交 通 騒 音

音の物理的性質(その1)
音(sound) ・音波(sound wave)とは?
騒音(noise)とは?
音圧(sound pressure)とは?
【音圧の基本式】
音の強さ(sound intensity):J とは?
【音源の強さと音の強さの関係】
デシベル(deciBel):dB とは?
音源のパワーレベル(sound power level):PWL
PWL と SPL の関係
音(sound) ・音波(sound wave)とは?
●媒質中(気体,液体,固体)の密度変化の波
⇒疎密波(粗密波)(wave of condensation and rarefaction)
●媒質粒子は平均位置の付近で波の進行方向と同一方向に
前後運動する。
⇒縦波( longitudinal wave) ⇔ 横波 (transverse wave)
位置( 波の進行方向) x
粒子の平均位置
疎
部
密
部
d
 c  音速 
dt
d
周
dt
期
T
時
間
t
波長 λ
音波における粒子運動
媒質粒子は、その平均位置を 中心に波の進行方向に前後運動する 。
騒音(noise)とは?
『ないほうがよい音』
『あることの好ましくない音,なければよいなと思う音』
unwanted sound
undesirable sound
disagreeable sound
’94年4月⇒環境庁「道路交通騒音防止総合計画検討会」
「遮音壁の設置など従来の騒音対策だけでは、2010年になっ
ても騒音公害は広範に残る」
’95年7月⇒「国道43号線」訴訟
過去の騒音被害に対する道路管理者(国・道路公団)の賠償
責任を認めた最高裁判決
’98年5月⇒環境庁
タイヤ騒音低減のため溝パターン規制を検討する会の設置
’98年7月25日⇒「小田急線騒音問題」公害等調整委員会
在来線騒音に対して、「等価騒音レベル70dB、ピーク騒音レベ
ル85dB以上は受忍限度を超える」として965万円賠償裁定
音圧(sound pressure)とは?
流体媒質中の音波によって生ずる媒質内圧力の静圧から
の変化分
通常実効値で表す。
量記号は p,単位記号は Pa(パスカル)
【 JIS Z 8107音響用語(一般) 】
空気の密度の変化
音波の進行方向
波長
+p
大気圧
-p
音圧の変化
図-1 あ る 時刻における 音波
音圧 p [Pa]
p
+pmax
prms: 音圧実効値
0
-pmax
周期 T[s]
周波数 f 
図-2 正弦音波
1
[ Hz ]
T
大気圧
101,325Pa
=1,013hPa
(=1,013mbar)
音圧⇒大気圧に比してきわめて微弱
大気圧≒1000 hPa*(標準気圧は1013 hPa)
たとえば
音声⇒強くてもマイクロバール*(0.1 Pa)の程度
(大気圧の1/100万)
耳で聞く音⇒最も強い場合でも1 hPaの程度
(大気圧の1/1000)
* Pa :パスカル(pascal),
hPa :ヘクトパスカル(hectopascal),
bar :ミリバール(millibar),
mbar
:マイクロバール(microbar)
1 Pa  1 N m2  10 bar , 1 hPa  100 Pa  1 mbar
【音圧の基本式】
p [N/m2] :音圧(sound pressure)
ρ[kg/m3]:媒質密度
c [m/s] :音速
v [m/s] :粒子速度
ρ c [N・s/ m3]:媒質の固有音響抵抗
(specific acoustic resistance)
p   cv
音の速度と固有音響抵抗
 c [ MKS ]
 [ kg m 3 ]
c [ m s]
 c [ MKS ]
アルミニウム
2.65  10 3
6400
1.7  10 7
117
ニッケル
8.9  10 3
5600
5.0  10 7
174
鋼
 [ kg m 3 ]
c [ m s]
1.20
344
413
素
0.09
1300
ヘリウム
0.18
970
媒
質
空気(20℃)
水
酸
素
二酸化炭素
塩
素
水
媒
質
鉄
7.8  10 3
8.5  10
6100
3
31
.  10 7
1.43
315
450
真 鍮
1.98
266
530
ガラス
2.5~5.9  10 3 4900~5800 13
. ~ 3.4  10 7
3.22
10 3
206
木
材
0.7 ~11
.  10 3
水
銀
660
1.43  10 6
1430
13.6  10 3
3600
4.8  10 7
7
3500~5000 0.25~ 0.55 7 10
1.98  10
1460
0℃の空気中の音の速度cは、331.5 m/sであり、
θ℃ではおおよそ
c  3315
. 1

