講義内容の一覧 - 東京大学理学部物理学科・物理学専攻

平成27年度 物理学ゼミナール(3年次 Aセメスター)
講 義 内 容
※場所表記の例: 942 → 理学部1号館9階 942号室
4-1624 → 理学部4号館6階1624号室
ゼミ
番号
1
2
担当教員
(所属)
題 目
内 容
*使用テキスト
量子力学で勉強するような摂動計算は実は本質的に破綻
している。ということを理解するにはインスタントンの知識が
欠かせない。そしてそれを理解するために経路積分につい
福嶋 健二
経路積分とインスタン
て学ぶ。
(物理学教室) トンについて学ぶ
*"Quantum Mechanics and Path Integrals" (Feynman and
Hibbs)で基礎を学んだあと"The Uses of Instantons"
(Coleman)の初めの章を勉強します。
素粒子理論の1分野であるストリング理論について、教科
書の輪講を通じてその基礎的事項を学びます。担当教員
諸井 健夫
ストリング理論の基礎 の諸井はストリング理論については非専門ですので、参加
(物理学教室) を学ぶ
の学生の皆さんと共に理解を深められればと思っていま
す。
*B. Zwiebach, "A First Course in String Theory"
標準模型構築において重要な役割を果たした原著論文を
中心に、輪講する。 議論は英語で行う。
*論文及び参考資料は配布する。
3
早野 龍五
ノーベル賞論文を読
(物理学教室) む
4
素粒子物理の標準模型の成立に決定的な役割を果たした
実験や,近年の最先端素粒子実験の原著論文を輪講し,
素粒子物理の標準模型の成立過程や新物理探索の現状
横山 将志
素粒子物理学の実験
について学ぶ。
(物理学教室) 的基礎
* The Experimental Foundations of Particle Physics
(R.N.Cahn, G.Goldhaber; Cambridge University Press) ほ
か、適宜原著論文(論文・参考資料は配布する)。
5
6
7
経験的パラメータを使わない第一原理電子状態計算は,量
子多体系の取り扱いに関する基礎理論の発展,コンピュー
タの発達,各種アルゴリズムと計算手法の開発により,物
性物理学や新物質開発の強力な研究手段として広く使わ
れるようになってきた。本ゼミナールでは,現在もっともよく
常行 真司
第一原理からの電子 用いられる手法の基礎理論である密度汎関数理論に関す
(物理学教室) 状態計算入門
るレビューと,その理解に必要な関連文献を輪講する。ま
た時間が許せば,典型的な物質の電子状態計算を体験し
てもらう。
*W. Kohn, "Nobel Lecture: Electronic structure of matter
- wave functions and density functionals", Rev. Mod. Phys.
71, 1253 (1999). 適宜,関連文献を配布する。
トポロジーは、量子ホール効果やトポロジカル絶縁体、磁
性体中のスキルミオンなど、最近の物性物理でのキーワー
ドのひとつとなっている。これらについての解説記事や原著
桂 法称
トポロジカル物性入
論文の輪講を通し、基礎概念から最新の話題まで幅広く学
(物理学教室) 門
ぶ。
*参加者と相談して決める。また参考資料を適宜配布す
る。
新物質の発見,新物性の発見とその発現機構解明は,そ
の度ごとに物性物理学に飛躍的な進展をもたらしたてき
藤森 淳
物質科学、物性科学 た。本ゼミナールでは,ノーベル賞論文を中心に,時代を
(物理学教室) のブレークスルー
画した新物質・新物性の発見、物性の発現機構解明を報じ
た論文,解説記事を輪読する。
*論文及び参考資料は配布する。
場所
915
917
311
435
944
906
501a
ゼミ
番号
担当教員
(所属)
題 目
内 容
*使用テキスト
場所
8
物性物理において古典的でない基底状態ー超伝導や量子
スピン液体などーの最近の話題について理解を深める。入
北川健太郎 量子相転移と量子ス
門的な理論を含むテキストと実験のレビュー論文を使用し
(物理学教室) ピン液体
て輪講する。
