アナログ電子回路 名城大学 理工学部 材料機能工学科 岩谷 素顕 E-mail: [email protected] 9-1 今日の内容 オペアンプを使った回路について オペアンプとは? オペアンプを使った回路の特性解析 9-2 演算増幅器 =Operational Amplifier 通称:オペアンプ オプアンプとは? オペアンプによる増幅回路 その他オペアンプを使った代表的な回路 9-3 1 オペアンプとは? オペアンプの歴史 1940年代の中頃 C. A. Lovell及びG. A. Philbrick:差動利得増幅器の考え方 1947年 J.A.Ragazzini``Operational Amplifier (演算増幅器)''の名前 1962年 Burr-Brown社やPhilibrick社 モジュール式のオペアンプ 1964年 Fairchild社 IC式オペアンプ A702 → 現在のオペアンプの原型 9-4 オペアンプの特徴 アナログ演算で使用する高精度な増幅器をオペアンプと言 う。 特徴 ・差動増幅であり、入力が2本。 ・出力は1本で差動ではない。 ・増幅率が高く10万倍(100dB)以上。→実用上∞と考える。 9-5 オペアンプの使用用途 •音声処理(汎用オペアンプ)・・・有線電話、オーディオなど •画像処理(高速・広帯域オペアンプ)・・・テレビ、ビデオな ど •通信(高速オペアンプ)・・・地上/移動/宇宙通信など •その他(低雑音オペアンプ)・・・電圧/電流計、センサ機 器など •等々、殆どすべての情報・家電製品に使われている。 9-6 2 オペアンプの種類 種類は豊富! 9-7 オペアンプの中身 9-8 中身は複雑。覚える必要はない。 オペアンプの端子位置(例) 9-9 3 オペアンプの使用法 例えば、反転増幅回路の場合 2 3 -15V 7 6 4 +15V 一般に二つの直流電源が必要 この直流電源よりも大きな電圧を取りだすことはできない 9-10 オペアンプの回路解析 理想オペアンプ 基本: (1)入力インピーダンス無限大 (2)出力インピーダンスゼロ Z i , Z o 0, Av 9-11 これが基本! 反転増幅回路 この回路がオペアンプ回路の基本形 Rf i1 R 1 ii vi v1 if 電源電圧=±15V - + RL vo 9-12 4 反転増幅回路の解析 ピンク色と緑色のループでキルヒホッフの電圧測 キルヒホッフの電流測を適用 ピンク色 Rf if ポイント:入力インピーダンス∞ i1 R1 ii vi v1 電源電圧=±15V - + ii≒0 RL vo v1 R1i1 i1 9-13 v1 R1 反転増幅回路の解析 ピンク色と緑色のループでキルヒホッフの電圧測 キルヒホッフの電流測を適用 緑色 Rf if ポイント:入力インピーダンス∞ i1 R1 ii vi v1 電源電圧=±15V - + ii≒0 RL vo vo R f i f 9-14 反転増幅回路の解析 ピンク色と緑色のループでキルヒホッフの電圧測 キルヒホッフの電流測を適用 電流測 Rf if ポイント:入力インピーダンス∞ i1 R1 ii vi v1 9-15 - + i1≒- if 電源電圧=±15V RL vo vo R f i f v R f i1 R f 1 R1 R f v1 R1 5 反転増幅回路の考え方 Rf i1 R 1 ii - + vi v1 if Rf v o R1 Av RL 電源電圧=±15V v1 Rf R1 vo この二つの抵抗のみで、回路の 電圧増幅度が決まる。 9-16 Rf 演習 i1 R1 ii vi v1 if - + 電源電圧=±15V RL vo 振幅1Vの交流信号を、上記の反転増幅回路を用いて 振幅1Vの信号に増幅させるために、回路中の抵抗はいく つにすればよいか? 9-17 解答例 Av Rf R1 1V 10 6 1V 例えばR1=100 ならば、Rf=100M 9-18 6 演習:以下の回路において、v1に9-20のスライドに記載した ような波形を入力した。voに出力される波形を記載しなさい。 Rf i1 R1 ii vi v1 if R1=100Ω Rf=10kΩ RL=1kΩ 電源電圧=±15V - + RL vo 9-19 v1[mV] 100 O 1 2 3 4 5 時間[ms] -100 9-20 演習 下図ような回路においてRL=10kΩ、Rf=1MΩ、 R1=1kΩの時、次のスライドの波形をv1に入力した。こ の時のvoの波形の概略を書きなさい。 