PowerPoint プレゼンテーション

カシス・ポリサッカライド(CAPS)の発見か
ら商品化まで
2007 年 2 月 16 日
メルシャン(株)
商品開発研究所
高田 良二
ステップ 1
カシス・ポリサッカライド
(CAPS)の発見
カシス由来多糖画分のマウスにおける抗腫瘍効果
【目的】
現代日本社会においては、不規則な生活習慣、食事の偏り、精
神的ストレスなど免疫系にダメージを与える要因が氾濫している。
本研究の最終目的は、身近で安心感のある果実を素材とした免疫
調節食品を消費者に提供することである。
【研究経緯】
すでに我々は、マウス・腹腔マクロファージの系において、カシス果汁に強
いサイトカイン誘導活性が存在し、その活性はポリフェノールを除去した多
糖画分に存在することを報告した(2002 年 日本農芸化学会大
会)。
今回は、カシス由来多糖画分のマウスにおける抗腫瘍効果について
報告する。
【カシスとは】
仏名 カシス,英名 ブラック・カラント,和名 黒房スグリ。北アジアやヨーロッパ
が原産とされ、ユキノシタ科スグリ属に属する落葉低木から取れる黒紫
色の実。ポリフェノール化合物やビタミン C が豊富であることで有名。
日本農芸化学会大会発表スライド(2006 年 3 月) [一部改変]
カシス果汁はマクロファーシからのサイトカイン産生を強く誘導する(in vitro)
科,属の異なる 37 種類の果実を破砕 ICR マウスにチオグリコレート培地を腹腔内注射
↓
↓
果汁の pH を中性に調整
4 日後に腹腔マクロファージ採取
↓
↓
遠心(9,000 × g, 10 min)上清回収
96 ウェル・プレートに分注(1 × 106 cells/ml)
添加果汁終濃度: 2.5% (v/v)
(16~20 h 培養)
ELISA 試験 (TNF-α,IL-1β,IL-12p70)
図 1 37 種類の果汁添加が Mφ の IL-1β 産生に及ぼす影響
6000
IL-1 produced (pg/ml)
カシス
4000
サイトカイン誘導活性とポリフェ
ノール含有量との間に相関
関係は見られなかった。
2000
0
0
2000
3000
1000
Total phenol content (ppm)
4000
サイトカイン誘導活性は多糖画分に由来する
カシス果汁遠心(9,000 × g,10 min)上清回収
↓
陽,陰イオン交換樹脂カラムに通液
(吸着 [イオン性化合物] 画分に活性無し)
↓
非吸着画分を SEP-PAK C-18 カラムに通液
(吸着 [ポリフェノール] 画分に活性無し)
↓
非吸着画分を純水にて透析
↓
凍結乾燥(カシス多糖画分,収量: 9 g 乾燥物/ L 果汁)
cassis
polysaccharide(CAPS)と命名した。
本カシス多糖画分を
図 2 ヘミセルラーゼ(Aspergillus niger)で完全消化した
カシス多糖画分のサイトカイン誘導活性の変化
TNF--inducing activity (%)
【カシス多糖画分の調製法】
120
100
80
**:p<0.01,
60
Mean ± S.E.