273
≒3315
.  0.61 [m s]
音の強さ(sound intensity):J とは?
音場の1点において、音波の進行方向に垂直な単位面積を
単位時間に通過する音響エネルギー (JIS Z 8106)
p [N/m2]
:音圧(実効値)
ρ c [N・s/ m3]:媒質の固有音響抵抗
v [m/s]
:粒子速度
p2
J   cv 
 v p [W m2 ]
c
2
この関係は、音の強さを〝電力〟,粒子速度を〝電流〟,音
圧を〝電圧〟,固有音響抵抗を〝抵抗〟として、
「電力・電流・電圧・抵抗の関係式」に対比して考えると便利で
ある。
【音源の強さと音の強さの関係】
r [m] :音源からの距離
P [W]
:音源の強さ(エネルギー)
J [W/m2]:音源からの距離 r 地点の音の強さ
A [m2] :音源の面積
点音源(point source)⇒球面波(spherical wave)
P
P
2
J

[W m ]
半自由空間
自由空間 J 
2
2
2

r
4r
線音源⇒円筒波(cylindrical wave)
P
自由空間 J 
2r
P
[W m m] 半自由空間 J 
r
2
面音源⇒平面進行波(plane wave) J 
P
[W m2 ]
A
[W m2 ]
[W m2 m]
【デシベル(deciBel):dB 】
ある一つの計測量W0に対し、
別の計測量Wの方がより大きい場合、
『 WはW0より
L  10 log
W
W0
[dB]
だけ大きい』のように使われる。
Belは2量の比の単位で、deciは1/10の意味
音の強さのレベル(sound intensity level)
=
音圧レベル(sound pressure level):SPL
音の強さの基準:J0=10-12 [W/m2]
=
おおよそ1000Hz付近の最小可聴値
基準音圧:p0=2×10-5 [Pa]=20 [μPa]
J :計測した音の強さ
p :計測した音圧(実効値)
p
J
SPL  20 log
 10 log 12
5
2  10
10
[dB]
純音の聴感曲線 (Flectcher-Munson ⇒ Robinson-Dadson)
音圧レベルと音圧・音の強さ
音 圧 音圧レ ベル 音の強さ
2
[Pa]
[dB] [W m ]
20
10
120
114
110
2
1
100
94
90
86
80
74
70
66
60
54
50
0.4
0.2
0.1
0.04
0.02
0.01
0.002
0.001
40
34
30
0.0002
0.0001
20
14
10
0.00002
0
1
10 1
10 2
10 3
10 4
10 5
10 6
10 7
10 8
10 9
10 10
10 11
10 12
音圧レベルの演算
60 dB  60 dB  120 dB
J
定義式から 10 log10 12  60 dB
10


10 log10 J  log10 1012  60dB
log10 J  12  6 log10 J  6 12  6
J  106
J  2 106
2 106
6
12
10log10

10
log
2

log
10

log
10
10
10
10
1012
 100.3010  6  12  63dB
60 dB  60 dB  63dB

60 dB  40 dB  60 dB

音源のパワーレベル(sound power level):PWL
基準音響出力 :P0 = 10-12 [W]
音源の音響出力:P [W]
P
PWL  10 log 12
10
[dB ]
PWL⇒ 地震の場合の〝マグニチュード〟
SPL ⇒ 地震の場合の〝震度〟
【音源の強さと音の強さの関係】
r [m] :音源からの距離
P [W]
:音源の強さ(エネルギー)
J [W/m2]:音源からの距離 r 地点の音の強さ
A [m2] :音源の面積
点音源(point source)⇒球面波(spherical wave)
P
P
2
J

[W m ]
半自由空間
自由空間 J 
2
2
2

r
4r
線音源⇒円筒波(cylindrical wave)
P
自由空間 J 
2r
P
[W m m] 半自由空間 J 
r
2
面音源⇒平面進行波(plane wave) J 
P
[W m2 ]
A
[W m2 ]
[W m2 m]
PWL と SPL の関係
点音源
自由空間
PWL≒SPL  20 log r  10.99
半自由空間
PWL≒SPL  20 log r  7.98
線音源
自由空間
PWL≒SPL  10 log r  7.98
半自由空間
PWL≒SPL  10 log r  4.97
音源の音響出力と音圧レベルの例
音響出力 パワーレベル 音圧レベル(距離)
音
源
[W]
ジ ェ ッ ト 機
ニューマチックハンマー
ピ ア ノ
普 通 の 会 話
さ さ や き 声
10 4
1
2  10 2
2  10
10 9
5
PWL[dB]
SPL[dB]
160
109(100m)
120
109(1m)
103
92(1m)
73
62(1m)
30
19(1m)