口コミを使った戦略 - 香川大学経済学部

15章 対人・集団の影響
香川大学経済学部
堀 啓造
•
1節 口コミと消費者行動
2節 情報の伝播と消費者行動
3節 集団の影響と消費者行動
1節 口コミと消費者行動
1 対人的情報と消費者行動
• パーソナルコミュニケーション,ノンパーソナルコミュニ
ケーション
4章消費者の情報探索と選択肢評価
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
非対人
対人
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
営利
広告
販売員
店舗内情報
──────────────────
非営利 一般目的の 社会の他者
メディア
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2 口コミが発生する条件
• テキスト p224
・消費者が商品選択のための(記憶内)情報を充分
に持ち合わせていない時
・製品の客観的な基準による評価が複雑で困難な
とき
・製品を評価する能力を欠いていると思うとき
・他の情報源の信頼性が低いと思われるとき
・他の情報源よりも接近しやすく,時間や努力を費
やさなくても済むとき
・情報を教えてくれる人との間に社会的つながりが
強いとき
・社会的に認められたいという欲求が強いとき
テキスト 表15-
3 口コミの機能
4 購買決定における口コミの役割
• 最近,口コミ関係の文献が増えている。
• 例えば次の文献
• エマニュエル・ローゼン(濱岡豊訳)(2002)『クチコミはこうしてつくられる-おもし
ろさが伝染するバズ・マーケティング』日本経済新聞社
訳者あとがきに研究例あり
• 神田昌典(2001)『口コミ伝染病 : お客がお客を連れてくる実践プログラム』 フォ
レスト出版
• 文献展望として
濱岡豊(1994). クチコミ発生と影響のメカニズム 消費者行動研究,2(1),29-73.
• 最近のものを見るには
竹村和久(2000).消費者間相互作用と購買意思決定 竹村和久(編)『消費行動
の社会心理学』北大路書房
口コミを使った戦略
• 最近は口コミを積極的に使おうという戦略
が増えてきている。
アフィリエイト・プログラム:
口コミ使う販促手法
• 米国で急成長しているインターネットの口コミを使った新
しい販売促進手法。個人や企業の ホームページで商品
を紹介してもらい、その情報をもとに商品が売れたら、
手数料を払う仕組 み。例えば、ワイン愛好家のサイトで、
ワインに関連する商品を紹介してもらう。アフィリエイトは
英語で「加入者」「会員」の意味。
• どのサイトも一律に同じ表現になるバナー広告と違い、
この手法では各サイトの運営者の言葉で商品を説明し
てもらうため、販促効果が高い。(略)…。ブックワン(東
京・文京)やアマゾンジャパン(東京・渋谷)などオンライ
ン書店で相次ぎ、導入している。
• MJ(日本流通新聞、2001年5月29日)のMJ電脳事典
口コミサイト
• 女子大生ブログ
– NHKに取り上げられた 女子大生のブログ炎
上 J-CAST ニュース 2006/11/07
最近の口コミの本
• ビールスなどと言い方で口コミを喧伝していると
ころもある。
• 神田 昌典 口コミ伝染病 お客がお客を連れてくる
実践プログラム フォレスト出版 2001
• セス ゴーディン (著), 大橋 禅太郎 (翻訳) バイラ
ルマーケティング 翔泳社 2001
• 原題 Unleashing the Ideavirus
• 濱岡裕 消費者間の相互作用 クチコミを中心と
して 『マーケティング戦略シリーズ4 消費者行
動』有斐閣 2003出版予定
2節 情報の伝播と消費者行動
1 誇示的消費と情報の伝播
• トリックルダウン説(流れ落ち理論)
上流階級→中産階級→下層階級
模倣する。
有閑階級
2 情報の2段階の流れと
オピニオンリーダーリーダー
• 皮下注射モデル 直接伝わる
• 2段階の流れ理論
メディア→オピニオンリーダー→フォローアー(追
随者)
1948 Lazarsfeld ほか
• 多段階の相互作用理論
3 オピニオンリーダーの特徴
• テキスト
4 ネットワーク型の
新しいオピニオンリーダー
• 情報発信能力+情報受信力,情報処理能力
→結局オピニオンリーダーでよい。
• 情報ハブ化する“オピニオンリーダー”電通総研
産業・経済部 部長 山本浩一 業務企画部主
任研究員 山田浩之 読売ADリポート
5 新製品の普及とイノベータ
• (流行・普及あるいはファッションの採用)
いままでその人が採用したことのない,新しいことを
する(例.食料品の銘柄の変更,ファッションのモード
の変更,ある特定の映画を見に行く)ときの意志決定
がどのようになされるのかは古くからの問題である.
