報告書 - 環境レイカーズ

平成 15 年度 京滋地球環境カレッジ
第6回「かたろう!琵琶湖の未来像」
∼湖上、湖畔をたずねて∼
2003/11/2(San.)∼3(Mon.)
京滋地球環境カレッジ
第6回「かたろう!琵琶湖の未来像」
∼湖上、湖畔をたずねて∼
報告
■目
的:環境問題の解決に向けて、必要な知識や考え方、実践的なスキルを習得し、
地域や職場、学校や家庭において、環境との関わり方を自ら考え、自ら行動
する。
■ね ら い:①「琵琶湖ルール」施行の背景、効果を理解する。
②琵琶湖の現状を検証し、私達人間生活にとっての自然観、環境観を築きつ
つ、どのような行動につなげていけばよいかを考える。
■日
程:2003 年 11 月 2 日(日)∼11 月 3 日(月・祝) 1泊2日
■会
場:・開知学校 長浜市元浜町 2-3 TEL 0749-63-0333
・長浜港 及び 琵琶湖湖上(みずすまし号、湖上タクシー)
・長浜サイクリングターミナル(宿泊) 長浜市名越町 1016-1 TEL 0749-63-9285
・尾上港 朝日漁協会館
■実施体制:コーディネーター(全体責任者・進行)島川 武治、西村 仁志
アシスタント
■講
(記録・進行補助)
池田 勝
滋賀県事務局
江村 雅浩
京都府事務局
池村 隆兆・坂上 琴美
師:滋賀県自然保護課 沢田室長(琵琶湖ルール解説)、環境啓発アドバイザー 中
西みどり氏(みずすまし号)、北びわこ湖上タクシー研究会代表 松岡正富氏
(湖上タクシー)、滋賀県漁業組合連合会 会長 杉本氏、滋賀県エコライフ推
進課 西原課長
■参加人数:22名
■参 加 費:6500円(宿泊代、食費等実費として)
■配 布 物:琵琶湖ルール ルールブック、滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適性化に関する条例、
みんなで守ろう!びわ湖ルール、マザーレイク21計画、滋賀の環境、ブルーギルや
ブラックバスの調理に挑戦しよう、琵琶湖の主なプランクトン、そよかぜ vol.90、「琵
琶湖を守るための1万人の誓い」を募集しますパンプ、環境教育リーダー研修基
礎講座
■スケジュール:
□11月2日
9:00
スタッフ集合
最終打合せ
9:30 JR長浜駅東口 参加者集合 受け付け開始
10:00
徒歩にて開知学校へ
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10:15
開知学校到着
オリエンテーション
講座のねらい等確認
10:20
●講話「琵琶湖ルールがはじまって」
11:20
昼食
12:20
長浜駅東口前バス出発
13:00
●長浜港到着 湖上体験(みずすまし号、湖上タクシー 分乗乗船)
14:20
湖上体験(入れ替え)
15:40
バス出発(長浜サイクリングターミナルへ)
16:10
長浜サイクリングターミナル到着、オリエンテーション、チェックイン、休憩
17:30
●ふりかえりと共有(琵琶湖の現状)
18:00
夕食、入浴
19:30
●琵琶湖活性化プランづくり
21:00
交流会
滋賀県自然保護課 沢田室長
□11月3日
7:30
朝食
9:00 バス出発(尾上港へ)
9:30 尾上港 朝日漁業協同組合会館 到着
●講話「琵琶湖の再生と漁業」滋賀県魚連会長 杉本氏
10:00
●外来魚料理体験
12:00
昼食(弁当と外来魚料理)
13:00
●琵琶湖活性化プラン発表会
●カレッジ全体のふりかえりとまとめ
14:15
●閉校式
15:00
バス出発
15:30
JR長浜駅東口 解散
■プログラム詳細:
●講話「琵琶湖ルールがはじまって」 滋賀県自然保護課 沢田室長
琵琶湖ルールは、琵琶湖に関する様々な事柄の中で、特にレジャーに限ったルールで
ある。7月の県勢世論調査においても、48%の県民が琵琶湖でレジャーを楽しんで
いる。また他府県からのレジャー客も多く、レジャー客の3割が県民、7割が他府県
民である。またその内マリンジェット関連のレジャー客は、滋賀25%、大阪35%、
京都15%と圏外からのレジャー客が多いことが分かる。
ⅰ 琵琶湖ルールができるまでの背景、経過
琵琶湖は、日本最大そして最古400万年前にできた湖であり、特有の種も多く守る
べきものとしての価値も高い。滋賀県は、マザーレイク21計画を策定し琵琶湖の整
