(国際金融論Ⅰ・2015 前期) 第 4 回 「外国為替相場の決定理論」 1

(国際金融論Ⅰ・2015 前期)
第4回
「外国為替相場の決定理論」
1. フロー中心からストック中心の理論へ(金融経済 7‐2 節)
経常取引(財・サービスの取引)と投資取引(資産の取引)
資本移動(国際投資)の自由化と活発化の背景あり
中長期均衡理論-購買力平価説、短期均衡理論-アセットアプローチ
2.
購買力平価説(P.P.P.)
価格差を利用した裁定取引、一物一価の法則
絶対的購買力平価に基づく円ドル相場
=日本の物価(円建て)÷アメリカの物価(ドル建て)
(非貿易財は裁定取引ができない、各国の財の加重が異なる等の問題)
相対的購買力平価に基づく円ドル相場
=基準年の為替相場×(基準年を 100 とした日本の物価指数÷同、ア
メリカの物価指数)
(均衡基準年の設定、貿易財と非貿易財の国内相対価格の変化の問題)
3. アセットアプローチ-金利平価理論
カバーなし金利平価理論(図 2-2(a))
円建て資産収益率(円金利)
=ドル建て資産収益率(米ドル金利+円予想減価(米ドル予想増価))
為替変動に関するリスク回避(カバー付)のケース
内外資産の不完全代替とリスクプレミアムの発生
4.
オーバーシューティング・モデル(図 2-2(b))
ドーンブッシュの回帰的予想
円の名目貨幣供給量の増加による将来における物価上昇予想
→購買力平価による円の減価予想
→ドル建て資産の収益率上昇(オーバーシューティング発生)
→現実の物価上昇と円の実質貨幣供給量の当初水準への復帰
(オーバーシューティングの是正、中長期均衡への復帰)
5.
合理的予想形成モデル-為替相場を現在および将来発生しうるファンダ
メンタルズ変化にのみ反応する先読み変数と捉える(市場の歪みの有無)