韓国~改正化学品規制の最新動向

韓国における化学物質管理制度
2005年5月 10 日
Safe Chemicals Co.,Ltd.
目次
Ⅰ.韓国の化学物質市場の現況
Ⅱ.韓国における化学物質関連法
Ⅲ.有害化学物質管理法
Ⅳ.産業安全保健法
Ⅴ.その他の化学物質関連法上のイッシュ
Ⅰ.韓国の化学物質市場の現況
1.化学産業と製造業
(単位:10億US$)
年度
総生産額
(A)
化学工業
(B)
(精密化学
比重%)
%
(B/A)
1999
2000
2001
2002
436.1
513.5
530.7
576.5
59.7
70.5
74.1
80.4
24.5
25.5
25.6
24.8
13.7
13.7
14.0
14.0
注:産業資源白書(産業資源部発行:2004)
Ⅰ.韓国の化学物質市場の現況
2.精密化学物質
- 染料及び顔料
ー 農薬
ー 塗料及びインク
ー 医薬品
- 界面活性剤
ー 化粧品
ー フィルム加工化学物質
ー その他
Ⅰ.韓国の化学物質市場の現況
3.精密化学製品の製造と輸入
(単位:10億US$)
年度
区分
合
計
’98
’99
’00
’01
‘02
増加率(%)
‘01-’02 ‘90-’02
M
15.2 14.6 16.1 19.0 19.9
5.0
9.8
I
4.6
8.4
13.4
4.5
5.0
5.9
6.4
* M:製造;
I:輸入
注:産業資源白書(産業資源部発行:2004)
Ⅱ.韓国における化学物質関連法
区分
関連法律
担当官庁
火災や爆発の
恐れのある物
危険物安全管理法
行政自治部
農薬
農薬管理法
農林部
高圧ガス
高圧ガス安全管理法
産業資源部
医薬品
薬事法
保健福祉部
食品添加物
食品衛生法
保健福祉部
化粧品
化粧品法
保健福祉部
Ⅱ.韓国における化学物質関連法
区分
関連法律
担当官庁
火薬
銃砲、刀剣
火薬類等の取締法
行政自治部
放射能物質
原子力法
科学技術部
オゾン層保護のための
オゾン層の破壊物質
特定物質の製造規制等に
(CFC等)
関する法律
産業資源部
有害物質
(健康・環境)
有害化学物質
管理法
環境部
有害物質
(作業者保健)
産業安全保健法
労働部
Ⅱ.韓国における化学物質関連法
区分
関連法律
担当官庁
環境汚染物質
水質環境保全法
大気環境保全法
廃棄物管理法
土壌環境管理法
環境部
Ⅲ.有害化学物質管理法
- 有害化学物質管理法:
· 制定 : 1990. 2.
· 最終改正 : 2004.12.31
- 有害化学物質管理法の施行令
· 最終改正 : 2002. 10. 1
- 有害化学物質管理法の施行規則
· 最終改正: 2002.12. 26
Ⅲ.有害化学物質管理法
1. 目的及び定義
- 人の健康及び環境上の危害の予防
- 化学物質の定義
1)元素
2)元素又は化合物に人為的に反応を起こさせて
得られた物質
3)天然状態で生じた物質を抽出又は精製して
得られた物質
Ⅲ.有害化学物質管理法
2. 有害化学物質の定義:
· 取扱制限有毒物 : 人の健康又は環境に与える有害性が非常に
大きいと認められた物質(59種)
(禁止又は制限あり/営業許可要求)
· 有毒物 :人の健康又は環境に危害を与える有害性がある物質
(555種)(営業登録/輸入申告)
· 観察物質 :人の健康又は環境に危害を与える有害性があると
の
疑いがある物質(16種)
(年間報告書要求/追加の資料提出要請)
* 有毒物と観察物質の 指定基準は大統領令で定められている
Ⅲ.有害化学物質管理法
3.有害化学物質管理法が適用されない化学物質
- 原則
· 放射性物質
· 医薬品、医薬部外品及び化粧品
· 麻薬
· 向精神性医薬品
· 農薬(原剤及び製剤)
· 肥料
· 食品及び食品添加物
· 飼料
· 火薬
· 高圧ガス安全管理法下の有害ガス
- 例外:各々の該当法律が規制管理していない有毒物の管理事項
(運搬、保管等)
Ⅲ.有害化学物質管理法
4.管理システム
化学物質
新規化学物質
既存化学物質
有害性審査
安全性試験
一般化学物質
有害化学物質
観察物質
有毒物
取扱制限有毒物
Ⅲ.有害化学物質管理法
· 有毒物告
示
固
有毒物の表示事項
有
化学物質の
番
名称
有毒性
取扱時の注意事項
号
· 容器を乾燥させて保管すること
過酸化ナトリ
ウム
1
· 可燃性物質に
接すると発火可
能性がある
(Sodium;13
13-60-6)及
びこれを5%
· 深刻な火傷を
以上含有する
起こす
混合物
· 汚染された衣服を直ちに脱ぐこと
· 顔面保護具を着用すること
·事故時又は不快感を感じたら
直ちに医者の検診を受けること(可
能であれば容器又は包装の表示事
項を見せること)
有害
マーク
Ⅲ.有害化学物質管理法
