甲南大学 経済学部 ガス事業の制度改革 平成13年10月23日 大阪ガス(株) 企画部 井上 雅之 講座 本日の内容 1.ガス体エネルギー事業の概要 2.一般ガス事業制度改革の概要 (1)一般ガス事業法の改正(94) (2)一般ガス事業法の改正(99) (3)今後の制度改革 3.海外の状況 (1)長距離パイプラインの整備状況 (2)北米の状況 (3)EUの状況 1.ガス体エネルギー事業の概要 1.ガス体エネルギー事業の概要 <ガス体エネルギーの分類とその概要> 需要家数 事業者数 日本での 供給面積 規制 都市ガス 一般ガス 簡易ガス 2,507 188 (万戸) (万戸) (参考) 電力 LPガス 2,500 (万戸) 7,774 (万戸) 1,800 (社) 29,000 (社) 10 (社) --- --- 100% 事業、料金、 事業、料金、 保安 保安 販売 (保安中心) 事業、料金、 保安 238 (社) 5% 日本ガス協会「ガス事業便覧(H11)」、石油通信社版 「H11 石油資 料」 <LNGチェーン> 熱量調整 ガス田 (油田) 液化基地 LNG タンカー 受入基地 球形ホルダー 都市ガス 火力発電 分離 ・LNG ・LPG ・コンデンセート 気 化 <わが国の天然ガス関連インフラ> 石油資源開発 新潟~仙台パイプライン 秋田天然ガス 輸送パイプライン 新潟 LNG ) (日暴海___ 帝国石油 パイプライン 仙台 (仙台市ガス) 東邦ガス 幹線網 石油資源開発 勇払~札幌パイプライン 柳井 (中国電力) 東京ガス 幹線網 敦賀 (大阪ガス) 東扇島 (東京電力) 大阪ガス 幹線網 広島 (広島ガス) 袖ヶ浦(東京電力、東京ガス) 戸畑 (北九州LNG) 富津 (東京電力) 扇島 根岸 (東京ガス) (東京電力、東京ガス) 清水 (静岡ガス) 福岡 (西部ガス) ● 稼働中 ○ 建設中、計画中 鹿児島 (日暴ガス)___ 泉北 I&II 和歌山 (大阪ガス) (関西電力) 姫路(関西電力、大阪ガス) 大分 (大分 LNG) 四日市 (東邦ガス) 四日市LNGセンター (中部電力) 知多共同 (中部電力、東邦ガス) 知多 (知多 LNG) 知多緑浜 (建設中 ) (東邦ガス) 川越 (中部電力) <LNGと国産天然ガス消費量の推移> 輸入LNGの70% 火力発電電力量の 57% 全発電電力量の 29% 千トン 50,000 45,000 40,000 35,000 電力 都市ガス 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 国産天然 ガス 5,000 0 都市ガスの 84% 1975 1980 1985 1990 1995 1997 1.ガス体エネルギー事業の概要 <簡易ガス事業の製造・供給プロセス> 簡易なガス発生設備によりガスを発生させ、導管によりガス供 給をする事業で、一つの団地内の供給地点数が70以上のもの 1.ガス体エネルギー事業の概要 <LPガス事業の供給プロセス> 2.一般ガス事業制度改革の概要 2.一般ガス事業制度改革の概要 <規制理念の推移> 参入規制 94年改正 ・独占の一部排除 (大口供給制度の創設) 99年改正 ・ネットワークの一部 オープンアクセス化 (接続供給制度の創 設) ・独占の排除拡大 料金規制 ・規制料金は 総括原価主義 ・大口は自由料金 公平・透明性向上 ・自主的な情報公開 ・規制料金の ・説明責任の明確化 総括原価主義緩和 (料金届出制の創設) ・規制ルールの ・接続供給料金の 明確化・公表化 原価主義規制 (大口供給範囲の拡大) 今後の課題 ・自由化範囲の 更なる拡大 ・インセンティブ料金 ・ルール運用の厳格化 2.一般ガス事業制度改革の概要 (1)一般ガス事業法の改正(94) 2.