1万件の相談内容から読み解く 「壊れかけた日本社会」

「よりそいホットライン」平成 24 年度報告書
1万件の相談内容から読み解く
「壊れかけた日本社会」
● 代表挨拶「困っている人を包み込む社会に」 2
第 1 章事業概要
4
・事業実施体制等
第 2 章統計データ
22
・寄せられた電話の概要
第 3 章相談内容の分析と考察
0 総括コメント 29
1 一般ライン
33
2 労働問題にチェックされた相談表のまとめ 78
3 発達障害にチェックされた相談表のまとめ 107
4 被災地まとめ 122
5 相談者からのヒアリング分析
136
6 相談者の生活再建のすがた ~「効果測定報告書」まとめから~
161
7 外国人専門ライン 167
8 女性専門ライン 210
9 セクシュアルマイノリティ専門ライン 247
10 自殺防止専門ライン 288
第 4 章資料
309
1 研修コンテンツ
2 研修コンテンツ2
3 相談表書式
4 広報チラシ等
5 メディア掲載資料
「よりそいホットライン」平成24年度報告書
〜困っている人を
「包み込める」
社会へ〜
よりそいホットラインを運営するようになってから、講演依頼をたくさんいただくように
なった。全国各地で演壇に立ち、自己紹介をするときは「福島市で生まれて、被災地宮古市
に住み、実家は今も福島にある」と話すことにしている。
東日本大震災から2年が経過した。震災の復興に関して、被災地の実感と日本全体の認識
とははるかにかけ離れてしまった。大震災は本当にあったのだろうかとすら思わせられる。
そのことのやりきれなさを、会場におられた皆さんは私の自己紹介に感じてくださっていた
だろうか。
何かしなければならないという気持ちに突き動かされて、ホットラインを始めてから、も
う1年半以上が経過した。現在は、一日3万件、1ヶ月100万件の電話がかかってくるの
が「普通」の状態という、前例のない電話相談になった。どのコールセンターの電話も24
時間鳴りやむことがない。相談先がこんなにも求められていたのかと愕然としている。
本業は内科開業医なので、被災地で仮設住宅
に暮らしている方々の診療をすることも多い。
患者さんたちは「お金も、仕事も、家も、家族
も亡くし」て、生きる希望を奪われてしまって
いる。ホットラインの相談者も同じだった。「仕
事がなくて、(頼れる人がいなくて、暴力を受け
ていて、病気があって、障害があって、)どうし
たらいいかわからない」と話される。被災者の
姿が、そのまま電話をかけて来られる方の姿と
重なって見えてしかたない。
ホットラインを運営しながら、「被災地」を忘
れない感性を持つことが、この社会全体を「生
きやすい社会」に変えていく力になるという確
信が日々深くなる。現在の日本社会に必要なの
は、「困っている人のことを忘れない」という優
しさなのだと思う。
2
代表理事挨拶
〜1万件の相談内容から読み解く「壊れかけた日本社会」〜
3月11日を境に私の人生観は変わった。還暦も過ぎ、今後は被災地復興に力を尽くそう
と考えていた。それで始めたホットラインだが、やってみて初めて分かったことは、相談先
がなかった人がこんなにもいたのだということだった。
匿名だから電話ができたセクシュアルマイノリティの人がいる。市役所の相談窓口に行け
ない DV の相談がある。どこに行ったらいいかわからないという相談がある。今までの相談窓
口と、たどり着けない人々の間には深い溝があったのだ。よりそいホットラインは、窓口と人々
をつなぐ橋になったのかもしれない。相談員は相談者と話しながら一緒に橋を渡り、向こう
岸の分かれ道で次の支援者に繋いでいる。
今の制度は、「自分一人で橋を渡っておいで」というのが多いが、そんなことができる人ば
かりではない。制度に人を合わせるのではなく、人に制度を合わせなくては効果は出ない。
そのためには、今何が起きているのか、現実をきっちり把握してほしい。
1 人でも多くの人にこの報告書を読んでほしい。
被災地だけでなく、日本中に困りごとを抱えた人々が多勢いる。支援にたどりつけない、
そもそも支援の制度もない人々がいる。そのことは間違いがない。
そうした人たちを包み込める、優しい社会保障制度が今ほど求められている時はない。震
災は時も人も場所も選ばないのだから、相談者の姿は他人事ではなく、明日の自分なのだと、
すべての人に感じてもらいたいと思う。