*適宜英語資料を配布
303
9
アインシュタインの一般相対論の誕生100年を記念して、一
横山 順一
英語で嗜む一般相対
般相対性理論の英文入門書を英語で輪講・議論する。
(物理学教室) 論
*P.A.M. Dirac General Theory of Relativity
4-1624
10
単なる物質の集まりが生命を形成できる原理を探ろうと思
うと、生命と情報の関係を考える必要がある。生物は、遺
伝情報に限らず、物理的な情報や自己組織化ダイナミクス
などをフルに使い、第二法則に抗っているかに見える。情
報をめぐる概念は、物理学がまだ十分に定式化に成功して
いない領域の一つである。このゼミナールでは、マックス
ウェルの悪魔の情報論的な基礎や、生体のシグナル伝達
における情報処理の物理限界、脳神経モデルにおける情
佐野 雅己
生物と物理情報の関
報コーディングなど、生物と情報の関係を物理的に考察し
(物理学教室) 係を考える
た良質の論文をいくつか選び、輪講を行う。
*Harvey Leff, Andrew F. Rex;Maxwell's Demon 2
Entropy, Classical and Quantum Information, Computing
(CRC Press, 2002), H. Berg, E. Purcell; Physics of
Perception, Biophysics Journal, 20 193 (1977). W. Bialek,
S. Setayeshgar; Physical Limits to Biochemical Signaling,
PNAS, 102, 10040 (2005), Hinton et al.; Efficient Learning
of Deep Boltzmann Machines. など
412
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樋口 秀男
生物物理学入門
(物理学教室)
生物はタンパク質やDNAといったナノメートルサイズの素
子で構成されている。このナノ素子の機能は多岐にわた
り、設計、運動、合成、分解、情報伝達、構造維持などに分
類される。中でも、物理学として興味の持たれる現象は、タ
ンパク質の運動である。タンパク質の運動は、筋肉収縮、
細胞分裂、細胞運動、DNAの合成転写、エネルギー源AT
Pの合成など、生命活動の本質的な関わりを持っている。
このタンパク質の運動を取り上げ、解説書や論文の輪読を
行い、生物の卓越した機能に触れてもらいたい。
*講座:生物物理 (大沢文夫著)
411
安東 正樹
重力波で探る宇宙
(物理学教室)
重力波はアインシュタインの一般相対性理論により予言さ
れた“時空のさざ波”である。その存在は間接的には証明さ
れているが、直接観測は未だ実現されていない。重力波を
用いることで、電磁波では観測できない宇宙誕生の瞬間を
も直接観測することが可能となるが、それには光の量子限
界を破るほどの究極の感度を持った望遠鏡が必要となる。
本ゼミナールでは、重力波によって解き明かされる宇宙の
物理と重力波を検出するために必要な物理について、論文
やテキストブックを通してその基礎を理解する。
* 適宜、英語論文及び参考資料を配布する。
603
近藤 猛
光電子分光 入門
(物性研究所)
現代物理研究の最前線で対象となる高温超伝導、トポロジ
カル量子現象、強相関電子状態を含めたあらゆる電子物
性は、固体内電子のエネルギー状態を運動量空間で描く
バンド構造が鍵となります。アインシュタインで有名な光電
効果を駆使してバンド構造を “直接見る” 光電子分光の基
礎を学ぶことで、伝導電子の振る舞いを感じ取るセンスが
磨かれると共に、光学、電磁気学、量子力学等のこれまで
養った基礎学力が最前線の物性研究に活かされる喜びを
味わえます。
* Stephan Huefner 著 “Photoelectron Spectroscopy:
Principles and Applications”、Richard D. Mattuck 著 “A
Guide to Feynman Diagrams in the Many-Body Problem”
などから選んで配布します.
