事業計画 (PDF:853KB) - JISF 一般社団法人日本鉄鋼連盟

平成27年度
事
業
計
画
平成27年3月
一般社団法人 日本鉄鋼連盟
目
次
頁
Ⅰ 平成 27 年度の重点課題 ............................................... 1
1.わが国の中長期的な経済発展のための基盤整備 ........................ 1
2.国内外の社会基盤づくりに寄与する市場開拓活動の積極展開 ............ 2
3.安全水準向上並びに防災に向けた取り組み ............................ 3
4.ASEAN における事業活動強化に向けた取り組み ......................... 3
5.健全な自由貿易体制の確立に向けた取り組み .......................... 4
6.地球温暖化問題への的確な対応及び国際連携を含めた積極的な展開 ...... 5
7.環境保全に向けた活動の推進 ........................................ 7
8.資源の有効利用と循環型社会構築に向けた活動の推進 .................. 7
9.鉄鋼原料の安定確保に向けた業界横断的な取り組みの積極的推進 ........ 8
10.鉄鋼業の社会的認知度アップを目的とした活動 ........................ 8
11.重要な標準化の推進 ................................................ 9
12.日本鉄鋼連盟の運営に係わる諸課題への対応 .......................... 9
Ⅱ 平成 27 年度の主要業務 ............................................. 10
1.わが国の中長期的な経済発展のための基盤整備 ...................... 10
2.国内外の社会基盤づくりに寄与する市場開拓活動の積極展開 .......... 11
3.安全水準向上並びに防災に向けた取り組み .......................... 14
4.ASEAN における事業活動強化に向けた取り組み ....................... 15
5.通商問題、国際協力関係 .......................................... 15
6.環境・エネルギー・技術関係 ...................................... 16
7.労働・安全衛生関係 .............................................. 21
8.鉄鋼原料の安定確保に向けた業界横断的な取り組みの積極的推進 ...... 22
9.国内外の鉄鋼需給動向調査関係 .................................... 22
10.法規・財務関係 .................................................. 23
11.物流関係 ........................................................ 24
12.特殊鋼関係 ...................................................... 24
13.IE・JK 関係(プロジェクト事業) .................................. 24
14.統計関係 ........................................................ 25
15.電子商取引関係 .................................................. 25
16.情報管理関係 .................................................... 26
17.広報関係 ........................................................ 26
18. 標準化センター .................................................. 28
19.日本鉄鋼連盟の運営に係わる諸課題への対応 ........................ 29
20.地区関連データの整備 ............................................ 29
21.その他 .......................................................... 29
Ⅰ 平成 27 年度の重点課題
日本経済は、消費税増税後の落込みから持直しつつあるものの、個人消費や民間設
備投資の伸び悩みからその回復力は力強さを欠くものとなっており、日本経済の再生に
向けて正念場を迎えている。
現在の景気回復の動きを持続させ、日本経済の再興を実現するためには、事業環境
の国際的なイコールフッティングを実現する等、企業の期待成長率の押し上げに繋がる成
長戦略を着実かつ確実に実施していく必要がある。
平成 27 年度は、わが国経済の持続的成長を確実なものとするため、国民生活並びに
企業活動の基盤であるエネルギーの低廉かつ安定的供給の早期実現やエネルギー政
策・地球温暖化対策の再構築、国内における投資、雇用の維持・拡大に資する税制基盤
の整備に向けて必要となる制度改革、規制緩和を求めて行くとともに、経済連携の推進に
向けた政府の取り組みに協力して行く。
また、安全で働きやすい職場環境の整備や国土強靭化に資する社会インフラ構築へ
の貢献、鉄鋼貿易の秩序ある発展、地球温暖化・環境保全に係る取り組み課題について
的確に対応して行く。
なお、事業の推進にあたっては、これまでの実績を踏まえて、適宜、関係業界団体等と
の連携の下に進めて行く。
1.わが国の中長期的な経済発展のための基盤整備
(1)電力問題への対応とエネルギー・地球温暖化対策の再構築に向けた取り組み
・ 原子力発電所の再稼働が遅延する中、電力の供給不安、料金上昇の問題は
依然解決されておらず、電力多消費産業では厳しい経営を強いられている。
企業の国際競争力の維持・強化を図るうえで、低廉で安定的な電力供給が
不可欠であることから、電力多消費産業団体と連携して安全が確認された
原子力発電所の再稼働プロセスの加速化等を政府に訴えて行く。
・ 企業のコストダウン対応も限界に近づいていることから、エネルギーコス
ト上昇の影響軽減化を図るため、電力多消費産業団体と連携して、政府等
関係先に電力多消費産業に配慮した各種助成制度の一層の充実に向けた働
きかけを行う。
・ 「再生可能エネルギー全量買取制度」の抜本的な見直しにより、早急に電
気料金の上昇に歯止めをかけるよう、電力多消費産業団体等関係団体と連
-1-
携し政府に訴えて行く。
・ わが国の中長期的なエネルギー政策について、エネルギーミックスがエネ
ルギーの安定供給、経済性、環境適合性のバランスが取れたものとなるよ
う、関係団体とも連携し、政府に求めて行く。
・ エネルギー政策と表裏一体の地球温暖化対策については、目標数値が、実
現可能性、国民負担の妥当性、国際的公平性を勘案した適切なエネルギー
ミックスを踏まえた水準となるよう政府等に働きかけを行う。
(2)企業の競争力強化に資する法人課税改革への取り組み
・ 平成 28 年度税制改正では、課税ベースの拡大等により財源を確保し、法
人実効税率引き下げ幅の更なる上乗せが検討される。企業の競争力強化に
資する法人税改革に向け、企業の実質的な税負担軽減の実現を目指して、
税率のさらなる引下げや償却資産に対する固定資産税の抜本的見直し等を、
経団連等関係団体と連携して関係先に働きかけを行う。
(3)国際競争環境整備に向けた政府の取り組みへの協力
・ 自由貿易体制の更なる強化に向けて、環太平洋経済連携協定(TPP)、日
中韓 FTA、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)および日 EU EPA などの
広域経済連携協定ならびに二国間経済連携協定の交渉における政府の取り
組みに協力し、関税撤廃や引き下げに加え、国際貿易・投資ルールが整備
されるよう政府に働きかけを行う。
2.国内外の社会基盤づくりに寄与する市場開拓活動の積極展開
(1)鋼構造による国土強靭化に資する提案活動の積極展開
・ 「国土強靭化基本計画」や「国土強靭化地域計画」に関連して国及び地方
自治体が進める取り組みに貢献すべく、鋼構造の技術・工法を提案する。
・ 災害に強い国土形成に向け、国内各地域の「防災・減災対策の強化」や
「老朽インフラ設備・公共施設の更新」に寄与すべく、鉄鋼業が培ってき
た鋼構造技術を用いた技術・工法についての提案活動を実施する。
(2)安全・安心な社会基盤づくりに資する研究活動の実施
-防災・減災に関する研究