困りごとを抱えた人たちのことを「想像できる感性を磨く」ための触媒として、本報告書
が役立てば、これにすぎる幸せはない。
最後に、相談員総勢 2,500 人、連携団体 600 団体という大所帯で、この1年間大きな事故
もなく運営できたことに、職員・相談員の皆さん、関係する団体・個人の皆様、厚生労働省、
復興庁をはじめ関係所管の皆様、本報告書にかかわってくださった委員の皆様に深く感謝申
し上げる。
私たちの望みは、24時間、年中無休の何でも相談できるホットラインが国の制度として
恒久的に運営されることだ。そのために、今後も努力していきたい。
一般社団法人 社会的包摂サポートセンター
代表理事 熊坂 義裕
代表理事挨拶
3
第1章
事業概要
・事業実施体制等
第1章 事業概要・事業実施体制
第1章
1 「よりそいホットライン」実施概要 「平成24年度社会的包摂ワンストップ相談支援事業」は一般社団法人社会的包摂サポートセン
ターが、厚生労働省社会・援護局の補助金を得て実施した。
当法人の平成24年度の体制等は以下のとおりである。(肩書き等は25年3月31日付のもの)
1)社団法人の役員及び運営委員会
【代表理事】
熊坂 義裕(医師、前宮古市長)
【理事】
上机 莞治(田野畑村長) 奥山 恵美子(仙台市長、東北市長会長)
坂本 昭文(南部町長、全国福祉自治体ユニット代表幹事)
立谷 秀清(相馬市長、全国医系市長会会長)
新里 宏二(前日弁連副会長)
早川 敏夫(日本司法書士連合会、副会長)
森 民夫(長岡市長、全国市長会会長)
【監事】
芳賀 裕 (司法書士 前公益社団法人成年後見センター理事長)
【運営委員】
赤石 千衣子(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ代表理事)
朝比奈 ミカ(千葉県中核地域生活支援センターがじゅまる)
奥田 知志(NPO法人ホームレス支援全国ネットワーク代表)
近藤 恵子(NPO法人全国女性シェルターネット代表理事)
佐久間 仁一(NPO法人うつくしまNPOネットワーク理事長)
立岡 学(一般社団法人パーソナルサポートセンター理事)
丹波 史紀(福島大学准教授)
根岸 親(一般社団法人自殺対策全国民間ネットワーク理事)
原 ミナ汰(NPO 法人共生社会をつくるセクシュアルマイノリティ支援全国ネットワーク)
日置 真世(NPO法人地域生活支援ネットワークサロン)
藤井 克徳(日本障害フォーラム (JDF) 幹事会議長)
【事務局長】
遠藤 智子
第1章 事業概要・事業実施体制
5
第1章 事業概要・実施体制
第1章
2)社団法人の活動目的及び事業について
当法人の定款に記載している活動目的と取り組む事業は以下のとおりである。
【定款記載内容】
(目 的)
当法人は、東日本大震災等の影響により様々な困難を抱えながら支援に辿り着けずにいる人や、
社会的に排除されがちな人(生活困窮者、高齢者、外国人、セクシュアルマイノリティ、DV・性
暴力被害者、障がい者、ホームレス、多重債務者、ひとり親世帯など)への多角的な支援事業等を
通して、誰もが「居場所」や「出番」を実感できる社会の実現に寄与することを目的とする。
(事 業)
当法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を行なう。
(1)寄り添い支援事業
(2)社会的排除の実態解明事業
(3)直接支援団体のネットワーク化事業
(4)人材育成事業
(5)政策提言事業
(6)基金運用事業
(7)前号に附帯関連する事業
2 24時間ホットラインの流れ 電話相談の流れ等は以下のとおりである。
① フリーダイヤル番号、回線数と設置場所・相談受付体制
・ 0120−279−338
・ 30 回線稼動 午前 10 時から午後 10 時まで(最低稼動数)
10 回線稼動 午後 10 時から午前 10 時まで(最低稼動数)
・ 全国36か所の地域センターと2か所の中央コールセンターで対応
② 電話相談の流れ
全国統一番号に電話をする
→「音声ガイダンス」が流れる: 「相談したいことを選んでプッシュボタンを押してください」
1)生活の悩み全般
→地域センターへつながる
2)外国語による相談
→外国籍市民支援専門団体のネットワークへつながる
3)性暴力被害やDVなど女性の相談
→女性問題専門団体のネットワークへつながる
6
