著者ドナキィ博士は新進気鋭のスコッ トランド史 - Soka University

エ89
〔書
評〕
AHistoryoftheBrewing
IanDonnachie,
JohnRonald
IndustryinScotland,
PublishersLtd..Edinburgh,1979.Ppxi+278
北
政
巳
MasamiKITA
andOrgarAisa'cioninScottishBrewing,1850-
1
1914年),11「
諸 市 場 一 国 内 と 外 国,1850-1914年
」
(Markets-HomeandForeign-一,1850-1914),12
著 者 ドナ キ イ博 士 は 新 進 気 鋭 の ス コ ッ トラ ソ ド史
は,ス
ナキ イ
リス
に 比 し て 醸 造(brewing)酒
向 け られ て い な い こ と か ら,そ
に関心 が
れを研究対 象 とした
成 果 を ス ト ラ ス ク ラ イ ド(Stra七hclyde)大
部 へ の 博 士 論 文 と し,さ
学歴史学
らに 世 に 問 うた の が 本 書 で
者
リス
Brewers,1825),「
「序 」 に 載 せ られ て い る 数 多 く の ス コ ッ トラ ン ド
の 経 済 史 ・経 営 史 研 究 家 か ら の 助 言,図
室 の 協 力b'.,本
書 館 ・資 料
書 の 重 厚 な研 究 内 容 が窺 わ れ る 。先
ず 内 容 を 紹 介 す る と,「 序 」,「諸 表 リス ト」 に 続 き,
1「 成 長 へ の 序 幕 」(PreludetoGrowth),2「
と 変 動,1750-1850年
1750-1850),3「
成長
コ ッ ト ラ ン ド醸 造 業
」(AppendixI:ListofScQttish
付 録 ■:ス
評 価,1793-1815年
1793-1815),「
コ ッ ト ラ ン ド醸 造 業 者
」(Sco七 七ishBreweryValua七ions。
付 録 皿:ピ
・
一 ル と エ ー ル 消 費 税,1707
生 産)」(Appendix皿:BeerandAle
Excise,1707-!830<GrossPzoduce>),「
モ ル
ト 消 費 税,1718-1807年(純
付 録IV:
生 産)」(Appendix
IV:MaltExcise,1713-1807<Nettproduce>),「
引 」(lndex)か
以 下,本
索
ら な る.
書 の 内 容 を 紹 介 し つ つ,書
試 を 加 え て み
た い.
」(Grow七handFluctua七ions,
農 業 と 醸 造:諸
書i籍 解 題 」
付 録1:ス
ト,1825年
-1830年(粗
あ る.
略 語
ト」(ListofAbbreviation),「
(Bibliography),「
コ ッ トラ ン ドの ウ ィ ス キ ー に 代 表 さ れ る 蒸 留
(distilling)酒
か ら 現 在 ま で 」(From1914tothePresen七),
「著 書 目 録 の 注 釈 」(BibliographicalNote),「
の 研 究 家 で オ ー プ ン 〔放 送 〕大 学(OpenUniversity)
の 歴 史 学 ス タ ッ フ の チ ュ ー タ ー で あ る.ド
「1914年
原 料 」(Agriculture
II
andBrewing:theRawMaterialsofarzIndustry),
4「企 業 者 精 神 と 資 本 」(Entrepreneurship&Capita1),5「
経 営 と 労 働 」(Managerrzen七&Labour),
6「 ス コ ッ ト ラ ソ ドの ニ ー ル 酒:1850年
1「 成 長 へ の 序 幕 」で は,先
に 至 る醸 造
所 ・業 」(Scot七ishAles:Breweries&Brewing七
1850),7「
MarketforScQ七
1914年
〇
ス コ ッ ト ラ ン ドの エ ー ル 酒 市 場 」(The
七ishAles),8「
発 展 と 変 革,1850-
」(ExpansionandChange,1850-1914),
世 紀 以 前 は 広 汎 な 家 族 企 業 で あ っ た が,18世
業 の 一 つ と な っ た 」(p.1)と
検 討 す る が,エ
域 的 な分 布 を
デ ィンバ ラ周 辺 に発 展 した こ とを 指
9「 醸 造 ブ ー ム に お け る 資 本 と諸 会 社 」(Capitaland
都 市 特 権(burghprivileges)の
影 響,他
(p.7)か
観 る.地
時 で は,「 輸 送 設 備 ・能 力,旧
CompaniesintheBz'ewingBQom),10「
ラ ソ ド醸 造 業 に お け る 組 織 と 技 術 革 新 」(lnnovation
紀に は
人 口 と所 得 の 増 大 に対 応 し て重 要 な 初 期 的 な 加工 産
摘 す る.当
ス コ ッ ト
ず ビ ー ル 醸 造 業 がrl7
抑 止,モ
来 の 自治
ル ト課 税 の
の ウ ィ ス キ ー ・ジ ン ・ ラ ム 酒 等 の 競 争 」
ら ビー ル 醸 造 の 発 展 は 遅 々 と した もの で
季刊
iqo
創
価
済
論
voi.xvIVo.1
集
コ ヅ ト ラ ン ドへ の 黒 ビ ー ル 醸 造(por七erbrewing)
あ っ た.
