純チタン板の多段深絞り加工における焼付き防止 塑性加工研究室 加藤 幸司 チタンの特徴 密 度:小さい 耐食性:高い 深絞り加工性(r値):良い 焼付いた製品 純チタン板 しわ押え ダイス パンチ 純チタン ダイス 焼付いたダイス 皮膜処理 しわ押え パンチ ダイス 皮膜 純チタン 皮膜処理の種類 1.陽極酸化皮膜処理(交流電解法) 2.大気酸化皮膜処理 3.その他の処理 ・陽極酸化皮膜処理(直流電解法,カラーチタン市販材) ・窒化皮膜処理(窒化チタン市販材) 多段深絞りの実験方法 パンチ しわ押え 試験片 ダイス 加工条件 試験片 酸化皮膜 処理 陽極酸化 皮膜処理材 JIS1種 超硬合金 JIS2種 銅合金 パンチ材質 絞り比 1段 2~10段 工具鋼SKD11 工具鋼SKH51 (1絞り:SKD11) JIS2種 カラーチタン 大気酸化 皮膜処理材 窒化皮膜 処理 ダイス材質 窒化チタン 工具鋼SKD11 (1絞りのみ JIS2種 超硬合金) 1.6 JIS2種 JIS1種 工具鋼 SKD11 1.3~1.1 潤滑剤の種類 CD400(硫黄系) 硫化油脂+Ca微粉末 A 液体(液状) 硫化油脂+Ca微粉末 B 炭酸カルシウム液 PG-3080(SPCE用油) G-3280H(塩素系) 粉末 ステアリン酸カルシウム 二硫化モリブデン レジコートA(ウレタン系樹脂) 固体 乾燥被膜 レジコートB(アクリル系樹脂) レジコートC(ウレタン系樹脂) レジコートD(アクリル系樹脂) ステアリン酸カルシウム:CD400 (1:4) 混合体 ステアリン酸カルシウム:ワセリン (1:2) ステアリン酸カルシウム:炭酸カルシウム (1:4) 実験結果 (1) 陽極酸化皮膜処理 (2) 大気酸化皮膜処理 (3) その他の皮膜処理 ・カラーチタン板用処理 ・窒化チタン板用処理 陽極酸化皮膜処理工程 脱脂 水洗い 酸洗 エッチング 陽極酸化皮膜処理 処理電圧:35,50,70(V) 陽極酸化皮膜処理材 酸化皮膜厚さ/μm 0.15 0.10 エッチングなし エッチングあり 0.05 0 20 40 60 80 陽極酸化処理電圧 /V 陽極酸化皮膜処理における皮膜厚さと電圧の関係 陽極酸化皮膜処理材 限界絞り回数 1段 2段 3段 4段 5段焼付き (a) 皮膜処理 1段 2段 3段 4段 5段 6段 7段焼付き (b) エッチング処理 + 皮膜処理 超硬合金,JIS1種,70V 陽極酸化皮膜処理材 酸化皮膜厚さ/μm 0.15 35V 50V 70V 70V,エッチング 皮膜処理なし 0.10 0.05 0 1 2 3 4 絞り回数 5 6 超硬合金,JIS1種 陽極酸化皮膜処理材 限界絞り回数 10 8 6 超硬合金ダイス エッチングなし エッチングあり 銅合金ダイス 酸化処理なし エッチングあり 4 2 0 20 40 60 陽極酸化処理電圧 /V 80 実験結果 (1) 陽極酸化皮膜処理 (2) 大気酸化皮膜処理 (3) その他の皮膜処理 ・カラーチタン板用処理 ・窒化チタン板用処理 大気酸化皮膜処理 洗浄 大気酸化皮膜処理 雰 囲 気:大気炉中 加熱温度:500℃,600℃ 加熱時間:0.5~8時間 エメリー研磨 #120,240,400,800 大気酸化皮膜処理材 酸化皮膜厚さ /μm 0.8 0.6 0.4 エメリー研磨なし 500℃ 600℃ #800エメリー研磨 500℃ 600℃ 0.2 0 1 処理時間 /h 2 大気酸化皮膜処理材 限界絞り回数 10 ステアリン酸カルシウム 500℃ 600℃ 8 6 CD400 500℃ 600℃ 4 2 0 2 4 6 8 10 処理時間 /h 工具鋼SKD11 大気酸化皮膜処理材 限界絞り回数 10 ステアリン酸カルシウム 研磨あり 研磨なし CD400 研磨あり 研磨なし 8 6 4 2 0 120 240 400 エメリー研磨/# 800 工具鋼SKD11 限界絞り回数 4 2 炭酸Ca ステアリン酸Ca+炭酸Ca ステアリン酸Ca+ワセリン ステアリン酸Ca+CD400 レジコートD レジコートC レジコートB レジコートA 二硫化モリブデン ステアリン酸Ca 0 G-3280H 6 PG-3080 8 硫化油脂+ Ca微粉末 A 硫化油脂+Ca微粉末 B 10 CD400 大気酸化皮膜処理材,500℃ 液体 固体 混合体 潤滑剤 大気酸化皮膜処理材#800研磨,工具鋼SKD11 大気酸化皮膜処理材,600℃ 4 2 0 二硫化モリブデン 6 ステアリン酸Ca 固体 硫化油脂+Ca微粉末 A 8 液体 CD400 限界絞り回数 10 潤滑剤 