事業概要・事業実施体制 第1章
第1章 事業概要・事業実施体制
第1章
4)セクシュアルマイノリティの方のための相談
→セクシュアルマイノリティ支援専門団体のネットワークへつながる
5)いま自殺について悩んでいる方へ(自殺防止)
→自殺防止専門団体のネットワークへつながる
③ 必要に応じて同行支援&フォローアップ
相談を受ける中で、以下のような支援を実施している。
1)行政の窓口や法律相談窓口等必要な社会資源を紹介する
2)相談に応じて、その課題の支援に取り組んでいる民間支援団体等につなげる
3)緊急な対応が必要な事例等には同行支援を行う
ホットライン
(ガイダンスの振り分け後のイメージ)
電話の中で支援機関
専門員からの
アドバイスを受ける
の情報提供
(社会資源リスト等を利用)
緊急で必要な場合
同行支援へ
④ 受付対象地域
ホットラインの対象地域は全国であるが、被災地と被災者の多い地域(東北6県とした)を優先
して受け付けるシステムとしたため、被災三県の接続率は他の地域に比して高い結果となった。
⑤ 配置人員など
すべての回線に2人ずつの相談員及び1人のコーディネーターを配置。
その他、本部中央センター1か所に24時間コーディネーターと専門員1〜2人を配置し、バッ
クアップにあたった。
3 地域センターの業務内容 本事業は 24 時間の電話相談のほかに「面接・同行支援」を実施することによって、全国の社会
的排除にさらされた相談者の支援を行う体制を作るために「地域センター(法人であるか否かを問
わない)」を設置することが応募要綱に明記されている。 補助金選定以降、法人として「地域センター」の公募を実施し、第三者委員会である効果測定委
員会によって、36 の地域センターを選定・設置した。
地域センターは、電話回線設置拠点であるとともに、同行支援の中心であるが、地域センターのもっ
第1章 事業概要・事業実施体制
7
第1章 事業概要・実施体制
第1章
とも大きな役割は社会資源の「地域ネットワーク」の確立である。
以下、地域センターの業務項目に沿って運営状況を報告する。
① 電話相談業務
「電話相談員を選定し、電話相談を実施すること」
「よりそいホットライン」は「何でも相談」であるが、何でも相談ができる団体・個人は全国で極
めて少数である。どの地域においても地域センターを担う団体や個人が、試行錯誤の中でそれまで
の支援業務の連携の中から相談員を選定してきた。平成23年度にスタートした時点から始まった
「民間支援団体の支援の縦割り」の解消、異なる支援領域の交流は、現在600団体を超える全国ネッ
トワークとして結実し始めた。
36 の地域センターの稼働は以下の例のようなローテーションで稼働を確保している。
1
2
3
4
5
6
7
ブロック
回線数
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夜
昼
夜
昼
夜
昼
夜
昼
夜
北海道
1
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東北
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関東
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昼
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東海
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甲信越
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第1章 事業概要・事業実施体制
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第1章
東海
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中国四国
九州沖縄
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1
1
1
中央センター
42
30 7
回線稼働数
※この他に専門ラインが稼働
31
8
29
7
30
9
32
8
30
7
32
9
※この他に専門ラインが稼働している