· 有毒物標識
Ⅲ.有害化学物質管理法
5.有害性審査実績
-新規化学物質の申告
年度
区分
合計
審査件数
2,696
有毒
物
結 観察
果 物質
一般
物質
’91~ ’95 ’96
’97
’98
’99
’00
’01
’02
568
168 235
244
218
314
328
300 321
106
41
16
7
11
4
7
5
8
7
6
-
-
-
2
-
-
2
1
1
2,584
527
231
214
307
321
152 228
’03
291 313
Ⅲ.有害化学物質管理法
- 政府による既存化学物質の安全性試験
年度
区分
合 ’95
’96 ’97 ’98 ’99 ’00 ’01 ’02 ’03
計 まで
試験化学物質数 951 245 44
結
果
499
37
40
35
20
16
15
有毒物
438
25
8
381
5
9
6
1
1
2
観察物質
8
-
-
-
6
-
-
1
1
-
36
118
26
31
29
18
14
13
一般物質
505 220
· 職権審査(法第8条第2項、国立環境研究院告示第1997-2号)の導入
Ⅲ.有害化学物質管理法
6. 化学物質排出量調査結果(PRTR)
排出量
計
大気
(単位:トン/年)
移動量
水系
土壌
計
廃水
廃棄物
1999 16,380 14,860 1,326
204
30,867
1,333
29,534
95,173
2,609
92,564
2000 30,144 23,747
965
5,432
2001 36,587 34,518
433
1,636 254,324 62,922 191,402
Ⅲ.有害化学物質管理法
6. 化学物質排出量調査推進現況
1999
2000
2001
2002
対象物質
80種
80種
160種
240種
23業種
23業種
28業種
対象業種
石油精製・
化学
(100人以上)
(50人以上)
(50人以上)
X
X
○
非点汚
染原包含
(100人以上)
X
Ⅲ.有害化学物質管理法
化学物質の排出量調査及び算定係数に関する規定改正告示
(環境部告示第2004-178号)
: 対象業種及び従業員数、対象化学物質などの拡大及び調整が主な内容です。
2005年に報告する2004年度の排出量資料から該当されます。
主要改正内容
・調査対象業種の拡大(第2条 第1項 別表1)
-調査対象業種を36業種に拡大。
・
・修理業、運輸業(4)、鉱業(2)、卸し及び商品仲介業などを追加
・調査対象事業場規模拡大(第2条 第2項)
-従業員の数を30人以上に拡大
・企業体の調査能力と全般的排出量の把握のために拡大
・調査対象物質拡大・調整(第2条 第2項、第4条)
-調査物質を388種に拡大
-取扱量調査基準を1~10トン/年に拡大
・毒性が高くて環境及び人体危害性が高い物質に対する調査基準(取扱量)
差等化(Ⅰグループ:1トン/年、Ⅱグループ:10トン/年)
-調査対象物質のCAS No誤謬認識による調査誤謬防止のための物質の
再分類及び註釈をつけて表記。
Ⅲ.有害化学物質管理法
7. 既存化学物質の目録
- 定義
· 有害化学物質管理法の施行日である1991年2月2日
以前に韓国内で製造又は輸入された化学物質リスト
(国立環境研究院長が告示)
- 構成
· アルファベット順(IUPAC或いはCAインデックス名)
· 英語のみ
· CAS番号のインデックス
**付録は有害性審査を受けた新規化学物質のリスト
Ⅲ.有害化学物質管理法
- 既存化学物質目録の入手方法
· 発行された目録
· CD-ROM: CAS Surveyer (CASから)
· オンライン: Chemlist及びSTN(CASから)
Ⅲ.有害化学物質管理法
- 目録作成経緯
· 1991. 2. 8 : 最初の既存化学物質目録
· 1992. 6
: 最初の既存化学物質目録+1991年の
目録から漏れた化学物質
· 1993
: 付録Ⅰ、1991年及び1992年の目録から
漏れた化学物質
· 1994
: 付録Ⅱ、1991年から1993年までの目録
から漏れた化学物質
· 1996. 12 : 既存化学物質目録の統合
(有害化学物質管理法+産業安全保健法)
Ⅲ.有害化学物質管理法
- 既存化学物質数の比較
既存化学物質数
韓国
36,000
日本
約60,000(約2万種)
米国
約75,000
欧州(EU)
約100,000
Ⅲ.有害化学物質管理法
- ゼネリックネーム確認手続き
· 国立環境研究院に確認の申請
· 申請の様式なし
· 化学物質同定情報
· 製造/輸入しようとする申請者の意図の証明
Ⅲ.有害化学物質管理法
8. 新規化学物質の有害性審査申請
- 有害性審査から除外される化学物質
· 有毒物
