高血圧・高脂血症について

脳卒中の予防について
船橋市医師会ホームページ掲載用
スライド 1
脳卒中予防のための
生活習慣病対策
1)沖縄26ショック
2)脳卒中の危険因子
3)肥満の対策
スライド1 脳卒中予防のための生活習慣病対策について上記の順にお示します
スライド 2
2000年度沖縄県男性は、
都道府県別平均寿命が
第26位(77.64歳)
全国平均(77.71歳)をも下回った!
(女性は堂々第1位)
スライド2 沖縄男性は以前には平均寿命が全国一でしたが、
95年には第4位、2000年には26位で全国平均以下になって
しまいました。これが沖縄26ショックです。
スライド 3
沖縄県男性の死因別死亡率の全国順位 (2000年)
年齢
心疾患
心筋
梗塞
脳血管障
害
脳出血
肝疾患
糖尿病
35-39
2
8
14
43
4
29
5
23
9
24
1
7
29
1
3
4
6
38
6
5
1
3
5
6
4
1
1
1
6
1
47
27
5
7
4
1
40-44
45-49
50-54
55-59
60-64
スライド3 その原因は若中年男性の死亡率増加です。縦に年齢・横に疾患を示します。
数字は沖縄県男性の死亡率の全国順位です。例えば40歳から44歳の脳梗塞の死亡率は
沖縄が日本一でした。その他にも沖縄が1位とか10位以内のものが多いことが分かります。
別の調査でも沖縄は肥満・運動不足・喫煙・飲酒が多く 寿命を縮めたとされています。
これは日本全体の問題です。
スライド 4
日本の三大成人病
死亡率
(10万対)
患者数
(万人)
医療費
(兆円)
脳卒中
118
142
1.90
がん
216
91
1.76
心筋梗塞
・狭心症
112
91
0.66
スライド4 脳卒中・がん・心臓病の三大成人病のうち、
死亡率はがんが一位ですが、患者数と医療費は脳卒中が最も多いのです。
スライド4 の補足説明
スライド4 脳卒中・がん・心臓病の三大成人病のうち、死亡率は
がんが一位ですが、患者数と医療費は脳卒中が最も多いので
す。脳卒中はアルツハイマー病と並んで痴呆の大きな原因とな
りますし、寝たきりの最大の原因です。その理由の一つが、脳
卒中のうち脳血栓の増加です。高血圧からおこるラクナ梗塞と
いわれる脳卒中は、脳の細い血管が詰まるのに対し、脳血栓
は高血圧に加えて糖尿病・高脂血症・肥満で脳の血管が動脈
硬化を起こして太い血管が詰まります。その結果範囲が広く、
意識障害や重い麻痺を起こすことが多いのです。動脈硬化とは、
血管の壁にコレステロールを主とする脂肪が溜まって血管内腔
をせばめ、また血管の弾力がなくなることをさします。この脂肪
はもろくある日突然はがれ、血小板が付着して急に血管内の血
液が固まってしまいます。その先にある脳の組織は死んでしま
うのが脳血栓です。心臓でこれがおこるのが心筋梗塞です。動
脈硬化は高血圧・糖尿病・高脂血症・肥満・タバコなどの生活習
慣病で起きることが多く、従って生活習慣病が脳卒中の誘因と
なるのです。
スライド 5
脳卒中の危険因子
1. 高血圧
2. 糖尿病
3. 高脂血症
4. 心疾患(不整脈・弁膜症)
5. 血小板凝集能上昇・ヘマトクリット値上昇
6. 喫煙・アルコール
7. ストレス
スライド5 脳卒中を起こしやすくするもの、
即ち脳卒中の危険因子にはスライドのようなものがあります。
スライド5 の補足説明
まず高血圧です。最高血圧が高いほど死亡率が増加します。最低血圧も高
いほど死亡率が増加します。血圧は130/85以下にしましょう。
次に糖尿病および境界型です。朝空腹時の血糖値の正常範囲は70から
110mg/dlです。空腹時血糖値が126以上かあるいは食後2時間血糖値が200
以上のどちらかであれば糖尿病と診断されます。空腹時血糖値 110未満で
しかも2時間血糖値が140未満で初めて正常といえます。正常でも無いが糖
尿病まではなっていないものを耐糖能異常あるいは境界型と呼びます。糖
尿病の問題なところは、軽いと症状がなく、でも一度糖尿病になれば治るこ
とはなく、徐々に糖尿病特有の合併症が進むことです。糖尿病特有の眼・腎
臓・神経の合併症があります。動脈硬化も進みます。動脈硬化は境界型の
段階から進行します。福岡県での調査では、脳梗塞も心筋梗塞も糖尿病で
は3-4倍になりますが、境界型害ですでに2倍の発生率です。境界型はよく
糖尿病予備軍と説明され、かえって糖尿病では無いと安心する人がいます
が、放置することは危険です。
次は高脂血症です。血中のコレステロールや中性脂肪が増えた状態です。
同じ福岡県の調査で、脳卒中の誘因として最近はコレステロール高値や境
界型が増えていることがわかっています。高血圧や糖尿病があれば総コレ
ステロールはもっと低くする必要があります。
次はタバコです。タバコは肺ガン・喉頭ガンその他のガンをふやし、動脈硬
化も進行させます。さらに、タバコでクモ膜下出血は男性で3.6倍、女性で2.7
倍増加することが明らかになりました。
スライド 6
臍の高さの腹部CT写真
皮下型肥満
内臓型肥満
内臓脂肪
(V)
皮下脂肪
(S)
脊椎骨
筋 肉
皮 膚
スライド6 おわりに私が挙げるのは肥満です。肥満は、これまで挙げた脳卒中の危険
因子の大きな誘因となります。スライドは、おへその高さでの腹部CTの写真です。スライ
ド左では皮膚のすぐ下の脂肪が厚くなっています。皮下脂肪型肥満です。右は同じウエ
