第 17 回価格調査評価監視委員会が開催されました このほど第 17 回(平成 19 年度第 3 回)価格調査評価監視委員会が開催され ましたので議事概要をご報告いたします。本委員会は年 4 回(四半期毎)開催 され、経済調査会の調査実施基準、実施状況、調査結果等の妥当性、透明性に ついて外部有識者が評価、監視するものです。 ●議事概要 開催日時 平成 19 年 10 月 23 日(14 時 30 分∼16 時 40 分) 開催場所 法曹会館 出席委員 伊吹英子、木下 昌、小林康昭、丸山淳一(委員長) 、渡辺季男 (五十音順) 議 題 1.前回委員会議事録(案)の承認 2.事例審議(1)自主調査:鉄筋挿入工(愛知地区) (2)受託調査:溶融スラグ入りコンクリート製品 (青森地区) 3.その他 ●要旨 議 題・質 問 説 明・答 弁 1.前回(第 16 回)委員会議 〇事前に配布された議事録 (案)について確 事録 (案)の承認(審議資料 認、承認された。 1) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.事例審議 (1)自主調査「土木施工単価」 〇(説明)鉄筋挿入工の工種概要と、調査情報 10 月秋号から鉄筋挿入工 票、調査結果総括表等によって調査対象、調 (愛知)について審議(審 査方法、集計結果を説明。 議資料 2、参考資料 2) ○面接と書面調査の結果をみ ○通信で行う書面調査のほうが、価格は高く出 ると、書面のほうが若干高め る傾向があり、面接で直接話を聞いたほうが に出ているように思えるが、 安い場合が多い。 そういった傾向にあるのか。 ○書面調査は「正しく書かなけ ○一概にどちらを重視するとはいえないが、 れば」という力が心理的に働 『土木施工単価』の調査方法には、通信調査 くと思うが、面接と書面のど ちらを重視するのか。 に関して、「回答の評価については特に慎重 に行う」とある。郵送による書面調査は大規 1 議 題・質 問 説 明・答 弁 模な調査が可能であるが、面識のない事業所 も対象となっている。希望する単価を書いて 来るケースもあり、電話でフォローするな ど、慎重に中身の評価をしている。 ○今回は面接調査の最頻値を ○どちらを採用するかはそのときの判断だが、 採用しているが、場合によっ 価格判定会議において時系列、地域系列等も ては通信調査の最頻値をと 総合的に判断して取捨選択をしている。 ることもあるのか。 ○通信調査の結果を受けて面 ○様々な情報を交換したり、最安値を聞いたり 接をすることもあるようだ するなかで、若干回答がぶれてくることはあ が、面接によって急に価格が る。書面では業者にとって価格面で優良な物 下がる場合があるのか。 件を中心に記入する傾向が強いが、面接にお ○現場条件Ⅰで、法面垂直高が 30m以下で 20mを超えた場 合は補正するとあるが、標準 いては書面以外の状況も聞くことができる。 ○秋号は 5∼8 月の実績。面接は毎月行うが、 最終的には 9 月に結果を持ち寄る。市場単価 は 3 カ月分を一期として公表するので、面接 結果はその期間内のものを集計対象とする。 ○鉄筋挿入工の施工規模については、200m 以 上と未満で線引きをしている。200m未満で あれば 10%割増となる。200mは削孔長 4m とすれば 50 本くらいにあたる。 ○m当たり単価は積算側の利便性もあるが、掘 削が費用のうちの 7∼8 割に達する。費用の 中心が掘削手間であるためm当たりとして いる。通常の工事は 4∼5mものが主流で大 部分を占める。いろいろの長さがあって割高 だ、割安だという話にはさほどならない。 ○ロックボルトは『積算資料』にも掲載してい るが、径と長さは同一でもメーカーによって 価格差があるため手間のみとしている。 ○法面垂直高の補正の考え方であるが、20mを 超える場合は使用するクレーンの大きさが 変わってくる。