・ 津波・液状化・長周期地震対策等の技術課題について、平成 27 年度より
スタートする「第Ⅳ期鋼構造研究・助成事業」を中心に基準化・法制化
に向けた取り組みを強化する。
-2-
-社会インフラの維持・更新に関する研究
・ 社会インフラの老朽化進展問題に対し、その解決に資する鋼構造技術の
高度化に取り組み、鋼構造化によるインフラ設備、公共施設の長寿命
化・更新に資する技術開発を推進する。
(3)アジア新興国における鋼構造普及に向けた活動の展開
・ 鋼構造の普及が見込まれるアジア新興国における日本の高品質・高性能な
鋼材とその利用技術の普及活動の一環として、平成 26 年度に引き続き、
カンボジアで公共事業運輸省、カンボジア工科大学等と共同で鋼構造普及
セミナーを開催し、日本鋼構造シンパ形成とカンボジアにおける鋼構造技
術の底上げを図る。
3.安全水準向上並びに防災に向けた取り組み
(1)安全水準の向上に向けた諸活動の推進
・ 昨年、重大災害が多発した状況に鑑み、新規の取り組みとして外部研究機
関も活用し、昨年実施した重大災害防止対策も含めた災害発生全般におけ
る徹底した分析を行い、新たな視点での労働災害防止対策の展開を図る。
・ 会員各社における安全衛生法令対応を支援する目的で、鉄鋼製造設備と関
連法令を整理した「安全衛生法令マップ」の整備に取り組む。本事業は3
年計画で実施し、平成 27 年度は、関係法令等の調査、会員ニーズ調査、
策定方針の詳細検討等を行う。
(2)防災自主行動計画の推進
・ 「石油コンビナート等における災害防止に向けた行動計画」に基づき、鉄
鋼業界における事故情報の分類、分析や情報のデータベース化を実施する
等して会員企業の事故防止に向けた取り組みを支援する。
4.ASEAN における事業活動強化に向けた取り組み
(1)東南アジア鉄鋼協会(SEAISI)との交流促進に向けた取り組み
・ SEAISI の通商組織である ASEAN 鉄鋼評議会(AISC)との間で、通商、環
境、標準化の各分野における連携の促進と強化を図る。
-通商分野:
AISC との事務局間会合を定期的に開催し、通商摩擦の未
然防止や問題発生時に機動的かつ迅速な対応等が取れる
よう連携強化に努める。
-3-
-環境分野: ・AISC 加盟各国(インドネシア・シンガポール・タイ・フ
ィリピン・ベトナム・マレーシア)で、「鉄鋼 CO2 排出
量・原単位計算方法(ISO14404)」等をテーマとしたワ
ークショップ開催や製鉄所診断を実施する等、AISC、鉄
連双方のニーズを確認しつつ協力関係の構築を促進する。
・平成 26 年度に策定した環境・省エネ技術の ASEAN 版カス
タマイズドリストをアップデートする。
-標準化分野:
東南アジア鉄鋼業界の製品品質の向上を目的として、鋼
材規格の標準化に係る交流・協力を促進する。
(2)ASEAN 地域における通商関連等の情報収集力の強化
・ 鉄連アジア事務所の開設に向けた準備を進めるとともに、ASEAN 各国の鉄
鋼団体との交流促進を図り、現地情報をタイムリーに収集・分析すること
で通商問題への機動的な対応力の強化を図る。
5.健全な自由貿易体制の確立に向けた取り組み
(1)通商問題の早期解決と健全な貿易環境の維持
・ 国際鉄鋼市場における通商摩擦動向をタイムリーに把握し、対日通商問題
に対し適切な対応を行うとともに、鉄鋼対話等を通じ、主要貿易相手国と
の相互理解の促進に努め、通商摩擦の未然防止と健全な貿易環境の維持を
図る。
・ 米国における通商問題への対応強化を図るべく、現地の広報エージェント
や顧問弁護士との連携を密にするとともに、米国鉄鋼協会(AISI)との事
務局間定期会合を継続実施する。
・ わが国への不公正な鉄鋼輸出への対応として、日常的に的確な状況把握が
可能なモニタリング体制の更なる整備を進める。
(2)過剰生産能力問題への対応
・ OECD 鉄鋼委員会で議論されている、各国政府による市場歪曲的な補助金
等の政策による世界の過剰生産能力問題に対し、日本政府ならびに日本側
関係者と緊密に連携をとりつつ、参画を図る。
(3)情報提供の迅速化・価値向上に向けた基盤整備
・ 各国貿易統計、通商提訴、各国関税、経済指標に関する情報を一括管理す
るデータベースを整備し、通商問題や鉄鋼貿易動向に関する会員からの問
合せ対応への迅速化と提供情報の価値向上を図る。
-4-
6.地球温暖化問題への的確な対応及び国際連携を含めた積極的な展開
(1)「低炭素社会実行計画」への取り組み
-エコプロセスにおける着実な省エネルギーの推進
・ 2020 年のそれぞれの生産量において想定される CO2 排出量(BAU 排出
量)から、最先端技術の最大限の導入による 500 万トン-CO2 削減の目標
達成に向けて、その進捗状況を的確にフォローアップし、政府審議会、
経団連第三者評価委員会へ報告を行う。
・ 経団連全体としての低炭素社会実行計画の推進についても主体的に関わ
り、世論への理解活動、関係方面への働きかけを行う。
・ 鉄連が推進している低炭素社会実行計画ついて、ISO 規格(ISO50001 エネル
ギーマネジメントシステム)にも合致したものとして、その透明性・信頼性・有効
性を国内外に広く発信して行く。
-エコソリューションの積極的な推進
・ 中国・インド・ASEAN をはじめとする鉄鋼業の成長が著しい国・地域と
の協力や、GSEP(Global Superior Energy Performance Partnership:エ
ネルギー効率に関するグローバルパートナーシップ)等の多国間の取り組
みを通じて、日本鉄鋼業の環境・省エネ技術の移転・普及を促進し、世
界規模での CO2 削減に貢献する。
・ 政府が進める二国間クレジット制度の動向を注視するとともに、日本鉄
鋼業の国際貢献が真に実効性のある地球温暖化対策として適切に評価さ
れるよう、政府や経団連等に適宜意見具申等を行う。
-エコプロダクトの評価制度の設計推進と構築
・ 高機能鋼材の製品使用段階での CO2 削減への貢献が、より定性的、定量
的に評価されるよう、経団連や関係団体とも連携して政府等による適切
な評価制度の構築を図って行くとともに、鉄鋼業独自の取り組みとして
対象品種の拡大(現行は 5 品種)等を図っていく。
-「環境調和型製鉄プロセス技術開発(COURSE 50)」の推進
・ NEDO 委託事業である「環境調和型製鉄プロセス技術開発(COURSE50)」の
フェーズⅠステップ 2(平成 25~29 年度)の主開発課題である高炉の
CO2 排出削減技術開発では、平成 27 年 9 月末の設備完成に向けて、10 ㎥
規模の試験高炉の建設に注力する。
高炉ガスからの CO2 分離回収技術開発では、CO2 分離回収コスト 2,000
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円/t‐CO2 の実現可能な技術の具現化のため、再生温度、分離回収エネ
ルギーの低減などの技術開発の目途を得る。
(2)真に実効性のある国際枠組みの構築への積極的な協力
・ 2015 年の COP21 で大枠が合意される予定の 2020 年以降の世界の気候変動
に関する国際枠組については、全ての主要排出国が参加する真に公平かつ
実効性のあるものとして構築されるよう政府に協力して行く。
・ 2015 年の COP21 に十分先立って提出を招請されている約束草案の検討に
際しては、適切なエネルギーミックスを踏まえた、実現可能性、国民負担
の妥当性、国際的公平性を勘案した真に実効性のある目標が策定されるよ
う政府に働きかけを行う。
・ 目標策定後に想定されるわが国の地球温暖化対策計画の策定検討に際して
は、低炭素社会実行計画がわが国産業部門の地球温暖化対策の柱と位置付
けられるよう、経団連等とも連携し、政府に働きかけを行う。
(3)国際連携等の積極的な展開
・ 日印鉄鋼官民協力会合、日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術交流会、
GSEP、worldsteel 関連会合等を通じて、各国のニーズに則した連携活動
を展開する。
・ ISO14404 に対抗する GHG 排出量計算方法の欧州提案規格である ISO19694
の検討状況を注視し、必要に応じ、各国とも協力して日本鉄鋼業の意見反
映を図る。
(4)worldsteel-LCA 方法論の ISO 化
・ 鉄鋼業における LCA(原料採掘から廃棄までの製品寿命全体のライフサイ
クル)について、worldsteel で確立した最新の環境負荷算出方法を「素
材のリサイクル特性を正しく評価する LCA 方法論」として国際標準化すべ
く、ISO を策定する専門委員会(TC)に新規提案を行う。
・ worldsteel が進める鉄鋼業の LCI データの更新作業に協力し、その結果
を踏まえ、鉄鋼材料の優位性を外部に発信、周知を図っていく。
(5)地球温暖化対策のための税について
・ 「地球温暖化対策のための税」について、2020 年以降の約束草案の議論
の過程で、使途拡大や新税導入の動きが進展することがないよう、他団体