②
面接、同行支援業務
「面接・同行支援員及び専門員を、事業協力団体等から選出し、面接・同行支援を実施する。同行
支援については、担当者を24時間待機させること」
本事業では同行支援を「緊急性の高いもの」と限り、さらに「中央コールセンターのコーディネー
ターの確認が取れるもの」と限定した。そのため、中央コールセンターから 24 時間連絡がつく「地
域の社会資源を熟知した責任者」をあらかじめ配置し、各地域での支援にあたった。
第1章 事業概要・事業実施体制
9
第1章 事業概要・実施体制
第1章
③ 電子カルテ打ち込み業務
「電話相談表の内容を、専用のパソコンで打ち込み電子データ化する」
本事業では、全国で連日、1000〜1200枚の相談表が作成されてくる。この相談内容の分
析のために、相談表の内容をPNを活用したシステムで電子データ化をしている。各地域センター
及び中央センターにカルテ打ち込みの人員を配置して打ち込みを行った。
万が一の情報流出の場合を考え、個人が特定できる情報は電子化していない。さらに、情報管理
のため、専用の固定IPアドレスを設け、打ち込み者を特定してID及びパスワード管理としている。
保存されたカルテの内容は、中央本部の許可なしには閲覧できない。
10
事業概要・事業実施体制 第1章
第1章 事業概要・事業実施体制
第1章
④ 運営委員会運営業務
「相談内容の 19 の悩みテーマで活動する民間支援団体・個人を、可能な限り網羅した地域運営委
員会を設置し運営すること」
19 の悩みのテーマは以下のとおりである。
仕事の悩み・生活の悩み・住居の悩み・自殺念慮・心の悩み・家庭の悩み・お金の悩み・病気の悩み・
障がいに関する悩み・犯罪に関する悩み・性に関する悩み・DV・性暴力被害に関する悩み・子ども
の悩み・法律、法的手続に関する悩み・行政、その他手続に関する悩み・教育に関する悩み・人間
関係の悩み・外国籍市民の悩み・被災地の悩み及び原発の悩み
この 19 のテーマに取り組んでいる団体を地域で探し、ネットワークするのが地域センターの最
大の役割である。相談者⇒地域センター⇒地域の社会資源(支援団体・支援者)へとつなぐ仕事を
スムーズにするために、運営委員会は「社会資源の発掘・連携」を担う機能を持っている。 平成23年度当初は400団体程度であったが、平成24年度末には600団体を超えており、
本事業によるネットワーク作りは確実に進んでいるといえる。
⑤ 効果測定とフォローアップ
「同行支援後、シェルター対応、生活支援等に取り組んだ経過について、地域センターに参加する
協力団体及び公的機関等に「効果測定報告書」の提出を依頼すること」
本事業によって、社会的排除に直面した相談者が地域での生活再建を実現できたかを効果測定報
告書で検証することとしている。地域センターの連携団体等、相談者を受け入れて継続的な支援に
あたった団体等から「効果測定報告書」を提出していただいている。平成24年度は139件の報
告があった。
4 専門ラインについて 本事業では、「生活全般にかかわる悩み相談」だけでなく、特定の悩みに特化した専門ラインを設
置し、その課題に専門的に取り組んでいる団体が対応する専門ラインを設置した。
専門ラインを設置した背景は以下のとおりである。
・自殺予防に関しては、緊急対応(自殺未遂のための警察や医療機関への対応)等、専門的な経験
が求められること
・女性相談に関しては、男性相談員に話しにくいこと、一般的な相談者には知識と経験がなく、二
次被害を起こしやすいこと。加害者の追跡があることから、専門的な危機管理のスキルが求めら
れること、暴力からの避難は緊急で広域にわたることが多いため、全国規模でのシェルター対応
が求められること
・セクシュアルマイノリティに関しては、一般的な相談者には知識と経験がなく、二次被害を起こ
しやすいこと。また「ピア」な対応が最も相談者の心に届きやすいことから、当事者の相談対応
が求められること
・外国語に関しては、相談者の母語での対応がなければ、問題解決は困難であること、支援者に語
学が堪能なものは大変少ないこと
各領域に専門性と支援経験の高い団体に委託して実施した。
第1章 事業概要・事業実施体制
11
第1章 事業概要・実施体制
第1章
専門ラインへのアクセス率は、自殺予防が全体の1割を超え(一日3000件前後)、女性、セクシュ
