社会からみた公務員への期待

社会からみた
公務員への期待
2009年5月20日
富沢木実
内 容

自己紹介と行政との係わり

公務員のイメージ・批判⇔期待

働き方へのメッセージ
委員会・研究会のメリット
・役所:業界団体だけでなく
広く情報収集
・参加者:情報交換→業界を
変えようという若手仲間
・民間では出来ない(高額の
 長銀調査部(繊維、自動車、情報通信、中小企
謝金がないと)
自己紹介と行政との係わり

業、地域経済など)→各種委員会(ドゥタンク・サロン)
郵政省電気通信局業務課(課長補佐)





電報認可、研究会(パソコン通信、新電話サービス、
住宅情報化など)
85年自由化→87.4~89.3(化石?)
道都大学経営学部教授
北海道知的クラスター創成事業・科学技術コー
ディネーター→文科省:地方自治体
補助金を受
法政大学大学院客員教授
ける側の悲
哀とさもしさ
電気通信事業紛争処理委員
正直、どう感じていますか?
民間企業に行った友人に比べこの仕事
を選んでシマッタ!と思っている。
1.

どんなところにそう感じますか?
正直、どう感じていますか?
入省する前に思っていた仕事のイメージ
とずいぶん違っている。
2.

どんなことが違っていましたか?
1.一般的な公務員のイメージ、
公務員への批判
(1)民間に比べ、恵まれた仕事(安定・高
給・楽)
(2)国民のためでなく、自分たちの利益
(省益)のために働いている
(3)公正・公平でなく、悪いことをしてい
る・特定企業等に利益誘導している
(4)エリート意識・見下した態度
〔良く知らない・期待の裏返し〕


マスコミの報道、一般人の認識
ネットなどのアンケート調査→結果はバラケ
ている→質問項目から世論が垣間見える


事件があった時
日常について良く知らない、一面的
(1)恵まれている
うらやましい⇔やっかみ





安定している(リストラ、倒産がない)
給料が高い
適当に仕事をして早く帰れる
子供には、公務員になれと言う
一生懸命勉強し、難しい試験を通ったのだから
当たり前ではある
【実態は?】


安定は確か
給料は大企業並み





中小・零細企業よりは高い
渡りにより生涯賃金は高い?
地方公務員との混同
サービス残業を考えると安い
早く帰れない

地方公務員との混同?
〔何故早く帰れないのか〕

国会待機


帰りにくい職場


長時間勤務が組織への献身の証?
効率が悪い


議員が悪い?
親方日の丸でコスト意識がない?
ムダな仕事がある

組織が仕事を作り出す、仕事を削減する意識がない、
権益を守る?→省益・官僚制に起因?
★タクシー相乗りで朝帰り
(2)国民のためでなく、自分たち
の利益のために働いている


「公共の仕事ができる」とこの仕事を
選んでいる (Ⅰ種合格新卒者:人事院)
「自分たちの利益」→個人というより
「省益」
0
20
40
60
公共のために仕事ができる
公共のために仕事ができる
専門知識が生かせる
68.2
29.9
専門知識が生かせる
性格・能力が適している性格・能力が適している
24.1
キャリア形成として有効である
キャリア形成として有効である
仕事にやりがいがある
80
12.4
72.2
仕事にやりがいがある
スケールの大きい仕事ができる
スケールの大きい仕事ができる
55.1
能力本位で実績が評価される 0.1
能力本位で実績が評価される
堅実で生活が安定している
堅実で生活が安定している
国民から尊敬される
国民から尊敬される
昇進等に将来性がある 昇進等に将来性がある
給与等の勤務条件が良い
給与等の勤務条件が良い
9.5
0.6
3.6
1.6
民間に比べて余裕が持てる
1.2
民間に比べて余裕が持てる
教授等に勧められた
教授等に勧められた
家族や先輩・友人に勧められた
家族や先輩・友人に勧められた
その他
その他
1.2
4.5
国家公務員になろうとした
主な理由は何ですか。
(三つ選択)
7.1
国家公務員採用Ⅰ種試験等に合格して新たに採用された職員672人(平成18年4月)
〔国益よりも省益で行動しがち〕

評価システムによる(目に見えない)?
★公務員として評価されるには



(省にメリットのある)法律を通す
外郭団体を作る(天下り先、使い勝手のよい
予算?)
予算を確保する(他省庁と類似の課・事業)
(3)公平・公正でなく悪いことを
している

不祥事発覚で信頼を裏切られたとガッカリ
国民に隠れて悪いことをしている
→横領など個人の倫理に基づくもの
 無責任
→不作為や責任の取り方など官僚制によるも
の
 政治家や企業と組んで利益を得ている
→収賄・供応、裏金づくりなど日本の政治・行
政システムによるもの

不祥事
便益例
事例
資材調達の選定への便宜
防衛庁
補助金交付への便宜
厚生省・特養ホーム
収賄(現金・株式)
査察日情報漏えい
農水省・ミートホープ
供応・接待
新製品等の申請への便宜
大蔵省・金融界
車・マンション購入
業界規制情報の提供
労働省・リクルート事件
再就職先提供
審議会委員への選任
文部省・リクルート事件
円滑な人間関係構築→将
来のメリット
政治家の圧力に押し
特定企業への便宜
切られる
郵政省・身体障害者郵便
横領
社保庁
裏金づくり
官官接待
外務省・機密費
不作為
厚生省・薬害エイズ、C型肝
炎
責任者不明確
社保庁
内部チェック体制の
甘さ
社保庁
一方で;
〔ルールを守る→官僚的に〕