とも連携し政府に働きかけを行っていく。
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7.環境保全に向けた活動の推進
(1) 微量 PCB の処理促進に関する取り組み
・ 微量 PCB が付着する抜油後の容器について、リスクに応じた合理的な処理
方法やこの方法を実現するための具体的な枠組みが早期に構築されるよう、
経団連を通じ、政府に働きかけを行う。
・ 大幅な処理費用の低減が見込まれる方策の一つとして、製鋼用電気炉を活
用した抜油後の容器の処理に関する実証試験を行い、製鋼用電気炉の活用
を実現するための具体的な仕組みについて検討を行い、関係方面と連携の
もと政府に働きかけを行う。
(2)POPs 条約、水銀条約及び微小粒子状物質(PM2.5)に係る検討への対応
・ POPs 条約 : 追加を審議中の化学物質について、十分な科学的知見に基づ
く議論がなされるよう、関係方面に働きかけを行う。
・ 水銀条約 : 条約を踏まえた関係法案等の検討に際し、鉄鋼業を含め産業
界が所有する条約対象施設(石炭燃焼産業用ボイラー等)に
係わる国内担保措置等が合理的な枠組みとなるよう、適宜、
意見具申等を行う。
条約対象外の焼結炉についても、水銀排出抑制のための自主
的な取り組みの実施に向け、具体的な検討を進める。
・ PM2.5
: 合理的な対策の枠組み作りに資するべく、政府の国内対策に
関する検討に協力を行う。
8.資源の有効利用と循環型社会構築に向けた活動の推進
(1)鉄鋼副産物の最終処分量減量化に向けた活動
・ 第 2 次環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕で掲げた鉄鋼副産物の処理
削減目標達成に向けて、再資源化に向けた取り組みを推進する。
(2)鉄鋼スラグの利用拡大に向けた活動
・ 鉄鋼スラグをより安全に利用頂けるよう、環境安全品質管理の一層の厳格
化を図る。
・ 海域利用など新規の需要開拓を目指した技術開発や公的認知活動に引き
続き取り組む。
・ 東日本大震災被害地域において、鉄鋼スラグ製品を利活用しての復興に貢
献する取り組みを継続実施する。
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(3)廃プラスチック等、廃棄物の製鉄プロセスでの利用拡大に向けた活動
・ ケミカルリサイクルの利用拡大に向けて、材料リサイクル手法の優先的取
り扱いの抜本的な見直しによる市場競争の促進及び国としての集荷システ
ム確立による更なる集荷量向上を引き続き関係先に強く働きかける。
9.鉄鋼原料の安定確保に向けた業界横断的な取り組みの積極的推進
(1)原料安定確保に向けた取り組み
・ 平成 27 年度末に適用期限を迎える「海外投資等損失準備金制度」の適用
期限の延長及び鉄鉱石が同制度の対象として継続されるよう要望する。
・ 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)等の公的金融機関における原
料権益確保のための各種制度について、改善余地の検討を行い、必要に応
じ改善に向けた働きかけを実施する。
・ インドネシアやフィリピン等の資源供給国におけるニッケル鉱石等輸出制
限措置の動向を引き続き注視し、必要に応じ、日本鉱業協会等関係機関と
情報交換を行う等所要の対応を行うとともに、資源ナショナリズムに係る
他の資源国の動向をウオッチする。
(2)効率的・円滑な原料輸送に向けた取り組み
・ 平成 23 年 5 月に選定された鉄鉱石を含む国際バルク戦略港湾(木更津、
水島・福山の2港)の港湾能力の早期増強に向け、推進主体である国際バ
ルク戦略港湾推進会議及び関係業界と連携し、要望活動を継続実施する。
10.鉄鋼業の社会的認知度アップを目的とした活動
(1)小学校教員組織等と連携してのものづくり教育の推進
・ 小学校の授業で鉄鋼業が取り上げられる機会の拡大を図るため、九州地区
の工業高校の多い自治体、東京都・大阪府の児童数の多い市区の全ての小
学校に、社会科副教材「ハツラツ鉄学」及び副教材を補完する媒体として
製作した鉄鋼業紹介用 DVD「Let's!鉄学」を配布できるよう各自治体の教
育委員会に働きかけを行う。
・ 社会科副教材「ハツラツ鉄学」の利用申込みのあった全ての小学校に
「Let's!鉄学」を配布して授業で活用して貰うことで、鉄鋼業に関する理
解度が深められるよう対応する。
・ 東京都小学校理科教育研究会と共同開催している「教員向け研修会」での
研修内容を、授業での実演性の視点から見直しを行い継続開催する。
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・ 理科実験教室「鉄の不思議教室」や「たたら製鉄体験イベント」、科学技
術館の鉄鋼展示ブース「鉄の丸公園1丁目」ワークショップ(実験・工
作)といった体験型イベントを通して、将来を担う小学生にものづくりの
楽しさと素材としての鉄の面白さを伝える活動を推進する。
(2)優秀な人材確保活動
・ 鉄鋼業界紹介サイトの掲載内容の見直しを実施するとともに、採用活動期
間の短縮化に対する学生の対応状況を把握し、平成 29 年度卒業予定の学
生に対する効果的な鉄鋼業の PR 活動について検討・実施する。
11.重要な標準化の推進
(1)標準化
・ 製造者及びユーザーの要求に基づき、鉄鉱石、鋼材、試験検査、取引など
の幅広い規格化活動を迅速に実施する。主要なものは以下の通り。
-JIS 規格1件(原料・分析)の新規制定及び 24 件の改正。
-ISO 規格では、「ぶりき及びぶりき原板」規格 3 件の規格発行を目指す。
(2) 国際標準化会議対応
・ 14 件の ISO 標準化会議に参画し、所要の対応を行う。
(3)ASEAN 鉄鋼評議会(AISC)との交流に向けた取り組み
・ AISC6 ヵ国関係者との標準化に関する会合の継続開催に向けて所要の対応
を行う。
12.日本鉄鋼連盟の運営に係わる諸課題への対応
(1)会員・会費制度の見直し
・ 合理的な仕組みは何かとの観点から、制度見直しの必要性について議論を
深める。
(2)主要各国・地域の鉄鋼関連団体との交流促進
・ worldsteel、AISC(ASEAN 鉄鋼評議会)、AISI(米国鉄鋼協会)等、主要
各国・地域の鉄鋼関連団体との間で事務局間会合を適宜開催し、幅広い分
野での意見交換を通じた交流促進を図る。
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Ⅱ 平成 27 年度の主要業務
1.わが国の中長期的な経済発展のための基盤整備
現下の景気回復の動きを持続させ、日本経済の再興を実現するためには、企業の期待成長率
の押し上げに繋がる成長戦略を着実かつ確実に実施していく必要がある。
事業環境の国際的イコールフッティングを実現し、わが国経済を持続的な成長を確実なもの
とするための基盤整備を行うとの観点から、国民生活・企業活動の基盤であるエネルギーの低
廉かつ安定的供給の早期実現やエネルギー・地球温暖化対策の再構築、国内における投資、雇
用の維持・拡大に資する税制基盤の整備に向けて、必要となる制度改革、規制緩和を求めて行
くとともに、経済連携の推進に向けた政府の取り組みに協力して行く。
(1) 電力問題への対応とエネルギー・地球温暖化政策の再構築に向けた取り組み
・ 原子力発電の再稼働が遅延するなか、電力の供給不安、料金上昇の問題は依然解決され
ておらず、電力多消費産業では厳しい経営を強いられている。
企業の国際競争力の維持・強化を図るうえで、低廉かつ安定的な電力供給は不可欠なこ
とから、電力多消費産業団体と連携して、安全が確認された原子力発電所の再稼働プロ
セスの加速化等を政府に訴えて行く。
・ 企業のコストダウン対応も限界に近づいていることから、エネルギーコスト上昇の影響
軽減化を図るため、電力多消費産業団体と連携して、政府等関係先に、電力多消費産業
に配慮した各種助成制度の一層の充実に向けた働きかけを行う。
・ 「再生可能エネルギー全量買取制度」の抜本的な見直しにより、早急に電気料金の上昇
に歯止めをかけるよう、電力多消費産業団体等関係する産業団体と連携し、政府等に訴
えて行く。
・ わが国の中長期的なエネルギー政策について、エネルギーミックスがエネルギーの安定
供給、経済性、環境適合性のバランスが取れたものとなるよう、関係団体とも連携し、
政府に求めて行く。長期エネルギー需給見通しの議論の過程において、アベノミクスの
推進に不可欠な「低廉で安定的なエネルギー供給」を実現するために、現実的な原子力
発電の比率や再生可能エネルギーの比率を示すよう、政府に求めていく。
・ エネルギー政策と表裏一体の地球温暖化対策については、2020 年目標と 2020 年以降の目
標が、適切なエネルギーミックスに基づき、実現可能性、国民負担の妥当性、国際的公
平性を十分踏まえたものとするよう、政府等に対して意見発信を行う。
・ 「原料用石油製品等に係る免税・還付措置」について、租税特別措置法の無期限の免税