• Katz & Lazarsfeld (1955)は、まずオピニオンリーダー
が新しいことを採用し,オピニオンリーダーの影響を
受けて追随者が採用するという"2段の流れ"説を立
証している.
Rogersの 5つの採用者カテゴリー
•
一方,Rogers(1961)は,イノベーションをいつ採用する
かという視点から5つの採用者カテゴリーを提案している.
• 革新者,初期採用者,前期多数者,後期多数者,遅滞者
の5つである.藤竹の訳では前期多数採用者を前期追随
者,後期多数採用者を後期追随者と訳している.この訳
は,“2段の流れ”説と採用者カテゴリーをうまく結び付け
ている.
• Rogers(1983)はそれぞれのカテゴリーを次のように特徴
づけている.革新者…冒険的,初期採用者…尊敬をうけ
る,前期多数者…慎重な,後期多数者…疑い深い,遅滞
者…伝統を守る.これらは採用の態度・方法に言及した
ものである.
•
この2つの研究を受けて,オピニオンリー
ダーとイノベーターの研究を中心に,オピ
ニオンリーダー尺度,イノベーター尺度(例.
嶋田,1982),マーケット通尺度(例.Feick
& Price,1987),がそれぞれ開発されている.
しかし,5つの採用時期を同時に視野にお
さめた尺度は開発されていない.
• ロジャースは採用の時期を中心に新モード
採用態度・行動を考えている.
• 逆に,採用の態度・行動を先に考える.
• 2つの考えを考慮して,ファッションの新規
購入時に依拠する根拠・情報探索・態度に
関して次の5つのカテゴリーをつくった.
(1)普及理論 diffusion theory (Rogers)
•
•
•
•
Rogers
革新者
↓
初期採用者
↓
前期多数者
↓
後期多数者
↓
遅滞者
藤竹訳
革新者
inovator
冒険的な人々
2.5%
early adoptor
初期採用者
尊敬される人々 13.5%
early majority
前期追随者
慎重な人々
34.0%
late majority
後期追随者
疑い深い人々
34.0%
laggard(のろま)
遅滞者
伝統的な人々
16.0%
(2)尺度
• オピニオンリーダー、イノベーター
(嶋田,1982)
マーケット通
また、違う意味で、
Kierton,M. Adaptors and Innovators →
Foxell,G.R. & Goldsmith,R.E.
1994 Consumer psychology for
marketing. Routledge.
6 買い方タイプ分け
(1)独自確信型:
自分独自のファッションを創造する,または創造する能力のあるタイプであり,
自分自身の感性でファッションを選択するタイプ.革新者と部分的に対応する.
流行に関しては無関心な場合もある.
(2)情報活用自主選択型:
ファッションについて独創性を発揮しないがファッション情報を積極的に活用
して,生産されたファッションを自分の判断で選択するタイプ.流行に関して
もっとも敏感.
