♪ リハビリ国試対策 ♪ サブノート 岐阜保健短期大学医療専門学校 東洋医療学科 柔道整復科 2015 年度 2 【リハビリテーション総論 まとめ】 ≪リハビリテーションとは≫ ・人間らしく生きる権利の回復:復職,復権,名誉回復 ・第 3 相の医学 『定義』:障害を受けた者を,彼のなしうる最大の身体的,精神的,社会的, 職業的,経済的な能力を有するまでに回復させること ≪国際障害分類(ICIDH-1)≫ ・疾病 → 1)機能障害 → 2)能力低下 → 3)社会的不利 1)機能障害:器官または器官系の機能の障害 ・麻痺,筋力低下,関節可動域制限など 他に・・・言語障害,排尿障害,嚥下障害 *治療的アプローチ … 運動機能の改善 (生体力学的・神経行動的) ・筋力増強,可動域訓練など 2)能力低下:個人レベルでの活動能力制限 ・歩行障害,日常生活動作の制限,コミュニケーション障害など *代償的アプローチ … 残存機能を活用 ・車椅子,装具,利き手交換 3)社会的不利:個人が経験する不利 ・失職,家屋や施設の使用困難 *環境整備的アプローチ … 家屋改造,社会環境改善, 周囲の意識の変化 *現在は【国際生活機能分類(ICF)】に変更 1)機能障害 → 心身機能・構造 障害があれば機能障害 2)能力低下 → 活 動 障害があれば活動制限 3)社会的不利 → 参 加 障害があれば参加制約 ♪ リハビリ国試対策 ♪ 3 ♪ ≪障害の分類≫ 1)身体障害 1.視覚障害 2.聴覚障害または平衡障害 3.音声機能,言語機能または咀嚼機能の障害 4.肢体不自由(体幹・上肢・下肢) 5.*内臓機能障害(内部障害) 2)精神障害 1.精神障害 2.知的障害 *内臓機能障害(内部障害)の詳細 ・心臓機能障害 ・腎臓機能障害 ・呼吸器機能障害 ・膀胱または直腸の機能障害 ・小腸機能障害 ・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害 ・肝臓機能障害 ≪関節拘縮≫ p33 ・関節拘縮:軟部組織(関節包,靭帯,筋肉,皮膚など)が原因 ・関節強直:骨や軟骨が原因 *屈曲拘縮:伸展が制限された状態 伸展拘縮:屈曲が制限された状態 ≪変 形≫ ①スプレンゲル変形(肩甲骨高位症) ②外反肘・・・上腕骨外顆骨折後 ③内反肘・・・上腕骨顆上骨折後 ④猿 手・・・正中神経麻痺 ⑤鷲 手・・・尺骨神経麻痺 ⑥下垂手・・・橈骨神経麻痺 ⑦下垂足・・・腓骨神経麻痺 ♪ リハビリ国試対策 ♪ 4 ≪筋萎縮≫ ①神経原性萎縮:下位運動ニューロンの障害 ②筋原性萎縮:進行性筋ジストロフィー ③廃用性筋萎縮:筋を使わないことにより起こる *最大筋力の 20~30%を使うことにより筋力の維持ができる *筋線維が細くなる ≪廃用症候群の症状≫ ・筋萎縮 ・関節拘縮 ・褥瘡(床ずれ) ・骨粗鬆症 ・起立性低血圧 ・便秘や失禁など ≪中枢神経麻痺(ブルンストロームのステージ分類)≫ ・stage1:弛緩性麻痺 ・stage2:連合運動 ・stage3:共同運動 ・stage4:分離運動 ・stage5:随意的な分離運動の増加 ・stage6:正常に近くなる ≪徒手筋力テスト(6 段階)≫ p59 p43 表 3・12 5 Normal 正常 4 Good 優 若干の抵抗に打ち勝って運動できる 3 Fair 良 重力に抗して完全に運動できる 2 Poor 可 重力を除くと完全に運動できる 1 Trace 不可 わずかな筋収縮はあるが関節は動かない 0 Zero ゼロ 筋収縮なし 強い抵抗に逆らって,完全に運動ができる ♪ リハビリ国試対策 ♪ 5 ♪ ≪小児運動の発達≫ p62 ・3~4 ヶ月・・・首がすわる ・7 ヶ月・・・支えなしで座っていられる ・9~10 ヶ月・・・つかまり立ちができる ・11 ヶ月・・・つたい歩きする ・13 ヶ月・・・一人で上手に立っていられる ・14~15 ヶ月・・・数 m 以上歩くことが可能になる ≪協調性テスト≫ p67 1.