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備、保全を進めている。自然環境においては、ラムサール条約締約湖であるように水
鳥の貴重な生息環境でもある。またブルーギル、ブラックバスの影響による在来魚の
漁獲量の減少(フナ 600t→100t 以下 ブラックバスの影響、ホンモロコ 200t→30t ブルーギ
ルの影響)。これらは、葦の生息地の減少や護岸整備の影響によることも多く、外来魚
による影響だけではないと思われるが、外来魚による影響は無視できない状況にある。
国も外来種に対して取り組みを始めているところである。
ⅱ 琵琶湖ルールの内容
条例:琵琶湖レジャー利用適性化基本計画
・自然環境の保全・・・2サイクルエンジンの使用禁止、外来魚の再放流(リリース)の禁止、
水鳥の生息地への配慮
・生活環境の保全・・・プレジャーボートの航行禁止、操船者の順守事項
・環境配慮製品の開発、促進
施策の推進にあたって、条例の規制部分を「びわこルール」として、
①静かな琵琶湖
②清らかな琵琶湖
③自然豊かな琵琶湖
の3つの琵琶湖を取り戻そうと掲げている。
ⅲ 琵琶湖ルールについての取り組み状況、課題
琵琶湖ルールの広報推進として、監視員を66名配置し、関連する京都府知事へも協
力をお願いにあがったり、子ども環境特派員事業において琵琶湖ルールを取り上げた
り、電車、新聞での広報などを行っている。
またノーリリースありがとう券として、外来魚を釣り上げた人に500円相当の商品
やサービスに引き換える券を発行し、約 16t 分の外来魚駆除に一般の人が協力しても
らえることとなった。16t は駆除の量としてた大した量ではないが、市民にルールを知
らせる目的には効果が高かったと思われる。
また、琵琶湖に関わる多くの行政が琵琶湖の保全に取り組んでいくべきとして、先日
のようなヨット事故など“安全”に関わる所は、警察、“河川”に関するところは河川行
政、利用する人に一定の負担をお願いする面では“税”に関することを検討していこ
うと、議会でも検討している。
今回の条例は、議会でもまず3年で見直し検討していこうとしている。まずは今やら
なければいけないことを条例化し実行しているという状況である。
質疑応答
Q.監視員になるには?
A.一般公募は行っておらず、琵琶湖湖岸22市町村からの推薦を受けて監視員を任
命している。漁業者や、レジャー、マリーナ関係、地元自治会員などで現在66
名が活動してもらっている。監視という目的から、ほとんどが土日の昼間に活動
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を行っている。一度に交通費込みで1000円をお支払いしている。
Q.本日の講話内容は滋賀県ホームページ等で見ることができるか?
A.全てではないが、見ることができるようにしている。
Q.外来魚ノーリリースの効果は?
A.リリースを禁止することは、全国初の試みである。釣り人へのルールを変えてい
く啓発をまず行っている。短期間にありがとう券は流通し、また外来魚釣り大会
は、漁業関係者だけでなく、NPOや床屋団体、トラック団体なども主催し、広
がりを見せている。ルールを根付かせることが大事だと考えている。
Q.回収された外来魚は?
A.3つの処理・回収方法を用いている。
1.回収ボックス・・・実験として、臭いや腐り具合、何が入れられるかなど。職員
が回収し、ゴミとして処分
2.回収いけす・・・有効利用。共同作業所による回収で堆肥化している
3.ありがとう券による回収・・・有効利用。共同作業所による回収で堆肥化してい
る
Q.琵琶湖ルール施行による成果は?
A.施行前の事前アンケートでは7割の釣り業者が行かないと答えていたが、70万
人の釣り客が琵琶湖で今年も釣りを行ったと見られる。バス釣りのブーム自体も
少し下がり気味でもあり、利用客は変わっていないと思われる。またリリース禁
止は概ね守られていると捉えている。いけすなどの回収は 22t と漁業者による回
収 500t には及ばないが、みんなで駆除を行うという気持ちが県民に広がっている
と捉えている。
Q.条例を作ったことは素晴らしい。ではその罰金など取り締まりはどのようになっ
ているか?