· 観察物質
· 新規化学物質として環境部長官が既に告示した化学物質
· 大統領令によって指定されたその他の物質
Ⅲ.有害化学物質管理法
- 有害性審査免除の新規化学物質(施行令第4条)
· 年間100kg以下の化学物質(*輸入者別)
· R&D用化学物質
· 機械装置内の化学物質
· 固体状態の製品(消費者用品)
· 一部の天然化学物質
· 1991年2月2日以前に韓国内で製造又は輸入された化学物
質であって国立環境研究院長が告示した化学物質(既存化
学物質)
- 審査期間:45日
Ⅲ.有害化学物質管理法
- 有害性審査の手続き(法第10条)
通知
申請人
告示
国立環境研究院長
有害性
審査
化学物質
審査団
審査結果
製造/輸入上の制限要求
関連長官
Ⅲ.有害化学物質管理法
- 有害性審査の申請方式
方式
化学物質
簡易審査申請
1991年2月2日以前に発行された
2つ以上の外国における既存化学
物質目録に登載されている物質
高分子化合物
申請
OECD高分子化合物の定義を満た
している高分子
一般申請
その他
Ⅲ.有害化学物質管理法
- 申請時に必要なデータ
· 申請書
- 化学物質の同定(名称、構造、CAS番号)
- 不純物に関する情報(同定及び含有率)
- 年間製造(輸入)の予定量
· 添付書類
-物理化学的性質
-用途、環境に排出される主な経路及び予想される排出量
-毒性データなど(1998.1.1からGLPデータで、高分子と
簡易審査はnon-GLP)
Ⅲ.有害化学物質管理法
- 試験データの範囲
○ 必須 △ 追加要求可能 X不要
項目
一般申請
急性毒性
○
* 遺伝毒性
-Ames Test
○
-哺乳類培養細胞を用いた
染色体異常試験
○
*生体内試験
△
生分解性
○
簡易審査申請
○ ○
X
X
○
X
○
△
X
△
X
X
X
X
○
Ⅲ.有害化学物質管理法
-高分子化合物申請
· 必要データ
10
-
数平均分子量, GPCデータ
低分子量の単量体単位の含量
単量体の同定
残留単量体の含量
単量体の含量比(%)
酸及びアルカリ溶液での安定性(溶解度が pH 7で
ppm, pH 2, 9で 50 ppm 以下の場合免除)
一般溶液での溶解度
Ⅲ.有害化学物質管理法
9. 情報保護申請(CBI)
- 関連法条文 : 有害化学物質管理法第39条
国立環境研究院告示第2002-175
- 導入 : 1992.6.
- 保護対象資料 : 化学物質の同定、試験データ, 用途
- 非保護対象資料 :申請人、MSDS
- 外国目録に化学物質名が公開された物質は情報保護
申請不可
Ⅲ.有害化学物質管理法
- 保護期間 : 5年間
*申請により5年毎に延長可能
- 提出資料:
· 資料保護申請書
· 添付資料
- ゼネリックネーム
- 情報保護申請の理由
Ⅲ.有害化学物質管理法
10.罰則
- 3年以下の懲役又は1千万ウォン以下の罰金
·有害性審査の違反
·取扱制限有毒物の不法な製造、輸入又は使用
·営業の登録なしに有毒物の不法な製造、
輸入又 は使用
Ⅲ.有害化学物質管理法
11.通関手続き
有害化学物質管理法の適用から
除外されるか否か
no
yes
輸入業者韓国化学物質
管理協会へ
化学物質確認証明書の発給
成分内訳書/又は自主確認書の提出
有毒物を含んでいるか否か
no
全成分が既存化学物質目録に
登載されているか否か
no
年間使用量(製造/輸入)が100kg
超えるか否か
no
少量免除(化学物質管理協会)
関連法
yes
yes
yes
有毒物輸入申告
通関
有害性審査の申請後の輸入
Ⅲ.有害化学物質管理法
成分内訳書
製品名
化学物質名
CAS番号
エタノール
67-56-1
ブタノール
71-36-3
アンモニア*
1336-21-6
含有率(%)
6%
名前
会社名
*アンモニア10%以上を含有している製品は有毒物として分類される。
参考:新規化学物質が含まれている場合には100キロ免除のためにその含有率の記載
が必要
Ⅳ.産業安全保健法
1.概要
- 目的:保健と安全
- 保健
· 有害物質の使用禁止又は制限
· 作業場許容基準の設定
· 有害性調査結果の報告(90.1.1追加:91.2.1から施行)
· 物質安全保健資料(95.5.1追加:96.7.1から施行)
Ⅳ.産業安全保健法
2.既存化学物質
- 産業安全保健法上の既存化学物質の概念
· 既存化学物質目録(8,000)
· 91.6.30当時の他の法令により公表された化学物質
*他の官公庁で製造、輸入及び使用のための承認を得て
いるか又は、その手続き中である化学物質も含む
· 労働部長官が公表した化学物質(法第40条第3項:最初に
8,000品目が追加)
· 環境部の既存化学物質と統合(1996.12.)