特 に ス コ ッ トラ ソ ドに 関 心 が あ っ た の は モ ル
(malt,麦
芽 酒)課
中 に,イ
税 で あ る.1707年
ン グ ラ ソ ドで は1ブ
ス で あ る が,ス
ン
コ ヅ ト ラ ン ドで は ス ペ イ ン 継 承 戦 争
ド課 税 の 動 き が み ら れ,そ
み られ た.結
ト
の合 併条件の
ッ シ ェ ル に 付 き6ペ
の 間 は 課 税 し な い と あ っ た.1713年
局1715年
に ス コ ッ トラ ソ
の 抵抗運動 も 広汎 に 試
の ジ ャ コ パ イ トの 反 乱 の 後 の
1825年 修 正 案 が 可 決 ・施 行 さ れ る に 至 る.そ
の間を
2「 成 長 と 変 動,1750-1850年
」 は,「
ス コ ヅ トラ
ン ド醸 造 業 が イ ギ リス 経 済 活 動 の 水 準 を 反 映 す る 」
(p.16)時
代 と観 る,生
醸 造 業 者,工
産,消
費,税
収 入,主
業 分 布 等 の 諸 表 を 入 れ,「
き な 労 働 雇 用 で は な く全 コ ス トの10分
た 」(p.34)が
要 な
醸 造 業 は大
の一 弱 で あ っ
熟 練 労働 者 の役 割 が 大 き か った こ と
を 挙 げ る.ま
ト業 者(こ
の 導 入 が,中
た ビ ー ル 醸 造 業 者(Brewers)と
う じ 作 り,Maltsters)の
モル
職能分 化の歴史
原 料 」 で は,「 農 業 と 醸 造 ・蒸
留 飲 料 の 密 接 な 関 係 」(p.38)に
般 的 な 発 展 を 究 明 す る.19世
注 目 し,農
業 の全
紀 中 葉 の酵 造 業 の地 域
ル ト税 の 歴 史 的 推 移,税
穀 物 取 式 の 進 展 を の べ る.特
収 入 の 増 大 傾 向,
に 「1780年 代 以 降 の ス
コ ッ ト ラ ン ド飲 料 工 業 の 継 続 的 発 展 に つ れ て,イ
ン
至 り,ビ
ール醸造 業にお ける
経 営 方 針 労 使 問 題 が 一 大 関 心 事 と な っ た.そ
存 す る 帳 簿 類 を 丹 念 に 整 理 ・究 明 す る.特
労 働 問 題 に つ い て は,オ
イ ア ス(P.Mathias)教
を参 考 に
す る.そ
授 の イ ソ グ ラ ン ド企 業 分 析
「ご く 僅 か し か 賃 銀 に つ い て は 分 ら な い 」
し な が ら も,代
の 結 果,「
表 企 業 を例 に 詳 細 に検 討
産 業 革 命 前 と そ の 期 間,ス
技 術 経 営 者(technicalnrzanager)に
る こ と に よ っ て で あ っ た 」(p.96)と
6「 ス コ ッ トラ ン ドの ニ ー ル 酒;1850年
造 所 ・業 」 で は,先
介 す る.そ
し,4つ
害 関 係 を 分 析 す る.特
業 構 造,地
主 ・商 人 の 利
に家 族 企 業 とし て 安 定 的 な 成
し て 諸 文 献 の 醸 造 に 関 す る記 述 も吟 味
の タ イ プ(Pale,Amber,Brown,Patent
分 類 区 分 の 背 景 を 辿 る.