A.レジャーボートなど10件の停止命令を出している。法律基準がないため罰則は
設けていない。リリース禁止は、罰則が必要との声が多かったが、釣り人に協力
をお願いするという考え方である。また、リリース禁止に関しては、2つの訴訟
①在来種の減少は、外来魚の影響ではない、②釣り人が減ることで、逆に増える
のではないか を県が受けている。琵琶湖を特に大事にしていきたいという気持ち
を増やしていきたいと思っている。
Q.ブルーギル、ブラックバスの他にも、ワニやカメ、他外来魚など多く確認されつつある。
売る側のペットショップなどに規制をしていく必要があるのでは?
A.移入種問題と呼ばれている。環境省で検討されている。琵琶湖を守るためには、
多くの取り組みが必要であり、今回の琵琶湖ルールはレジャーに関して特に考え
ている。
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●湖上体験 みずすまし号乗船 講師 環境啓発アドバイザー 中西みどり氏
長浜港より多景島、沖の白岩、安曇川沖などを回った。
中西氏による琵琶湖の解説:
面積は 674km2 と滋賀県 4000km2 の約四分の一であり、淡路島がすっぽり入る大きさで
ある。周囲 234km、南北 63.49km であり、最深部は安曇川沖の 103m である。ちなみに
大津のプリンスホテルの高さは 130m である。琵琶湖の水面は、海抜 85m であり、大阪城の天
守閣と同じ高さにある。
琵琶湖には、5つの島(竹生島、沖島、多景島、沖の白岩、水没島)がある。多景島
は竹島とも呼ばれ、石英班岩でできた島であり、尼が一人3月∼12月の間暮らして
いる。日蓮宗以外立ち入ることはできない。沖の白岩は、湖底から 84m 立ち上がった
島である。北湖には三基の吊り下げ式自動観測所があり、水質や気温を自動で観測し
ている。
琵琶湖の水は鉛直方向に2層に分かれており、春の雪解け水で循環することができる。
また水平方向には、還流が2つあり、北湖では反時計周りである。
湖上にて、パックテストによるpH、CODの調査、水深50mの深層水の試飲体験
を行った。
表層水
深層水
水温
19℃
10℃
pH
7.5
7.0
2
2
COD
透明度
6m
水温の方が気温より必ず高い。夏はアルカリが強くなることもある。
質疑応答
Q.みずすましの一般利用の方法は?
A.滋賀県エコライフ推進課、もしくは環境保全協会へ申し込む。研修目的のみ。費
用は、燃料代 約 1.5 万円位と港の使用料 1000 円が必要となる。県の環境アドバ
イザーは約40名ほどおり、みずすまし乗船時の研修の講師などを行っている。
●湖上体験 湖上タクシー乗船 講師 北びわこ湖上タクシー研究会 松岡 正富氏
この船の良さは、開放された空間であることである。私は、漁師としては三代目にあ
たるが、カワウの方が漁が上手いほどだ。琵琶湖は30年前から漁獲量が 10000t から
2000t へ急激に変化している。
今日は魚の視点から話をしたい。環境を語ることについて、例えば 150ml のジュースが
150 円、ガソリンが 1 リットル 35∼40 円ということがおかしいと気づかなければいけない。
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3倍もすることが分かっていないのに、環境のことなんて分かるわけがない。生き物
の世界はもっともっと微妙なことであるのだ。人間が持っている五感をもっと働かせ
て欲しい。そして環境を感じて欲しい。魚にとって、1℃温度があがることはとても
ハードなこと。琵琶湖も年々温度が上がりつつある。そのことはとてもリスクを抱え
ている。琵琶湖の漁師は 2000 人弱いる。10000t から 2000t へと漁獲が落ちたというこ
とは、漁師は年間 11 ヶ月は休まなくてはいけないということとなる。
湖上から見える景色は全て滋賀県である。すなわち、琵琶湖の変化は全て盆地である
滋賀県の人々が関わっているということである。外来魚が増えてきたというのも、在
来種が減ったある一因であろう。琵琶湖に起こっていることは元をただせば、全て川
に起こっていることでもある。琵琶湖に注ぐ川は120河川あるが、2つ(姉川と安
曇川)を除いて、みな同じ形の人工的な河川である。30∼40年前から川を色々と
なぶってきた。その影響が川そして琵琶湖へとつながっていると思う。
以前は、ナイロンと発泡スチロールがゴミとして流れ問題になった。それらは陸上で回収シス