アルマイノリティは 5 〜 6%(一日1500件程度)と非常に高く、ニーズがあることが確認された。
相談内容も自殺念慮を含め大変深刻な事例ばかりであり、社会保障制度の拡充を進めるうえで多
様な当事者の想定が不可欠であることは強調されるべきである。
5 専門員について 中央コールセンター及び地域センターのネットワークの中から、専門員を選出しリスト化して 24
時間相談員のバックアップに当たる体制とした。
実際に稼働した専門員は全国で医師、弁護士、司法書士、精神保健福祉士、社会福祉士、臨床心理士、
看護師、保健師、助産師、各領域で支援経験の深い者、何でも相談の実績を持つ相談員など約 300
人である。
6 相談員の現況 平成 24 年度、各地域センター、専門ラインで相談にあたっている相談員の総数は 2,433 人であ
る(名簿登載者)。性別等の比率は、円グラフのとおり 67%が女性となっている。
X 1%
男性 32%
女性 67%
性別
ID
12
センター名
相談員総数
M
F
X
1
札幌
52
12
40
0
2
釧路
56
16
40
0
3
青森
28
4
24
0
4
秋田
38
18
19
1
5
岩手1(遠野)
18
6
12
0
6
岩手2(盛岡)
26
4
22
0
7
宮城
30
6
24
0
8
福島
22
4
18
0
事業概要・事業実施体制 第1章
第1章 事業概要・事業実施体制
ID
9
センター名
相談員総数
栃木
36
M
F
9
第1章
性別
X
27
0
10
埼玉
131
50
81
0
11
千葉
65
33
32
0
12
東京
41
19
19
3
13
神奈川
14
7
7
0
14
長野1
38
15
23
0
15
長野2(松本)
23
10
13
0
16
石川
63
21
42
0
17
富山
13
5
8
0
18
岐阜
28
10
18
0
19
愛知
53
12
41
0
20
三重
25
7
17
1
21
静岡
54
33
21
0
22
滋賀
37
12
25
0
23
京都
73
38
35
0
24
大阪
103
72
31
0
25
兵庫
23
5
18
0
26
岡山
58
20
38
0
27
広島
66
28
38
0
28
愛媛
41
18
23
0
29
香川
31
13
18
0
30
高知
53
17
36
0
31
徳島
18
5
13
0
32
福岡
21
3
18
0
33
佐賀
21
13
8
0
34
大分
44
17
27
0
35
宮崎
26
5
21
0
36
鹿児島
44
22
22
0
37
沖縄
44
12
32
0
1
性暴力・DV
419
2
417
0
2
自殺予防
150
105
45
3
外国語
142
34
108
0
4
セクマイ
70
17
35
18
1
中央本部
30
6
24
0
2
中央盛岡
41
9
30
2
2409
774
1610
25
合計
第1章 事業概要・事業実施体制
13
第1章 事業概要・実施体制
第1章
図1−1
X
(7), 0.4%
男性
(604), 38.3%
女性
(965), 61.2%
一般ラインの相談員だけを見ると、総数は 1,582 人、男性 38.3%、女性 61.2%、X0.4%であっ
た。よりそいホットラインの相談員は女性の割合が高い。
資格所持の状況は以下のグラフのとおりであり、半数近くが民間支援団体の所属であって、資格
制度とはかかわりない相談員であることが分かる。
図1−2
医師 (24), 1.5%
看護師
(60), 3.8%
保健師 (13), 0.8%
弁護士 (69), 4.3%
司法書士
その他
(770), 48.2%
(238), 14.9%
社会福祉士
(139), 8.7%
臨床心理士 (62), 3.9%
精神保健福祉士
障害者相談支援専門員 (48), 3.0%
14
事業概要・事業実施体制 第1章
(105), 6.6%
介護支援専門員 (70), 4.4%
第1章 事業概要・事業実施体制
第1章
相談員の所属団体は以下のグラフのとおり。NPO、NGO、個人で 68%である。よりそいホット
ラインの相談員は大きな組織に所属していないものが多いと想定される。
図1−3
任意団体
(457), 24.5%
NPO
(383), 20.6%
公益法人
(160), 8.6%
個人営業
(424), 22.8%
