68 .8
69
70 .6
67 .2
66 .8
64 .8
実施率(%)
60
55 .9
55 .5
53 .1
50 .5
50
47 .2
45 .6
38 .6
40
30
27 .3
20
10
2001年
2000年
1999年
1998年
1997年
1996年
1995年
1994年
1993年
1992年
1991年
1990年
1989年
1988年
1987年
1986年
1985年
1984年
1983年
1982年
1981年
1980年
1979年
1978年
IDSC
1977年
0
年齢別風疹ワクチンMMRワクチン接種率
(2003年度 感染症流行予測調査事業より)
100%
23
90%
34
20
20
0
2
1
1
13
9
0
1
0
1
12
2
27
9
4
15
30
14
25
21
31
1
1
4
3
2
90
12
7
4
17
1
7
1
1
70%
15
14
5
2
1
80%
24
67
接種率(%)
17
50%
37
0
21
3
2
5
1
30
38
40
45
63
0
2
5
60%
42
9
2
2 73
風疹+MMR
39
MMR
40%
1 07
1 20
83
65
93
風疹
1 05
1 15
0
1
56
54
76
30%
51
42
52
20%
32
47
45
81
1 01
49
74
60
48
84
0
0
0- 5M
6- 11M
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
年齢群
IDSC
1
3
33
10%
0%
なし
0
2
13
14
15
16
17
18
19
20 -24
25 -29
30 -34
35 -39
40 -
年齢群別男女別抗体保有率
2002年度感染症流行予測調査より
100%
90%
80%
女性
抗体保有率(女性)
70%
60%
陰性
50%
陽性
40%
30%
20%
10%
0%
1-3歳
4-6歳
7-12歳
13-15歳
16-19歳
20-29歳
30-39歳
年齢群
100%
90%
80%
抗体保有率(男性)
男性
70%
60%
陰性
50%
陽性
40%
30%
20%
10%
IDSC
0%
1-3歳
4-6歳
7-12歳
13-15歳
年齢群
16-19歳
20-29歳
30-39歳
風疹推計感受性人口
(2002年度感染症流行予測調査事業より)
2500000
2000000
1500000
感受性者数(人)
女性
男性
1000000
500000
0
1-3歳
4-6歳
7-12歳
13-15歳
16-19歳
20-29歳
30-39歳
年齢群
保育園、幼稚園
小学校
中学校
高校
1~39歳までの女性で風疹の免疫を持っていない人は250万人を越えています。
このうち20~39歳の女性で風疹の免疫を持っていない人は約78万人、
20~39歳の男性で風疹の免疫を持っていない人は約450万人です。
IDSC
厚生労働省からの通知
エラー !
健感発第1 1 1 8 0 0 1 号
平成1 6 年4 月9 日
平成1 5 年1 1 月1 8 日
各都道府県衛生主管部( 局) 長 殿
各都道府県衛生主管部( 局) 長 殿
厚生労働省健康局結核感染症課長
厚生労働省健康局結核感染症課長
先天性風し ん症候群の発生防止について
風し ん予防接種の重要性の周知について
感染症発生動向調査において 、 今年にな っ て 一部の地域( 鹿児島県、 群馬県、
予防接種法施行令及び結核予防法施行令の一部を 改正する 政令( 平成6 年政
大分県、 宮城県、 埼玉県) において 患者が数多く 発生し て いる 状況にあ る 。 過
令第 266 号) 附則第3 条の規定によ り 、「 昭和 54 年4 月2 日から 昭和 62 年 10
去5 年間には年間0 ~1 例の発生件数であ っ た 先天性風し ん症候群の患児が、
月1 日ま での間に生ま れた 者」 は平成 15 年9 月 30 日ま では風し んの定期の予
防接種の対象者と さ れて き た と こ ろ であ る 。
今年は3 月7 日の時点ですでに2 件報告さ れて いる 。 ま た 、 日本産婦人科医会
及び国立感染症研究所等には、 産婦人科医から 妊娠中の風し ん罹患事例の相談
が寄せら れて おり 、 先天性風し ん症候群患者の発生が懸念さ れて いる 。
当該経過措置は満了し た も のの、 未接種の経過措置対象者を はじ めと し て 未
こ れから 妊娠する 予定のあ る 女性で あ っ て 風し ん罹患歴又は風し んワ ク チン
接種の者がま だ存在し て いる こ と から 、 当該対象者を はじ めと する 風し んワ ク
接種歴のな いも のは、 予防接種を 受け る こ と によ り 先天性風し ん症候群の発生
チン の未接種者に対し 、 下記の点に留意の上、 情報提供等にあ た ら れる よ う ご
を 防止する こ と ができ る こ と から 、 既に「 風し ん予防接種の重要性の周知につ
指導方お願いする 。
いて 」( 平成1 5 年1 1 月1 8 日付け 健感発第 1118001 号厚生労働省健康局結核
感染症課長通知) によ り 予防接種の重要性の周知を 図っ て き た と こ ろ であ る が、
IDSC
記
今年の風し んの流行状況等を 踏ま え 、 改めて 、 適切な 注意喚起及び情報提供等
に当た ら れる よ う ご 指導方お願いする 。
徳之島における
風疹の集団発生
- 7月6日現在の情報のまとめ -
IDSC2015/9/30