前説 • これから3Gの発表を行います。 • よろしくお願いします。 • 発表を行う前にミトン装着がどれ位患者様にストレスを与 えるかを体験出来るようにミトンをご用意しています。 • プレゼンとして、 発表前にミトンを装着して頂き、発表終了後に私たちが提 案する手指の清潔ケアを行わせて頂きたいと思います。 • ミトン体験を希望される方、いらっしゃいますか? • <ミトンとゴムを希望者に配る> • それでは発表に移らせて頂きたいと思います。 1 • みなさん、臨床でミトン装着をしている患者様を見かける事があるかと思います。 • <ポスターのミトンの写真を指す> • ミトン装着は患者様が安全に治療を受けていただく為にやむをえない医療行為ですが、手指の衛生環境 の視点から見るとあまり好ましい状況ではありません。 理由はミトン装着によって • • <ポスターを指す。> • • • • ①通気が無い ②蒸れる(温度・湿度上昇) ③不潔になりやすい ④精神的なストレスがある • 以上四点の事が考えられるからです。 • • • • • 元々手指は汗腺の多い部位で汗の量が多く、さらに精神的なストレスは手指の発汗を増進させます。 結果として細菌が繁殖されやすく、汚染を招きやすい環境になっているのです。 文献を調べたところによると 汗を拭き取らないと皮膚のphが上昇して細菌や真菌が繁殖するようになり、皮膚を傷害する と言うことが分かりました。 2 • • 上記の理由からミトン装着した患者様に対してはおしぼりにて手指の清拭ケアを行う場面が多くみられます。 しかし、私たちはミトン装着者の手指清潔と爽快感においておしぼりケアがどの程度の効果があるか疑問に思いました。 もっと衛生的で爽快なおしぼり清拭は無いでしょうか。 臨床においての清潔ケアではお茶とウェルパスが高頻度で用いられています。 それらはおしぼり清拭のケアにおいても効果的なのでしょうか。 また爽快感において看護の現場では 清拭時のウォッシュクロスの至適温度を50℃程度に保つことが望ましいと言われています。 冷たいおしぼりではダメなのでしょうか。 温度差によって得られる爽快感に違いがあるのでしょうか。 そこで私たちは、おしぼりの温度変化と緑茶の使用、さらに簡易なウェルパス清拭で清潔がどれくらい保たれるのか、また爽快感に違いがあるのかを 5種類の清潔ケアを行って何もケアをしていない状態と比較・評価しました。 比較したケアの種類は、 ①温おしぼり ②冷おしぼり ③温茶おしぼり ④冷茶おしぼり ⑤ウェルパス です。 3 テーマは、ミトン装着者にとって <ポスターを指す> ①一番清潔なおしぼりケアはなんだろう <ポスターを指す> ②一番爽快感が得られるケアなんだろう です。 上記2つの側面から次の実験内容を考え実行しました。 4 • <ポスターを指す> 実験方法 • <一つ一つ指していく> • ①まず、朝9時に被験者5人が集まり、衛生的手洗いを行います。 • ②手洗い直後に一斉にミトンをつけます。 • ③3時間後の12時にミトンを外して手指の培養を行います。 • ④培養の直後におしぼりケアを行います。 • ⑤ケアを行った直後に再度培養をしてミトンをつけます。 • ⑥3時間後の15時に最後の培養をして1日の実験を終了します。. • 実験は2クール行い、培養後のシャーレ内の細菌数をカウント・評 価して衛生的な指標とします。 • 清拭時の感想を被験者からインタビューしてケアによって得られる 爽快感を比較します。 5 結果に行く前に少しブレイクタイムです。 皆さんのおしぼりに対する意識調査を行ったので発表します。 <ポスターを指す> • • • • • • • おしぼりを日常生活で使用していると答えた人は約28%でした。 <ポスターを指す> また、好みのおしぼりは蒸しおしぼりが一番好みだと言う回答が35%と一番多い 結果となりました。 <ポスターを指す> これは日常生活を営むにおいて、手指の清潔を保つ為には流水による手洗いを 主としており、おしぼりはあまり使用されていないと言う結果だと思います。確か に外食する時以外はあまりおしぼりを使わないかも知れません。 何だか少し意外な感じがしますね。 6 • • • それでは 実験結果に移りたいと思います。 <ポスターを指す> • こちらの写真をご覧ください。 文献により汚染の状況は細菌の数で評価し、コロニーの大きさは汚染の状況と関係が無い事がわかりました。 ですので、コロニーの大きさは評価の対象としていません。 • • • • • • • まず気づいたのが1日目と2日目の細菌増加の比率です。 同一のケア内容でも2日目の方が細菌数の増加が顕著でした。 どうしてそうなったのでしょうか。 私たちは湿度に着目しました。 1日目の天気は曇りで2日目は雨が降っていたのです。 2日目の湿度は一日目より20%も高かったのです。 外気の湿度に比例してミトン内の湿度が上昇し細菌がより繁殖しやすい環境となったのでした。 • • それでは一番衛生的なケアは何だったのでしょう? ケア後3時間で細菌増殖が全く無かったのはウェルパスの擦り込みケアでした。 この赤の部分がウェルパスの結果です。 <ポスターの赤で囲まれた部分ウェルパスを指す> それに比較しておしぼりケアは全ての種類において2回の実験ともケア直後の細菌数を0にすることが出来ませんでした。 おしぼりケアは手指の皮膚分泌物や細菌を布でふき取ると言う効果がありますが、細菌を死滅すると言う効果は薄いのです。 • • 7 • • • 先行実験ではウェルパスの抗菌持続効果について3時間後までその効果が持続していると言う結果があります。 その事は私たちの実験結果と一致しています。 ウェルパスのすり込みケアは衛生的観点において手指の清潔に対しとても有効なケアであると言えます。 • • 次に一番爽快感を得る事が出来たケアはどれでしょうか。 一番衛生的なケアであったウェルパスを手指にすり込んだケアの被験者は爽快感についてのインタビューに対 し「手指がべた付いて気持ち悪い。」との回答をしています。 • ウェルパスのすり込みケアは殺菌には優れた効果を発揮しますが、皮膚分泌物や汗を洗い流す効果は無く、爽 快感は得られにくいのです。 被験者が一番爽快感を得られたと答えたのは温おしぼりと温茶おしぼりです。 暖かいおしぼりのケアを受けた被験者は、冷たいおしぼりやウェルパスのこすり洗いによる清潔ケアよりも「爽快 感」が得られたと回答しています。 • • • どうして暖かいおしぼりは爽快感が得られたのでしょうか。 それは暖かいおしぼりによる温熱刺激と機械刺激が中枢神経に作用し、副交感神経を刺激したからです。 副交感神経が亢進すると心身がリラックスし、意識の中枢に爽快感を認識させます。 つまり、副交感神経が被験者に「気持ち良い」と言う感情をもたらせたのです。 8 • 上記の結果から、おしぼり清拭において衛生的 かつ爽快感の得られるケアを考えてみます。 • そのヒントは、ウェルパス清拭についての文献の 中に有りました。 • 「アルコール含有の刷り込み式手指消毒薬は、 汚れがひどい場合には汚れや有機物を除去し た後に使用するべきである。」 • つまり、おしぼり清拭とウェルパス清拭を同時に 行う事により衛生的で爽快感の得られるケアを 患者様に提供出来るのではないでしょうか。 9 10 • • 結論 <ポスターを指す。> • 今回の実験でわかった事は以下の4つです。 • • • • 1)湿潤環境は細菌を繁殖させやすい。 2)清拭の物理的な刺激には殺菌・制菌効果は薄い。 3)おしぼりで清拭するよりもウェルパスを手指にすり込む方法が衛生的である。 4)温熱刺激と機械刺激が副交感神経を刺激し人間に爽快感をもたらす。 • • • • 私達は今回の実験結果を臨床に生かし実践していきます。 衛生的かつ爽快感の得られる清潔ケアは、 温おしぼりで清拭を行った後にウェルパスをすり込み清拭する事です。 2側面を充足させる事が専門職としての看護師が行う清潔ケアなのです。 • 最後に、この研究をまとめるにあたり、ご指導下さった諸先生方、被験者として協力してくださった 方々に深く感謝します。 後説 • • • ご清聴ありがとうございました。 それでは質疑応答に入りたいと思います。 ご質問や、ご意見のある方いらっしゃいますか? • • • 貴重なご意見、ご指導、ありがとうございました。 それではミトン体験をされた方に、 私たちが提案する温おしぼりとウェルパスによる手指の清潔ケアをさせて頂きた いと思います。どうぞあちらのテーブル前の椅子にお座り下さい。 • • • • • • <ケアを行う> 折角ですので、体験された○○さん(先生・様)に感想を頂きたいと思います。 ○○さん、宜しくお願いします。 <インタビュー> ありがとうございました。 これで2Gのセッションを終了します。
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