一般ガス事業制度改革の概要 (1)一般ガス事業法の改正(94) <基本理念> 国内産業の空洞化対策の一環として、低廉な公共料金の 実現(内外価格差の縮小の実現)が求められた 参入規制の緩和 経営の効率化の促進 料金制度の透明性の向上と適切な情報公開 (2)参入規制の見直し ①大口需要家の範囲の拡大 <95年以前の規制> 一般ガス事業者 供給区域内 認 可 料 金 大口需要 一般ガス事業者の供給区域内における認可料金による供給のみ可能 <95年3月 規制緩和後> 一般ガス事業者A 供給区域内 価 格原 設則 定と し にて よ自 る由 供な 給 大口需要 一般ガス事業者B 他 供の 給一 区般 域ガ 内ス へ事 の 供業 給者 の (許可) (許可) (許可) 大口需要 (届出) 供 給 区 域 外 へ の 供 給 一般ガス事業者以外の者 C ・一般ガス事業者の区域外大口供給が可能に ・一般ガス事業者以外の者(大口ガス事業者)による供給区域内、 供給区域外(白地地区)への大口供給が可能に <99年11月 改正ガス事業法施行> ・大口供給範囲を年間契約数量200万m3以上から100万m3以上に拡大 ◆一般ガス事業者による区域外大口供給 ◇一般ガス事業者による区域外大口供給 形態 供給者 一 般 ガ ス 東京ガス 事業者の 供給区域 内 日本ガス 一 般 ガ ス 幸手都市ガス 事 業 者 の 大阪ガス 供 給 区 域 東武ガス 外 東邦ガス 北海道ガス 東京ガス 供給先 大日本印刷久喜工場 (久喜都市ガス*の供給区域内) 資生堂ファイントイレタリー事業部久喜工場 (新日本ガスの供給区域内) ホテル京セラ (国分隼人ガスの供給区域内) 京セラ鹿児島国分工場 (南日本ガスの供給区域内) 凸版印刷幸手工場 大日本印刷建材神戸工場 北海製罐岩槻工場 エーザイ川島工場 永田農場千歳 おさつフロンティアファーム コニカ甲府事業場 アサヒビール神奈川工場 富士ゼロックス竹松事業所 富士写真フィルム足利工場 供給量 660 万m3 供給開始(#は予定) 平成 8 年 5 月 240 万m3 平成 12 年 8 月 200 万m3 平成 12 年 4 月 250 万m3 平成 12 年 11 月 241 万m3 450 万m3 520 万m3 930 万m3 200 万m3 200 万m3 170 万m3 1,502 万m3 150 万m3 3,103 万m3 平成 7 年 12 月 平成 9 年 12 月 平成 9 年 11 月 平成 12 年 8 月 平成 12 年 10 月 平成 12 年 10 月 平成 13 年 9 月 平成 15 年 10 月# 平成 16 年 1 月# 平成 16 年 4 月# ◆一般ガス事業者以外のものによる大口供給 ◇一般ガス事業者以外のものによる大口供給 形態 一般ガス 事業者の 供給区域 内 供給者 帝国石油 東北天然ガス* 新日本製鐵 八幡製作所 石油資源開発 大同ほくさん** 関西電力 中部電力 一般ガス 事業者の 供給区域 外 石油資源開発 大同ほくさん** 供給先 松下電子工業新井工場 (新井市ガス水道課の供給区域内) ソニー仙台テクノロジーセンター (仙台市ガス局の供給区域内) サッポロビール仙台工場 (仙台市ガス局の供給区域内) 三菱化学黒崎事業所 (西部ガスの供給区域内) 北九州市新皇后崎工場 (西部ガスの供給区域内《接続供給》 ) 北越製紙新潟工場 (北陸ガスの供給区域内) キッコーマン千歳工場 (北海道ガスの供給区域内) 田中製餡北海道工場 (北海道ガスの供給区域内) 日本赤十字社血漿分画センター (北海道ガスの供給区域内) 三菱重工業高砂製作所 (大阪ガスの供給区域内《接続供給》 ) 協和油化四日市工場 (合同ガスの供給区域内) 清水鋼鐵苫小牧製鋼所 トヨタ自動車苫小牧工場 バイファ 供給量 1,032 万m3 供給開始(#は予定) 平成 8 年 6 月 1,012 万m3 平成 9 年 12 月 620 万m3 平成 14 年 10 月# 9,455 万m3 平成 9 年 11 月 1,802 万m3 平成 10 年 2 月 2,698 万m3 平成 11 年 6 月 110 万m3 平成 12 年 8 月 140 万m3 平成 12 年 8 月 120 万m3 平成 13 年 5 月# 12,012 万m3 平成 14 年 4 月# 1,300 万m3 平成 14 年 4 月# 200 万m3 500 万m3 2,000 万m3 平成 9 年 7 月 平成 14 年 1 月# 平成 11 年 4 月 370 万m3 平成 10 年 10 月 (北海道ガスの供給が見込まれる地域***) 東北天然ガス* TDF宮城工場 2.