初期採用者.(以下自主選択型と呼ぶ)
(3)他者相談型:
ファッションについて独創性もなく,生産されたファッションを自分で選択でき
ないので他人に相談して自分に似合う服装を選ぶタイプ.前期多数者
(4)他者模倣型:
ファッションにそれほど関心がないが,周囲の服装を意識し,意識的・無意識
的に他人の服装を真似るタイプ.後期多数者
(5)無関心型:
ファッションには関心がなく,周囲の服装に対する意識もないタイプ.遅滞者
• (1)独自確信型
(2)自主選択型
(3)他者相談型
(4)他者模倣型
(5)無関心型
→
→
→
→
→
革新者
初期採用者
前期多数者
後期多数者
遅滞者
(1)独自確信型
α=.83
• ①自分のファッションはオリジナル性が高い .75
②「カジュアル+トラッド」といったようにいろいろな系
統の服を自分なりに上手くコーディネイトできる
③ファッション雑誌のコーディネイトは参考にするがま
るまる真似ることはない
④スタイリストのようにいろんなアイテムを合わせるの
が好きだ
⑤既製品のデザインでは飽き足らない
(2)自主選択型 α=.75
• ①ファッション雑誌を最初から最後まできっちり読む
②ファッションの話で自分の知らないことが出てくると,
どんなことでもより詳しく聞く
③自分に似合わないものはすすめられても買わない
④衣服を買う時は,事前にいろいろ情報を集めて研究
する方だ
⑤どんな服をもってこられても,似合う似合わないを判
断できる
⑥ファッションのことを自分から話題にすることがある
(3)他者相談型 α=.77
• ①店員や家族,友人等,他の人の意見を聞い
てから決める
②少しくらい気に入らない服でも店員や家族,
友人等の他の人からすすめられると買うことが
多い
③洋服を買う時はいつも店員の判断にまかせ
きりである
④着ているものについて,友人によく批評をし
てもらう
(4)他者模倣型
α=.61
• ①バーゲンで買ったものをそのシーズンに着
ることが多い
②ファッション性の高い服はあまり買わない
③服の組合せ方は他人の着方をよく真似る
④バーゲンまで待って服を買う
⑤わたしと同じ服装をまわりの人がしている
ことが多い
(5)無関心型 α=.76
• ①服にはたいした違いはない
②ファッションなんて関係ない
③無意味なのでファッションには時間をかけない
④ファッションより他のことに興味がある
8 その他のオピニオンリーダー
•
国立国語研究所によるとオピニオンリーダーということばはカタカナではなく言い換え
をすべきことばになっている。
http://www.kokken.go.jp/public/gairaigo/Teian1_4/iikaego.html
「世論先導者」にしたらという提案だ。これは使えない。
テキストのコラムなども新しい考えである。
川上和久ほか(1999)『情報イノベーター』講談社現代新書 も新しい考えである。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061494775/qid%3D1042553964/2490992750-5121100
電通も調査に基づいて新しい概念を提案している。(読売ADレポート 2003.1)
電通総研では、「個人間コミュニケーション」 情報ハブ化する“オピニオンリーダーリー
ダ”
http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/200301/01toku3.html
団藤保晴の記者コラム「インターネットで読み解く!」
http://dandoweb.com/
の第128回 ニュースサイトが生む津波アクセス2002(12/12) ・ 第129回 再論・津波アク
セスの社会的意味 2003/(01/09)
もインターネット上でのクチコミを考える上で重要。
3節 集団の影響と消費者行動
1 集団への同調と逸脱
2 準拠集団と消費者行動
1 集団への同調と逸脱
• 流行,ファッション
• ジンメル『流行』
• 『ジンメル著作集7 文化の哲学』白水社
1994(新装復刊) p31-61.(1904)
• ジンメル『大都会と精神生活』in ゲオルグ・
ジンメル『ジンメル・エッセイ集』平凡社ライ
ブラリー(1999)p173-200
• 流行は流行しているファッション(流行)を
取り入れることにより社会に適応したいと
いう同調の欲求と、他者と異なるファッショ
ンを取り入れることによって独自の存在を
示す差別化の欲求が拮抗して成立する。
• http://www.ec.kagawau.ac.jp/~hori/books/1999_7.html#01
• も参照のこと
• 博報堂生活総合研究所『生活定点』博報
堂生活総合研究所 ‘98
• の「人並み」意識 衣生活
–
–
–
–
人と違っていたら
気になる・恥ずかしい
23.2%
気にならない
75.1%
違っている方が個性的でいい 15.9%
• But 意識と行動
2 準拠集団と消費者行動
(1)準拠集団のタイプ
• 準拠(関係)集団と成員性集団(reference group
vs. membership group)
• 個人が所属の有無にかかわりなく心理的に自ら
を関係づけ、態度や判断のよりどころとしている
