大脳辺縁系の構造

A7a神経科学
大脳辺縁系の構造
2008.10.10
7班
大谷大輔・熊澤高雄・武井玲生仁
濱中耕平・松浦祐史・山村健太郎
発表の相互関係
大脳辺縁系
情動
記憶
15班の発表内容
LTP
(長期増強)
7班の発表内容
シナプスの可塑性
大脳辺縁系の構造
構成要素
発生学的由来
線維結合
辺縁系の構成要素
辺縁系は辺縁葉および皮質下神経群からなる。
• 辺縁葉 limbic lobe
脳幹をとりまく皮質領域(Broca, 1878)
海馬体・海馬傍回・帯状回・中隔野など
• 皮質下神経群 subcortical nuclei
辺縁葉と解剖学的・機能的に深く関連する領域
扁桃体・中隔核・側坐核など
辺縁葉の由来
3層構造
6層構造
不等皮質
嗅覚系
等皮質
辺縁葉
大脳皮質
辺縁葉の構成要素
• 原始皮質由来=海馬体、終板傍回
• 中間皮質由来=海馬傍回、帯状回、梁下野
中隔野
梁下野 終板傍回
帯状回
海馬体
海馬傍回
皮質下神経群
• 扁桃体 amygdala
• 前脳基底部 basal forebrain
中隔核 septal nuclei
マイネルト基底核 nucleus basalis of Meynert
ブローカ対角束核 nucleus of diagonal band of Broca
• 腹側線条体 ventral striatum
側坐核 nucleus accumbens
嗅結節 olfactory tubercle
視床下部との連絡
脳弓 fornix
海馬体と乳頭体を結ぶ線維束
分界条 stria terminalis
扁桃体と視床下部を結ぶ線維束
辺縁系構成要素の位置関係
扁桃体
Amygdala
海馬体
Hippocampal
Formation
脳弓
Fornix
中隔核
Septal Nuclei
乳頭体
Mamillary
Body
視床前核群
Anterior
Nuclei of
Thalamus
分界条
Stria
Terminalis
扁桃体
• 原始線条体
• 情動に基づく体性/内臓機能の調節
• Klüver-Bucy症候群(扁桃体の破壊症状)
感覚刺激の意味認知、価値評価の障害
情動行動発現の障害
情動に基づく自律神経反応の障害
精神盲、情動反応の低下、性行動の亢進など
扁桃体への入力
大
脳
新
皮
質
(
感
覚
領
野
)
側
頭
葉
極
部
視床下部
脳幹
視床
背内側核
中隔核
扁桃体
海馬体
嗅覚系
扁桃体における処理と出力
帯状回
大
脳
新
皮
質
(
感
覚
領
野
)
側
頭
葉
極
部
中隔核
Yakovlev
Circuit
視床下部
脳幹
視床
背内側核
腹側扁桃体
視床下部路
扁桃体
側坐核
海馬体
視床下部・脳幹への投射には2通りある。
分
界
条
海馬体の構造
• 海馬 hippocampus(アンモン角 Ammon’s horn)
海馬台側から歯状回側に向かってCA1~4に分類される。
6層構造(海馬白板・上昇層・錐体細胞層・透明層・放射状層・網状分子層)
• 歯状回 dentate gyrus
嗅内野から求心性の入力を受ける。
3層構造(分子層・顆粒細胞層・多形細胞層)
• 海馬台(海馬支脚) subiculum
傍支脚 parasubiculum
前支脚 presubiculum
(固有)支脚 subiculum proper
後支脚 postsubiculum
海馬と歯状回の層構造
➀海馬白板 alveus
②上昇層 stria oriens
③錐体細胞層 stria pyramidale
④透明層 stria lucidum
⑤放射状層 stria radiata
⑥網状分子層
stria lacunosum-moleculare
➊分子層 stria moleculare
➋顆粒細胞層 stria granulare
➌多形細胞層 stria multifome
海馬
⑤⑥
③④
②
①
歯状回
➌
➋
➊
海馬体の線維結合
大脳新皮質
乳頭体
中隔核
海馬傍回後部
CA1
脳
弓
シェファー側枝
海馬台
CA3
嗅内野
海馬采
苔状線維
歯状回
貫通線維
パペツ回路(Papez circuit)
帯状回
視床
前核群
脳
弓
乳頭体
• 情動回路として提示される(1937)
• 現在では長期記憶の形成に関わる
回路だと考えられている
海馬体
嗅内野
海馬傍回後部
辺縁系のネットワーク
帯状回
大
脳
新
皮
質
(
感
覚
領
野
)
側
頭
葉
極
部
中隔核
視床
前核群
視床下部
脳幹
乳頭体
扁桃体
側坐核
嗅覚系
視床
背内側核
海馬体
嗅内野
海馬傍回後部
まとめ
• 辺縁系は原始皮質・中間皮質に由来する辺縁葉と、関連領
域としての皮質下神経群からなり、辺縁系内および新皮質・
視床・視床下部・脳幹などとの間に扁桃体・海馬体を中心と
した複雑なネットワークを形成している。
• 情動の発現に直接関わるのは視床下部・脳幹であり、扁桃
体の神経回路は新皮質からの入力を処理して視床下部・脳
幹に伝えることで間接的ながら重要な役割を果たしている。
• 海馬体には嗅内野を介して全ての大脳皮質連合野から入力
があり、海馬体の神経回路は事象を再現するための各連合
野の活動状況を一時的に蓄えておくことができる。