社会福祉法人
公的機関
(110), 5.9%
(209), 11.2%
営利企業 (119), 6.4%
相談員の出身支援領域は以下のグラフのとおりで、幅広く多様な相談現場から集まっていること
がわかる。
図1−4
成年後見 (255), 5.0%
その他
(465), 9.1%
外国籍市民支援 (36), 0.7%
何でも
(280), 5.5%
生活困窮
(536), 10.5%
セクシュアル・マイノリティ
(80), 1.6%
障害者支援
DV・性暴力 (285), 5.6%
自殺予防
(311), 6.1%
(436), 8.5%
高齢者介護
(335), 6.6%
多重債務等クレジット
被害 (371), 7.3%
就労支援 (314), 6.2%
消費生活相談 (300), 5.9%
子育て(392), 7.7%
子ども・若者 (387), 7.6%
不登校・ひきこもり
(320), 6.3%
第1章 事業概要・事業実施体制
15
第1章 事業概要・実施体制
第1章
支援経験年数は以下のグラフのとおりで、5 年以上の相談員が 37%を占める。
図1−5 一般ライン相談員支援経験歴
7年以上
1年 (153), 9.9%
(204), 13.2%
6年
(119), 7.7%
2年
(238), 15.4%
5年
(244), 15.8%
3年
(215), 13.9%
4年 (376), 24.3%
経験年数で見ると、女性ラインの支援経験歴は長く(5 年以上 50%)、セクマイラインは短いこ
とが分かる(5 年以上 26%)。
図1−6 女性ライン相談員支援経験歴
1年 (22), 5.3%
7年以上
2年 (39), 9.3%
(58), 13.8%
3年
6年
(51), 12.2%
(52), 12.4%
5年
(96), 22.9%
4年
(101), 24.1%
図1−7 セクマイライン相談員支援経験歴
7年以上 (5), 7.1%
6年 (4), 5.7%
5年
1年
(9), 12.9%
(21), 30.0%
4年
(18), 25.7%
2年 (8), 11.4%
3年 (5), 7.1%
16
事業概要・事業実施体制 第1章
第1章 事業概要・事業実施体制
第1章
7 開催シンポジウム等(チラシは資料参照) ① 平成23年度社会的包摂ワンストップ相談支援事業「よりそいホットライン」報告会
・日時 平成 24 年 7 月 14 日(土) 午後 2 時から 6 時
・場所 東京大学本郷キャンパス文学部法文 2 号館 2 大教室
・参加者数 約 150 人
・来賓挨拶及びメッセージ
小宮山洋子厚生労働大臣(メッセージ)
福山哲郎参議院議員、竹谷とし子参議院議員、高木美智代衆議院議員(挨拶)
・当日の内容
当法人と東京大学社会科学研究所グローバル COE プログラム「グローバル時代の男女共同参画と
多文化共生」連携拠点」との共催で実施。
平成 23 年度の相談内容の集計結果を、報告書の作成にあたった研究者からの報告を受け、より
そいホットラインの各専門ラインのコーディネーターが相談の現状を報告した。電話相談から支援
につながった当事者 3 人が登壇し、1 人は電話で参加して、現在の状況を語ってくださった。
パネルディスカッションには、熊坂代表理事、池田惠利子氏(社会福祉士)、岩田正美日本女子大
学教授が登壇。社会資源の発掘、掘り起こしなしには電話相談は継続できないこと等、ホットライ
ンに対して専門的な見地からご意見をいただいた。
② 岩手被災地シンポジウム
「社会的包摂の実現を目指して」と題して、岩手県盛岡市で被災地シンポジウムを実施した。
・日時 平成 24 年 12 月 9 日(土) 午後 1 時から 5 時
・場所 岩手大学 北桐ホール
・参加者数 約 200 人
・来賓挨拶及びメッセージ
平野達男復興大臣(挨拶)
達増拓也岩手県知事(メッセージ副知事代読)
・当日の内容
山屋理恵東北コーディネーターからよりそいホットラインのコール数、相談内容などの報告を行っ
た後、宮本太郎北海道大学教授(当時)より基調講演「社会的包摂に向けて−よりそいホットライン
を明日に繋ぐ」を受けた。
宮城及び福島の地域センターのコーディネーターから被災地相談報告を受けた後、青木慎一郎岩
手県立大学教授、上机莞治田野畑村村長、山屋理恵東北コーディネーター、熊坂義裕社会的包摂サポー