45tとか 50tでないとブー は 20m以下だが、30mまで は適用できるということか。 ムが届かない。機械損料の部分で単価差が生 じる。 ○通信調査は年 4 回で、面接調 査は毎月行っているが、時期 のずれはどうするのか。 ○『積算資料』は標準的な取扱 い量を前提とした価格であ るが、市場単価である鉄筋挿 入工の施工規模は。 ○m当たり単価であるから、例 えば 1mで 4000 円、2mであ れば倍の 8000 円になる。固 定費を考えると急に高くな り過ぎるようなイメージが あるが。 ○掲載価格から材料費を除い ている理由は何か。 2 議 題・質 問 説 明・答 弁 ○加算率の注記に「施工規模加 ○施工規模 200m未満というのは日当たりに 算率と時間制約を受ける場 満たないということで割増がかかるケース 合の補正係数が重複する場 が多い。時間制約の考え方も通常であれば8 合は、施工規模加算率のみを 時間施工できるところを 6 時間しかできな 対象」とあるが、施工規模加 いような場合に加算する。根本的な考え方が 算率を計上すれば時間制約 一緒であり、二重計上すると過大積算になる の係数はそのなかに含まれ 可能性が大きいためである。 るということか。 ○資料を使う側としては、細分 ○市場単価の場合は国土交通省の予備調査が 化して発表されても使いに あり、このなかで積算する側と調査する側、 くく、集約されたほうが使い 調査に協力する側の三者の意見を検討の上、 やすい。ある程度まとめて公 どうすれば一番使いやすいか、あるいは、実 表するのは非常に難しい面 があると思うが、長年の調査 経験が生かされているのか。 際の取引が反映されるか等を検証した結果 として、最終的な掲載形態としている。 (2)受託調査から国土交通省 東北地方整備局発注の溶 融スラグを用いたコンク リート製品(青森)につい て審議(審議資料 3、参考 資料 3) ○環境にやさしい製品を作る ためには、ある程度価格を維 持することが必要ではない かと思うが、この製品におい ては、競争が働いていて価格 が高止まりしているように は見えないが。 ○溶融スラグ入りコンクリー ト製品は、東北地方整備局で の導入が進んでいるのか。 ○溶融スラグそのものが他の ○(説明)資料に基づき溶融スラグを用いたコ ンクリート製品(自由勾配側溝)の概要と、 集計票、調査情報票にしたがって調査プロセ ス、調査結果等を説明。 地方ではあまり作られてい ないということか。 行われているが、実際問題として、需要先の 主体である公共土木工事で使用されること ○当初は一般製品より割高で考えられてきた が、実績が積み上がるなかで、一般製品との 価格差がなくなってきた。今のところ一般製 品に準ずる水準となっている。溶融スラグ入 りだからといって特別な価格にはなってい ない。 ○東北地整の取り組みが一番早かった。他の整 備局でも検討はされているが、実績からみる と東北での採用が最も進んでいるようだ。 ○そうではない。他でもメーカーの自主研究は 3 議 題・質 問 ○骨材が不足しているからリ サイクル製品を使うという ことではないのか。 ○リサイクル製品といっても 実際には行政側の指導がな いとそう簡単には導入が進 まないということか。 説 明・答 弁 がないと、作ることができても、日常的に使 われて行くという状況にはなりにくい。 ○特にそういうことではない。土木工事用のリ サイクル資材としては、例えば再生アスファ ルト合材や再生砕石などいろいろあるが、使 い初めのスタートで再生資源活用に係る行 政的な主導がないと進んで行かないようだ。 ○土木用のリサイクル資材は、強度検査とか品 質検査を十分行い品質に問題がないとされ ていても、新材製品と値段的に変わらないと すると、工事業者が強いてリサイクル製品を 選んで使うケースは少ないと思う。 ○市場にない新しい製品の使 ○試験施工的に使われても購入実績とか取引 実績などがなく、市場性に欠けるケースで い始めのときは、価格調査が は、実際の販売価格としては捉えられない。 難しいのか。 この場合は本来の価格調査が難しいという ことで、メーカーの見積もりなどを参考にし ていただく。 ○市場性が乏しい資材の場合、 ○調査機関として対応できないこともある。 『積算資料』においても、例えば東北では流 調査が依頼されても受託で 通があるが、他の地方にはない場合、その地 きない事例もあるのか。 方は流通なしとして価格掲載をしない。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3.その他 次回委員会の確認 ○1 月 25 日ごろを予定 (文責 4 価格調査評価監視委員会事務局) 審議資料2 「鉄筋挿入工」工種マニュアル 鉄筋挿入工(工種マニュアル) 1.工種概要 鉄筋挿入工は、比較的小さい削孔に高強度の鋼材などの引張り材を挿入し、これを基盤内に定 着させて、鋼材の引張り強さを利用することにより地すべり滑動力に対抗しようとする工法。法 面工における、吹付枠工や支圧板設置工等との組み合わせで使用される。また、落石対策として 浮き石等の固定や、落石防止網のアンカーとしても使用されることがある。なお、法面工以外で は、トンネル内、橋脚補強等にも利用される。 (適用外) 2.施工範囲 施工は削孔→鋼材挿入→グラウト注入→頭部処理の工程からなり、法面での施工の場合、削孔 方法は①クレーン式ドリル等での削孔、②ボーリングマシンでの削孔、③削岩機での削孔の三タ イプが主流であり、市場単価ではそれぞれを現場条件Ⅰ、Ⅱ、Ⅲとしている。なお、市場単価は 機・労の手間のみ単価で掲載している。 《現場条件Ⅰ》 《現場条件Ⅱ》 《現場条件Ⅲ》 削孔に要する重機の搬入が可能 施工スペースが狭隘で,削孔に 施工スペースが狭隘で,削孔に な場合 要する重機の搬入が困難である 要する重機の搬入,仮設足場 場合 (単管足場)の設置,土足場の 確保が困難である場合 3.適用範囲 市場単価の適用範囲は、以下のとおり。 ○市場単価対象工種 施工工種 法面工 土質 粘性土、砂質土、レキ質土、軟岩の孔壁が自立する場合 施工方法 順巻き施工(先に法切した後、一斉にロックボルトの施工を行う) ●市場単価対象外工種 施工工種 法面工以外(トンネル工、橋脚補強等) 土質 上記以外(硬岩、玉石混り)の土質、または孔壁が自立しない場合 施工方法 逆巻き施工(上部から法切→ロックボルト→法切→ロックボルトと小ロッ トで施工する。地山がもろく崩落の危険性が高い場合に多い。) 1 4.適用条件 (1) 全体に共通する適用条件 適用条件等 経緯・コメント 切り方、施工計画によって手待ちや機械の出し入れが発生し、単価差が生ずる 逆巻き施工 ため適用はできない。(予備調査結果でもサンプルが少ないこと、手待ちの単 価の影響が想定される事から市場単価化は不可となった。) 硬岩、玉石混土を含む場合は、削孔能率が大幅に下がるため適用できない。1 土質条件 本当りに1mでもこの土質を含む場合は適用不可。 国の旧基準では現場条件Ⅰのレキ及び軟岩であったが、粘性土・砂質土も同基 準で積算され、取引されているため適用範囲に加えている。 ロックボルト本体と座金、ナット、ベルキャップ。注入剤はセメントと個化剤 が使用される。ロックボルト材は現場によって様々な種類(径 D19∼D25 等) 資材 が使われる。使用される材料によって価格は異なる為、市場単価では手間のみ としている。 試行調査時に、「規格指定ではなく性能指定とする」との国の強い要望から、 使用機械 機械は指定せず、現場条件としている。 適用条件だけでは縛りきれないイレギュラーな条件は別途考慮の必要性もあ る。