小脳性運動失調 ・体幹失調 ・筋トーヌス低下:反跳現象.肩ゆすりテスト ・測定異常:指鼻テスト.踵膝テスト ・反復変換運動障害:回内回外運動.タッピング ・言語障害:断綴性言語.爆発性言語 2.深部感覚障害による運動失調 ・ロンベルグ徴候陽性 3.迷路性運動失調 ・静止性の運動失調.四肢の運動には異常がない ≪日常生活動作(ADL)≫ 1.食事 動作 2.整容 動作 3.更衣 動作 4.トイレ 動作 5.入浴 動作 6.移動 動作 *ADL の評価法 ・バーセル指数 …「できる ADL」 ・FIM(機能的自立度評価法) …「している ADL」 *バーセル指数にコミュニケーションと社会的認知を加えた ・手段的 ADL(IADL) ・日常関連動作(APDL) ♪ リハビリ国試対策 ♪ 6 ≪運動療法≫ 1.関節可動域訓練 p91 ・最大以下の張力で長時間にわたって持続伸張するのが効果的 ・温熱を併用することにより,伸張されやすくなる 『禁 忌』 ・急性炎症 ・新鮮骨折 ・痛みが強いとき ・皮下血腫がみられるとき 2.筋力増強訓練 p40 p92 ・強化するためには,最大筋力の 30% 以上の力を出すこと ・筋収縮力の増強:全力に近い高強度,低回数の運動負荷 ・筋持久力の増強:最大筋力の 60%程度で比較的速い運動を数十分 ・筋パワーの増強:疲労するまで素早い運動を繰り返す 『注意点』 ・上肢の等尺性 運動は心肺系に大きな負担がかかる ・過負荷による筋力低下:ポリオ後遺症,筋ジストロフィー ・疲労骨折:骨粗鬆症 3.中枢神経系障害に対する運動療法 「脳卒中片麻痺の運動療法」 ・PNF(固有受容性神経筋促通法) ・ブルンストローム法 ・ボバース法 ・ルード法 p93 「脳性麻痺の運動療法」 ・ボバース法 ・ボイタ法 「失調の運動療法」 ・フレンケル体操 ・重り負荷 ・弾力包帯 ・PNF ・反復動作訓練・振動刺激・皮膚電気刺激・冷却・装具など ♪ リハビリ国試対策 ♪ 7 ≪物理療法≫ p98 *物理療法とは:温熱や電気,音波,振動,磁気などの物理的なエネルギーの生体への ♪ 作用を利用した治療法 『温熱療法』 p99 *熱到達度の最も深いのは超音波 ・伝 導:ホットパック,パラフィン浴 ・輻 射:赤外線 ・ジアテルミー:超短波,極超短波,超音波 ・対 流:渦流浴,気泡浴 ≪物理療法の禁忌≫ ・超短波,極超短波:ペースメーカー.体内金属.眼球 ・超音波:眼 球 ・寒冷:レイノー病,寒冷アレルギー ・パラフィン:開放創 ・紫外線:光線過敏症,眼球 ≪牽引療法≫ p102 ・直接(直達)牽引:クラッチフィールド,ハローベストなど ・持続牽引:目的は安静固定 ・間欠牽引:目的は軟部組織の伸張など 治療時間は 1 回 10~20 分.