40
20
**
0
Before
digestion
After
digestion
活性の本体は(中性)多糖画分に
存在することが改めて示された。
伝承薬としてのカシスの効果について

カシスはおもに新鮮なジュースや葉から作られるお茶
などの形で、古代からあらゆる病気の万能薬として使
用されてきた。
:16世紀には民間薬としての使用が記録
:18世紀にはフランスのモランタン神父は「カシス
の搾
り汁は万病に効く秘薬であり、若返りにも効果がある」
と報告*
【酒類業界におけるカシス】
フランスの伝統リキュールである
カシス・リキュールの主原料として
有名。本格 リキュールのジャンルで
消費量が最も多いのもカシスである。
黒紫色(希釈すると赤紫色)で
強い酸味と独特の芳香を有す。
また、赤ワインを表現する際に
一つの例えとして良く使用される。
*Les

Proprietes Admirables du Cassis (1712), カシスの驚異
古くよりヨーロッパではのどの傷み、発熱、胃痛、生理
不順、下痢、腎炎、膀胱炎、倦怠感、リューマチ、関節
炎、水腫症、歯肉炎など多くの病気に対する治療に使
われてきた実績がある。また、その副作用も報告され
ておらず、安全な食品とされている。
CAPS の ICR マウスにおける抗腫瘍効果
= 実験方法 =
カシス・ストレート果汁(経口投与,10 ml/kg)
CAPS 溶液(経口投与,10 ml/kg)
day –7 ~ 14,
daily
Adriamycin(腹腔内投与,0.5 mg/kg)
day 1 ~ 9,
daily
OK-432(腹腔内投与,1 KE/mouse)
day -14
day -7
予備飼育期間
(♀,5 週齢にて購入)
day 0
↑
Ehrlich 結節腫瘍を
鼠径部皮下へ移植
day 2 ~ 10,
every other day
day 7
day 14
↑
腫瘍摘出,
重量測定
CAPS 溶液の多糖濃度は 4 mg/ml [フェノール硫酸法測定値] とした。
(in vitro マウス・腹腔マクロファージの系においてストレート果汁と同程度のサイトカイン誘導活性を示した濃度。)
CAPS の ICR マウスにおける抗腫瘍効果
= 実験結果 =
図 3 CAPS の Ehrlich 結節腫瘍に対する増殖抑制効果
4
vs PBS
Mean ± S.E.
3
**
**
***
0
PBS
Crude
juice
CAPS
64% 抑制
1
51% 抑制
***
62% 抑制
2
45% 抑制
Tumor weight (g)
**:p<0.01,***:p<0.001
OK-432 Adriamycin
in vivo 試験においても CAPS が本生理活性の本体であることが示唆された。
(参考文献: Biosci. Biotechnol. Biochem. , 69 (11), 2042-2050, 2005)
CAPS の ICR マウスにおける抗腫瘍効果
~ 果汁レベルでの投与量の検討
● 投与サンプル: カシス果汁(ストレート[100%],5 倍希釈[20%],50 倍希釈[2%]) および PBS(コントロール)
● 投与スケジュール: 経口投与(10 ml/kg)開始から 7 日後に腫瘍移植,さらに 14 日後に腫瘍摘出
写真 摘出した Ehrlich 結節腫瘍
含 0.09 mg CAPS/ml
平均 45% 抑制
含 0.9 mg CAPS/ml
平均 55% 抑制
含 4.4 mg CAPS/ml
平均 76% 抑制
50 倍に希釈したカシス果汁を投与した場合でも有意に抗腫瘍効果を発揮した。
CAPS の ICR マウスにおける抗腫瘍効果
~ 脾細胞におけるサイトカイン産生パターンの変動
腫瘍摘出と同時に脾臓を摘出
⇒ 脾細胞を 96 ウェル・プレートに分注 (2.5 × 106 cells/ml) ⇒ 96 h 培養後 ELISA 試験
(正常マウスからも脾臓摘出)
図 4 脾細胞からの各種サイトカイン産生パターン
*:p<0.05, **:p<0.01,***:p<0.001
40
100
0
***
【IL-10】
75
***
50
25
0
**
CAPS
PBS
PBS
(normal) (tumor- (tumorbearing) bearing)
30
**
【IL-4】
20
*
10
0
PBS
PBS
CAPS
(normal) (tumor- (tumorbearing) bearing)
100
IL-10 (pg/ml)
**
IL-4 (pg/ml)
【IL-2】
150
CAPS
PBS
PBS
(normal) (tumor- (tumorbearing) bearing)
2000
IFN- (pg/ml)
IL-2 (pg/ml)
200
50
vs PBS(tumor-bearing)
【IFN- 】
1500
***
1000
500
0
***
CAPS
PBS
PBS
(normal) (tumor- (tumorbearing) bearing)
Th1 サイトカイン: IL-2,IFN-γ ⇒ 担癌マウスにおける CAPS 投与は PBS 投与と比較して有意に上昇。
Th2 サイトカイン: IL-4 ⇒ PBS投与担癌マウスと比較すると上昇はしたが、正常マウスと比較すると顕著に低
下。
IL-10 ⇒ 上昇(Mφ 等の過剰活性化抑制?)。
Th1(IFN-γ) > Th2(IL-4)。
CAPS の Ehrlich 培養細胞に対する直接的影響(in
vitro)
図 5 CAPS の Ehrlich 細胞増殖に対する直接的影響
【細胞生存率測定法】
120
Cell viability (%)
Ehrlich 腫瘍細胞を 96 ウェル・プレートに分注
(1 × 105 cells/ml)
↓
CAPS 希釈系列(終濃度 1 ~ 0 mg/ml)を添加
↓
72 h 培養後 WST-1 法にて細胞生存率を測定
100
*
80
60
***
*:p<0.05, ***:p<0.001
vs PBS(polysaccharide free)
Mean ± S.E.