7「 ス コ ッ トラ ン ドの エ ー ル 酒 市 場 」 で は,産
雑 な 市 場 諸 力 の 変 化 」(p,117)が
酒 ・火 酒(spilit),さ
生 じ,輸
ドの ウ ィ ス キ ー と の 競 争 が 激 化 し た.そ
先 兵 で あ り,工
borough),ヤ
デ ィ ソ バ ラ の ド ラ イ バ ラ(A・Dryン ガ ー(W.Younger),プ
ン ズ の フ ァ ウ ラ ー(」.FQWler),ダ
ソ(C.DudgeQn)を
す る.特
比 較 分 析 し て,経
に 注 目 に 価 す る の は,表32「
ドの 銀 行 家 と醸 造 業 者,1786-1828年
レス ト ソ パ
ン バ ァの ダ ジ ョ
り,グ
ラ ス ゴ ウ や ス テ ア リ ン グ(Stirling)地
た ス コ ッ ト ラ ン ドか ら イ ン グ ラ ン
外 国 へ の 輸 出 を リ ス ト化 し,ス
コ ッ トラ ソ ド
醸 造 業 者 の 国 際 的 な 活 躍 を 浮 彫 り と す る.
8「 発 展 と変 革,1850-1914年
」 で は,産
業革 命の
完 成 か ら第 一 次 世 界 大 戦 に 至 る歴 史 の 中 で の 醸 造
業 の 変 化 で あ る.「 全 て の 発 展 分 野 に お い て,ス
コ
ッ ト ラ ン ドは,著
し く イ ン グ ラ ン トの 経 験 と 役 割 分
ス コ ヅ トラ ン
代 を 迎 え た の で あ る。 そ し て 表
」(p.75),表
あ げ る こ と に 関 心 が あ り,「 そ
53「 ス コ ッ ト ラ ン ドで の ビ ー ル 課 税,1850-191年
(p.147),表54「
動 の 推 移 」(p.149)は
興 味 深 い.
「こ の 時 代 の 始 め にGam,多
い た 」(p.150)が,「1900年
し て い た と結 論 づ け る.
企 業 に 減 少 し た 」(p.151)の
術 の 進 展 と と も に,「 ス
授 は,こ
」
ス コ ッ ト ラ ソ ド醸 造 業 の 生 産 と 活
の 成 功 な 原 材 料 価 格 と 取 引 の 安 定 に 依 存 」(p.82)
5「 経 営 と 労 働 」 で は,技
域 の発
担 す る 」(p.145)時
ら 業 者 に は 「短 期 の 運 転 借 入 資 金 で 長 期
的 な 利 潤 」(p.81)を
合 致す る
営 内容 を 調 査
33「 勅 許 ・私 立 銀 行 に よ る 貸 付 ・手 形 割 引 」(p.75)
で あ る.彼
業 化 と都 市 の 広 汎 な
19世 紀 の ス コ ッ ト ラ ン ド醸 造 業 者 の 地 域 分 布 を 辿
ド,諸
Meihlejohn),エ
れはマサ イ
と 著 者 は 観 る.
フ ォ ル カ ー ク の エ イ トキ ソ(J。Aitken),ア
イ ク ル ジ ョ ソ(R.
入 ワイ ン
らに 廉 価 で非 合 法 な ハ イ ラ ン
ア ス 教 授 の 主 張 す る 「醸 造 業 者 は 小 売 革 命(retaiJ.ing
展 に 注 目 す る.ま
ヤ ン ガ ー(G.Younger),メ
業革
命 の 進 展 と共 に 「大 衆 の 嗜 好 と飲 酒 慣 習 の 変 化 と 複
功 を 収 め て い た グ ラ ス ゴ ウ の テ ナ ン ト(R・Tennent)・
ロア の
に 至 る醸
ず 近 代 ビ ール 醸 造 業 の過 程 を 紹
市 場 の 興 隆 を 伴 な う中 に あ る 」(p.117)と
ト ラ ソ ド醸 造 業 の 資 本,企
な
す る.