措置ではなく、本則で非課税措置とするよう、関係団体とも連携し引き続き政府等に対
し働きかけを行っていく。
・ 地球温暖化問題解決への多様かつ適切な方向性を示すための情報収集や関連情報の提供
活動を行い、地球温暖化に関する有識者の論考等を活用して、問題解決の正しい方向性
に向けた世論形成を行う。
(2) 企業の競争力強化に資する法人課税改革への取り組み
・ 平成 28 年度税制改正では、課税ベースの拡大等により財源を確保し、法人実効税率引き
下げ幅の更なる上乗せが検討される。企業の競争力強化に資する法人税改革に向け、企
業の実質的な税負担軽減が実現するよう、税率のさらなる引下げ、償却資産に対する固
定資産税の抜本的見直し等について経団連等関係団体と連携し政府等関係先へ働きかけ
を行う。
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(3) 国際競争環境整備に向けた政府の取り組みへの協力
・ 自由貿易体制の更なる強化に向けて、TPP、日中韓 FTA、東アジア地域包括的経済連携
(RCEP)
、日 EU 経済連携協定等、交渉中の広域および二国間経済連携協定における政府
の取り組みに積極的に協力し、関税撤廃や引き下げに加え、国際貿易・投資ルールが整
備されるよう政府に働きかけを行う。
・ 発効済の経済連携協定(EPA)については、締結後の一般見直しや EPA に基づき設置されて
いるビジネス環境整備小委員会を通じ、鉄鋼業界の抱える課題が改善されるよう、政府
に意見・要望等を具申する。
2.国内外の社会基盤づくりに寄与する市場開拓活動の積極展開
国土強靭化への取り組みに加え、昨今、大規模化・激甚化する自然災害への備えも喫緊
の課題となっており、今後加速化する「防災・減災対策の強化」及び「老朽インフラ設
備・公共施設の維持・更新」に寄与し、安心・安全が確保できる社会基盤作りに貢献する
ことを目的として、鋼構造の技術・工法に関する提案・普及活動を積極的に推進するとと
もに、新たな技術課題について研究を進め、将来の基準化・法制化を見据えた調査研究に
取り組む。具体的には、各種調査・研究、普及促進等にかかわる活動を次のとおり実施す
る。
(1) 鋼構造による国土強靭化に資する提案活動の積極展開
・ 平成 26 年度に引き続き「国土強靭化パンフレット」を活用した鋼構造の技術・工法に関
する提案活動を実施する。
・ また、個々の自治体で今後策定される国土強靭化地域計画において、各自治体が強化す
べきと捉えている防災・減災やインフラを整備するための技術的課題を調査・分析し、
鋼構造に可能な支援のあり方を検討した上で、第2段階の提案活動に展開していく。
・ さらに、橋梁、基礎(道路・港湾・河川構造物)、建築の各分野において、「防災・減災対策
の強化」や「老朽インフラ設備・公共施設の更新」に関してそれぞれ進められてきた各
種研究・活動成果をセミナーやシンポジウムで PR するほか、学・官・関連業界と連携し
て鋼構造技術の提案・普及促進活動を継続実施する。
○橋梁分野
関連学協会への講師派遣等を通じて、鋼橋の普及活動を展開する。また、橋梁発注者
やコンサルタント等の理解に供すべく、橋梁用高性能鋼材の技術資料や耐候性鋼のパ
ンフレットを刊行する。
○基礎(道路・港湾・河川構造物)分野
土木鋼構造シンポジウムにおける助成事業の成果公表や、各地区ネットワークにおけ
る鋼構造教育活性化活動支援、および各地方整備局主催の技術発表会への論文投稿・
発表などを通じた普及活動を展開する。
○建築分野
日本鋼構造協会(JSSC)に「公共建築物における鉄骨造の優位性等に関する調査・研
究」を委託し、得られた研究成果を設計資料集として纏め、鉄構業団体と連携した鉄
骨造化活動を全国展開するとともに、「建築構造用鋼材と利用技術セミナー」等で報
告する。
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(2) 安心・安全な社会基盤づくりに資する研究活動の実施
-防災・減災に関する研究
・ 津波・液状化・長周期地震動対策等に対する技術的課題について、2015 年度よりスタ
ートする「第Ⅳ期鋼構造研究・助成事業」を中心に基準化・法制化に向けた取り組みを
強化する。
○建
築: 「長周期地震動を受ける鋼部材の疲労特性解明」、「各種鉄骨溶接部の
必要性能明確化・業界標準化」、「H-SA700・CFT 部材への軟質継手適
用」等、鋼構造の安全性・競争力の向上を目指す研究、および JSSC に
設置した「鋼材高温特性調査特別委員会」による耐火構造認定の適用鋼
種拡大の推進
○土
木: 「大規模津波に対する鋼材を利用した粘り強い海岸保全施設」、「河川
堤防の補強」等の研究を推進
-社会インフラの維持・更新に関する研究
・ 社会インフラの老朽化進展問題に対し、その解決に資する鋼構造技術の高度化に取り組
み、鋼構造化によるインフラ設備・公共施設の長寿命化・更新に資する研究開発を推進
する。
○橋梁分野
経年劣化が進む鋼橋について、安心・安全の確保の観点から、架け替えの促進とと
もに、特に、高性能鋼(SBHS)の設計指針・基準類への反映を目指した研究や耐候
性鋼の劣化状況に関する追跡調査を日本鋼構造協会や日本橋梁建設協会等の関係団
体と連携し実施するなど、鋼橋の補修・予防保全等による延命化や機能向上等に資
する研究活動を推進する。
○道路・港湾・河川構造物基礎分野
新設構造物の長期供用化を実現するべく、大学および土木研究所、港湾空港技研等
との共同研究等により、劣化環境の厳しい港湾構造物の基礎に着目した LCC 評価技
術の開発を継続して実施。また、本格的な更新時代の到来に向け、関係団体との連
携のもと、鋼材を用いた補強・延命、更新技術の検討に着手する。
○建築分野
中長期的な人口動態の変化への対応と防災拠点機能が必要な庁舎、学校、病院等公
共施設における鋼構造化を推進すべく、日本鋼構造協会に有識者・ゼネコン関係者
等を交えた委員会を設置し、鋼構造による優位性検証(可変性、コスト・短工期、
メンテナンス等)と遮音・振動・断熱性能等の実態調査を実施する。
(3) 建設用鋼材の環境優位性に関する理解度向上活動の推進
-建設用鋼材の環境 PR 活動
・ 建設分野におけるリサイクル性を考慮した鋼材の環境優位性の明確化に加え、企業の環
境経営戦略を考慮した新たな環境評価手法の研究に取り組む。また環境に優しい建設用
鋼材の普及促進に向け、セミナーの開催、パンフレットの配付、国際共同研究への参画
等、建設用鋼材の環境PR活動を積極的に展開し、公共事業の入札制度やグリーン購入
法におけるリサイクル性を考慮した LCA 手法の導入を目指す。
(4) アジア新興国における鋼構造普及に向けた活動の展開
-カンボジアにおける鋼構造普及活動の推進
・ 平成 26 年度に引き続き、カンボジアのプノンペンにて公共事業運輸省・カンボジア工
-12-
科大学などと共同で技術セミナーを開催し、日本鋼構造シンパ形成と鋼構造技術の底上
げを図る。
-海外向け鋼構造技術 PR 誌「Steel Construction Today & Tomorrow」の活性化
・ 英語版(本誌)に加え、中国語(簡体字・繁体字)
、ベトナム語、タイ語、インドネシ
ア語、クメール語の翻訳テキストを発行、東南アジア諸国を中心に広く配布し、日本の
鋼構造技術への理解浸透を図る。
・ 平成 25・26 年度に実施した、①読者アンケート、②配布先の見直し等の結果も踏ま
え、本誌の一層の有効化に向け改善に取り組む。
(5) 新しい鋼材・利用技術開発活動と利用技術の整備
・ 新しい鋼材およびその利用技術の研究開発を進め、その利用技術の整備に取り組む。主
な研究内容は次の通りである。
① 鋼部材の座屈に対する設計法の合理化
② 小梁から耐火被覆を省略した床システムの耐火性能評価方法確立
③ SA440 設計・溶接施工指針の改訂(SAW 溶接入熱の拡大)
④ ブレ-ス付きコラム-H 構造の耐震設計法の合理化
⑤ 港湾鋼構造物の腐食・防食に関する研究
⑥ 橋梁用高性能鋼材の適用拡大に関する研究
(6) 共通基盤整備
・ 共通基盤整備の調査研究・開発活動を「産・官・学」の連携により実施し、建築分野に
おける建築基準法・ガイドライン・指針等への反映を行う。また、土木分野では道路橋
示方書・港湾基準等への反映を行う。実施にあたっては、鋼構造研究・教育助成事業を
活用しつつ推進する。
(7) 普及促進・教育啓蒙活動
・ 業界内外向けの講習会・シンポジウム等の開催を通じ、鋼構造の有用性等の PR を実施す
る。また、新鋼材およびその利用技術開発等の普及促進・教育啓蒙活動を、様々な手法
により内外において展開する。
-「鋼構造研究・教育助成事業」の推進
・ 鋼構造に関する研究の活性化と健全な普及促進を目的に、鋼構造及びその周辺技術に関
わる研究者への研究・教育助成を実施する。
・ 建築・土木部門共催で、平成 26 年度給付対象者(公募)による研究発表会を開催す
る。
-建築分野の普及促進活動
・ 大学・高専の建築学科学生等を対象に、フィールドスタディ(製鉄所や建設関連現場の