一般ガス事業制度改革の概要 (1)一般ガス事業法の改正(94) <参入規制の緩和(大口供給制度の創設)> 価格交渉力の有る大口需要家需要家(年間契約使用量200万 m3超)に対する、参入規制、料金規制を撤廃し、自由化 大口供給制度の影響 自由化 36.5% 大手都市ガス3社(大阪ガス、東京ガ ス、東邦ガス)の98年時点データより 2.一般ガス事業制度改革の概要 (1)一般ガス事業法の改正(94) <インセンティブ規制の導入(経営効率化の促進)> ヤードスティック方式の導入 事業条件の類似性を勘案して事業者をグルーピ ングし、グループ内で設備費、経費などを比較し、 原価査定に格差をつけることで擬似競争を促進 する方法 2.一般ガス事業制度改革の概要 (1)一般ガス事業法の改正(94) <料金制度の透明性の向上と適切な情報公開> ガス事業者の取り組み • 経営効率化目標の公表 • 経営効率化目標の達成度の公表 • 定期的評価の結果の公表 規制当局の取り組み • (ヤードスティックの)グルーピング内容の公表 • 査定結果の公表 2.一般ガス事業制度改革の概要 (2)一般ガス事業法の改正(99) 2.一般ガス事業制度改革の概要 (2)一般ガス事業法の改正(99) <基本理念> • • • • より開かれたガス市場の構築(ガス市場整備) お客さま利益の増進・ガス供給者選択機会の拡大と競争原理の導入 ガス供給者の経営自主性の尊重 行政関与・規制の必要最小限化・重点化 料金制度の見直し (企業活力、インセンティブ) 大口供給範囲の拡大と接続供給制度の導入 (大口市場での競争促進) 行政関与・規制の必要最小限化・重点化 (事後監視・ルール遵守型規制) 2.一般ガス事業制度改革の概要 (2)一般ガス事業法の改正(99) <料金制度の見直し> 規制料金 ・事業の自主性尊重 ・お客さまの選択肢の拡大 ・迅速な手続き 供給約款 選択約款 2 選択約款 3 選択約款 1 ・供給約款...全ての顧客に適用される供給 料金・供給条件 ・選択約款...事業者の効率的な事業運営に 役立つ供給料金・供給条件であり、需要家が 供給約款との間で選択可能なもの ・供給約款...値下げ時は届出 値上げ時は認可 ・選択約款...全て届出 総括原価主義の緩和 「事前規制、行政裁量型規制」から、 「事後規制、ルール遵守型の規制」 への転換 2.一般ガス事業制度改革の概要 (2)一般ガス事業法の改正(99) <大口供給範囲の拡大と接続供給制度導入> 参入規制、料金規制を撤廃し、自由化する範囲を年間契 約使用量100万m3まで拡大すると共に、接続供給約款 の作成・公表を義務化 大口供給制度見直しの影響 自由化 40.5% (← 36. 5%) 大手都市ガス3社(大阪ガス、東京ガス、 東邦ガス)の98年時点データより 2.一般ガス事業制度改革の概要 (2)一般ガス事業法の改正(99) <接続供給(導管ネットワークのオープンアクセス化)> 大口需要 大口ガス事業者 (新規参入者) 指定一般ガス事業者(東京・ 大阪・東邦・西部ガス)製造所 (ガスの受 入) ネットワークの オープンアクセス化 (ガスの払出) 一般ガス事業者による 接続供給(託送) 小口需要 2.一般ガス事業制度改革の概要 (2)一般ガス事業法の改正(99) <行政手続きの簡素化> ・供給約款・・・値下げ時は届出、値上げ時は認可 選択約款・・・ すべて届出 監督者が不適当であると判断した場合 監督者による改善命令の発動 ・ガス工作物(ガス発生設備やホルダー、輸送導管な ど)の軽微な変更は、従来の認可制から届出制へ移 行 2.