414
12
13
ゼミ
番号
14
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担当教員
(所属)
題 目
内 容
*使用テキスト
経路積分形式を通して量子力学と古典力学のつながりを
学びます。基礎的な講義ノートを輪講してもらい、その後よ
伊部 昌宏
経路積分形式による り発展的な内容に移行する予定です。
(宇宙線研究所) 量子力学を学ぶ
* "The Path Integral approach to Quantum Mechanics
Lecture Notes for Quantum Mechanics” (Riccardo
Rattazzi)
現代宇宙論は、観測結果の理論的解釈が原動力となって
発展してきた。例えば、銀河の距離と後退速度による宇宙
膨張の発見、銀河の回転曲線やIa型超新星爆発の光度赤方偏移関係、宇宙マイクロ波背景放射の温度揺らぎによ
るダークマターとダークエネルギーの問題提起などである。
得られた観測結果が理論モデルを棄却もしくは制限する過
程は観測的宇宙論の基本となる。本ゼミナールでは入門
的な教科書を用いて理論モデルの基礎を理解する。そして
大内 正己
観測的宇宙論入門
NatureやScience, ApJの最新論文等で観測の手法と結果
(宇宙線研究所)
を学び、観測的宇宙論研究の最前線に触れる。これらに加
え、担当者によるパワーポイントの発表と全員参加の議論
を通じて、物理学に必要なコミュニケーション力を身につけ
ることを目標とする。
(参考:平成23−26年度受講生に行ったアンケート結果
http://cos.icrr.u-tokyo.ac.jp/lecture.html )
*宇宙論入門(バーバラ・ライデン著、牧野伸義訳)、Nature
やScience, ApJ論文等
「標準模型」はこれまで観測されている素粒子現象を最も
正確に記述する理論体系であり、100年のわたる素粒子物
理学の集大成であると言える。その一方でいくつかの本質
的に重要な問題を抱えており、これを越える新しい物理が
あることを示唆している。本ゼミナールでは、標準模型を中
大谷 航
心とした素粒子物理学の基礎を学び、それを越える物理を
素粒子物理学入門
(素粒子物理
探す最先端素粒子実験についても触れていく。テキストや
国際研究センター)
論文を用いた輪読形式で進める。テキスト、論文等必要資
料は配布する。また要望があればKEK、J-PARCなどの見
学も行う。
*Mark Thomson, "Modern Particle Physics" (2013,
Cambridge University Press)
天体物理学の研究において、新たなパラダイムを拓く端緒
となった観測を紹介する原著論文を読み、その考え方の基
礎について学ぶ。論文の理解に必要な基礎概念について
は、論文を読むに先立ち、講義を行い、理解の一助とす
中川 貴雄
何が天体物理学を進
る。具体的なトピックスとしては、宇宙背景放射の発見とそ
(宇宙航空研究開発機
歩させてきたか
構)
の揺らぎの観測、ダークマターの存在の示唆、銀河中心に
おける大質量ブラックホールの発見、系外惑星の発見など
を想定している。
*適宜、英語論文及び参考資料を配布する。
宮武 宇也
(高エネルギー加速器
研究機構)
天体核物理入門
原子核物理の実験的手法によって発展してきた天体核物
理について、その契機を物語るノーベル賞受賞論文を中心
に、最近のトピックスにも触れながら学んでいく。
*> W.A. Fowler, Nobel Lecture, 8(1983)とその他を適宜配
布する。
副読本として、野本憲一編「元素はいかに作られたか」、岩
波講座、物理の世界(2007) あるいはC.E. Rolfs and W.
Rodney, “Cauldrons in the Cosmos”, The University of
Chicago Press (1988)を薦める。
場所
431
913
508
445
512
これは掲示板と物理学科HPに掲載しているものです。
志望表は、物理学科HPから印刷してください。
結果は、7月上旬に掲示板にて、お知らせします。
平成27年6月1日 物理教務事務室