Ⅳ.産業安全保健法
3.有害性調査
- 対象化学物質
· 新規化学物質(法第40条)
- 有害性調査結果の報告
· 既存化学物質(法第41条)
- 有害性関連資料の検討、作業者の保健障害防止の対策、
物質安全保健資料の作成、警告標識の付着、作業者
向けの教育
Ⅳ.産業安全保健法
- 有害性審査から除外される新規化学物質
·
·
·
·
·
暴露の恐れがない物質
非有害性物質
R&D試薬
一般消費者の生活用品
100kg以下
- 有害性調査結果の報告
· 製造/輸入前45日
Ⅳ.産業安全保健法
- 提出資料
· 報告書
· 物質安全保健資料(MSDS)
· 詳細な製造方法(輸入の場合は、使用方法)
- 工程図(製造から最終製剤)
- 使用及び取扱事項
- 有害調査の評価基準
· 作業者に与える有害性
· 難分解性物質が作業者に蓄積される可能性
· 分解産物の有害性
Ⅳ.産業安全保健法
4.物質安全保健資料(MSDS)
- 事業主
· MSDSの作成、作業場への掲示及び常備の
義務(法第41条第1項)
· 化学物質の譲渡の際の提供義務
Ⅳ.産業安全保健法
- MSDSの16項目
· 化学製品及び会社に関する情報
· 構成成分の名称及び含有量
· 危険性又は有害性
· 緊急措置要領
· 爆発又は火災に対する対処方法
· 物質漏れ事故に対する対処方法
· 取扱又は貯蔵方法
· 物質漏れの防止及び個人保護
具
· 物理化学的特性
· 安定性及び反応性
· 毒性に関する情報
· 環境に与える影響
· 廃棄時の注意事項
· 運送に必要な情報
· 法的規制の現状
· その他の参考事項
Ⅳ.産業安全保健法
- MSDSの作成、常備などに関する基準
(労働部告示第1997-27号)
· IMDGコードやDGRコードは作業場に着くまで有効
· 除外物質
- 有害化学物質の含有量が1%未満(発癌性物質の
場合は0.1%)
- 固形化された製品(発癌性物質を含むものは例外)
· MSDSの翻訳の免除:R&D試薬
· EU有害マーク(オレンジ又は黄色基調)採択
· 容器に警告標識の付着
Ⅳ.産業安全保健法
[産業安全保健法第41条による警告標識]
製品名:
有害性マーク
有害、危険性による措置事項
その他の詳細な事項は物質安全保健資料を参照すること
Ⅳ.産業安全保健法
· 警告標識
Ⅴ.その他の化学物質関連法上のイッシュ
1. 有害化学物質管理法改正案
· 新規化学物申告官庁が環境部に統一
(国立環境院にだけ提出)
· 審査結果通知3年後に官報に公示(現在は通常3ヶ月以内)
· 急性毒性、爆発性などが強くて事故発生の恐れがあり被害規
模が大きいと見られる物質を事故備え物質に定めて、自体
防除計画を樹立及び施行
· 韓国化学物質管理協会の確認証明書発給制度廃止-自ら確
認した結果を環境部に提出(提出所及び方法未定)
Ⅴ.その他の化学物質関連法上のイッシュ
2.危険物安全管理法の制定
- 2003. 5. 29 制定、2004. 5. 29 施行
(消防法から分離)
- 危険物分類基準は日本の消防法に似てる
- 危険物製造/貯蔵施設許可
Ⅴ.その他の化学物質関連法上のイッシュ
3.化粧品法新規制定(施行 2000)
- 薬事法から分離