一般ガス事業制度改革の概要 (3)今後の制度改革 2.一般ガス事業制度改革の概要 (3)今後の制度改革 <改正ガス事業法 施行3年後のフォーローアップ> 総合エネルギー調査会(通産相の諮問機関) 都市熱エネルギー部会報告書(99年2月) 改正ガス事業法の施行(99年11月)後概ね3年を目途に ① 新制度による成果等のフォローアップ ② ガス事業のみならずガス体エネルギー産業全体の 制度改革・構造改革に向けた更なるアプローチ にて、更なる制度改革を実施 2.一般ガス事業制度改革の概要 (3)今後の制度改革 <制度改革の視点(消費者保護と競争導入政策の視点)> ◆ガス事業者の果たしている公益 ・安定供給(エネルギーセキュリティー) ・信頼性の高いサービス提供、高度の保安確保 ・供給責任(ユニバーサルサービス・ラストリゾート) ◆効率の向上 ・参入規制緩和(自由化・オープンアクセス範囲拡大) ・料金規制緩和(インセンティブ料金) ◆透明性の向上 2.一般ガス事業制度改革の概要 (3)今後の制度改革(参考) ガス市場整備基本問題研究会 (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長と 同庁資源・燃料部長の私的研究会) ガス体エネルギーを巡る環境の変化 ○一次エネルギーにおける天然ガスの役割の増大 ○ガス体エネルギーに関する新たな技術開発の進展 ○エネルギー間の垣根の低下、競争の活性化 ○国際的な議論の進展とグローバル・ビジネスの展開 ○政府の役割の変化 2.一般ガス事業制度改革の概要 (3)今後の制度改革(参考) ガス市場整備基本問題研究会 現行のガス規制の状況と評価 ○大口分野における小売自由化、接続供給制度により、ガ スを巡ってさまざまな企業活動が徐々に活性化 ○高コスト構造の是正していく一層の努力が不可欠 ○現行のガス市場のフレームワーク(1954年制定)は、時 代の変化と新たなニーズに十分対応できていないので はないか 2.一般ガス事業制度改革の概要 (3)今後の制度改革(参考) ガス市場整備基本問題研究会 今後のガス市場構造改革の進め方 ○制度の抜本的検討を行い、21世紀のガス市場の基盤と なる新たな制度を構築 ○具体的には ①中期的なフレームワークを白地で描く ②そこに至る制度改革のステップを検討する ○ガス・チェーン(ガス貯蔵・気化、パイプライン輸送、ガス 卸、小売等)の各段階での規制の在り方を検討 2.一般ガス事業制度改革の概要 (3)今後の制度改革(参考) ガス市場整備基本問題研究会 検討のスケジュール ○改正ガス事業法施行 1999年11月 → 「3年後」 2002年11月 ○石油審議会天然ガス小委員会での議論 2000年9月~2001年初頭 → ・天然ガスの位置付け ・天然ガス政策の基本的な方向 ○今後の検討 2001年初頭~ 4.海外の状況 (1)長距離パイプライン整備状況 4.海外の状況 (1)長距離パイプライン整備状況 <アメリカ> 4.海外の状況 (1)長距離パイプライン整備状況 <ヨーロッパ> 4.海外の状況 (2)米国の状況 4.海外の状況 (2)米国の状況 <米国天然ガス産業の規制緩和の流れ(連邦規制)> 1930~ 長距離パイプラインの建設 1938 天然ガス法:井戸元価格規制 →井戸元価格を低価格に抑制 →生産意欲の低下、需要増加 1973 オイルショック→石油価格の高騰→ガスへのシフト 1976 異常寒波→ガス供給不足→工場・学校が閉鎖 1978 天然ガス政策法:井戸元価格の段階的撤廃(~1989) →井戸元価格上昇→生産意欲増大 4.