牽引と休止の繰り返し 重量の目安…頸椎は 1/10~1/4 腰椎は 1/3~1/2 『禁 忌』 ・骨がもろくなっている病気 p103 ≪マッサージの禁忌≫ p104 ・悪性腫瘍・開放創・深部静脈血栓・感染組織 ♪ リハビリ国試対策 ♪ 8 ≪作業療法≫ p106 *作業療法とは:身体または精神に障害のある者,またはそれが予測される者に対し,その主体的 な生活の獲得を図るため,諸機能の回復,維持及び開発をうながす作業活動を 用いて,治療,指導及び援助を行うことをいう ・身体機能低下の改善 ・義手訓練 ・日常生活動作の訓練 ・自助具や装具の作製 ・職業前評価 ・精神障害の一治療 :手芸,木工,園芸作業など ≪補装具の目的≫ p114 ・変形の防止 ・変形の矯正 ・局所の固定,支持,免荷 ・機能の使用,補助 ≪手関節装具≫ ・橈骨神経麻痺:手背屈装具 トーマス 型懸垂装具 オッペンハイマー 型装具(他にフォルクマン拘縮) ・正中神経麻痺:長対立 装具(高位レベル) 短対立装具(低位レベル) ・頸髄損傷:把持装具 *手用装具・指用装具* ・MP 過伸展,伸展拘縮(尺骨神経麻痺):ナックルベンダー ・MP 屈曲拘縮:逆ナックルベンダー ♪ リハビリ国試対策 ♪ 9 ≪短下肢装具≫ p118~ ・腓骨神経麻痺.脳卒中片麻痺.L4 脊損.脳性麻痺.下腿骨折など ♪ ≪胸腰椎装具≫ ・ナイト型:腰 痛 ・ウィリアムズ型:腰椎分離症,腰部脊柱管狭窄症 ・テイラー型:骨粗鬆症,胸腰椎圧迫骨折 ・スタインドラー型:脊椎カリエス ・ジュウェット型:胸椎圧迫骨折 ≪脊柱側弯症装具≫ ・ミルウォーキーブレース ・アンダーアームブレース(ボストンブレース) ≪つ え≫ ・体重の 1/4 から 1/2 の荷重を把持部で支える ・患側下肢と反対 の手で持つ ・肘が 30°屈曲 となる長さが効率的 *T 字杖の適切な長さ:大腿骨大転子 上肢を下垂した時の手首の位置に柄の部分がくる *松葉づえ:長さは身長の 3/4 握りは肘 30°屈曲 程度 の位置 *ロフストランドつえ:前腕支えがある *カナディアンつえ:上腕支えがある ♪ リハビリ国試対策 ♪ 10 【脳血管障害 リハまとめ】 ≪脳卒中(脳血管障害)の分類≫ ①脳梗塞:脳血栓・脳塞栓 ②頭蓋内出血:脳出血,クモ膜下出血 他:一過性脳虚血発作,高血圧性脳症など ≪脳卒中による主な症状≫ 1.片麻痺:痙性麻痺 患側上肢は屈筋優位,患側下肢は伸筋優位となる ★上位運動ニューロン障害の症状を確認! 2.言語障害 *言語中枢は主に左 半球にある ・構音障害:発音が正しく出来ない.例)失調症,仮性球麻痺 ・失語症:言語中枢の損傷 3.失 認:入力された情報(感覚)を正しく認識できない ・半側空間失認:劣位半球(主に右半球) の障害にみられやすい (半側無視) ・ゲルストマン症候群:優位 半球の頭頂葉の障害にみられやすい *手指失認,左右弁別障害,失書,失算を合併 4.失 行:運動障害がなく行なう行動が分かっているのに, 行なうことができない状態 ・観念運動失行:優位半球頭頂葉下部の障害 ・観念失行:優位半球頭頂葉の障害 ・構成失行:(優位半球)頭頂葉の障害 ・着衣失行:劣位半球頭頂葉後部の障害 5.その他 ・排泄障害,嚥下障害,視野障害,精神症状など ★障害部位によって,異なった症状がみられる ♪ リハビリ国試対策 ♪ 11 ≪合併症≫ 1.視床痛 :障害側の上下肢に発生する不快な痛み 灼熱痛,電撃痛,摩擦痛など 障害後,数ヵ月後にみられる ♪ 2.肩手症候群 :手の広範囲にわたる浮腫,手の甲の圧痛 主に肩と手に自発痛や運動痛がみられる 障害後,数ヵ月後にみられる 複合性局所疼痛症候群(CRPS)の一種 *CRPS typeⅠ= RSD(反射性交感神経性ジストロフィー) 3. 