テムが確立すると流れてこなくなった。滋賀県でしっかりとした行動を行えば、きっ
ちり琵琶湖に結果が現れるということである。
漁師は資源を増やそうと努力しているが、魚に標識をつけて調査してみると、自然の
力で増えているのは2∼3割程度であることが分かっている。
5月の田植え時期、魚がいなくなることが分かっている。農薬の流れに従って、魚が
河川を出たり入ったりしている。農薬の影響がもろに出ているのである。農業システ
ムも関わって見直していく必要がある。
机の上で琵琶湖を考えず、全部含めて見た状態で考えることが必要だ。
魚の視点で言うと、水が悪いと漁獲が減るというのは間違いだ。あれだけ汚い霞ヶ浦
は琵琶湖の二倍の漁獲量である。ほんまは増えるのではないかとも思う。在来種が減
ったのは、外来魚だけの影響だけではないだろう。例えば堅田内湖はほったらかしで
も生態系が保たれているのである。
漁師の立場で言うと、漁師は琵琶湖の中を見ようとする。五感を大切にしている。見
えなかったら生活できないからである。えりの棒は1本7万円もしている。一つのえ
りにはそれを数百本設置する。どこに設置するか、向き、大きさは漁師次第である。
そこに魚が通ると考えて、真剣に寝ずに考えて設置している。ただえりを設置してい
るわけではない。
質疑応答
Q.えりの所有は?
A.漁協の許可制である。ちなみに1本の棒は、FRP素材で30mほどある。
Q.えりではどれ位の魚が獲れる?
A.琵琶湖の流れで、1回 3000 円の時もあれば、100 万円の時もある。
Q.一般的に水は少しずつ良くなっていると言われているが、どう考えるか?
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A.赤潮の出る2日前から漁師はそのことが分かっている。良くなっているとは思わ
ない、悪くなっていると思う。というのは、まず網がすぐに水深15mほどの所
で黒く汚れてしまう。また水草が変化しており、3∼4mも伸びており栄養が多
い状態になっているのではないか。深いところで何か悪くなってきていることを
感じている。
Q.琵琶湖ルールに対しては?
A.色んな人が琵琶湖に目を向けることとなった。漁師も真剣に目を向け、外来魚駆
除も増えた。しかし、その駆除も価値を見出さないと長続きしないであろう。
Q.湖上タクシーは?
A.交通として車は発展している。琵琶湖に接点を持ってもらう意味で、漁師が何か
を伝えていくことを目的にしている。概ね30分、1000 円/人で最大13名として
いる。
●今日の体験のふりかえりと共有(琵琶湖の現状) 島川
・今までの琵琶湖のイメージ
・今日体験した琵琶湖のイメージ
・今日の体験した琵琶湖を一言で表すと
以上のことを個人でふりかえり、その後グループで分かちあった。
参加者の琵琶湖への一言「湖上にて」「なぜ」
「広い」など
●琵琶湖活性化プランづくり
グループでのアイスブレイク(机の上に両手を置いて、順番次に叩いていく。その後、隣
の人と腕を交差して叩いていくことを競争)に続いて、グループで“琵琶湖の活性
化プラン”について話し合った。「いつ」「どこで」「誰が」
「誰と」「何のために」
「どんな方法で」
「こんなことをします」これらのことをキーワードに、これまで
の6回のカレッジの活動を元に、主体的な活動に向けて苦しいことも乗り越えて
“知事に提案していくものを作ろう”との声掛けで、各グループが真剣に話し合
った。
●講話「琵琶湖の再生と漁業」滋賀県魚連会長 杉本氏
滋賀県内には、現在40の魚連がある。その会長を務めている。琵琶湖と言えば、鮎。
実は現在鮎以外の魚は漁獲量が減少しており、漁師は漁獲の6・7割を鮎に頼ってい
るのが現状である。ニゴロブナ、イサザ、セタシジミ、ホンモロコなどは減少してい
る。それらは浅瀬で産卵を行う性質をもっており、その浅瀬で葦原が減り、農薬やヘ
ドロが流れ込み、藻が繁茂している状況の中、環境の悪化と外来魚の影響で減少して
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いると思われる。ホンモロコは 500t から 5t、今朝イサザは 300g しか取れなかった。
また田んぼと琵琶湖のつながりがなくなってきてもいる。昔は田んぼで魚達が産卵し、
稚魚がそこで育ち琵琶湖へ帰っていくという関係ができていたのだが、田んぼの整備
などで環境が失われている。
外来魚駆除によって、それらの主食であるスジエビが増えていると感じている。
質疑応答
Q.田んぼでニゴロブナを増やすという方法があるが?