見学会)やセミナーの開催
・ 研究成果を鋼構造技術者に普及するため「建築構造用鋼材と利用技術セミナー」を開催
・ 意匠性に優れた鋼構造作品を写真等で紹介する「スチールデザイン」誌編集・発行
・ 公共建築物の鋼構造化推進に向けたPR活動の推進
・ ESW 部脆性的破断防止技術指針の普及
-土木・橋梁分野の普及促進活動
・ 土木鋼構造研究シンポジウム(土木分野の研究成果の発表)の開催
・ 国土交通省等が主催する技術発表会への参加による土木用鋼材の PR
・ 土木分野を学ぶ学生を対象とした製鉄所見学会の開催
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・ 全国の若手土木鋼構造研究者との交流活動の実施
・ ジャパンスチールブリッジコンペティションへの積極支援
-造船分野の普及促進活動
・ 国際的な耐食鋼の認知活動の展開
・ 造船用鋼材の技術課題の検討
-スチール缶の普及促進活動
(8) 建材薄板技術・普及委員会関係
・ 金属屋根壁に関する技術課題の検討並びに普及活動のため、下記の活動を展開する。
① 「塗装鋼板 3 規格」におけるサイクル腐食試験等に関するデータの整備
② 不燃材の大臣認定に関する登録業務
③ 金属屋根壁等の利用技術・普及の推進
④ 公共建築工事標準仕様書改訂への対応
⑤ その他
・国土交通省等行政への対応
・建築関連団体等の関係委員会への委員派遣
・広報誌「ファインスチール」の発行
・ファインスチール Web サイト(電子書籍)の活用による PR 活動の実施
・基礎技術分科会大会の開催
・統計関連集計業務の継続
3.安全水準向上並びに防災に向けた取り組み
平成 26 年に重大(死亡)災害が頻発した事態の改善に向けて「重大災害の撲滅」を最重点
課題として、業界を挙げて徹底した対策を推進する。防災関係では、「石油コンビナート等に
おける災害防止に向けた行動計画」に基づき、会員企業の事故防止に向けた取り組みを支援す
る。
(1) 安全管理体制の徹底と安全水準向上に向けた取り組み
・ 昨年、重大災害が多発した状況に鑑み、公益財団法人労働科学研究所に依頼して、昨年
実施した重大災害防止対策も含めた災害発生全般における徹底した分析を行い、新たな
課題・傾向に関する視点を中心に検討、所要の対策を積極的に講じる。
・ 会員各社における安全衛生法令対応を支援する目的で、鉄鋼製造設備と関連法令を整理
した「安全衛生法令マップ」の整備に取り組む。同マップの整備の整備は、WG を設置し
外部関係機関とも連携して3年計画で実施する。平成 27 年度は関係法令等の調査、会員
ニーズ調査、策定方針の詳細検討等を行う。
・ 業界の安全衛生水準の向上に向けて、以下の事項について、協力会社も含めた業界一丸
となった活動を組織的かつ計画的に推進する。
① 効果的な災害対策事例の収集と会員サイトを用いた事例による知見の活用促進
② 安全・衛生管理者研修会、安全衛生初期教育プログラムの実施による人材育成
③ 災害防止に向けた多面的な分析による災害情報の有効活用
④ 非定常作業の安全ガイドラインの周知・徹底
⑤ 衛生関連統計調査の分析
⑥ 衛生スタッフ実務マニュアルの普及
⑦ メンタルヘルス対策の調査・検討
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⑧ 労働安全衛生関係法令の改正に係る対応
⑨ 夏季安全衛生研修会、全国安全衛生大会、地域別分科会の開催による情報交流
⑩ 機械の本質安全化、他産業における先進的な安全対策事例の活用他
(2) 防災自主行動計画の推進
・ 「石油コンビナート等における災害防止に向けた行動計画」に基づき、重大事故に加
え、軽微な事故についても情報収集・分析し、会員会社へ情報提供する等して、再発防
止に向けた取り組みを充実化させる。
4.ASEAN における事業活動強化に向けた取り組み
通商、環境、標準化の 3 分野において、東南アジア鉄鋼協会(SEAISI)との交流促進や日本
鉄鋼業のプレゼンス向上に資する諸活動を展開する。
(1) 東南アジア鉄鋼協会(SEAISI)との交流促進に向けた取り組み
-通商分野
・ SEAISI の通商組織である ASEAN 鉄鋼評議会(AISC)との間で事務局間会合を定期的に
開催し、相互の理解促進を通じて通商摩擦の未然防止や通商関連情報の収集体制の強化
を図る。
-環境分野
・ 政府の協力を得て以下の 3 点を実施する。
① ASEAN 各国で ISO14404 等をテーマとしたワークショップ、セミナー、各国ニーズを
把握するための官民ラウンドテーブル等を開催する。
② シンガポール、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシアの 6 カ国
で製鉄所診断を実施する。
③ 平成 26 年度に策定した環境・省エネ技術の ASEAN 版カスタマイズドリストを、現地
ニーズを踏まえアップデートする。
-標準化分野
・ AISC 参加各国関係者との鋼材規格の標準化に係る交流・協力を促進する。
(2) ASEAN 地域における通商関連等の情報収集力の強化
・ 鉄連アジア事務所の開設に向けた準備を進めるとともに、開設後は、同事務所を拠点と
して、SEAISI 事務局 ASEAN 各国の鉄鋼団体との人的ネットワークの拡大を図り、現地情
報のタイムリーな収集に努め、通商摩擦の未然防止や個別通商案件等への対応力の一層
の強化を図る。
5.通商問題、国際協力関係
現下の対日通商問題について、日本政府との連携の下、事態の改善に向けて適切な対応を行
うとともに、国際鉄鋼市場における通商摩擦動向をタイムリーに把握し、鉄鋼対話等を通じて
主要貿易相手国との相互理解の促進に努め、通商摩擦の未然防止と健全な鉄鋼貿易環境の維持
に努める。
(1) 通商問題の早期解決と未然防止
・ 世界的に鉄鋼製品を巡る保護貿易的な動きが加速するなか、日本政府や現地関係者等と
連携して通商関連動向に関する情報の収集・分析を迅速に行うとともに、日本政府が主
催する二国間鉄鋼対話に積極的に参画し、相手国関係者との理解促進を図り、通商問題
の早期解決と通商摩擦の未然防止に努める。
-15-
(2) 対米事業活動
・ 鉄連の対米広報窓口であるニューヨーク JSIC(Japan Steel Information Center)を通
じ、米国需要業界等の日本鉄鋼業に対する理解向上を図る。
・ 現地で起用している広報エージェントおよび米国顧問弁護士を有効活用し、日本製鉄鋼
製品に対する通商摩擦の未然防止に資するような通商関連情報の収集・分析を行う。
・ 平成 26 年度より開始した米国鉄鋼協会(AISI)との事務局間定期会合を継続して実施し、
相互理解の促進と現地情報の収集力強化を図る。
(3) 過剰生産能力問題への対応
・ OECD 鉄鋼委員会で議論されている世界の過剰生産能力問題に関し、特に過剰な生産能力
を助長させている各国政府の市場歪曲的な補助金等の政策に焦点を当てた議論について、
日本政府ならびに日本側関係者と緊密に連携しながら、参画を図る。
(4) わが国向けの不公正な鉄鋼輸出への対応に向けた活動
・ わが国への不公正な鉄鋼輸出への対応として、モニタリング対象品種の拡大等を行うこ
とにより、鋼材輸入状況に関する一層的確な状況把握を行い、不公正な輸出が認められ
た場合には、関係各方面と連携のうえ、迅速かつ適切な対応を行う。
(5) 情報提供の迅速化・価値向上に向けた基盤整備
・ 各国貿易統計、通商提訴、各国関税、経済指標に関する情報を一括管理するデータベー
スを整備することで、情報の管理・検索を効率的に行えるようにし、会員各社への情報
提供迅速化と価値向上を図る。
(6) 北京事務所
・ 中国の一般経済、鉄鋼指標、中国鉄鋼業界の動向把握および通商関連情報の収集と通商
問題への対応を主体に、下記業務を推進する。
① 中国関連機関との緊密な交流・情報収集
② 需給動向・構造調整・貿易・通商問題等に関する情報収集
③ 通商、環境、統計分野における二国間交流への支援
④ 現地報告会の定期的な開催
⑤ 日本政府出先機関等への最新情報の提供
6.環境・エネルギー・技術関係
平成 27 年度は、上記1.(1)に掲げた「電力問題への対応とエネルギー・地球温暖化政策の
再構築に向けた取り組み」について、政府等に積極的な働きかけを行う。
加えて、地球温暖化及びエネルギー問題について、①実効性のある国際枠組み構築に向けた
取り組み、②国内の温暖化対策の諸施策への対応と世論形成に向けた取り組み、③低炭素社会
実行計画の推進、④国際連携の推進、⑤革新的技術開発の推進の5つを柱とし、事業を推進す
る。
環境保全関係では PCB 問題や POPs条約、水銀条約及び微小粒子状物質(PM2.5)等につい
て、関係省庁等の動向把握に努め、他業界とも連携しつつ合理的な規制内容、運用となるよう
関係先に意見具申を行うなど的確な対応を図る。
循環型社会構築に向けた活動としては、鉄鋼スラグの海域利用など新規需要開拓の取り組み
や震災復興事業への支援等を継続する。また、容器包装リサイクル制度について現行入札制度