(川などをまたぐ現場で、大型のクレーンでなければ届かない等) (2)現場条件Ⅰ ○全体解説 工種(規格) 現場条件Ⅰ 重機による削孔。(確認されている重機はクレーン式ドリル、クローラド 施工方法 リル、バックホウドリル。後者2つは施工高さが低く逆巻き施工に多くみ られるため、1,2 段程度しかない現場が市場単価の適用対象となる) 挿入、グラウト注入、頭部処理はロープ施工。 適用範囲 削孔径φ42mm∼φ65mm、削孔長 1m∼5m、法高 30m以下 削孔機械・・・確認されているのは上記 3 機種であるが、これに変わる機 械等での施工でも構わない。あくまでも性能指定の考え方である。 クレーンの規格について明記はしていない(性能規定ということで表示し ていない。)20m以下は 25t(稀に 35t)での施工が、20∼30mは 40t ∼50tでの施工が一般的。20m以下でブームが届かない等の現場条件で 50t以上を使う場合、明記はしていないが、調査サンプルがないため適用 適用条件の詳細等 可否の判断はできない。(理論上は単価差が生じる可能性が大きい。調査 結果には反映されていないため適用可否の判断は発注者に委ねたい。) クローラドリルやバックホウドリルは機械損料が高くなるが、一般に逆巻 きで使われ、市場単価の条件下であればクレーンとするかバックホウとす るかは業者の任意となる。 最も安くできる施工方法で、設計において第一に選定される。 2 (3)現場条件Ⅱ ○全体解説 工種 種子散布工 客土吹付工 足場を組んでの削孔。(確認されている重機は軽量型ボーリングマシンが 施工方法 主。据付型の削岩機での施工もある。) 挿入、グラウト注入、頭部処理も足場施工。 適用範囲 削孔径φ42mm∼φ65mm、削孔長 1m∼5m、法高 40m以下 軽量型ボーリングマシンの定義・・予備調査で調査した結果、業者の考え 方次第で特にない。業者都合で大型のロータリーパーカッションで施工し ようとも適用可能。調査実績では 6 割以上がインバータチゼルを使用して いる。 足場工については幅、積載荷重は問わない。 (上記機械の定義がないため) 適用条件の詳細等 削孔機械の上下移動費は試行調査にて設定。人力を主とするがクレーンで 移動するケースもある。 北海道地区には軽量型ボーリングマシンはない。本土から持ってくるか、 ロータリーパーカッションで掘ってしまう。 沖縄では、調査用の簡易なボーリングマシンで施工が行われている。 現場条件Ⅰに比べて、足場が必要な上、削孔効率も大幅に落ちるため高値 となる、現場条件Ⅰでの施工が困難な場合に選定される。 (4)現場条件Ⅲ ○全体解説 工種 施工方法 適用範囲 種子散布工 客土吹付工 ロープによる削岩機での施工 挿入、グラウト注入、頭部処理もロープ施工。 削孔径φ42mm∼φ50mm、削孔長 1m∼2m、法高 40m以下 レッグハンマやハンドハンマによる施工。 2m程度までの施工が一般だが、現場条件によっては3m程度まで は掘れる。削孔径が大きい、土質が固い等により、2mを超えると 適用条件の詳細等 削孔が困難(力負けして人が耐え切れない)となる。 人力施工となり、削孔効率は大幅に落ちるため、現場条件Ⅱよりも 高値となる。さらに、施工可能なザイズも限定される為、現場条件 Ⅰ、Ⅱでの施工が困難な場合に選定される。 3 《市場単価適用のフロー図(参考)》 5.自主調査について (1) 予備調査、試行調査、最新の改訂状況 ① 平成 14 年度予備調査 市場単価化は可能と判断し、試行調査へ移行。 ② 平成 15 年度試行調査1 ③ 平成 16 年度試行調査 2 現場条件による規格仕様へと基準案を変更。現場条件Ⅱ(軽量型ボーリングマシン)の上下 移動費を規格追加。 ④ 平成 17 年度試行調査 3 現場条件Ⅱの足場工の設置・撤去費を規格追加。 (2)調査対象 ①書面調査 ・法面工 母集団は(社)全国特定法面保護協会会員(730 社弱(社数は各支店営業所もカウント) ) とし、うち 355 社を書面調査の対象としている。 4 ②面接調査 (社)全国特定法面保護協会会員のうち、施工実績を比較的多く有し、地域の市況を把握 している業者を中心に抽出。主に全国的に支店をもつ大手、および地域エリアでの大手。 (3)調査内容 ①書面調査 年4回、調査票を送付。 ②面接調査 各地方整備局管内の5社以上の業者に対し面接調査を実施。 5 審議資料3 溶融スラグを用いたコンクリート製品 【 自 ( 由 青 勾 森 配 側 溝 】 県 内 ) ・ 資 材 解 説 ・ 地 区 事 情 審議資料3 1.道路用コンクリート製品(側溝)について 1)コンクリート二次製品の分類(用途に応じて3つの製品に大分される) 分類 (1)道路用製品 (2)下水道用製品 (3)農業用水路製品 内容 道路の路面排水(側溝・桝等)、道路交通の安全(歩車道境界ブロ ック等)、路面(歩道)の舗装(舗装用平板)、など。 下水の排水・集水(マンホール、汚水桝、ヒューム管等) 農用地の用排水路(排水フリューム、ベンチフリューム等水路製 品)。 2)道路用コンクリート製品(道路の路面排水/側溝)の主な種類 (1) 鉄筋コンクリートU型(JIS) (2) 鉄筋コンクリートL型(JIS) (3) 道路用鉄筋コンクリート側溝(JIS) (4) 自由勾配側溝 (5) 円形側溝 (1) 鉄筋コンクリートU型(JIS) 項目 説明 規格規定 JIS A 5372 附属書 5、5-2、5-3 形状 U字形状で底部はフラット。蓋側に設置用の溝がある。 特長 1種は主として歩道に設置する。2種・3種は車道に平行 して設置する(輪荷重により区分:2種=後輪一輪 32kN 以 下、3種=同 50kN 以下)。蓋は、上蓋式(側溝上に載せる) 。 主な用途 歩道、道路の路面排水路 参考形状 (2) 鉄筋コンクリートL型(JIS) 項目 説明 規格規定 JIS A 5372 附属書 5、5-4 形状 L字形状で立上り部が低く底部が広い。底部上面に勾配がある。 特長 車道に平行して設置する。底部上面の勾配が側溝の役割を するもので、路面の雨水を集水枡まで誘導することに機能 する。 主な用途 道路の路面排水路 1 参考形状 審議資料3 (3) 道路用鉄筋コンクリート側溝(JIS) 項目 説明 規格規定 JIS A 5372 附属書 5、5-3 形状 U字形状。蓋を落しこみ設置するため上部が枠状に拡大。 特長 1種は主として歩道に設置する。3種は車道に平行して設 置する(輪荷重:後輪一輪 50kN 以下) 。蓋は、落蓋式(側 溝の上面に落とし込む)。 主な用途 歩道、道路の路面排水路 参考形状 (4)-1 自由勾配側溝(US-9-A) 項目 説明 規格規定 (東北地方整備局標準設計図集 US9-A) 形状 落蓋式側溝の底板を抜いた形状。 特長 底板部へ勾配調整コンクリートを現場打設することで、可 変勾配用の側溝として使用出来る。 主な用途 歩道、道路の路面排水路 参考形状 (4)-2 自由勾配側溝(US-9-B) 項目 説明 規格規定 (東北地方整備局標準設計図集 US9-B) 形状 門型構造で、底板部は現場でコンクリートを打設する。 特長 開放底部に現場打ちコンクリートを打設するので勾配自 在な側溝として使用出来る。また、その形状から車両への 積下し時と施工時に上下を変える必要が無い。 主な用途 歩道、道路の路面排水路 参考形状 (5) 円形側溝 項目 説明 規格規定 国土交通省構造規格対応等 形状 箱型で内部の水路部は円形。上面に連続した排水溝。 特長 排水溝が狭い幅で縦断的に連続していることから、集水能力の高 さを第一の特長とし、他にも道路幅員の有効利用、景観を活かす、 等の機能がある。 主な用途 道路の路面排水路 2 参考形状 審議資料3 2.