40
***
20
0
1
10
100
1000
Polysaccharide concentration (g/ml)
CAPS の抗腫瘍作用は宿主の免疫シス
テムを介しての結果であると推察した 。
CAPS は終濃度 250 μg/ml 以上の高濃度
になるまで細胞増殖を阻害しなかった。
ステップ 2
カシス・ポリサッカライド
(CAPS)の生理活性向上
CAPS はもともとカシス果汁に含まれるもの(特許性弱い)。
他社商品と差別化(特許を取得)するためには・・・
・・・CAPS 単位量あたりの免疫調節活性を上げるしかない。
そうすることで、生理効果の高いカシス商品を安価で消費者に提供できる。
仮説)特に、in vivo においては、至適 CAPS 分子量が存在する。
課題)CAPS 低分子化の際に、活性維持のために主要構造部分は分解
されないように、しかも、現場製造レベルでコントロール可能
なように、なるべくゆっくりと分解されることが重要。
Digested for 35 h
MW 230,000
MW 2,400
CAPS 平均分子量推移
(ゲルろ過分析)
MW 55,000
β-ガラクトシダーゼ処理による
MW 19,000
黄麹菌(Aspergillus oryzae)由来の β-ガラクトシダーゼ
(本来、乳糖をブドウ糖とグルコースに分解する酵素)は
CAPS の生理活性とはあまり関係のないペクチン部分
(主成分はポリガラクツロン酸)を徐々に分解することを発見。
Digested for 8 h
Digested for 3 h
Not digested
4
6
8
Retention time (min)
10
しかも、ヘミセルラーゼで消化したと場合と比較すると、
CAPS の生理活性はあまり低下しない (in vitro Mφ 試験系)。
β-ガラクトシダーゼ(Aspergillus oryzae )消化
ヘミセルラーゼ(Aspergillus niger)で完全消化
した場合の CAPS のサイトカイン誘導活性変化
120
100
80
60
Not digested
40
Digested for 35 h
(Completely digested)
20
活性約 20% 減少
0
1000
100
10
Mean MW of digested CAPS ( 103)
1
TNF--inducing activity (%)
TNF--inducing activity (%)
に伴う CAPS のサイトカイン誘導活性変化
120
**:p<0.01,
100
Mean ± S.E.
80
活性約 80% 減少
60
40
20
**
0
Before
digestion
After
digestion
そして、 in vivo においては、平均分子量約 20,000 の部分分解 CAPS が
最も強い免疫賦活効果(抗腫瘍効果)を発揮することを発見した。
部分分解 CAPS の抗腫瘍効果
β-ガラクトシダーゼ(Aspergillus oryzae )消化
3
120
Tumor weight (g)
* p < 0.05
100
20
0
1000
100
MW 19,000
40
MW 55,000
60
MW 2,400
(Completely
digested)
80
MW 230,000
(Not digested)
TNF--inducing activity (%)
に伴う CAPS のサイトカイン誘導活性変化
10
2
1
0
1
Mean MW of digested CAPS ( 103)
(参考文献: Biosci. Biotechnol. Biochem. (2007) in press [一部改変] )
*
免疫系に影響を及ぼす多糖類に一般的に期待される効果は・・・
抗腫瘍、抗感染症、抗アレルギー、花粉症予防、その他
マウス抗アレルギー試験で効果を認める。
(日本食品免疫学会 2006 年度大会にて発表)
次はヒトで・・・花粉症予防試験を実施。