の抜本的見直しや集荷量アップに向けた提言を行う。
-16-
(1) 地球温暖化対策・エネルギー関係
-「低炭素社会実行計画」への取り組み
○エコプロセスにおける着実な省エネルギーの推進
・ 2020 年のそれぞれの生産量において想定される CO2 排出量(BAU 排出量)から、最先
端技術の最大限の導入による 500 万トン-CO2 削減の目標達成に向けて、その進捗状況
を的確にフォローアップするとともに、政府審議会、経団連第三者評価委員会等への
報告対応を行う。
経団連全体としての低炭素社会実行計画の推進についても主体的にかかわり、世論へ
の理解活動、関係先への働きかけを行う。
・ 鉄鋼業の省エネの実態をより正確に評価する観点から、需要構造の変化に伴う生産品
種の高度化等を的確に表す指標について検討を行う。
・ 鉄連が推進している「低炭素社会実行計画」は、ISO50001(エネルギーマネジメントシステム)ISO
合致したものとして、同計画の透明性・信頼性・有効性を国内外に広く発信して行く。
○エコソリューションの積極的な推進
・ 日 本 が 主 体 と な り 規 格 開 発 を 行 っ た 「 鉄 鋼 CO2 排 出 量 ・ 原 単 位 計 算 方 法
(ISO14404)」、各国・地域にふさわしい省エネ・環境技術を掲載した「技術カスタ
マイズドリスト」、世界一のエネルギー効率を誇る日本の「エネルギーマネジメント
手法」を「エコソリューション推進の 3 本柱」と位置づけ、地球規模で実効性のある
温暖化対策を行っていく。
・ 「日印鉄鋼官民協力会合」、「日 ASEAN 鉄鋼イニシアチブ」、「日中鉄鋼業環境保
全・省エネ先進技術交流会」等の各国・地域との交流に加え、GSEP(Global Superior
Energy Performance Partnership:エネルギー効率に関するグローバルパートナーシ
ップ)や worldsteel 等の活動を通じて、日本の優れた環境・省エネ技術の普及・移転
を積極的に推進していく。
・ 政府が進める二国間クレジット制度の動向を注視し、関連委員会と情報共有を行い、
日本鉄鋼業の国際貢献が真に実効性のある地球温暖化対策として適切に評価されるよ
う、適宜政府等への意見具申等の対応を図る。
○エコプロダクトの評価制度の設計推進と構築
・ 高機能鋼材の製品使用段階での CO2 削減への貢献が、より定性的、定量的に評価され
るよう、経団連や関係団体とも連携して政府等による適切な評価制度の構築を支援す
ると同時に、鉄鋼業独自の取り組みとして対象品種の拡大(現行は 5 品種)等を図っ
ていく。
○「環境調和型製鉄プロセス技術開発(COURSE 50)」の推進
・高炉からの CO2 排出削減技術開発においては、以下の4項目を目標に事業を推進する。
① 水素還元の効果を最大限とするための技術をラボレベルで検討し実現性、有効性
に対する目処を得て、具体的な実証試験の計画を立案する。
② 10m3 規模試験高炉の建設の完了。
③ 触媒を用いて COG に含まれるタールや炭化水素を水素に改質する技術におい
て高炉への吹き込みガス用としての改質反応の最適化、改質触媒の活性劣化対策
技術の確立。
④ メタン改質等の総合的に改質向上に資する要素技術の途を得る。
・ 高炉ガスからの CO2 分離回収技術においては、CO2 分離回収コスト 2,000 円/t-CO2
-17-
を実現可能な技術の充実を指向し、再生温度、分離回収エネルギーの低減などの技術
開発の目途を得る。
・ 全体プロセスの評価・検討においては、各サブテーマ及び新規技術創出研究の検討進
捗をタイムリーに把握しつつ、製鉄プロセス全体の最適化を検討し、製鉄所からの
CO2 排出量 30%削減を可能にするための総合的な評価、検討を行う。
-真に実効性のある国際枠組み構築への積極的な協力
・ 2015 年の COP21 で大枠が合意される予定の 2020 年以降の世界の気候変動に関する国際
枠組については、全ての主要排出国が参加する真に公平かつ実効性のある国際枠組みの
構築が図られるよう関係団体等とも連携して、政府等に対して積極的に働きかけを行う。
・ 2015 年の COP21 に十分先立って提出を招請されている約束草案の策定に当たっては、
エネルギー政策と表裏一体となった真に実効性のある目標が策定されるよう、また、実
現可能性、国民負担の妥当性、国際的公平性を勘案したうえで、国民による十分な議論
と納得を得るプロセスを経て決定がなされるよう、あらゆる場を通じて政府に積極的に
働きかけていく。
・ 目標策定後に生じると想定されるわが国の地球温暖化対策計画の策定検討に際しては、
低炭素社会実行計画がわが国産業部門の地球温暖化対策の柱と位置付けられるよう、経
団連等とも連携し、政府に働きかけを行う。
・ GCF (Green Climate Fund) 、CTCN (Climate Technology Center and Network) の活用
について検討し、適宜、他の産業団体とも連携しつつ対応を図る。
-国際連携等の積極的な展開
・ 日印鉄鋼官民協力会合を通じて、ISO14404 を活用した日印双方の製鉄所のエネルギー
使用量評価分析等の環境・省エネ分野での協力を推進する。
・ 現地ニーズを踏まえ、インド版カスタマイズドリストをアップデートして行く。
・ 日中両国の鉄鋼業の交流を継続すべく、日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術交流会の
再開を CISA に要請する。
・ 各国のニーズ把握等を目指し、GSEP 鉄鋼 WG 関連会合を開催する。
・ ISO14404、ISO19694 の動向に関する情報収集を行い、ISO や関連省庁等に対し日本鉄鋼
業の意見を発信する等、関連委員会で必要な対応を図る。
-地球温暖化対策のための税について
・ 「地球温暖化対策のための税」について、2020 年以降の約束草案の議論の過程で、使
途拡大や新税導入の動きが進展することがないよう、他団体とも連携し、政府に積極的
に働きかけを行っていく。
-総合エネルギー統計、石油等消費動態統計等、エネルギー関連統計の見直し対応
・ 総合エネルギー統計、石油等消費動態統計等、エネルギー関連統計に関する各種協力要
請に対して適宜対応するほか、見直しに際しては必要な意見具申を行う。
(2) 環境・技術関係
-PCB 問題への対応
・ 微量 PCB の処理促進ならびに大幅な処理費用の低減が図られるよう、微量 PCB のリスク
に応じた合理的処理の具体化について、経団連を通じ、関係当局に働きかけを行うとと
もに、微量 PCB を含む油を抜いた後の容器処理への製鋼用電気炉の活用が実現するよう、
関連する試験等を行い、関係方面と連携のもと、適宜、関係当局に働きかけを行う。
-18-
-POPs 条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)への対応
・ 環境省「非意図的生成の POPs 排出抑制対策調査検討会」の動向を注視しつつ、焼結炉
および製鋼用電気炉など鉄鋼関連設備に関し的確な対応を図る。
・ 同条約への追加を審議中の化学物質について、発生源等について検討が行われる見通し
であることから、十分な科学的知見に基づく議論がなされるよう関係方面に働きかけを
行う。
-水銀条約(水銀に関する水俣条約)への対応
・ 条約を踏まえた関係法案等の検討に際し、産業界が所有する条約対象施設(石炭燃焼産
業用ボイラー等)に係わる国内担保措置等が合理的な枠組みとなるよう、適宜、意見具
申等を行う。
・ 条約対象外の焼結炉についても、水銀排出抑制のための自主的な取り組みの実施に向
け、具体的な検討を進める。
-微小粒子状物質(PM2.5)国内対策の検討への対応
・ わが国における PM2.5 国内対策が合理的な枠組みとなるよう、環境省の微小粒子状物質
等専門委員会における検討への協力を行う。
-VOC(揮発性有機化合物)への対応
・ 環境省の微小粒子状物質等専門委員会の動向を注視するとともに、効果的な対策等につ
いて検討が行われるよう適宜必要な意見具申を行う。
・ 会員各社の VOC 排出状況の把握等を継続するとともに、平成 25 年度に経産省へ提出し
た「今後の VOC 排出抑制のための自主的取組における取組の目指すべき方向性及び方
策」に基づく対応を行う。
-ダイオキシン類対策特別措置法への対応
・ 電気炉と焼結機の排出量が引き続き目標値を下回るよう的確な対応を行う。
-有害大気汚染物質への対応
・ 有害大気汚染物質については、自主管理計画終了後も事業所単位での自主的な取り組み
が行われていることから、自主管理計画で対象となっていたベンゼン等の 4 物質につい
て PRTR により排出量のフォローアップを継続する。
・ 「リスク低減指針値」が設定されている物質(特にニッケル化合物)および今後、環境
目標値の策定が行われる予定の物質(特にマンガン、クロム及び3価クロム化合物)に
ついて PRTR を活用し実態把握に努める。
