「ORーA」 2010/12/17 • 一般的な定式化の仕方 – 整数変数はなぜ登場するか? – Indicator変数の使い方(今回の主題) • Reading Assignment: 配布資料 「数理計画モ デルの定式化」 1 整数変数がどうして登場するか (1)分割不可能な離散的変量 Indivisible (Discrete) Quantities : 本来、整数しかとりえない量;例えば、人数、 機械台数など (2)デシジョン変数 Decision Variables : 複数の代替案の中からどの案を選択する かを示す 例: 倉庫をたてる(どのタイプの)/たてない γ=0 γ=1 γ=2 倉庫をたてない タイプAの倉庫をたてる タイプBの倉庫をたてる 2 整数変数がどうして登場するか (3)インディケータ変数 Indicator Variables: システムの状態を示す (indicateする)ために、0-1変数と他の変 数、あるいは他の条件式と結びつける 3 インディケータ変数(Indicator Variables) xA:ある(原料)配合において要素Aが含まれる比率 要素Aが配合に含まれる(xA>0)か、含まれないか(xA= 0)を、たとえば、0-1変数αを使って識別する。つまり、 α=1(0)ならAが含まれる(含まれない)、という形で、 インディケータ変数を使う。 たとえば、 (1) xA - α ≦ 0 という制約条件は、次の論理条件(もし・・・ならば・・・)を 数式的に表現することになる: (2) xA>0 → α=1 4 (2)式の逆表現 (2)の逆、すなわち、 (3) α=1 → xA>0 (あるいは、その対偶のxA=0 → α=0) という条件を(も)数式的に表現したい。 残念ながらこれはできないので、そのかわりに、「Aの配合 比率がこれ未満だったら入っていないも同然」という閾値 (threshold level)mを導入し、(3)を (4) α=1 → xA≧m に変換すると、(4)は次のように数式表現できる: (5) xA - mα ≧ 0 注意: 数理計画では、通常、>や<を扱わず、≦や≧を扱 う。 5 演習問題1 (1)「もし要素Aが配合に含まれていたなら ば、要素Bも配合に含まれていなければな らない」、という条件を数式で表現せよ。 (2)さらに、その逆、すなわち、「もし要素B が配合に含まれていたならば、要素Aも配 合に含まれていなければならない」という 条件も、あわせて成立しなければいけない というときはどうすればよいか。 6 インディケータ変数を使って 不等式/等式の成立/不成立を示す 1. 「δ=1 → Σjajxj≦b」型論理条件の表現 0-1変数δを使って、不等式が成立するか 否かに関する論理条件を表現する。 論理条件 (11) δ=1 → Σjajxj≦b は、次の不等式で表現できる: (12) Σjajxj+Mδ≦M+b ここに、M はΣjajxj-bの上界である。 7 (12)式の妥当性 • (12)式が(11)の論理条件を表現していること を確かめるために、(12)式を書き換えると、 (12)’ Σjajxj-b≦M(1-δ) となる。δ=1のときには右辺が0となり(12)’式 は Σjajxj≦bとなり、論理条件(11)が満足される。 • 一方、δ=0のときには、Σjajxj-b≦Mとなるが、 Mの定義から、この式は常時満足される。論理 条件(11)を数式表現するとき、表現された数式 は、δ=0のときになにかを意味してはまずい。 換言すれば、δ=0のときは数式が意味を持っ ては困ることに注意。 8 論理条件に対応する数式の「作成公式」 ステップ1 「δ=1→Σjajxj≦b」形の論理条件にする。 ステップ2 右辺bを左辺に移項しΣjajxj-b≦0の形に。 ステップ3 右辺0の代わりに、δの(1次)関数を考え る。この関数はδ=1のとき0、そうでないときは制 約条件式が無意味、すなわち、すべての解が生成さ れる制約条件式を満足するようにしたい。 このため、右辺を□(1-δ)の形(□は適当な定 数)にすると、Σjajxj-b≦M(1-δ)が望む制約条 件式となる。