A.3∼4cmまでは、急激に大きくなるがそれ以上は大きくならず、良い方法とは
なっていない。
Q.琵琶湖ルールの功罪については?
A.世論を盛り上げた点は良かったと思う。しかし、釣り団体等との摩擦が生じてい
るのも確か。ニゴロブナも実は外来の種であり、中国から二千年前に伝わり近江
の味となっていった。そのようなことも伝える必要もあるのではないだろうか。
Q.なまずが田んぼに産卵するのを見た。また海ではカキ養殖者が森づくりを行った
りしている。琵琶湖の漁業者、農林業者のつながりは?
A.昔は水を田んぼ、田んぼ、田んぼと利用して川へと流れていた。現在は、田んぼ
すぐに川へ、そして琵琶湖と直結している。結果田んぼの水が足りず琵琶湖から
汲み上げる始末である。農業排水が漁業に一番影響を与えていると考えている。
そのため、農政にも改善を訴えている状況である。
Q.近江八幡での淡水真珠はどうであるか?
A.イケチョウガイを用いて真珠養殖を行うのであるが、水質が悪く育たないのが現
状である。
●外来魚クッキング
朝日漁協 前田氏の協力で、ブラックバス、ブルーギルの捌き方からフライまでを教わり、実
際に料理を行った。
初めて魚を捌く参加者も多数おり、魚が跳ねたりする度に驚きながらであったが、ブ
ラックバスの腹の中からエビやモロコ、鮎が入っていることなどを聞きながら、丁寧
に捌いていった。またフライにした魚を早速試食し、その思わぬおいしさに「美味し
い!」の声を挙げていた。思う以上のおいしさに、「早速家でも料理したい」「みんな
にも食べさせたい」「バスはどこでもらえるのか」などの言葉が出ていた。
●琵琶湖活性化プラン発表会
4つのグループが昨晩からのびわ湖活性化プラン作りに取り組んだ結果を発表した。
発表①「琵琶湖の水辺と未来の子ども達に」
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グループ員:吉見、高木、伊山、松井、中尾、内村
自然の共生と循環社会を目的として、学校、森、河川の整備を行い、森→里山→川
→琵琶湖へとつなぐ。子ども達から環境を大切にしようとする気持ちを発信。長いス
パンで計画し、低学年からつないでいく。
Q.つないでいくとはどのようなことか?
A.マップづくりなど活動の証しを地域に伝えることであり、その活動するエリア(地
域)、対象(世代)を広げていく。
発表②「取り戻そう、琵琶湖のつながり」
グループ員:宮田、水野、森、山本、高橋、堂下
“未来の子ども達のために”とはよく言われる大義名分であるが、当事者の子ども
達が参画できていない。将来を担う責任を持てるよう、琵琶湖水系に関わる人達の交
流を持とうといういうもの。世代間のギャップも環境の問題に関わってくる問題であ
る。
Q.事業としてはどのようなものを?
A.流域のフォーラムを公開で行っていくような形式。
Q.“子ども”のイメージは?