-特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR 法)へ
の対応
・ PRTR 法に基づく国への届出が適切に行われるよう、鉄鋼業 PRTR マニュアルの改訂につ
いて検討を行うとともに、会員各社の届出データの精度向上や鉄鋼業界全体の排出量等
の把握を目的に、個別事業所データの分析ならびに実態把握に努める。
-REACH 等への対応
・ わが国鉄鋼業に影響のある諸外国の環境関連規制の動向、運用状況等について必要な情
報収集を行う。特に、REACH については、今後、鋼材に含有される化学物質の一部が規
制対象に追加される可能性があることから、欧州の規制当局の動向を注視しつつ、必要
に応じ対応策を検討する。
-化学物質審査規制法への対応
・ 鉄鋼業に関係する化学物質に関し、国による化学物質審査規制法に基づく優先的にリス
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ク評価を行う化学物質への指定の動向を注視するとともに、必要に応じ同法に関するガ
イダンスの改訂等の対応を行う。
・ 平成 27 年度は、同法の見直しについて検討が行われる予定であることから、これに向
けた関係省庁の動向を注視し、必要に応じ対応策について検討を行う。
-環境・防災問題への対応
・ 環境交流会および防災交流会における活動の一層の強化を図るとともに、環境・防災関
連問題の再発防止に向けて、専用会員サイトが一層活用されるよう、認知度の向上に努
める。
-最終処分量削減に向けた第 2 次自主行動計画の推進
・ 第 2 次環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕で掲げた鉄鋼副産物(スラグ、ダスト、
スラッジ)の削減目標の達成に向けて、所内外リサイクルの一層の推進や新規用途の開
発等、再資源化に向けた取り組みを推進する。
-循環型社会の構築に向けた鉄鋼スラグ利用拡大の取り組み
・ 平成 26 年度に大幅改正を実施した鉄鋼スラグ製品管理のガイドライン及び産廃処理委
託する鉄鋼スラグの管理指針について、その実効性担保のため、鐵鋼スラグ協会と連携
して第三者機関による会員各社の遵守状況審査とその状況報告の強化を図ると共に、ガ
イドラインの定期的な点検等を実施することで、鉄鋼スラグの安全確保に向けた取り組
みを継続していく。
・ 鉄鋼スラグの海域での利用拡大に向けて、研究開発を進めてきたカルシア改質土(成分
管理と粒度調整をした転炉系製鋼スラグと浚渫土を混合したもの)の認知・普及を目指
し、堺浜(大阪府堺市)での実海域実証事業についてのモニタリング・溶出試験を実施
する。
・ 東北震災被災地域において、廃棄物の減容化や、防波堤工事向けの鉄鋼スラグ製品の供
給、鉄鋼スラグ肥料の使用による津波被災農地の再生への取り組み支援等、復興への貢
献のための取り組みを引き続き推進する。
-資源循環・リサイクル技術の検討
・ 鉄鋼各社では、社会で発生する廃プラスチックや廃タイヤ等を受け入れて有効活用する
ことで資源循環や地球温暖化対策に積極的に貢献しており、鉄鋼業のケミカルリサイク
ルへの、LCA 的視点に鑑みた正当な評価の確立や、現行入札制度の抜本的な見直しによ
る市場競争の促進、集荷量アップの為の体制構築といった制度面の課題解決に向け、引
き続き関係当局への働きかけを行う。
-特殊鋼環境委員会の活動
・ 特殊鋼環境委員会の下に設置した「特殊鋼電炉資源循環連絡会」において、副産物最終
処分量推移を定期的に把握するとともに、再利用に関する情報交換を行う等、最終処分
量の削減に引き続き取り組む。
-鉄鋼業の LCA 関連業務の推進
・ LCA(バリューチェーン全体での環境負荷評価法)について、社会的関心の拡大や、需
要家からの対応要求、素材間競争、誤った認識に基づく制度設計や調達行動が顕在化し
ている状況を踏まえ、鉄鋼業界としての LCA 関連業務を積極的に推進する。
・ 具体的には、原料採掘から廃棄までの製品寿命全体のライフサイクルについて、
worldsteel が確立した最新の環境負荷算出方法(高炉法・電炉法を区別せず、スクラ
ップに対しても環境負荷を賦課する)を「素材のリサイクル特性を正しく評価する LCA
-20-
方法論」として国際標準化するため、ISO(国際規格)を策定する専門委員会(TC)に
対して新規提案を行う。
・ 鉄連内に専門委員会を設置し、新規提案後に TC 下部に設置される WG(作業ワーキング
グループ)にコンベーナー等を派遣することに加え、議事内容の共有や諸課題への対応
等を検討する。
・ worldsteel が進める世界規模での鉄鋼業の LCI データの更新作業に協力し、その結果
を踏まえ、鉄鋼材料の優位性を外部に発信、周知を図っていく。
-知的財産に関する対応
・ 鉄鋼業のグローバル化が進む中、不正競争防止法の改正等、知的財産を巡る課題解決に
向けた的確な対応が急務とされていることから、「知的財産対応 TF」において、必要
とされる関係機関等への施策要望等についての対応や業界として発信すべき課題等への
対応を積極的に進めていく。
7.労働・安全衛生関係
労働関係では、会員各社の円滑な対応に資するべく、労働・社会保障政策を巡る諸動向につ
いて情報収集・提供に努め、必要に応じて関係機関への意見具申を行う。
安全関係では、「安全衛生推進本部」を拠点に、上記3.(1)に掲げた「安全管理体制の徹
底と安全水準向上に向けた取組み」について、労働災害の撲滅に向け、徹底した事故分析を実
施し、新たな視点での労働災害防止対策の展開を図る等、業界を挙げて労働災害の撲滅に取り
組む。
(1) 労働関係法制への対応
・ 現在、厚生労働省を中心に、多様な働き方の実現、女性・若者・高齢者の活躍推進、少
子・高齢化対策、ワークライフバランスの確保等、以下の通り多岐にわたる検討が進め
られていることから、これらの動向把握に努め、会員各社への情報提供を行うとともに、
必要に応じて日本経団連などと連携し、関係機関等への意見具申などの対応を図る。
① 働き方改革
-時間ではなく成果で評価される制度への改革
-裁量労働制の新たな枠組みの構築
-フレックスタイム制の見直し
-働き過ぎ防止のための取り組み(長時間労働抑制、年休取得促進等)
② 女性の活躍推進(事業主行動計画)
③ 若年者の雇用・育成に係る総合対策
④ 障害者雇用の促進(差別禁止・合理的配慮に関する指針、精神障害者の雇用)
⑤ 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換に係わる特例措置
⑥ 次世代育成支援対策推進法関連法制
・ 鉄鋼労働政策連絡会を開催し、有識者・行政等の講演会の実施や各社の関連の取り組
み・施策に関する情報共有化を行い、各社の施策立案に寄与する。
(2) 各種調査・研究、情報・意見交換
・ 会員各社の労政施策検討に資するため、以下の調査・研究を実施し、鉄鋼労働政策連絡
会等の場を通じて、適宜、情報・意見交換を行う。
① 各種労働統計(賃金、雇用、福利厚生)の整備
② 処遇面等(賃金・一時金制度、年金制度、退職金制度等)
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③ 労働時間管理と健康障害防止対策の徹底
④ 雇用施策(高齢者雇用、障害者雇用等)
⑤
職業能力開発、技能伝承等
⑥
ワークライフバランス施策(労働時間の見直し、育児・介護休業制度、子育て支
援施策等)
(3) 能力開発への取り組み
・ 厚生労働省「卓越した技能者(現代の名工)」表彰者の推薦、黄綬褒章受賞者(業務に
精励し衆民の模範である方)の推薦のほか、産業技術短期大学、各社職業訓練校の優秀
卒業生の表彰を行い、鉄鋼各社における製造現場での技能伝承等、人材力の向上・強化
に係る活動の一助とする。
8.鉄鋼原料の安定確保に向けた業界横断的な取り組みの積極的推進
原料供給の寡占化が続いており、原料の安定確保に向けて、行政への対応等、業界横断的な
取り組みを適宜実施するとともに、資源国の輸出制限等の動向につき情報収集を図り、必要に
応じ関係各方面に所要の働きかけを行う。
(1) 原料権益確保のための各種制度の改善働きかけ等
・ 原料安定確保に資する「海外投資等損失準備金制度」が平成 27 年度末に適用期限を迎え
るため、同制度の適用期限の延長及び鉄鉱石が継続の対象となるよう要望活動を行う。
・ 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)に代表される公的支援金融機関における原
料権益確保のための各種制度について、融資規模の拡大や手続き業務の簡素化等の制度
改善について検討を行い、必要に応じ改善に向けた働きかけを実施する。
・ インドネシアやフィリピン等の資源供給国におけるニッケル鉱石等輸出制限措置の動向
を引き続き注視し、必要に応じ、日本鉱業協会等関係機関と情報交換を行う等の対応を
行う。また、資源ナショナリズムに係る他の資源国の動向に関する情報収集を行い、必