要 な 意 味 を も つ 」(p.56)様
の ス コ ッ
コ ッ
ト ラ ン ドの 醸 造 業 の 拡 大 は,熟 練 醸 造 工(craftsmanbrewer)が
revolution)の
4「企 業 者 精 神 と 資 本 」で は,1750-1850年
に テナン
ク ス フ ォ ー ド大 学 の マ サ
グ ラ ソ ド と ア イ ル ラ ン ドか ら の 輸 入 大 麦 は 著 し く重
に な っ た.
れ を残
ト社 を 用 い て い る.
orBlack)の
的 推 移 も 巧 み に 説 明 さ れ て い る.
3「 農 業 と 醸 造:諸
産 ・職 工 階 級 の 所 得 の 増 大 も 生Lて,
計 られ る 」(p.87)に
(p.94)と
追 跡 す る.
分 布,モ
経
数 の 小 企 業 が群 生 し て
に は125,1910年
で あ る.キ
に は88
ャ ンベ ル 教
の ビ ー ル 醸 造 業 の変 化 を 当 時 の 社 会 進 化
June1985北
政 己
(Socialevolution)を
zgz
背 景 に生 じた も の と把 握 す
る.
1887年
法,:'・-99年
国 内 市 場 は,「
9「 醸 造 ブ ー ム に お け る 資 本 と 諸 会 社 」で は ,「::・
年 に ダ ブ リ ン に 本 拠 を お く ギ ネ ス 父 子(Arthur
GuinessandSon)社
が,有
限責任 制 として
,最
の 巨 大 醸 造 企 業 と し て 設 立 さ れ 」(p.161),新
大
しい
(p.162),表61「
資 本,1870年
特 に1884年
」
ス コ ッ ト ラ ン ドの 酒 飲 料 取 引 の 総
」(p.164)と,ヴ
レ ヴ ィ(L.Levz)教
ィ ク ト リア 期 の 研 究 ・
授 の所 説 と比 較 し論 を 進 め る .
以 降 は 有 限 責 任 制 の 導 入 が あ り,そ
録 さ れ た 諸 記 録 を 用 い て 諸 表 を 作 成 し,企
彫 り と さ せ る.エ
の登
業 像 を浮
(W・Younger)社
の1885-1900年
抽 出 し,表76(p.217)に
ー ガ イ ル 醸 造 所(Argyll
外 国 市 場 に つ い て は,「1850-1914年
た 」(p.221)が,イ
ン ドの 割 合 は 漸 増 し ,1860年
は24.5%を
査 ・報 告 し て い る.
を
10「 ス コ ッ トラ ン ド醸 造 業 に お け る 技 術 革 新 と 組
や ヤ ン ガ ー社 の企 業 単 位 の 輸 出 先 も調
イ ギ リス の 貿 易 の 進 展 と そ の 時 代 の 国 際 的 ・植 民 地
コ ッ トラ ン ドの 輸 出 は,
全 イ ギ リス の 三 分 の 一 か ら 二 分 の 一 に あ た り,特
展 は 主 と して エ ン ジ ニ ア リン グ の 分 野
し た.表66「
モル トと醸 造
録 数,1851-1855年,(B)タ
」(表182)の
イ
データには注 目
12「1914年
か ら 現 在 ま で 」 で は,現
代 に は 数 多 くの
ドイ ツ 人 科 学 者 を 雇 用 し ,
さ ら に 「1880年 代 に は,教
分 析 家(analyst)を
術革新 の た め に
育訓 練を受 けた化学者 や
雇 用 」(p.183),し
事 業を拡大
し て 事 業 の 発 展 や 技 起 革 新 に 呼 応 し て,労
働 力 構 成 も 変 化 し た.表73「
」(p.202)に
用 者 数 と週 賃 銀 を リス ト化 し て い る.
11「 諸 市 場 一 国 内 と 外 国 一,1$50-1914年
理 化 と 合 併 の 進 展,大
の 移 行 」(p.231)を
政 府 の醸 造 業 へ の 干 渉 は第 一 次 大 戦 後 著 し く な
り,「 特 に1915年7月
国防法下 の中央統制 委員会 が
ん ば ん と な っ た.生
を 経 て 回 復 し た こ と は,表83「
造 業 者 数,1910-1536」(p.234)に
に 至 る ま で は1960年
コ ッ ト ラ ン ド醸 造 業 者 は 危 機 に 陥 い っ
「生 産 物 の 新 し い 排 け 口 」(netivoutlets
の た め 年 に 下 院 に 特 別 委 員 会 が 設 置 さ れ て,
可 決 さ れ た.そ
表 わ さ れ て い る.
