瞑想という文化(2)

瞑想という文化(2)
原始仏教の世界観
• 霊魂が死後輪廻転生するのかどうかといった、
よくわからない問題には触れるのを避けた
(無記)
• 瞑想は今ここの自己を観察するための技法と
位置づけられる
• しかし仏教は長い間にインド的な輪廻転生の
観念をふたたび取り入れていった
輪廻と解脱の解釈
• 文字通りに受け取れば、解脱とは、輪廻転生
を繰り返す身体に自己を同一化するという錯
覚に気づき、輪廻のサイクルから脱出するこ
とを意味する
• しかし、輪廻転生という現象をある種の比喩
としてとらえ、解脱を、身体に束縛された表層
の自己に同一化するのをやめ、身体に束縛
されない深層の自己に同一化しなおすことで
あるとも考えられる
タイの仏教原理主義
• 19世紀、イギリス、フランスなどによるインド
シナ半島の植民地化が進む中、タイは再構
成された原始仏教を国教として民族主義と結
びつけた
• 輪廻転生の観念は引き継いでいるが、合理
的に再構成されており、またあまり形而上的
な議論を好まない
• 僧俗の往復が自由なので、無理がない
資料映像
『ブッダ(4)タイの僧院にて』(NHK)
『死生観の人類学(1)』(新宿スタジオ)
仏教の戒律(五戒と十戒)
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生き物を殺さない
盗まない
性行為を行わない
嘘をつかない
酒を飲まない
装身具や香水で身を飾らない
音楽や芸能を観たり聴いたりしない
快適なベッドで寝ない
午後は食事をしない
お金に触れない
戒律の意味
→たんに倫理的な要請だけでなく、
意識状態が変容しやすいような身
体的状態を作り出す要素も多い
原始仏教の基本的な考え方
無明(無知)
avijjā / avidyā
無常
anicca / anitya
観(ヴィパッサナー)
vipassanā / vipaśyanā
涅槃
nibbāna / nirvāna
上座部仏教=小乗仏教?
• 「小乗」=「小さな乗り物」→少数の人しか救
えない
• 戒律を守って瞑想修行を行えるのは一部の
エリート(通常は男性)のみ
• しかし、寺院は社会的な奉仕活動も行ってい
る
• 一般の人々は寺院や僧に寄進することで功
徳を積む→瞑想修行の代わりになる