杓子定規
前例主義
セクショナリズム
たらいまわし
責任回避


官僚制の特質
血縁によるつながりや感情的な結びつき
ではなく、合理的な規則に基づき、体系的
に配分された役割に従って人間の関係が
形成されている。







規制による規律
明確な権限
明確な階統構造 (上意下
達の指揮命令系統)
公私の分離
文書主義
資格任用制
専業制
お金の流れが一
方的である以上、
〔政治・行政システムの問題〕
変わらないので
はないか。

行政に広範な裁量権がある


政策決定過程の不透明さ
建設省

通産省
文科省


許認可、規制、行政指導、補助金、入札など
郵政省
法律制定や重要な政策決定過程を政治家で
(通信)
はなく行政官僚が担ってきた
厚労省
族議員と関係省庁の官僚との共闘
環境省
企業や自治体が収賄・供応してまで近づく
=「一流官庁」
電気通信分野の行政スタンス





原則自由化
競争環境を整える(パブコメしながら)
問題があれば紛争処理で解決
裁量権や政策決定過程の不透明さを無くす方向
裁量権をちらつかせることで「偉そうにする」行政
官僚(「一流官庁」)から卒業
(4)エリート意識で権威主義
-国民を見下した態度-

明治以来のお上意識が抜けない




明治憲法:「天皇の官吏」として、国政を主導し、国民を庇護する
立場
日本国憲法:国民主権の下、公務員の基本的位置付けが「全体
の奉仕者」に改められた
(3)の政治・行政システムにより自分が国を動か
しているとの意識
自負は必要
★電話応対が違うと言われた
★慇懃無礼
社会からみた公務員への期待
(1)うらやましい仕事→憧れの仕事
(2)公僕としての期待→ 省益や特定の
利害関係者のためではなく、国民の
ために働いてくれる
(3)公務員に信頼を寄せている→公正・
公平な仕事ぶり
(4)同じ目線で(国を良くするために)共
闘したい
〔公務員制度改革〕



幹部職員等の一元管理と内閣人事・行政管理局(仮称)
の設置
国家戦略スタッフ、政務スタッフ
多様で優秀な人材確保と能力・実績に応じた人事




新たな採用試験制度、公募・官民人材交流の推進、能力・実績
主義の徹底、定年延長等(天下り根絶)
労働基本権
省益の弊害をなくす、広く人材を活用、効率のよ
い仕事
国家公務員倫理法(1998年)
公務員制度改革で期待に応えら
れると思いますか?


中央集権的・お金が一方的なうちは、不祥
事はなくならない
国と地方の機能分担



世界の中の日本
国の形
官民による公
2.働き方へのメッセージ
(1)個人の力⇔組織の力
(2)包丁一本
(3)10年後、20年後・・
(4)「公」のために働く多様な選択肢
(1)個人の力⇔組織の力

誤解しない



「富沢さんの言われることなら何でも致します」
→私個人ではなく、組織の人だから。
一方で同じ組織の人でも、頼りになる人かどう
かを見ている。
組織の力は大きい
★会社が倒産した時嬉しかった
 折角なので、組織の力をフル活用すべき
(2)包丁一本

自分を売り込んで転職・キャリアアップ
★ほら吹きのようで嫌いだった



売り込める何かを持つ
売り込む力(営業力)
舞台をつくる力(プロデュース力)
(3)将来設計(自戒をこめて)




60歳になった時、どんな顔になりたいか
そのために、今何をするか
若い頃には、その日その日に追われる
漠然と同じ環境が続くと考えている



今の会社はずっと存在する
自分はいつまでも元気
フルに活動でき
家族はいつまでも元気
なくなる!
(4)新たな「公」

国交省の事業


「国がお金を配分」そもそも歪んでいる
時代の変化
若い時代:「社会福祉法」で「弱者」を保護
 成熟時代:誰もどこかしら「弱者」なのが普通
→村落共同体の時代には智恵があった?


新たな「公」の実現

どんな「公」を実現すべきか→設計と実行
閉塞感を感じているなら

「公共の仕事ができる」とこの仕事を選んでいる

しかしながら閉塞感を感じている職員も
(若手へのヒヤリング:内閣官房公務員制度改革推進室)




忙しすぎて時間的・精神的な余裕がない
当初の志とは異なり自分の仕事が国のために役立っていると
いう実感が持てない
政治主導の名の下に政策が歪められることがあり空しく感じ
る
専門性を高められずキャリアアップが図れない
「公」のために働く→多様な選択肢

国家公務員、政治家

これに加えて
市民、NPO・NGO、地方自治体、企業
 社会起業家


Theory of Change
もう一つの資金の流れ(格付け)
日本の場合、寄付・財団が少ない!
政策立案・プロデュース力




地方公務員(流すだけ)→地域経営力
住民(受けるだけ)→住民自治
国の形を整える人材
地方・地域で企画・実行する人材
ご清聴有難うございました
2.行政の仕事→適材適所
法律の下に、公共的な事務を執行・監督
1.


ルールに則り粛々と、間違いは許されない
電車の運行と同じ
政策の企画立案
2.


政策課題を決め、具体化
立案に必要な実務も必要
省庁の持つ機能

巨大なシンクタンク




膨大な情報蓄積
各分野に優秀な専門家
政策立案という刀を持つ:ドゥタンク
サロン(研究会)を主催することによる情報収集
力・世論形成力

課題発見・方策アイデア創出(業界団体→サロン)
★サロンの魅力(民間では難しい)
★サロンでの出会いがパワーに、知恵袋に