トセンター代表理事の4人のパネラーによるパネルディスカッションを行った。
各パネラーから自己紹介と自身の被災支援の取り組みについて報告をいただき、宮本教授からコ
メントをいただいた。青木慎一郎氏からは「震災と岩手県職員のメンタルヘルス」について、宮本
教授からは「アジアのモデルとなるホットライン」であるとのお話をいただいた。
第1章 事業概要・事業実施体制
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第1章 事業概要・実施体制
第1章
③ 福島報告会
・日時 平成 25 年 2 月 2 日(土) 午後 2 時から 5 時
・場所 福島テルサ
・参加者数 約 120 人
・来賓メッセージ
田村憲久厚生労働大臣、根本匠復興大臣、佐藤雄平福島県知事
・当日の内容
基調講演として「被災地で求められている心のケア」と題して熊坂代表が被災地の現状を報告、
平成 24 年度の相談内容集計結果については「相談内容分析検討委員会分析小委員会」の篠原雄之
委員から、山屋東北コーディネーターからは被災地における相談内容の詳細が報告された。
その後、
「福島の被災者が求めるもの」と題して丹波史紀福島大学准教授の進行でパネルディスカッ
ションに入った。まず、当法人の理事である立谷秀清相馬市長からのビデオレター上映、本間博彰
宮城子ども総合センター長から「東日本大震災と子どもの心のケアについて」の報告をいただいた。
瀬戸孝則福島市長からは、被災者への処遇、支援に格差があってはならないとの切実な訴えがあった。
福島の状況は厳しく、被災地は「何も変わっていない」こと、そんな時こそ「垣根の低い電話相談」
が求められていることが確認された報告会であった。
④ 被災外国籍等市民支援のための円卓会議 in 福島報告 会議の概要
・主催 一般社団法人 社会的包摂サポートセンター(SISC)
・協力 日本社会事業大学・アジア福祉創造センター(JCSW/ACWelS)
・日時 12 月 28 日(金)正午〜 12 月 29 日(土)正午
・場所 福島グリーンパレス
・形式 簡単な日本語による全体的な問題提起を経て、文化(言語)別の分科会を設置
・目的 被災地における外国籍等市民の状況の把握、
ニーズ調査及び外国籍等市民の支援に不可欠な社会資源のリスト化
・内容 全体の意見交換と各文化(言語)別分科会を実施した
参加者 16カ国(国籍)、179人(50団体及び個人)
本シンポジウムは日本でも初めての、外国籍等当事者を中心に据えた試みであると評価された。
被災地から、100人を超える当事者が集まることができ、フィリピンに関しては大使館担当者の
出席を得ることもできた。被災地の行政の担当者も参加があった。被災地における各文化別のコミュ
ニティ間のネットワークも大きく進めることができた。
8 24 年度研修実績 平成 24 年度の研修は、以下の内容を実施した。
① DVD を作成し、各地域センターに配布して全相談員が自主研修を行った。同時に研修内容を解
説するスライド資料も作成して配布した。
② 4 月 8 日〜 14 日 中央コールセンターで回線を活用しての実地研修に80名が参加した。
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事業概要・事業実施体制 第1章
第1章 事業概要・事業実施体制
第1章
各地域センターからコーディネーターと相談員1名の計2名が参加した。
③ 7 月 14 日、15 日 国立オリンピック記念青少年総合センターでコーディネーター研修を実施。
各地のコーディネーター及び相談員計50名が参加した。
④ 相談表を 10 月 1 日より変更したことから、全国コーディネーターが出向き、相談表の記入方法
の研修を全地域センターで実施した。
⑤ 平成 24 年度相談内容分析に向けて、中央コールセンターで相談表の精度を高めるための「再
チェック」を集中研修形式で実施した(参加者は延べ 200 人)。
⑥ 電話の接続数が低く、緊急に支援を必要とする相談者のニーズに応えられない状況が続いている
ため、臨時の「ナビダイヤル」を設置し、相談員研修を兼ねて実施した。研修回数は 20 回、各
センターで中核を担う相談員及びコーディネーター計 80 名が参加した。実施日時は以下のとお
りである。