ストなのに皮下脂肪は厚くなく、内臓の周りの脂肪が増えている内臓型肥満です。
スライド 7
内臓型肥満
高血圧・糖尿病・高脂血症
などを合併する頻度が高い
肥満は万病のもと
スライド7 内臓型肥満で高血圧・糖尿病・高脂血症が多くなります。
ですから私は 「肥満は万病のもと」 と言っております。
肥満が生活習慣病を招き脳卒中に至るのです。以下にその具体的対策をお示しします。
スライド 8
肥満の対策
1)食事療法
2)行動療法
3)歩行療法
スライド8 肥満解消の対策は 食事療法・行動療法・歩行療法です。
スライド 9
無理のない減量法
● 間食を減らす
●
三食はおかずを中心に
ごはんや野菜・海草類や汁物を
加えたバランスのよい食事にする
スライド9 食事療法では、間食をへらし、バランス良い食事をするのが原則です。
スライド10
カロリーオーバーの怖さ
1) 1 日16カロリー多くとると1年で1kgの体重増加
2) 1 日160カロリー減らすと3か月で2kg体重減少
3) 早歩き1日20分で1年で3kg減る
4) BMI25の人は BMI 22の人に比べて
4倍糖尿病になりやすい
健康によいと思って食べ過ぎる
スライド10 1日16カロリー余計にたべると一年で1kg太ります。
ご飯一膳が160カロリーですからその十分1の量です。健康に良いと思って食べすぎるのです。
スライド11
太りやすい生活習慣
1. 食べ過ぎ
2. 不規則な生活
どのくらい食べたかを考えない
早食い
食事時間が一定しない
食事の量が一定しない
3. ストレス
やけ食い
4. 誘惑によわい
さそわれると断れない
あると食べてしまう
朝飯ぬき 夜食
今日は特別の日
おいしいので思わずもう一口
スライド11 次に行動療法があります。偏った食べ方で太るのです。このなかのどれかは
ご自分で思い当たりませんか? 「おなかも空いてないのにどうして食べるの? そこに食
べ物があるからだ。」とか、「おいしくて思わず余計に食べた」とか。ここにかいてあることと
逆の事をすればよいのです。あと一口手前でやめましょう。しかしじっくり味わいましょう。
自分でどこが偏っているか分からないならそれを発見する方法があります。毎日体重を記
録するのです。体重を毎日記録すると 「ご自分が どのくらい食べるとどのくらい太るの
か」がわかります。
スライド12
体重記録表
◎ 一日2回
体重測定
1回目 朝起きて排尿後、食事前
2回目 就寝前
一定の服装で測定、0.1kgの単位まで記録。
スライド12 朝お手洗いに行ったあとの朝食前と、寝る前の2回、パジャ
マならパジャマの同じ服装で体重を0.1kgまで記録します。是非デジタル
体重計を購入して下さい。でた数値をそのままグラフに記入して下さい。
体脂肪率は要りません。やせれば体脂肪率は減るのですから。
スライド13
体重記録表
朝夕 朝夕 朝夕 朝夕 朝夕朝夕 朝夕 朝夕
kg
68
67
66
65
64
食事時間が不規則
食事を抜く
まとめ食い
スライド13 食事の量や時間にかたよりがあるとスライドのような不規則な波形になってきます
スライド14
体重記録表
朝夕 朝夕 朝夕 朝夕 朝夕朝夕 朝夕 朝夕
kg
68
67
66
65
64
理想的変動と体重減少
スライド14 食事の量を一定にして基礎的な時間に摂ればスライドの
ような規則な波形になってきて体重が減少します。体重減少は月0.5か
ら1kgで十分です。1年後にも数kg減少していることが重要なのです。
スライド15
歩行療法
すたすた早足歩き
エレベータ・エスカレータや
車を極力避ける
便利や横着は体に悪い
スライド15 肥満対策の最後は歩行療法です。スポーツでなくとも良いのです。
早足でスタスタ歩くのです。便利や横着は身体に悪いのです。以上のようにす
ると 動脈硬化をおこしやすくする内臓脂肪が減ってくれます。
スライド16
脳卒中予防十か条
(日本脳卒中協会 tel 06-6629-7378 http://jsa-web.org)
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
手始めに 高血圧から 治しましょう
糖尿病 放っておいたら 悔い残る
不整脈 見つかり次第 すぐ受診
予防には タバコを止める 意志を持て
アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
高すぎる コレステロールも 見逃すな
お食事の 塩分・脂肪 控えめに
体力に 合った運動 続けよう
万病の 引き金になる 太りすぎ
脳卒中 起きたらすぐに 病院へ
スライド16 脳卒中協会では脳卒中予防十箇条を広めています。
スライド17
少脂・少食・多動
の
三位一体
スライド17 10項目では多すぎる? ではこれでどうでしょう?
少脂少食多動の三位一体。あぶらを減らし、食べ過ぎを避け、
よく動きましょう。
スライド18
脳卒中予防は
少脂化対策から
スライド18 とくに強調したのは 脳卒中予防は少脂化対策から! という点です。
日本人は脂肪の摂りすぎで太り、生活習慣病が多くなり、寿命が短くなり始めました。
なお病気になってしまった方々の名誉のために申し上げますが、くれぐれ」も「糖尿病
の人はすべて生活習慣が偏っていたとか、心筋梗塞になった人は自分が悪いのだ」
という誤解はしないで下さい。病気の原因は個人個人で複雑なのですから。