第5章 企業集団とはなにか 経営学 2004年6月7日 1 企業集団とはなにか 巨大企業グループが集まってお互いの 利益を追求している結集体 ・広義の企業集団 ・狭義の企業集団 2 企業集団の特質はなにか 都市銀行が中心になっていること 相互牽制・相互依存体制になって、企業・ 経営者の自立性・自主性が希薄なこと 事業があらゆる産業に配置していて波及 効果が機能する仕組みになっていること 3 日本企業の海外進出の 一般パターン 商社先行 大規模な進出 傘下の中小企業の進出 銀行が支店を設置、資金を供給 4 なぜ、現地から「日本企業の進出は現地 にメリットをもたらさない」と批判されるか 原因 企業集団や企業系列という日本の独特の 企業構造、企業関係にある 系列取引やワンセット投資で、何でも企 業集団単位でやってしまう 5 日本企業集団の結束力の強さは どこからきているのか 株式持合い 社長会 6 メインバンク・システム メインバンクシステムの形成 ・都市銀行から企業集団メンバーの主要メーカーへ融資 ・主要メーカーは多額の設備投資を展開 ・主要会社の売上代金は都市銀行に預金 ↓ 都市銀行の成長を一層促す 都市銀行経営の変遷 高度成長経済・拡大経営期 (1950後半~1975年) 「系列大企業融資」 低成長経済・減量経営期 (1975~ 現在) 「系列大企業生産物需要保管融資」 「財テク・土地テク融資」 「ROA経営」 都市預金・貸出の量的拡大 高度成長経済・拡大経営期 経営行動の中核[系列大企業融資] ( ~1975年頃) 貸出(貸出利子) 都市銀行 (同系列金融機関) 系列大企業 (予定金利→)預金 利益の絶対額の拡大 低成長経済・減量経営期 経営行動の中核は「系列大企業生産物需要補完融資」(1975~85年頃) 政府⇒有効需要政策 国債保有 収益実現 貸出(←貸出利子) 都市銀行 系列大企業 (同系列金融機関) (預金利子→)預金 自己金融 中小企業⇒設備・機械購入 貸出 収益実現 消費者⇒住宅・耐久消費財購入 貸出 収益実現 7 企業の二重構造問題 8 BIS規制とはなにか。都市銀行の経営に どのように作用したのか。日本の景気にどの ような影響を与えたのか 国際決済銀行において決められた銀行に対する自己資 本比率の規制 銀行経営に大きな足枷として作用 自己資本増大のため、大量の株式関連社債の発行→ 破綻→株価の暴落→自己資本比率8%維持不能 銀行から貸出残高を削減・縮小(自己資本比率算定 の分母の縮小)→貸渋り→企業の株価・地価の買支 え資金を縮小→証券・地下の暴落→不良債権問題の 発生 9 企業集団が21世紀初頭の変化の大切な ポイントはなにか 産業構造の変化 産業の国際化・アジア化とIT化は企業集団存在 の意義が相対的 に希薄化 株主所有構造の変化 外国人持ち株比率の上昇、投資リターンを強く要求→企業は投下 資本の縮減、コストを削減する投資効率の向上←→企業集団の行 動原理である取引拡大・成長指向と相反 10 企業集団研究の3段階 ① ~60年代まで 企業集団支配の確認作業が中心 企業集団の構造や機能の研究 ② 70 ~ 最近まで 各個別企業の経営諸政策の特質の分析 労務管理論・マーケティング論・財務管理論の各分野 ③ 現在 経営環境の変化にどのように対応 批判的・建設的な研究が求められる ノンバンク ノンバンクは、「預金等を受け入れないで与信業 務を営む企業」を指す総称と して使われている。 ノンバンクは、法令等により専業義務が課せられ ていない等、業務運営面での 自由度が極めて 高い。その形態は、消費者金融会社、クレジット・ カード会社、 信販会社、事業金融会社、抵当証 券会社、リース会社等、様々である。 ROA(総資産利益率) ROAは当期純利益を総資産で割った比率 です。投資家から調達した資金を投下した 投資額に対して、どれだけのリターンが あったのかを示した値です。 コマーシャル・ペーパー 企業が短期の資金を調達するために発行する、 有価証券の一種です。 期間は1年未満で、発行額は1億円以上。総合 商社など大企業を中心に、短期資金の調達方法 として定着しました。企業にとっては、自分の会 社の信用力を反映した金利で直接、市場から資 金を集めることができます。銀行などの金融機関 から借り入れるよりも機動的な資金調達ができま す。 劣後債とは何ですか? 劣後債とは、一般の債権者よりも債務弁済の順 位が劣る社債のことをいいます。つまり会社が解 散した場合、他の債権者への支払いを全て終え たあと、一番最後に債務を返済される立場にな るわけです。このため、社債の一種ではあります が、限りなく株式に近い性格を持っているといえ ます。 劣後債も優先株と同様、銀行の自己資本 比率を高めるのに発行されることがあります。 【貸倒引当金】 法人の有する金銭債権については、将来の貸し倒れの損失に備えるため、一定の金額 を貸倒引当金として一定の限度額まで損金の額に算入することができます。 貸倒引当金の計算には次のものがあります。 【一括評価】 金銭債権につき、過去の貸倒れの実績(実績繰入率)を乗じた金額がその繰り入れ 限度額となります。 【個別評価】 債権のうち一定の事実が生じたこと等により、特に貸倒れる危険性のある債権につ いては、特に厳密に貸倒れるであろう金額を計算します。 実質的には貸倒損失とその性質は同様ですが、将来の貸倒損失額を見積もるという 点では引当金としての性質を有するものとなります。
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