Rf i1 R1 ii vi v1 if - + 電源電圧=±15V RL vo 9-21 7 v1 [V] 0.1V O 1 2 3 4 5 時間[ms] -0.1V vo[V] O 時間[ms] 9-22 非反転増幅回路 Rf if-ii R1 ii vi R2 青色のループで v2-R2i2+vi-R1(if-ii)=0 v2=R1if v2-R1if=0 if 電源電圧=±15V 入力インピーダンス∞なの でii=i2=0, vi=0 赤色のループで vo v -R i -R (i -i ) o f f 1 f i = vo-Rfif-R1if= 0 - + i2 RL v2 R R f R1 v 2 1 f v 2 R1 R1 Rf 電圧増幅度 Av 1 R1 v o R f R 1 i f 9-23 オペアンプを用いた積分回路 vC 1 idt C1 if C R1 - vC if=-i1 i1 vi(t) + 電源電圧=±15V vo(t) v i t R1 v t 青いループで v t v i dt o C C1R1 赤いループで v i t R 1i1 i1 9-24 8 演習 1F 1M - i + vi 電源電圧=±15V vo vi 1 上の回路に、viとして左のような方形波が入力 されたとき、出力波形voを記述しなさい。 但し、voの初期値(0秒)は0Vとして記載しなさい O 1 (秒) 9-25 解答例 9-26 vi v o t 1 O O 1 v i t dt v i t dt C1R 1 (i) 0≦t≦1 vi(t)=1 v o t v i t dt t C (秒) (秒) 1 初期条件よりC=0 (ii) 1<t vi(t)=0 vo v o t v i t dt C -1 初期条件よりC=-1 ⇔vo(t)=-1 演習:下記の回路において、voに出力される電 圧を、R、C、viおよび時間tを用いて表しなさい。 1M R C1F i vi - + vo 電源電圧=15V 9-27 9 演習 C=10μF、R1=1MΩとした時、次のスライドの波 形をviに入力した。この時、voに出力される波形の概 略を書きなさい。 R1 C - i + vi vo 電源電圧=15V 9-28 vi[V] 0.2V O 1 2 3 4 5 時間[s] -0.2V 9-29 演習 1M 1F 1k i vi - +電源電圧=±15V vo 上の回路は、ローパスフィルタの役割を果たすことを説明し なさい。また、電圧増幅度の絶対値が、直流の場合の半分 になる周波数を求めなさい。 9-30 10 ヒント 1M 角周波数とすると、電圧増 幅度は 1F 1 1k 1 j 1 1 M Av 1k i vi - + 電源電圧=±15V vo 1M 1M 1 1M 1 1 1M j 1 1k 1 k 1 1M j 1 1 k 1 j 9-31 解答例 Av 1M 1 1M 1 1 k 1 jω 1 k 1 2 •直流の場合、=0なのでAv=1,000 • →∞だと、Avはゼロに漸近するので、高周波分を カットする→ローパスフィルタ 1 2 2 より f 3 2 0.27Hz 9-32 演習:以下の回路においてvoをR1、R2、 v1、v2、Rf、RLを用いて表しなさい。 i1 R1 i2 R2 Rf ii vi v1 v2 if - + 電源電圧=±15V RL vo R1=R2 9-33 11 オペアンプを用いた加算回路 i1 R1 i2 R2 Rf i1 ii - + vi v1 v2 if 電源電圧=±15V RL v1 R1 i2 v2 R2 i f i1 i 2 vo v o R f i f R f i1 i 2 v v R f 1 2 R R 1 2 R1=R2 vo 9-34 Rf R1 v1 v 2 加算回路として動く 演習:以下の回路においてvoをR1、v1、 v2、Rf、RLを用いて表しなさい。 Rf i 1 R1 ii 電源電圧=±15V vi R1 v1 if i2 v2 - + Rf RL vo 9-35 9-36 オペアンプを用いた減算回路 Rf i 1 R1 ii 電源電圧=±15V vi v1 R1 v2 if i2 - + Rf i2 v2 ピンク R1 R f i f i1 赤 v1 R1 i1 R f i 2 緑 RL vo v R i R i 青 o f f f 2 R f i1 R f i2 3つの式をまとめると vo Rf v 2 v1 v1とv2の電圧差が出力される R1 12 今日の内容 オペアンプを用いた回路 オペアンプの基本 入力インピーダンス無限大 出力インピーダンスゼロ 9-37 13
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