海外の状況 (2)米国の状況 <米国天然ガス産業の規制緩和の流れ(連邦規制)> 1980~81 供給過剰(ガスバブル)発生 →生産地に低価格ガス出現 ガスの市場価格の高止まりへの不満、 州際PL開放圧力への高まり →大口顧客が生産者から直接購入開始 1985 FERC(連邦規制委員会)オーダー436:州際パイプライン の無差別開放義務付け 1992 FERCオーダー636:州際パイプラインの輸送と 販売の分離(アンバンドリング) 4.海外の状況 (2)米国の状況 <米国天然ガス産業の概要> 生産者 パイプライン会社 配給会社 (約5,000 社) (輸送のみ:約300社) (輸送) 大口需要家 LDC マーケター、ブローカー (約200社~250社) (販売) 小口需要家 天然ガスの市場規模 年間生産量:5,405億m3 年間消費量(含発電用):6,170億m3(日本746億m3 ) 顧客数:家庭用5,500万件、商業用460万件、産業用18万件 出典:BP統計2000、Gas Facts 1999 4.海外の状況 (2)米国の状況 <米国天然ガス産業の概要> 4.海外の状況 (2)米国の状況 <進行州の取組例(米国 ジョージア州)> 1997. 3 9 州議会 小売自由化プログラム法制化 州公益事業委員会(PSC)自由化過程 に関する規制発表 1998. 7 PSC AGL(地元ガス会社 Atlanta Gas Light)社のマーケティング 子会社に対してAGL名称の使用不許可 マーケッター登録締め切り(21社登録) 11 自由化プログラム開始 12~1 AGL社新料金請求に基づく顧客間の混乱、不信が顕著化 1999. 8 マーケッターを選択しない顧客への無作為割り当て開始 10 シェア3位マーケッターのPeachtree社破産申請(Shell社が引継ぎ) 2000. 7 マーケッター Titan社破産申請(Energy America社が引継ぎ) 4.海外の状況 (2)米国の状況 <進行州の取組例(米国 ジョージア州)> 生産者 パイプライン 会社 LDC (輸送のみ) 輸送のみ マーケター マーケター マーケター ブローカー マーケター マーケター 大口需要家 小口需要家 4.海外の状況 (2)米国の状況 <進行州の取組例(米国 ジョージア州)> 自由化の評価 メリット ・価格低下 ・供給者選択の自由 ・新たな料金サービスの提供 ・顧客サービスの向上 ・創造的商品群の提供 デメリット ・マーケッターの料金請求業務の遅れによる混乱 ・スラミング問題 ・州の規制強化 4.海外の状況 (2)米国の状況<昨年冬の価格高騰> 60 ドル/MMBtu 2000年12月カリフォルニア州天然ガス価格上昇 50 40 カリフォルニア州天然ガス 価格推移(州境スポット価格) カリフォルニア州 CA州際価格(Topock) New York 30 Henry Hub 20 NY州 10 井戸元価格 0 6月 7月 8月 9月 10月 11/3 11/10 11/17 11/24 12/1 12/8 12/11 JGA資料 12/12 12/13 4.海外の状況 (2)米国の状況<昨年冬の価格高騰> $/MMBTU 米国ガス価格の推移 (ヘンリーハブ) ヘンリーハブ価格 1998-1999年平均 $2.17 4.海外の状況 (3)EUの状況 4.海外の状況 (3)EUの状況 <EUガス指令> ガス指令は1988年6月22日に承認され、パイプライン保有者 にパイプラインへのアクセス(TPA:Third Party Access)を可 能にするよう法整備とルール化を義務づけた。 ・2000年8月10日までに、同一敷地内で年間2,500万m3 消費する需要家とガス焚き発電設備を対象とし、国 内市場の20%以上を開放する。 ・2003年までに、その対象を1,500万m3に引き下げ、市 場の28%以上を開放する。 ・2008年までに、500万m3以上を対象にし、市場の33% 以上を開放する。 4.