員 長 の 名 前 を と っ て1853年
に フ
が
し て そ の 後 も 法 的 整 備 が 進 め ら れ,
そ し て 表88「
者,1960年
続的
な り,「1975年
を 画 期 を し て200万
バ レル の 生
産 量 を 越 え る こ と か ら 区 別 で き る 」(p.237)と
求 め ね ば な らなか っ
ッ ケ ン ジ ィ(Forbes-Mackenzie)法
生 産 量 と醸
業 の ド ラ マ テ ィ ッ ク な 変 化 と 成 長 が み ら れ,継
遇 し て,ス
ォ ー ブ ス=マ
産量
特 に 第 二 次 世 界 大 戦 後 は,「 ス コ ッ ト ラ ン ド 醸 造
」 では,
な 合 併 と合 理 化 が 顕 著 」(P.237)と
醸 造 業 を 調 査 し,委
対的
衆 の嗜好
観 る.
そ れ 以前 に 比 し て 国 際 的 な ア ル コ ー ル 飲料 競 争 に遭
fortheirproducts.p.206)を
在 のス コッ ト
が 『伝 統 的 な 』 ビ ー ル か ら よ り軽 味 の び ん ビ ー ル へ
が2,3年
は17種 類 の 仕 事 内 容 に つ き,雇
のべ てい
れ を 「よ り大 規 模 で 資 本 集 約 的 企 業 の 興 隆,相
作 ら れ て か ら 」(p.232)ひ
雇 用 労 働 と賃 銀 内 容,
に
ラ ン ド醸 造 業 の 特 質 を 形 成 し た 直 接 因 を 求 め る.そ
に 小 企 業 の 衰 退,合
ス コ ッ ト ラ ン ド醸 造 業 者 は,技
た.そ
キ ュ ー ン(W.
る.
さ れ る.
して
他,マ
イ ン ドへ の 輸 出 が 著 し か っ た 」(p.229)と
プ 類 型,1850-1880年
た.そ
国別 ス コ ヅ
代 酵 造 業 技 術 を 追 求 す る が,「1870年
業 に 関 す る 特 許,(A)登
1906年
ス コ ッ ラ ン ド海
国 別 イ ギ リス か ら の
」(p.223)の
経 済 の 発 展 を 反 映 す る.ス
の 類 型 化 を 試 み る.
で な さ れ た 」(p.181)と
に
結 論 的 に,「 ス コ ッ ト ラ ン ドか ら の ピ ー ル 輸 出 は,
レ イ ゲ ラ キ イ 醸 造 所(CraigellachieBrewery),
ハ デ ィ ソ ト ン醸 造 所(HaddingtonBrewery)等
織 」 で は,近
コッ ト
ら1910年
」(p.222),表79「
輸 出,1s72-zgzz年
ム ソ ン ・マ ー シ ャ ル(Thcmson&Marshal1)
し た.そ
の7.5%か
占 め る に 至 っ た.表78「
社,ト
1860年
間,ス
ギ リス 輸 出 に 占 め る ス コ ッ ト ラ
McEwan)社
代 ま で は,発
ま で の ス コ ッ トラ
ラ ン ド生 産 の10°oを 越 え て 輸 出 さ れ る こ と は な か っ
テ ィ ー ル ・カ ー ル ソ ン(Stee1&Coulson)
分 析 し,4つ
ンガー
紹 介 す る.
ト ラ ン ドか ら の 輸 出 」,表80「
ウ ド ン ・ブ レ ア(Gordon&Blair)
す る.ヤ
ン グ ラ ン ド諸 都 市 で の 販 売 高 を 原 売 料 か ら
社,ス
社,ク
質 賃 銀 の増 大 に よ
以 降 はギ ネ ス 社 を は じめ と
市 で 進 展 し た 」(p.214)と
外 取 引,1850-1913年
デ ィ ン バ ラ 合 同 醸 造(Edinburgh
Uni七edBreweries)社,ア
Brewery),ゴ
が,都
ン ド,イ
資 本 の 全 般 的 推 計,1850-1900年
人 口 の 増 大,実
り需 要 は 増 大 し,1890年
す る ア イ ル ラ ン ド業 者 の 参 入 が あ り競 争 も激 化 し た
事 業 ブ ー ム が 生 じ た.
