ニポポが目指す医師づくり 札幌医科大学医学部 地域医療総合医学講座 山本和利 医療における視点の変化 • • • • • • • 個人 → 地域 疾病の治癒 → 健康の維持 エピソードごとの医療 → 継続的で包括的な医療 医療のパターナリズム→ 交渉による意思決定 入院医療 → 地域外来医療 経験的な医療 → EBM 中央化システム → 地域立脚型プライマリケア (ロジャー・ジョーンズ、他:Lancet 357:3,2001) • Ability(即戦力) → Capability(潜在能力) 地域医療の本音のカリキュラム 白い巨塔 生まれ故郷 表層 (地域医療の充実) • 大学 – 大学で専門医養成→医師の派遣→地域医療 の充実 • 行政 – 医師の派遣の要請→地域医療の充実 • 首長 – 医師補充の陳情→便宜→地域医療の充実 • マスメディア – 地域医療の実態の報道→地域医療の充実 深層に物事を決定する鍵がある 地質学・マルクス主義・精神分析 • 大学 – 大学の充実→余った医師の地域への投入 • 行政 – 書類上の医師の補充 • 首長 – 医師の充足→再選 • マスメディア – 医師たちの非難→部数拡大 有効に機能しない専門職 • 「与えられた問題」に技法を当てはめようと する • 数値的データにこだわる • すぐ分析し問題領域に何が存在するかに関 するデータを求める • わずかな人数で問題を解こうとする • 初期段階から仕事の明確性を頑固に要求 する • 問題領域の文脈だけで処理する パラダイム・シフト 《トーマス・クーン》 •「同時代に生きる専門家たちのもの の考え方の共通性」の大転換 •矛盾がきっかけとなって起こってく るが、初期には認識しにくい •進化と変革を持ち合わせる •古いパラダイムは「危機に対する機 能不全」を引き起こしたとき、つぶ れてゆく 僻地医療の経験を持つ指導医 •「地域で2-3年診療すれば、素質 のある研修医はいい医師になります よ」 •暗黙裏に理解する 暗黙のうちに知っていることを明示的 な水準で主題化するためには時間が かかる 人間の知的活動とは • 暗黙知から明示知へ「何か」がレベル変換 することにほかならない。 専門職の現実 • 「技術的合理性」の原理の枠を越えたところ で専門家としての実践を遂行している • 患者の泥沼を引き受け、患者とともに格闘す る新たな専門職は、別の原理で実践を展開 している • 反省的実践家:reflective practitioner 「技術的合理性」の限界 • 現実は – – – – – 複雑性 不確実性 不安定性 独自性 価値観の葛藤 「技術的合理性」のモデルに適合しない 反省的実践家を育てる専門家教育 1. 即興的思考 2. 状況的思考 3. 多元的思考 4. 文脈化された思考 5. 枠組みの再構成 Tacit theory (implicit theory) • 「なすことによって学ぶ」こと • それを「コーチ」すること 地域医療がうまくゆかない? パラダイム「概念の箱」 “箱に入らない現象は全く見えない” Kuhn TS 医師が欲しい ペリカン? ウサギ ? Hanson NR: Pattern of Discovery 地域医療再生の根本 1.地域住民・患者の視点で考える 2.大きな目標を設定する • 地域再生(村おこし・町おこし) 3.理想論を語る(ユニークな物語) 4.システムとして考える 5.限られた情報で対応を考える 6.関わりをもつ多くの人を巻き込む 7.次の手を打ち続ける 提言 1. 医師 ⇒専門医・一般医の役割分担を 2. 大学の実験研究+消極的地域医療 ⇒必要な研修+積極的地域医療へ 3. 発言 ⇒行動・評価・責任をとる体制へ ⇒組織のルーティン的発想から脱する 具体的提言(1) • 一般医養成研修プログラム 1. 2. 3. 4. 5. • 道内医育大学総合診療部(3) 地方センター病院(5) 地域センター病医院またはへき地拠点病院 道内新聞社 市町村・住民代表 対象者・時期 1. 初期研修終了者 2. 2005年3月31日までに作成 具体的提言(2) • ひとつの町・村にひとつの物語をもった医療 施設を創設(作り替え) 1. 院長の全国公募(大学派遣と縁を切る:例外有) インターネット・ホームページの利用(年齢不問) 効果的な実践者であること 町民・村民の評価 5年ごとの評価 2. 患者・住民中心の医療 一般医養成研修プログラム修了者の優先的派遣 必要な専門医の大学等からの派遣 3. 事務局を道内新聞社に置く 妄想と想像 • 妄想というのは「記号的なもの」である。 – 妄想には具体的な細部がない。 • 想像というのは「具体的なもの」である。
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