A.個人差があるので、枠を作るものではない。
発表③「琵琶湖体験ツアー」
グループ員:谷口、神山、西本、石野、菊香
親子ぐるみや子ども達を対象としたツアーを行い、学んだことを家庭、地域で発揮
してもらおうというもの。
テーマを作って自然体験を行う。
例テーマ「水の流れ」1.水源地から出発 2.栗東自然観察の森 3.日野川など
の川を歩く 4.琵琶湖 北小松での地引網
旅行会社が主催し、底辺を広げていく活動が必要である。環境よりも楽しさを訴え
て、より多くの人に、興味のない人に参加してもらう。
発表④「森と湖をつなぐ“そだ”工法」
グループ員:三浦、世良、柏、西澤、平井、岩田
そだとは、低床木を重ねたものである。山と水の関わりを強く打ち出し、柴刈りや
生物の住処作りとして行う。里山と湖をつなぎ、利用、整備を促進させる。
Q.そだそのものでの浄化は難しいのでは?
A.生物が増えることや微生物が住み着くことでの浄化を期待している。
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島川からのコメント
各グループ共通しているのは、琵琶湖そのものを見ているだけではダメであること。
広い観点から見ることが大事であること。今回のカレッジでも同じことが言える。食、
科学、漁業、法律、レジャー 色々な視点から琵琶湖を見ている。
●カレッジ全体のふりかえりとまとめ
全6回のカレッジを振り返って、ふりかえりシートを記入した。また各担当者からま
とめとしてコメントを話した。
□滋賀県エコライフ推進課 西原課長
琵琶湖は 1400 万人の生活水となっている。水を守ることは子ども達も取り組み始めて
いる。総合学習などで環境について学習し始めており、大人よりも学んでいるであろ
う。そして日々の生活の中でも取り組みが始まっている。これから大切にしていきた
いことは、①子どもや大人の意見交換の場づくり ②山∼琵琶湖のように、大阪まで地
域をつなぐ ③エコツーリズムの充実
□滋賀県側 コーディネーター 環境レイカーズ 島川
全6回様々な観点であったが、全てどこかでつながっている。手を組んでいく仲間や
地域、一人では動き出せないことも、つながりがあれば広がりを見せていく。つなが
りをたいせつにして欲しい。
□京都府側 コーディネーター 環境共育事務所カラーズ 西村
京都でのプログラムは、タウンウォッチングに始まり、自然エネルギー、芦生の森と実は京都は色
んな学習資源を持った所である。ねらいやゴールとしていたものは、学ぶだけでなく新
しい社会を築くための出発点がこのカレッジであって欲しい。新しい社会を作ってい
くきっかけとなって欲しい。
□滋賀県 エコライフ推進課 江村
これからみなさんがエコロジーライフを作っていくと思うが、エコライフ推進課はそ
のようなことを一緒にやっていきたいと思う課である。ぜひエコライフ推進課に立ち
寄って欲しいし立ち寄れるような課にしていきたい。
□京都府 環境企画課 坂上
みなさんと勉強できて楽しかった。これから一緒に活動や関わりを持ちつづけること
ができたらうれしいと思う。
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●閉校式
全日程のうち、四分の三以上出席した受講生には修了書が手渡された。
修了書は琵琶湖の葦を用いた紙で作られており、書家でもある島川が文面を書いた。
□京都府 環境企画課 石野課長
環境行政に関わるものとして、この2日間のような熱心な議論はとても心強いと思え
るものであった。環境行政は、行政の大きな柱となっている。しかし、環境とは社会
一人一人の行動を変えていくことであり、パターン化されたものはない。現場からの
アイデアが重要となる。みなさんの協力に感謝したい。
□滋賀県 エコライフ推進課 西原課長
貴重な時間を割いて、半年間学習に取り組んでいただいたことに感謝している。環境
学習は大きなテーマである。環境学習推進法も施行され、国民総参加で環境について
考えていくこととなるであろう。滋賀県でも条例化しようとの動きもある。しかし法
律も大切であるが、率先して行動する人にかかっている。皆で輪を広げて行きましょ
う。
●連絡事項
このカレッジも今回で3年目となり、参加者も延べ150人ほどとなった。1∼3
期性の方々の同窓会のようなものを開き、ネットワークを広げて欲しいと考えている。
来年1月25日を予定しているので、ぜひ予定を空けておいて欲しい。
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■ふりかえりシートより(抜粋)京滋地球環境カレッジ全6回を振り返って
①.あなたの満足度は?5段階評価
1−0人 2−0人 3−2人 4−13人 5−5人
②.この講座はあなたにとって?ためにならなかった∼有意義だった 5段階評価
1−0人 2−0人 3−1人 4−8人
5−11人
③.この講座で学んだこと、気づいたこと、発見したことは?