溶融スラグを用いたコンクリート製品について 1)溶融スラグを用いたコンクリート製品 (1) コンクリートの原材料のうち、粗骨材(砕石)もしくは細骨材(砂)の一部を溶融 スラグ骨材(下記参照)に置き換えて製造したコンクリート製品。 (2) 溶融スラグ骨材への置換えの程度は、現状は細骨材(砂)について質量比 20∼30% 程度を置き換えた製品が中心。 (3) 製品の種別は、道路用の側溝や歩車道境界ブロックを始め、ベンチフリュームやL 形水路等の水路製品、土木ブロックなど、既存の製品種別全般に広がりつつある。 (4) 但し、メーカーの対応状況は県単位で温度差があり、製品の流通状況も異なってい るのが現状。これは、メーカーでの溶融スラグの手当てが、所在県内の一般廃棄物処 理場における溶融固化施設の整備状況に依存することと、製品自体の需要に関しては 公共事業の発注機関におけるリサイクル製品使用への取組状況に依存するため。 2)溶融スラグ骨材とは 図1:一般廃棄物(ごみ)溶融スラグ (1) 都市ごみなどの一般廃棄物、下水道汚泥又はそれらの焼却灰などを溶融固化したも ので、一般廃棄物処理場(ごみ処理場)や下水道汚泥の処理場で生産される。 (2) 焼却灰等の再利用においては、重金属類等有害物質の溶出が問題とされてきたが、 高温で溶融・冷却固化(溶融スラグ化)することで解決出来るとされる。 (3) 溶融固化は、焼却熱などにより 1200℃以上の高温に加熱し、有機物を燃焼させてガ ス化させるとともに無機物を溶融し、その後に冷却することで行う。 (4) 1200℃以上という温度はダイオキシンが分解する温度として設定され、この温度で 加熱を行うと、焼却灰が溶融しガラス質に変化するため、重金属が溶出しにくくなる。 (5) コンクリート用骨材としての品質を満足し、かつ使用環境及びコンクリートの品質 に悪影響を及ぼす物質を有害量含まないものが、溶融スラグ骨材として使用される。 3 審議資料3 3)溶融スラグ骨材活用の経緯 (1)溶融施設の増加 ※ 下記の法改正により、平成 14 年 11 月末までの間に既存の一般廃棄物処理場の統合・ 設備更新による溶融施設化(高温焼却によるダイオキシン発生の抑制)が進んだ。 年月 平成 9 年 8 月 主務官庁 旧厚生省 法令・改正内容 ・「大気汚染防止法」施行令の一部改正 ダイオキシン類が抑制指定物質に指定。 ・ 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」施行令、同法 施行規則の一部改正 廃棄物焼却に係るダイオキシン削減のための 規制措置。 焼却施設の構造基準、維持管理基準が改正。 平成 14 年 12 月 1 日までにダイオキシン類排 出基準適合を要する。 図2:ダイオキシン類の排出基準 焼却施設 処理能力 4t/h 以上 2t/h ∼ 4t/h 2t/h 未満 ・ 新設 H9.12.10 0.1 1 5 排出基準(ng/m3) 既設 H9.12.10 H10.12.1 H14.12.1 ∼ ∼ ∼ H10.11.30 H14.11.30 1 適用猶予 5 80 期間 10 ごみを焼却し、溶融施設により溶融スラグ化することで、廃棄物の減容と無害化は そこで達せられる。 ・ 溶融スラグは溶融により無害化したものであっても再利用するのでなければ最終処 分場で埋め立て処分する必要がある。 ・ 図2における、平成 14 年 12 月 1 日以降のダイオキシン類排出基準の本格適用開始 に向けて全国的に溶融施設と溶融スラグ発生の増加が想定された。 ・ 平成 10 年以降、ごみの減容後最終処分する流れから、溶融スラグのリサイクル活用 へ向かわせる動きが活発化した(次頁参照)。 4 審議資料3 (2)再利用に向けた指針類整備の進捗 年月 発表元 指針類・内容 旧厚生省生活衛 ・「一般廃棄物の溶融固化物の再生利用の実施の促進につい 生局水道環境部 て」 有害物質の溶出基準に適合した溶融固化物を、市町村 自らが発注した公共事業で利用する場合には、廃棄物の 処分に該当しない。 ・ 「一般廃棄物の溶融固化物の再生利用に関する指針」 溶融固化物の用途: (1)道路用路盤材(路床材、下層・上層路盤) (2)コンクリート用骨材、アスファルト混合物用骨材 (3)埋め戻し材 (4)コンクリート二次製品用材料 有害物質(カドミウム、鉛、六価クロム、砒素、水銀、セレン)の溶出 に係る目標基準を設定。 「公共事業における試験施工のための他産業再生資材試験評 平成 11 年 9 月 旧建設省土木研 ・ 究所 価マニュアル案」 溶融スラグについて、路盤材、アスファルト混合物の 骨材、コンクリート骨材、埋め戻し材等への適用を明記。 国土交通省各地 ・リサイクルモデル事業において、溶融スラグをコンクリー 平成11 年度以降 方整備局 ト二次製品材料や、アスファルト混合物用骨材として使用。 日本工業標準調 ・ 「一般廃棄物、下水汚泥等の溶融固化物を用いたコンクリー 平成 14 年 7 月 査会 ト用細骨材 TR A 0016」 より実用に即した溶融スラグ骨材の標準化に向けた検 討成果が公表された。 「ごみ溶融スラグを細骨材に用いたコンクリート製品製造の 平成 14 年 8 月 全国コンクリー ・ ト製品協会東北 ための指針(案) 」 支部 製造上の留意点を中心にまとめられた、協会会員(コ ンクリート製品メーカー)向けの指針。 「溶融スラグの有効利用に係わるガイドライン(案) 」 平成 15 年 3 月 国土交通省東北 ・ 地方整備局 溶融スラグ細骨材を、コンクリート製品、アスファル ト混合物、埋め戻し材として利用する場合の基準が示さ れた。 「溶融スラグを用いたコンクリート製品の使用について」 平成 16 年 1 月 国土交通省東北 ・ 地方整備局 H16.1 以降に発注する工事において、溶融スラグを用 いたコンクリート製品を優先採用する方針を各工事事務 所へ通知。製品が入手可能な場合は特記仕様書の材料規 定へ溶融スラグを用いた製品とすることを記載すること とした。 ・JIS A 5031「一般廃棄物,下水汚泥又はそれらの焼却灰を溶融 平成 18 年 7 月 日本工業規格 平成 10 年 3 月 固化したコンクリート用溶融スラグ骨材」制定 H14.7 の TR A 0016 の JIS 化。一般廃棄物,下水汚泥又は それらの焼却灰を 1200℃以上の高温度で溶融し,冷却固化し て製造されたコンクリート用溶融固化骨材について規定。 ※平成 18 年 7 月の JIS 制定時には、同時に JIS A 5032「一般廃棄物,下水汚泥又はそれらの焼却灰 を溶融固化した道路用溶融スラグ」も制定された。 5 審議資料3 3.溶融スラグを用いたコンクリート製品(青森県内)に係る地区事情の概略 1)流通について (1)メーカー 県内のメーカー3社(9工場)が溶融スラグを用いたコンクリート製品の製造・販売を 行っている。 (2)主な製品 ・道路用製品:鉄筋コンクリートU型、鉄筋コンクリートL型、道路用鉄筋コンクリート 側溝、自由勾配側溝、歩車道境界ブロック ・水 路 製 品:ベンチフリューム、排水フリューム、大型水路、L型水路 ・そ の 他:大型積ブロック、L型擁壁 2)需要特性について (1)工事発注者の動向 ・ 東北地方整備局では、平成 16 年 1 月以降、積極的な使用を継続している。 ・ 青森県では、平成 19 年 3 月に県認定リサイクル品として登録されており、今後利用が 進むものと見られる。 (2)製品需要の動向 ・ 発注者の動向より、製品需要は道路用コンクリート製品が主体。 ・ メーカーでは水路製品(大型含む)についても対応可能としており、現在の主な需要 先は、東北地方整備局発注工事が主体。 6
© Copyright 2024 ExpyDoc