大気酸化皮膜処理材#800研磨,工具鋼SKD11 実験結果 (1) 陽極酸化皮膜処理 (2) 大気酸化皮膜処理 (3) その他の皮膜処理 ・カラーチタン板用処理 ・窒化チタン板用処理 市販材料の利用 陽極酸化皮膜処理 大気酸化皮膜処理 生産工程において 大きな負担 量産化 市販材料 ・カラーチタン板 ・窒化チタン板 皮膜処理済み 限界絞り回数 6 4 2 0 10 8 液体 固体 混合体 潤滑剤 ダイス:工具鋼SKD11 ステアリン酸Ca+炭酸Ca レジコートD レジコートC レジコートB レジコートA ステアリン酸Ca 炭酸Ca 硫化油脂+Ca微粉末 B 硫化油脂 +Ca微粉末 A CD400(硫黄系 油性潤滑剤) カラーチタン板 カラーチタン板の多段深絞り加工をした容器 素板 1段 2段 3段 4段 5段 6段 7段 8段 潤滑剤:ステアリン酸カルシウム ダイス:工具鋼SKD11 9段 10段 皮膜処理 陽極酸化皮膜 大気酸化皮膜 カラーチタン板用皮膜(陽極酸化) 窒化チタン板用皮膜(窒化) ダ イ ス 銅合金ダイス 潤 滑 剤 ステアリン酸Ca,レジコート 純チタン板の多段深絞り加工の実用化 6 4 2 固体 ステアリン酸Ca 限界絞り回数 8 液体 CD400(硫黄系 油性潤滑剤) 10 0 窒化チタン板における各種潤滑剤の影響 窒化チタン板の多段深絞り加工をした容器 1段 2段 3段 4段 5段 6段 7段 8段 9段 10段 潤滑剤:ステアリン酸カルシウム ダイス ー 1絞り:超硬,2~10絞り:SKD11 粗さ/μm 20 15 10 窒化チタン カラーチタン80V エメリー#800研磨 大気酸化500℃ 2時間 5 0 2 4 6 8 10 絞り回数 各種処理材の表面粗さ (潤滑剤:ステアリン酸カルシウム) 0 図 各種処理材の結晶粒径 窒化チタン カラーチタン 700℃,2時間 600℃,2時間 500℃,2時間 処理なし 結晶粒径/μm 160 140 120 100 80 60 40 20 限界絞り回数 6 4 2 0 窒化チタン,JIS2 カラーチタン,JIS2 大気酸化皮膜処理,JIS2, #800,600℃,2h 陽極酸化皮膜処理,JIS2, エッチング,70V 工具鋼での各種皮膜処理材の限界絞り回数 10 8 1絞り:超硬合金ダイス,2~10絞り:SKD11, 潤滑剤:CD400(硫黄系油性潤滑剤) 3 59 製品適用例 1段 2段 3段 4段 5段 6段 7段 8段 9段 10段 11段 12段 皮膜処理70V + エッチング エッチング処理を組み入れた陽極酸化皮膜処理 と銅合金ダイスを組み合わせた製品適用例 (JIS1種,70V,エッチング) (a)陽極酸化皮膜処理後 大気酸化皮膜処理,10絞り (b)陽極酸化皮膜処理 7絞り,焼付き 陽極酸化皮膜処理と大気酸化皮膜処理の組み合わせ JIS2種,1絞り:超硬合金ダイス,2~10絞り:SKD11 潤滑剤:CD400(硫黄系油性潤滑剤) 陽極酸化皮膜処理材 1段 2段 銅合金ダイス 3段 4段 5段 6段 7段 8段 9段 10段 (JIS2種,70V,エッチング,CD400) 大気酸化皮膜処理材 1段 2段 3段 4段 銅合金ダイス 5段 6段 7段 8段 9段 10段 (JIS2種,#800,600℃,2時間,CD400) 硬さ/Hv 150 140 130 120 0 500℃ 600℃ 700℃ 処理なし 0.5 1 1.5 2 2.5 大気酸化処理時間/h 大気酸化皮膜処理における硬さと処理時間の関係 5 粗さ/μm 4 3 2 処理なし素板 1 0 200 400 600 800 1000 エメリー研磨/# 大気酸化皮膜処理500℃ 2時間処理の素板粗さ 限界絞り回数/回 10 8 6 4 ステアリン酸 カルシウム 600℃ 500℃ CD400(硫黄系 油性潤滑剤) 600℃ 500℃ 2 0 1 2 処理時間/h 大気酸化皮膜処理の限界絞り回数(#800研磨) 限界絞り回数 10 8 ステアリン酸カルシウム 研磨処理あり 研磨処理なし CD400 研磨処理あり 研磨処理なし 6 4 2 0 2 3 4 表面粗さ/μm #800 400 240 0 120 大気酸化皮膜処理材の限界絞り回数と表面粗さの関係 (500℃,2h,CD400)1絞り:超硬合金,2~10絞り:SKD11 カラーチタン板の発色 皮膜厚さ 2.5 皮膜厚さ/μm 2 1.5 1 0.5 0 カラーチタン (酸化皮膜) 窒化チタン (窒化皮膜)
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