・参加者が幅広く、雑談からも色々と学ぶことがあったので良かったです。
・環境に対して興味のない人をどうひきつけるか?その難しさ。もっと勉強しな
ければいけないな。
・琵琶湖で今起こっている問題を把握できたこと。そして何よりも琵琶湖の美し
さに感激しました。
・肌で感じることの大切さ。
・新たな意見発表をする人と巡りあった。
④.この講座で楽しかったことは?
・色々の人達と交流できたこと。
・楽しいワークショップと飲み会。
・幅広い年齢層の人達と一緒に勉強できたこと。
⑤.この講座で不満だったことは?
・もっと議論が活発にできるといいかなぁと思った。
・もっと全員で論戦する機会があった方が良い。
・既にしっていることが多かったので、もう少しレベルが高くてもいいかなぁと
思いました。
・もう少し現場体験を増やして、実際に作業したかった。
⑥.この講座から今後の生活をどのように活かしていこうとおもわれましたか?
・他の参加者が地域で取り組まれている活動を教えてもらったので、時間が合え
ばそれらの活動にもかかわらせてもらいたいです。
・外来魚を活かした食文化作りにチャレンジしていきたい。
・私の住む町に木津川が流れているのですが、その川も山とつながり海とつなが
っているのだということを子ども達に、もっと実感をもって伝えていきたいと
思います。
・どこに出かけても五感を使って、水や自然に触れる。
・今取り組んでいる森林ボランティアを拡大的に活かしていきたい。
⑦.あなたの感じたことを自由に書きましょう
・個人個人が高い関心を持って環境保全に取り組むことが大きな力になるのだと
実感しました。自分なりに日々気をつけていることもあるのですが、もっと色々
とできると再確認させられました。
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平成 15 年度 京滋地球環境カレッジ
第6回「かたろう!琵琶湖の未来像」
∼湖上、湖畔をたずねて∼
2003/11/2(San.)∼3(Mon.)
・環境に対する講座に、受験で忙しい 10 代の若い人達が参加されたことに関心
しました。
・環境という言葉が重く感じ取れました。僕は環境という概念の中にとらわれず、
行動が良い形につながり、広がりを持てればいいと思います。
【評
価】
今回のカレッジのねらい
①「琵琶湖ルール」施行の背景、効果を理解する。
②琵琶湖の現状を検証し私達人間生活にとっての自然観、環境観を築きつつ、どのよ
うな行動につなげていけばよいかを考える。
以上に照らし合わせて評価を行った
①自然保護課沢田室長からの講話を聞き、またその琵琶湖生業として関わっている松
岡、杉本両氏からの実際の琵琶湖ルールに対しての話を聞くことで、琵琶湖のおかれ
ている現状を知り、そのルールの背景、今後の課題を理解することができた。
②みずすましや湖上タクシーから体験する琵琶湖、また生業として五感を使って琵琶
湖に触れている漁師の自然観、環境観を聞き、個人での自然観、環境観を考えるきっ
かけとすることができた。また個人からグループでの「琵琶湖活性化プランづくり」で
お互いの考えを話し合うことによって、これからの行動へつながるそれぞれの考え方
を形成することができた。
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平成 15 年度 京滋地球環境カレッジ
第6回「かたろう!琵琶湖の未来像」
∼湖上、湖畔をたずねて∼
2003/11/2(San.)∼3(Mon.)
【記録写真】
琵琶湖ルールについて(開知学校にて)
中西みどり氏(みずすまし乗船)
深層水の試飲
湖上タクシー研究会 松岡正富氏
湖上タクシー乗船
今日のふりかえりと分かち合い
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平成 15 年度 京滋地球環境カレッジ
第6回「かたろう!琵琶湖の未来像」
∼湖上、湖畔をたずねて∼
2003/11/2(San.)∼3(Mon.)
グループワークの前に
グループワーク「琵琶湖活性化プラン」
外来魚料理
滋賀県魚連会長 杉本氏
琵琶湖活性化プラン発表
修了証授与式
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