他 : 関節拘縮,肩関節亜脱臼,起立性低血圧,褥瘡, 異所性骨化,沈下性肺炎など ≪言語障害(失語症)≫ p138 ①ブローカ失語:運動性 失語,発語障害,理解力は保たれる ②ウェルニッケ失語:感覚性 失語,理解力障害,発語は流暢 ③伝導失語:復唱が障害 ④健忘失語:喚語が障害 ⑤全失語:コミュニケーション不可.予後悪い *錯 語:言い間違える *喚語困難:言おうとした言葉が出てこない *ジャーゴン:意味不明の言葉,新造語 ≪動作訓練≫ ・着替え:脱健着患 ・寝返り,起き上がり:健側へ寝返る ・杖歩行:3 点歩行 … 杖→患側→健側 ・階段昇るとき:健側から ・階段下りるとき:患側から ・溝をまたぐ時:健側から ♪ リハビリ国試対策 ♪ 12 【脊髄損傷 まとめ】 ≪損傷レベル≫ 機能が残存している最下髄節をもって表現 C5:電動車いす・自助具で食事可 *使える筋:上腕二頭筋.三角筋 C6:車いす・寝返り可 *使える筋:大胸筋.橈側手根伸筋 C7:移乗可,自動車の運転・坐位,起き上がり可.プッシュアップ *使える筋:上腕三頭筋.橈側手根屈筋 C8~T1:指の屈伸可,ADL 自立 T12:LLB,松葉づえで歩行可,体幹が安定 *使える筋:腹筋 L4:SLB で歩行可 *使える筋:大腿四頭筋 ≪合併症≫ ①排尿障害:尿路感染症,結石症 *残尿量を 50ml 以下に安定させる ②褥 創:好発部位は仙骨部,大転子,踵部 *2 時間おきに体位変換 ③起立性低血圧:T5 以上の脊損 ④自律神経過反射:T5 以上の脊損 ・急激な高血圧,徐脈,頭痛, 悪感,非麻痺域の発汗など ⑤うつ熱 ⑥異所性骨化:股関節や膝関節周囲に発生しやすい ♪ リハビリ国試対策 ♪ 13 【脳性麻痺 ♪ まとめ】 ≪定 義≫ ・受胎から生後 4 週間まで の間に生じた脳の非進行性 ・永続的な しかし変化しうる 運動および姿勢の異常 病変 ≪分 類≫ ①痙直型:上位運動ニューロンの障害 ②アテトーゼ型:不随意運動 錐体外路(基底核)の障害 ③失調型:協調運動障害 小脳の障害 ≪診 断≫ ・多胎,新生児仮死,骨盤位分娩,2000g 以下の未熟児 ・痙 攣 ・異常黄疸 ・哺乳力不足 ・呼吸困難 ・モロー反射の欠如 ≪その他≫ ・未熟児:痙直型両麻痺(上肢に比べ下肢に強い麻痺)になりやすい ・無酸素脳症・核黄疸:アテトーゼ麻痺になりやすい ・水頭症:失調型や痙直型麻痺になりやすい ★上位運動ニューロン障害★ ・痙性麻痺:筋緊張亢進.片麻痺 ・深部腱反射:亢進 ・表在反射:消失,減弱 ・病的反射の出現:バビンスキー反射 ・筋萎縮はみられない ♪ リハビリ国試対策 ♪ 14 【評価・分類・検査】 ・日常生活動作の評価 ――― バーセル指数 FIM(機能的自立度評価法) ・脳卒中片麻痺の評価 ――― ブルンストロームのステージ分類 ・関節リウマチ ――― ランスバリーの評価法 スタインブロッカーの病期分類 ・パーキンソン病の評価 ――― ヤールの分類 ・痙縮の評価 ――― アッシワーススケール変法 ・脊髄損傷の評価 ――― フランケル分類 ASIA の評価法 ・成長の評価 ――― パーセンタイル法 カウプ指数 ローレル指数 ・知能検査 ――― WAIS-R 知能検査(ウェクスラー成人知能検査) 日本版デンバー式発達スクリーニング検査 ・認知症の評価 ――― 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R) ・神経損傷の分類 ――― セドンの分類 サンダーランドの分類 ・標準失語症検査(SLTA) ♪ リハビリ国試対策 ♪
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