ただし、MはΣjajxj-bの上界値とする。 9 ステップ1 「δ(0-1変数)=1→Σjajxj≦b」の形に 注意1: 不等式の向きが逆、すなわち、≧ならば、 -1倍して、不等号の向きを変える。 注意2: 論理条件が、「Σjajxj≦b→δ=0」のとき は、対偶をとって、「δ=1→Σjajxj>b」の形にし た上で、閾値εを用いて、 「δ=1→Σjajxj≧b+ε」、すなわち、 「δ=1→Σj(-aj)xj≦-b-ε」 の形に変換されたものを与えられた論理条件と 考えればよい。 10 ステップ3 Σjajxj-b≦□(1-δ) 注意3: 望む制約条件式の右辺は、δが1のとき 0となって、論理条件が表現されことになる。一 方、δ=0のときには、□の定数を適当に決める。 M=左辺のとりうる値の上界とすれば、すべての 解がこの制約条件を満足し、したがって、制約条 件はなにも意味しないことになる。 注意4: 右辺の上界Mはあまり大きすぎない値が 望ましい。 11 「δ=0 → Σjajxj≦b」型 論理条件の表現 「公式」のステップ3の M(1-δ)の部分を、 Mδに置き換えれば同様な議論ができる ステップ3’ ステップ2の形Σjajxj-b≦0の、 右辺の0をMδに置き換える。 12 論理条件(1)の逆の数式表現 (「逆は必ずしも真ならず」に注意) (13) Σjajxj≦b →δ=1 対偶をとることによって、「δ=0→Σjajxj>b」とな り、注意2のように、 「δ=0→Σj(-aj)xj≦-b-ε」、すなわち、 「δ=0→Σj(-aj)xj+b+ε≦0」 とする。あとは、ステップ3’にしたがって、 (14) Σj(-aj)xj+b+ε≦M ’δ ここに、M ’はΣj(-aj)xj+b+εの上界値とする。 13 演習問題2 0-1インディケータ変数δを用いて、δが1の とき以下の制約を満たすという条件を数式 として表現せよ。また、逆に、この制約が 満たされているとき、δが1になるという条 件を数式として表現せよ。いずれにせよ、 x1,x2は、0≦x1≦1, 0≦x2≦1の範囲にある ものとする。 2x1+3x2≦1 14 必要十分条件の表現 必要十分条件「δ=1 ⇔ Σjajxj≦b」を数式的に表現す るためにはどうすればよいか 「δ=1→Σjajxj≦b」 AND 「δ=1→Σjajxj≦b」 (12) (14) (12) Σjajxj+Mδ≦M+b (14) Σj(-aj)xj+b+ε≦M ’δ 15 論理条件と0-1変数 δi が0-1のインディケータ変数とし、Xiが δi=1という状態を示すこととする。 (A) X1∨X2 δ1+δ2≧1 (B) X1・X2 δ1=1,δ2=1 (C) ~X1 δ1=0(1-δ1=1) (D) X1→X2 δ1-δ2≦0 (E) X1←→X2 δ1-δ2=0 16 演習問題3:生産 (Xi:製品i が生産されている) 以下の論理条件を表現したいとしよう: (21) (XA∨XB)→(XC∨XD∨XE) インディケータ変数δi を使い、δi が1(0)の ときは、製品 i が作られている(作られてい ない)ことを示すものとしよう。このとき、 (21)を数式的に表現することを考えたい。 (ヒント)δA+δB≧ 1 ⇒ δ=1 ⇒ δC+δD+δE ≧ 1 17 施設配置問題 関東地方を中心に営業を行ってきた輸入品販売業の K社では、関西地方に活動を拡大するため、京阪神地方 に倉庫の賃借を行う計画を立てている。賃借の候補とな る倉庫はmカ所にあって、第i地点の倉庫Wi(i=1,・・・,m)の 月間処理能力はai(トン/月)で、その経費(賃借料や維 持費など毎月の固定費)はdi(千円/月)である。また、 関西一円に広がる消費地Dj(j=1,・・・,n)での輸入品の需 要量bj(トン/月)と、WiからDjへのトン当たり輸送費cij (千円)が与えられたとして、すべての需要を満たし、毎 月の総費用(倉庫経費+輸送費)を最小にする倉庫配置 と輸送計画を求めたい。この問題を数理計画問題として 定式化せよ。 18
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