11 月 6、7 日、12 月 26、27、28 日、1 月 12、13、14、29、30、31 日、2 月 13、14、
15、27、28、3 月 1、13、14、15 日
9 効果測定第三者委員会 事業実施要綱に基づいて、「よりそいホットライン」効果測定委員会を設置した。地域センターの
選定及び事業の効果について検討をいただいている。平成24年度は5回開催した。
委員は以下のとおり。
阿部 一彦 (東北福祉大学教授)
阿部 京子 (前日本司法書士会連合会常任理事(財務担当)、司法書士)
瀬戸 孝則 (福島市長)
◎本間 博彰 (宮城県子ども総合センター所長、児童精神科医)
山崎 美貴子 (東京ボランティア・市民活動センター所長、神奈川県立保健福祉大学顧問)
※◎が委員長
10 24 年度相談内容分析検討委員会 「よりそいホットライン」相談内容分析・検討委員会及び分析小委員会を 12 月に設置した。委員
名簿は以下のとおり。本報告書の執筆をいただいた。
○「平成 24 年度社会的包摂ワンストップ相談支援事業(よりそいホットライン)」相談内容分析・
検討委員
阿部 彩(国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部部長)
市川 宏伸(一般社団法人 日本発達障害ネットワーク理事長)
岩田 正美(日本女子大学教授)
大沢 真理(東京大学社会科学研究所教授)
大槻 奈巳(聖心女子大学文学部准教授)
第1章 事業概要・事業実施体制
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第1章 事業概要・実施体制
第1章
生越(おごし) 照幸(弁護士)
◎戒能 民江(お茶の水女子大学名誉教授)
高橋 均(労働者福祉中央協議会 前事務局長)
宮本 太郎(北海道大学教授) ※◎が委員長
○平成 24 年度社会的包摂ワンストップ相談支援事業相談内容分析小委員会構成
・委員長 大槻委員 全体統括
・一般ライン 酒井計史(独立行政法人 労働政策研究・研修機構アシスタントフェロー)
(量的)
皆川満寿美(東京大学社会科学研究所特任研究員)(質的)
山本千晶(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科研究院研究員)
(質的)
・外国語ライン 山口幸夫(日本社会事業大学特任准教授)
・女性ライン 戒能委員、湯沢 直美(立教大学教授)、島崎 裕 子( 日本学術振興会特別研究員、
立教大学非常勤講師)山本千晶
・セクマイ 杉浦郁子(和光大学准教授)、笹原千奈未(東京女子大学社会学専攻)
・自殺ライン 生越委員、根岸親(一般社団法人 自殺対策全国民間ネットワーク事務局長)
・データ作成 篠原雄之(東京大学大学院学際情報学府修士課程)、山本千晶
11 広報について ① チラシの配布 全国で 10 万枚のチラシを関係機関等に配布した。
② ポスターの掲示
図書館、ハローワーク等の公共機関に 3000 枚のポスターを配布し、掲示を依頼した。
③ ウェブサイトの更新・運営を実施している。
④ 新聞等メディア報道は別紙のとおり。
⑤ お悩みクラウド「Moyatter」の開設。
よりそいホットラインの周知と若年者に向けた相談ツールを開発し、試行中である。
中には深刻な悩みを書き込まれる事例もあり、公開されている相談窓口の番号を書き込み、電話・
面接につながった事例もある。
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事業概要・事業実施体制 第1章
第1章 事業概要・事業実施体制
第1章
概要:漠然とした悩みなどを抱えた人が気軽に相談できるような相談サイト。専門の相談員が応対
をする。「もやもや」したお悩みをツイッターのような形式で、ということからネーミングさ
れた。
サイト:http://moyatter.jp/
閲覧形式:web ページ、iphone Androyd アプリ
開設日:2013年1月15日から
広報先:当法人団体サイト、ツイッター他 SNS サイト
対象者:よりそいホットラインがつながらなかった人、若年層、インターネット利用者
制作:Moyatter 実行委員、東京大学学生有志
第1章 事業概要・事業実施体制
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