集団を関係集団あるいは準拠集団といい、実際
に所属している集団を成員性集団という。
• 北大路書房 社会心理学用語辞典 1995
準拠集団 reference group
• 個人が自分の態度を心理的に関係させ準拠させ
る集団。個人が自分自身の共通の興味・関心、
態度・価値を保持するとみる集団であり、また自
己評価や態度の評価の基礎とみる集団。準拠集
団と所属集団(前の成員性集団)と一致するとは
限らない。たとえ所属していなくても、所属したい
と熱望し、心理的成員性をもっている集団であれ
ば、それはその個人にとっては正の準拠集団と
なりうる。態度形成・持続に大きな効果をもつこと
がある。
• 有斐閣 社会心理学小辞典 1994
• 1次/2次
• 公式的/非公式的
インフォーマル・グループ
informal group
• 自然発生的に形成される集団。成員相互の密接
な心理的関係に基づいて成立集団である。集団
の目標や規制、役割分担などは非常に不明確で
あり、成員間で暗黙のうちに了解され、その集団
固有の規範、集団目標をもつことが多い。幼児・
児童にとって仲間集団などのインフォーマル・グ
ループのもつ役割の重要性が指摘されている。
• 有斐閣 社会心理学小辞典 1994
(2)準拠集団の影響の形式
• ①規範的影響
• ②価値表出的影響
• ③情報的影響(知識機能)
①規範的影響 (1/2)
• 準拠集団が同調するように圧力をかけるこ
とで行動に影響する事。同調の圧力はグ
ループの同一性を維持するポジティブな動
機づけがある場合にも働くし、賞と罰の形
で称賛や制裁を与えるという脅しの動機づ
けもある。性格特性によって対人的影響を
受けやすいことがあるという証拠もある。
②規範的影響 (2/2)
• 尊敬や称賛のシンボルは賞や誘因となる。
• 制服を着ないとか、おきまりのノートを買わない。
→周りの非難など。
• 服に意識的な女性は社会的に受容される服を着
る傾向がある。
• 都市化しているところでは対人接触が少なく影響
が少ない。共同社会の崩壊。
• 極端な場合、社会学者いうアノミー状態になる。
アノミーからの回復を求める傾向も生じている。
②価値表出的影響
•
準拠集団は自己同一性を維持し、自己像を高
揚させる働きがある。
• 自己像が明瞭で安定していることは、重要なこと
である。逆に、自分が何者か、自分がどういう考
えの持ち主かが不確かになったとき、私たちは
不安を覚える。そのようなとき、自分が信じる価
値(例:民主主義、人権擁護など)を表明してみる
ことは、あやふやになった自己像を再確認するた
めに役立つ。さらに、自らの中核的価値を表明す
ることによって、自尊心を高めることもできる。
③情報的影響(知識機能)
• 多義的な世界を理解し、意味づけるのに役立つ。
• 私たちは、世界を、組織化されたまとまりのよいものとして
認識したいという欲求がある。理解できない、見通しのも
てない世界に生きることは不安であろう。この不安を解消
するために、私たちは、混沌とした世界を整理し、意味づ
ける知識を求める。
• 準拠集団(態度)は、私たちが複雑な世界を理解するため
の判断や枠組みを与える。いろいろなことが絡み合った複
雑な事態も、ある観点から見ることによって、整理され、首
尾一貫したものとして認識することが可能になる。
• たとえば、ある政治的・宗教的立場をとる人は、世界の動
きを意味のある一連の流れとして理解することができるこ
とである。
(3)準拠集団の影響力の決定因
• テキスト p236 図15−4
影響が強い
• 社会に受容されることを強く望む
• そういう場面やそういう意思決定の経験が
ほとんどない
• 顕示的(みんなの前で使う、見せる)
• 複雑な製品または贅沢な品目
規範的影響をうける
• 個人が特定集団の期待に合うように行動
や意見を変えたとき
• 服装、クルマのブランド
価値表出的影響を受ける
• グループとの心理的つながりをつけるため
に、その規範や、価値、態度、行動を受け
入れる。
• メンバーになりたいという理由ではなく変え
ることがある。
• 購買前に他人の助言を求めることがある。
情報の影響
• 自分自身の観察や接触では製品やブラン
ドの特徴を評価するのが難しい時。
• ほかの人の忠告や使用を証拠として受け
入れる。
影響が弱い
• 社会に受容されることをあまり望まない
• そういう場面やそういう意思決定の経験が
豊富
• 私的な使用
• 単純な製品または必需品
社会的影響を受けている例
• 上着(大学用)の色は影響を強く受ける。
• パジャマの色は影響を大して受けない。
2003年香川大学経済学部調査(中尾卒論2004
)%データ
• 社会的な「上着」は許容・拒否がはっきりし
ている。
• 私的な「パジャマ」は個人によって好みがこ
となっている。
• このことは許容が60%以上、拒否が60%
以上の色を数えてみるとわかる。
同調査(2003)上着 女
パジャマ 女
男子
60%以上受容 60%未満
または拒否
上着
9
4
パジャマ
4
9
• 男女とも上着は60%以上受容・拒否がパ
ジャマよりも多い。
• →社会的規範が見られるものには働いて
いる。
女子
60%以上受容 60%未満
または拒否
上着
7
6
パジャマ
2
11