著 者 は 表60「
法 が 作 ら れ た.
す る.
ス コ ッ ト ラ ン ドの ビ ー ル 商 標 と醸 造 業
」(p.245)に
載 る51社 は 残 存 し え た 競 争
性 を 有 す る 企 業 と し て リ ス ト化 す る.
そ の 後 の 「著 者 目 録 の 注 釈 」 に は 簡 潔 に 従 業 の 研
究 成 果 と 本 書 の 位 置 関 係 ・意 義 が 紹 介 さ れ て い る
季刊
192
創
価
経
済
論
Vol.XVVo.1
集
し,「 略 語 リス ト」 や 「書 籍 解 題 」 に は 著 者 の用 い
点 で あ る.さ
らに ヨー ロ ッパ,我
国 に お い て も社 会
た 原 資 料 の 豊 か さが 分 る.ま た そ の 後 の諸 附 録 は,
経 済 構 造 の比 較 が 共 通 の 研 究 関 心 とな りつ つ あ るだ
大 変 参 考 に な る.
け に,こ
の 関連 の追 求 は 一 層 重 要 で あ る とい}る.
第4に 前 点 と関 係 す るが,社 会 経 済 史 を文 化 史 的
皿
視 座 か ら把握 す る方 法,つ
本 書 の 積 極 的 意 義 を 挙 げ る と,先 ず ス コ ッ トラ ン
ドの ビー ル 醸 造 業 の 発 展 を 社 会 経 済 発 展 の バ ロ メー
タ ー と して 把 握 す る方 法 論 に あ る.ド
は,オ
ナ キ イ博 士
クス フ ォ ー ド大 学 の マ サ イ ア ス 教 授 の イ ン グ
ま り 「消 費 社 会 の究 明 」
を 通 じ て 「歴 史 的 生 活 像 」 の 復 元 を 試 み る こ とが ブ
ー ム と な りつ つ あ る だ け に ,此 の 種 の研 究 が 価 値 あ
る も の と思 わ れ る.
も し強 い て 本 書 の難 点 を 挙 げ る と,ス
コ ッ トラ ソ
ドの ビー ル 醸 造 業 を 通 じ て社 会 経 済 発 展 を表 現 し よ
ラ ン ドで の実 証 研 究 に基 づ い て ス コ ッ トラン ドに 当
う と努 め て い る が,そ
て は め よ う とす る姿 勢 を 示 し て い る.
と の 関連 が 充 分 に論 証 され て い な い こ とで あ る.ま
の他 の 具 体 的 な産 業 セ クタ ー
コ ヅ トラ ン ドの アル コ ール 飲 料 の 研 究
た ウ ィス キ ー との市 場 競 争 の歴 史,他 企 業 労 働 者 と
と して は ウ ィス キ ー が 知 られ る が,著 者 は ビ ール 醸
の賃 銀 比 較,技 術 革新 の具 体 的 な プ ロセ ス の 論 証 等
造 に 着 目し未 開 拓 の分 野 を 究 明 した 点 で あ る.し か
の 弱 さが 挙 げ られ る.そ れ らは 著 者 の 問 題 意 識 の 限
も ビー ル 醸 造 全 体 の発 展 史 の 中 で,個 別 企 業 の生
定 か らで あ り,ま た 研 究 家 と して の新 進 気 鋭 で あ る
成 ・発 展 へ も関 心 を 払 って い る.勿 論,本
格 的 な企
こ とか ら未 だ 対 局 的 分 析 を 望 む こ とは 域 を 越 え て お
が され て い る訳 で は な い
り,本 書 の研 究 成 果 の意 義 を 過 少 評 価 す る も の で は
第2に,ス
業 者 史 研 究 の ア ブmチ
が,今 後 の研 究 へ の期 待 が 窺 わ れ る.
第3に,殊
に 産 業 革 命 期 の ビー ル 醸 造 業 の 銀 行 ・
金 融 との 係 り合 い に も融 れ て お り,大 変 興 味 深 い 視
な い とい え よ う.
(経 済 学 部 教 授)