天文教育と科学的素養 - 天文教育普及研究会

天文教育と科学的素養
ごしま
五 島 正 光
(巣鴨中学高校)
2005/11/20
天文教育普及研究会関東支部
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要 旨
1.天文教育の意義について、理科教育全体の
文脈において検討する必要がある
2.科学的素養(Scientific Literacy)がキーワード
3.理科教育の目的と科学的素養
4.「科学の鑑賞」としての天文教育
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1.天文教育の意義と理科教育

本研究会では学習指導要領の改訂の度に議
論を重ねてきた。

しかし、天文教育の系統性は改訂のたびに
失われてきた。

他の分野をも納得させるには、
天文教育の意義について、
どのように説明したらいいのだろうか。
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2.科学的素養Scientific Literacy

生徒の学習到達度調査(PISA)
2006年調査の主要領域

自然界及び人間の活動によって起こる自然
界の変化について理解し、意思決定するため
に、科学的知識を使用し、課題を明確にし、
証拠に基づく結論を導き出す能力である。
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科学的素養の歴史

1958年 Paul D.Hurdが初めて用いた
1966年 Pella,M.O.他による構成要素
1971年 NSTA 理科教育の目標
1982年 NSTA STSを標榜
1985年~ AAASのプロジェクト2061
1996年~ 全米理科教育基準
1997年~ 生徒の学習到達度調査(PISA)

1996年 第15期中央教育審議会第1次答申

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科学的素養の構成要素(ペラ他,1966)
概念的知識
科学の本性
科学の倫理
科学を構成する主要な概念,概念体系あるいは概念
科学的探究の方法論的側面
科学のもつ価値基準,すなわち科学的探究における科学者
の行動規範.我が国では通常,科学的態度または科学的精神と呼ばれるものに
ほぼ相当する
科学と人文
科学と哲学,文学,芸術,宗教など,文化的諸要素との関係.
科学と文化でもよい
科学と社会
科学と技術
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科学と政治,経済,産業など,社会の諸側面との関係
科学と技術との関係および差異
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3.理科教育目的論の類型大髙泉(1991)
実用的な科学的知識の伝達と実利的功利的科学観
日常生活や職業生活を営んだり,国家の産業を発展させたりするときに,役に立
つ自然科学の知識の伝達に重点をおく.
専門的科学能力の育成と探究としての科学観
自然科学の知識・概念を獲得する科学的探究の過程を重視し,生徒自身を新し
い知識を求める科学の探究者とみなす.
科学の鑑賞と文化としての科学観
自然を科学的に理解することの意味や自然科学のもつ統一性と美しさについて
鑑賞する.
狭義の科学論的理解と自然の一つの観方としての
科学観
科学の認識論的側面についての理解を目指す.
広義の科学論的理解にもとづく社会的能力の育成と
社会的存在としての科学観
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目意的の類型と科学的素養鶴岡義彦(1998)
実用的な科学的知識の伝達
【概念的知識】
専門的科学能力の育成
【概念的知識,科学の本性,科学の倫理】
科学の鑑賞
【概念的知識,科学と文化】
狭義の科学論的理解
【科学の本性,科学の倫理】
広義の科学論的理解に基づく社会的能力の育成
【科学と文化,科学と社会,科学と技術】
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4.天文教育は「科学の鑑賞」に意義
‐会誌から(1)

大宇宙の構造,醍醐味,知性.小さな人間が
宇宙全体を知る.(斎藤浩,1990)
宇宙を知ることは人間の財産であり,究極の
エンターテイメント産業である.疑問を持つこ
とは答を示すことよりも大切なことであるから,
天文教育・普及の目的は天文学への貢献と
いうだけではなく,人類がどれだけ文明を続
けることができるかを問う大切な使命がある.
(高橋淳,1991)
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‐会誌から(2)
「宇宙を知る」,「宇宙的世界観をもつ」ことは
人類の未来にとって非常に重要なこと.
[森本雅樹(高橋淳,1991)]

宇宙観,世界観,人生観の形成,時空概念
の獲得など.(鈴木,1993)

宇宙観,人生観 「自分はなぜここに存在す
るのか(空間的・時間的認識)」
[水野孝雄(奥田,1994)]
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「科学の鑑賞」としての意義

天文学は,古代バビロニアにすでに学問とし
ての性格をみることができる.

世界観・宇宙観といった精神世界につながる
ものである.

今日でも宇宙は未知のものであり,また不思
議や畏怖を感じるものである.

文学,SFやアニメのテーマとして多くのもの
が宇宙を舞台に作製されている.
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特に、新しい天文教育の意義


新天体の発見や変光星の観測についてのアマチュ
ア天文家の貢献も小さくない.
他の科学分野に比べて,専門家でなくとも科学するこ
とを味わうことが可能な分野である.

専門家と同様の研究活動を高校生が行うことが可
能になりつつある.しかも専門家の支援の下で.

天文学の教育的価値として,従来の科学的知識を
知る楽しみや科学の方法を行う楽しみに,科学者そ
のものを味わう楽しみを加えることができる.
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今後の課題

天文教育の「科学の鑑賞」としての側面につ
いて考察を深める。

天文の授業や天文教室で、子供たちが身に
つける科学的素養を分析する。
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