海外の状況 (3)EUの状況 <EUガス指令> ・加盟国は国内法を整備することを、義務づけられている ・加盟国が競争を導入・規制する方法については規定していない ・加盟国は、「規制型TPA」または「交渉型TPA」を選択する ・特定の状況の下では、開放アクセス要件の適用を免れる ◆ 75%を上回るガス供給を外部からの単一供給元に依存している場合 ◆ 容量不足やアクセスを受け入れることで 「公共サービス義務」が実施 できなくなる場合 ◆ テイクオアペイ契約を受け入れたために厳しい財政難に陥っている場合 ・内部補助や需要家グループ間の差別を防ぐため、会計の分離を 義務づけている。 4.海外の状況 (3)EUの状況 <ガス市場開放進捗状況(2000.8) > 市場開放 国内法制定 輸送部門 分離 TPA制度 互恵条項 最低20% 2000.8.10まで 会計 規制、交渉、混合 可能性 オーストリア ベルギー デンマーク フィンランド フランス ドイツ アイルランド イタリア 49% 47% 30% 90% 20% 100% 75% 96% 2000年7月可決 1999年4月可決 2000年5月可決 2000年5月可決 早くて2000年末 早くて2000年末 1995年可決 2000年5月可決 会計 会計 会計 会計 会計 会計 会計 規制 交渉 混合 混合 混合 交渉 規制 規制 有り 有り 有り 無し 無し 有り 無し 有り ルクセンブルク オランダ スペイン 51% 45% 67% 早くて2000年10月 2000年7月可決 1998年可決 法定分離 規制 混合 規制 有り 有り 有り スウェーデン 英国 EU 47% 100% 78% 2000年7月可決 1998年可決 会計 所有権 規制 規制 有り 無し ガス指令 法定分離 会計 会計 4.海外の状況 (3)EUの状況 <英国天然ガス産業の規制緩和の流れ> 1948年以前:市営・私営のガス会社が全国に約1000社 1948年 :中央ガス局の下に12の地域ガス局 (Gas Board) 1960年代 :英国領北海で天然ガス発見。以後、ガス事業が 飛躍的に拡大 1972年 :国営British Gas Corporation設立 ガス規制機関Ofgas(Office of Gas Supply)設置 1986年 :BGの民営化、独立ガス販売会社の誕生 4.海外の状況 (3)EUの状況 <英国天然ガス産業の規制緩和の流れ> 1995年 :「95年ガス法」でBGの販売と輸送の完全分離を成文化 ガス輸送事業ライセンス、ガス供給事業ライセンス、 導管使用(シッパー ライセンス)を義務付け 1996年 :家庭用市場自由化開始 1997年 :BGを輸送会社BGplcとガス販売会社Centricaの 2社に分割(demerger) 1998年 :全ガス市場の自由化完了 http://www.ofgem.gov.uk/ より Gas As of 30 June 2001, 6.34 million customers had switched away from the monopoly supplier Centrica, equivalent to 32.0% of the Great Britain total. http://www.ofgem.gov.uk/ より Electricity • As of 15 June 2001, 7.81 million customers had switched away from monopoly suppliers, equivalent to 27.4% of the Great Britain total. 4.海外の状況 (3)EUの状況 <英国天然ガス産業の概要> 生産会社 販売会社 (約30社) (約60社) 需要家 → 輸送会社(Transco他)による託送 → 天然ガスの市場規模 年間生産量:897億m3 年間消費量(含発電用):916億m3 (日本746億m3) 顧客数:家庭用1,880万件、業務用54万件 出典:BP統計2000
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