2007/12/11 Ver.2 ものつくり大学における CAE教育 について ものつくり大学 製造技能工芸学科 野村 大次 ものつくり大学 1 [1]CAEと有限要素法 (1)CAEとは ①広義のCAE 1980年SDRC社が提唱した解析・設 計・試験の統合化の概念 ②狭義のCAE CAEソフトを利用した解析・CAD連携 (2)有限要素法はCAEの為の 強力なツールである ものつくり大学 2 有限要素法 の歴史 右の年表 は有限要 素法とコ ンピュー タが相互 に影響を 及ぼしな がら発展 してきた の歴史を 表してい る。 有限要素法の歴史 1946 コンピュータの歴史 世界初の電子計算機ENIAC が開発される (米陸軍の弾道計算用)[第1世代] 1950 IBM が商用コンピュータ IBM650 を開発 1951 世界初のストアドプログラムコンピュー タ EDVAC 完成. UNIVAC1 商用化 1956 Boeing 社の Turner 等が有限要素法による 最初の論文を発表 1950 年代末 トランジスタを用いた第2世代コンピュ 1963 NASA が NASTRAN の開発を開始する 1964 東大内で有限要素法研究会発足.日本での ータが開発される 研究・普及が始まる 1960 年代 IC を用いた第3世代コンピュータが開発 1965~ Zienkiewicz が有限要素法による研究(場の される 1969 問題,浸透流,弾塑性等)を盛んに行う 1971 MSC 社が MSC/NASTRAN の販売を開始 1975 頃 1980 造船各社で構造解析システム開発が盛んに 三井造船では構造解析システム MISA 行われる 最初のパソコン MITS 社の Altair8800b SDRC 社が"CAE"を提唱する が開発される. 1981 米 SUN 社が WS・SUN-1 を出荷開始 1991 スーパーコンピュータ CRAY-1 出荷 1995 汎用構造解析システムのパソコン化が盛ん PC の高機能化と低価格化により、PC で に行われる 2001 ものつくり大学 も実用的解析が全て実行できる時代に ものつくり大学が発足 3 世界初のコンピュータENIAC ものつくり大学 4 世界初の有限要素法の論文(Boeing社のTurner等) ものつくり大学 5 MISA(Mitsui Structural Analysis Program System)を用いた解析例1(機関室2重底) 解析対象構造と粗分割図 ものつくり大学 6 [2]ものつくり教育での CAEの位置づけ ものつくり大学の理念 (1)ものつくりに直結した実技教育 (2)実技と技術を連結する教育・研究 (3)統率力や起業力を養うマネジメント教育 (4)社会からの要請に合致した教育・研究 (5)独創性をもった社会性・人間性豊かな教育 (6)国際性重視の教育 ものつくり大学 7 [3]製造技能工芸学科の 力学系カリキュラムとCAE教育 実験系 演習系 実習・ゼミ 1年 静・動力学 同左 2年 機械力学および実験 材料力学/強度および演習A,B,C,D 3年 CAE基礎/応用および演習 コンピュータ応用設計演習 (CAD/CAE) (CAD/CAE) Lゼミ(卒業研究準備) コンピュータ応用設計評価 最適設計および演習 4年 ものつくりのためのCAE技術および演習 8 ものつくり大学 セミナー1,2(有限要素法特論) [4]CAEソフトウェア ①構造解析 ANSYS/ED ANSYS/Univercity(Network) GT-STRUDL(梁構造) NX_NASTRAN for Femap(教育版) NX_NASTRAN for Femap(フル版) MSC/FEA,MSC/AFEA (教育版Network) ②CAD-CAE連携 Solid Designer / Design Adviser Pro/ENGINEER CATIA V5 ③樹脂流動解析 Moldflow Part Adviser ものつくり大学 71台 1台 100台 100台 1台 73台 70台 70台 30台 1台 9 [5]CAEの基礎として重要な材料力学 の科目も充実しています [材料力学および演習](2単位) 応力とひずみ,棒の引張り圧縮,軸の捩り,梁の曲げ [材料強度および演習A](1単位):組合せ応力 [材料強度および演習B](1単位):エネルギ [材料強度および演習C](1単位):座屈 [材料強度および演習D](1単位):塑性と疲労 ものつくり大学 10 [6]CAE基礎および演習(2単位) 講義(有限要素法の概要,材力の基礎,要素定 式化,連立解法,要素応力計算) 演習方法 ○EXCELを用いた有限要素計算手順の体験 要素剛性マトリックス,全体剛性マトリックスを数 値で確認,連立方程式をガウスの消去法で解く, 要素応力をマトリックス計算する ○自作FEMプログラムを利用した演習 平面3,4角形要素での処理内容・手順の解説 ものつくり大学 11 [6-1]EXCELを利用した有限要素法計算例 有限要素の剛性マトリックス ものつくり大学 12 [6-2]自作有限要素法プログラムを用いた解析 演習例(自由端に横荷重をうける片持ちは り) ものつくり大学 13 [6-3]FORTRAN有限要素法プログラムによる 処理内容理解と解析機能の把握 プログラム名 機能 CFEM :定歪3角形要素 EXCEL計算のロジック化 CFEM3:アイソパラメトリッ ク要素/解析機能向上 ものつくり大学 14 [6-4]CAE応用および演習(2単位) 講義と演習(各種要素の特性,熱伝導・熱応力解 析,固有振動解析,流体解析,解析報告書) ○NX_Nastran for Femapを用いた有限要素解析 の学習 構造解析:2次元要素によるはり問題(片持ちは り,両端固定はり等) 熱解析:内外面に対流熱伝達を受ける厚肉円筒 固有振動解析:はり構造 3次元解析:ソリッド要素による3次元解析 ものつくり大学 15 [6-4]CAE応用および演習(続) ○解析報告書作成方法の指導: 解析目的,理論解,解析の仕様,解析結 果とその検討・考察を報告書に纏める ○ANSYSを用いた流体解析の学習 ディフューザー流れ,ポケット流れ ○ ANSYS/LS-DYNAを用いた陽的有限要 素解析の学習: 落下衝撃解析の体験 ものつくり大学 16 [7]コンピュータ応用設計演習(3年3クオータ) CAD(CATIA,ProE)による 成果のCAEへの活用 ものつくり大学 17 [7-2]コンピュータ応用設計評価(3年4クオー タ) • さらに高度なCAD/CAE連携解析の学習 ものつくり大学 18 [8]最適設計および演習 (3年4クオー タ) およそ設計者はより良い設計・最適な設計を目指すべきで あり、その為の理論とツールの活用法について学ぶ 第1回 最適設計とは 第2回 最適設計の手法 第3回 寸法最適設計解析(NX_Nastran) 第4回 寸法最適設計解析2回目 第5回 形状最適設計解析(ANSYS) 第6回 位相最適設計解析(2次元;Isler) 第7回 位相最適設計解析(3次元;Gaudi) 第8回 試験 ものつくり大学 19 [9]ものつくりのためのCAE技術 および演習(4年1クオータ) 各業界から今現実にCAEを開発/活用している講 師をお招きして、ものつくりへの活用法を学ぶ 第1回 概論 ものつくり大学(野村) 第2回 重工業での活用 三井造船(岩崎) 第3回 素材加工での活用 東芝(西村) 第4回 自動車産業での活用 テラバイト(丹羽) 第5回 プラスチック成形解析での活用 プラメディア(多田) 第6回 流体解析での活用 CDAJ(中嶋) 第7回 最適設計解析での活用 くいんと(石井) 第8回 電気・電子分野での活用 NEC(鷲山) ものつくり大学 20 [10]著名有限要素研究者によるCAE特別講演会 02年度 Georgia州立工科大学教授Dr.Emkin先生 「有限要素法の歴史とGT-STRUDL」 新2年生向け、「材料強度」の授業の始めに 英語での講演には大意訳がついたもので あっ たが、聴講学生には大変好評であった。 03年度 東京大学名誉教授川井忠彦先生 「有限要素法概論 -その生い立ち,現状及び将来-」 新3年生向け、「有限要素」の授業の始めに ものつくり大学 21 [10]著名有限要素研究者によるCAE特別講演会(続) •04年度 非線形構造解析プログラムMARCの開発者 元米国MARC社長Dr.PedroV. Marcal先生 「Trend is your Friend」 •06年度 慶応大学名誉教授棚橋先生 「有限要素法と流体解析について」 ものつくり大学 22
© Copyright 2024 ExpyDoc