要に応じて対応の検討を行う。
9.国内外の鉄鋼需給動向調査関係
国内の鉄鋼需給は、消費税増税後の反動減の影響、東アジアでの鉄鋼需給の緩和、輸入鋼材
の増加といった問題を内包しつつも総じて堅調さを持続しているが、中国等新興国経済の成長
鈍化懸念や中国における過剰生産能力解消の遅れ等、国内外の鉄鋼市場を取り巻く環境には不
透明要因も多いことから、中国国内の需給ギャップを背景とした輸出動向や ASEAN 地域におけ
る生産能力拡張計画の進展状況等、国内外の経済・鉄鋼需給動向に関する情報を迅速かつ的確
に収集・調査・分析し、会員への有益かつタイムリーな情報提供に努める。
(1) 国内の鉄鋼需給動向調査
・ 国内外の経済情勢並びに需要産業界の動向を的確に把握するとともに、国内の鉄鋼業の
動向について、以下の諸事業を中心に、生産、出荷、在庫、輸出入、実消費等の面から
調査・分析を行い、会員への迅速かつ的確な関連情報の提供を行う。
① 鉄鋼需要構造の変化に関する調査
② 一般経済・鉄鋼需要産業・鉄鋼需給に関する至近の動向調査と報告書(月例・四半
期)の作成
③ 2015 年度鉄鋼需要見通し調査
④ 世界鉄鋼協会提出用の 2015、2016 年の鉄鋼需要見通し調査
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⑤ 四半期別鉄鋼需要調査
⑥ 平成 26 年度普通鋼鋼材消費パターンの作成
⑦ 「鉄鋼需給説明会」
(東京、大阪、名古屋)の開催と業界内外への情報発信
⑧ 一般経済および鉄鋼需要分析のための各種統計、資料の収集・整備
(2) 海外の鉄鋼需給動向調査
・ 主要国の経済や鉄鋼需給情勢、鉄鋼貿易動向、設備増強計画、鉄鋼政策等に関する情報
を迅速に収集・分析し、以下の諸事業を中心に会員へのタイムリーな情報提供を図る。
とりわけアジアについては、中国鉄鋼業に関する情報収集・分析を引き続き強化すると
ともに、中国・韓国・台湾ミルの海外展開やアセアン諸国における設備増強等、新たな
需給環境の変化を注視しつつ、アジア市場全体の分析を深化させる。
① 主要国の経済・鉄鋼需給動向に関する月例報告等の作成
② 海外現地調査の実施と報告書の作成
③ 各国主要ミルの海外展開、能力増強、業界再編動向に関する調査
④ 中国鉄鋼業に関する分析報告書の作成
⑤ 世界各国の鉄鋼輸入関税率等に関する調査
10.法規・財務関係
企業の競争力強化に資する税制インフラの整備という観点から、国際的に遜色のない水準で
の税制措置の対応を求めて行くとともに、企業会計制度の見直し等の動向について情報収集を
行い、必要に応じて意見具申等を行う。
(1) 企業の競争力強化に資する税制措置への対応
・ 平成 28 年度税制改正では、課税ベースの拡大等により財源を確保し、法人実効税率引き
下げ幅の更なる上乗せが検討される見通しであることから、企業の競争力強化に資する
法人税改革に向け、企業の実質的な税負担軽減の実現を目指した税率のさらなる引下げ、
償却資産に対する固定資産税の抜本的見直し等について、経団連等関係団体と連携し、
政府等関係先への意見発信、要望活動を行う。
(2) 企業会計制度見直しへの対応
・ 日本版 IFRS「修正国際基準(JMIS)
」の公開草案の公表等、国際会計基準(IFRS)の適用
を促す動きが進む中、企業活動や税法、会社法、金融商品取引法などの制度にもたらす
影響等議論の動向を注視しつつ、必要に応じ経団連等とも連携し、関係先への提言、意
見具申を行う。
(3) 経営基盤の整備を巡る法制面の環境整備
・ コーポレート・ガバナンスの強化等、企業法制の制度整備が進められており、企業活動
に影響を与えるような事象があれば、経団連等とも連携して、関係先への意見表明など、
環境整備に向けた働きかけを行う。
(4) その他
・ 以下の情報について取りまとめを行う。
① 平成 26 年度の会員会社収益状況の取りまとめ
② 平成 26 年度の会員会社の租税負担状況ならびに租税特別措置等の利用状況取りま
とめ
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11. 物流関係
国際海上輸送においては、国際競争力の保持・強化のため、大型船舶に対応した港湾機能の
充実化が進展する中、原料受入から製品輸出までの物流業務全般の更なる効率化・合理化、モ
ーダルシフト推進の必要性について、関係する機関・省庁に対し意見発信を行う。
(1) 外航輸送
・ 平成 23 年 5 月に、国土交通省の国際バルク戦略港湾検討委員会より、バルク貨物を扱う
国際拠点港に選定された「木更津港」と「水島港・福山港」の 2 港について、港湾管理
者で構成する国際バルク戦略港湾推進会議を中心に関係業界とも連携して着実な整備の
推進を求める要望書の提出を継続実施するなど、原料受入港湾の能力拡大に資する活動
を行う。
(2) 陸上輸送
・ 鋼材の陸上輸送における規制緩和実現に向けて、現行の通行許可条件に代わる代替措
置、安全担保措置等に関する全日本トラック協会との共同検討を継続実施し意見発信す
るとともに、輸送時の積載制限の原因となっている強度不足の道路・橋梁の補強を早期
に実施するよう行政等関係機関に適宜働きかける。
(3) 内航輸送
・ 鋼材一次輸送の太宗を占める重要な輸送手段である内航輸送について、なお一層の活性
化、効率化を図り、より使い勝手の良い物流モードとなるよう、あらゆる機会を通じて
行政等関係機関に意見発信を行う。また、鋼材輸送中継基地の水深確保等能力増強に関
する状況把握や全国内航輸送海運組合との意見交換会を必要に応じ適宜実施する。
(4) 鉄鋼包括保険
・ 独立行政法人日本貿易保険との間に「貿易一般保険包括保険(鋼材)の特約」を締結し、
鉄鋼包括保険制度の円滑な運用に努める。
・ 平成 26 年 6 月より、アジア型マイマイガ(Asian Gypsy Moth,略称 AGM)被害について鉄
鋼包括保険制度の適用が認められたが、仕向先国の規制動向に関する情報収集を図りつ
つ、障害が発生した場合には会員と情報共有し、必要に応じ所要の対応を図る。
12. 特殊鋼関係
特殊鋼の需給状況の把握を適切に行い、諸課題への取り組みを進めるとともに、特殊鋼会を
開催し情報提供を行う。
(1) 特殊鋼需給関係
・ 特殊鋼業の諸問題や研究課題について、現状の把握や対応策の検討等の取り組みを行う。
特に、需要の構造的な変化などについて関連情報の収集に努める。
(2) 特殊鋼会関係
・ 特殊鋼会を定期(四半期毎)または必要により随時開催し、内外経済および特殊鋼業の
動向に関する情報提供を行う。
13.IE・JK関係(プロジェクト事業)
原料輸送から製造・製品物流に至る各段階の業務を更に効率化し、鉄鋼業の国際競争力を一
層強化するため、その中核となる人材の育成に資する次の活動を、会員各社および関連会社関
係者による自主運営により推進する。
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(1) IE(Industrial Engineering)活動
・ 業務改善・効率化等に関する各社共通あるいは個別課題の解決に向けた一助とすべく、
会員各社の IE 部門およびシステム部門の関係者を対象に、改善事例の発表や情報交換、
他業界の IE 活動の状況調査等を実施するため、IE・システム事例研究会を年2回開催す
る。
(2) JK(自主管理)活動
・ 鉄鋼業全般および傘下各社での JK 活動の維持・向上を目的に、「JK 発表大会」、「JK
研修セミナー」を開催し、各社における職場の合理化・効率化の取り組み成果・知見を
共有する。
14.統計関係
(1) 東アジア地区を中心とした統計情報収集の推進
・ 東アジア地域の鉄鋼需給を迅速かつ的確に把握するとの観点から、中国鋼鉄工業協会に
日中鉄鋼統計交流の再開を働きかけ、統計の活用方法等について情報交換を行う。
・ その他のアジア各国の統計情報についても有効活用を図るべく、情報収集・整理を進め
る。
(2) 鉄連コンプライアンス規程への対応
・ 鉄連が提供する各種統計情報の提供時期、内容等を定めた「統計情報管理細則」の策定
を受け、当該細則に則した形での開示に切り替えを行う。
(3) 承認統計に係る集計受託事業の継続実施
・ 経済産業省鉄鋼課から受託している「鉄鋼需給月報」、「鉄鋼生産内訳月報」の調査票の
回収、集計、結果の取りまとめ等の業務を継続実施する。
(4) 国際鉄鋼諸機関への統計協力
・ 世界鉄鋼協会、東南アジア鉄鋼協会等からの統計資料提供要請に対し、随時、協力して
いく。
(5) その他
・ 以下に掲げる事項について適切に対処する。
① 所管官庁の統計品目見直し等に関する検討
② 業界自主統計見直しに関する検討
③ 日本経団連等諸機関からの統計関連の諮問に対する検討・答申
④ 内外鉄鋼関連団体との連携ならびに情報交換
⑤ 生産・需給・受注・貿易統計等の統計集の作成、刊行
⑥ 海外主要国の鉄鋼貿易統計の収集・統計データの作成・提供
⑦ 統計の整備・見直し・電子化の推進
15.電子商取引関係
鉄鋼流通情報化委員会/鉄鋼 EDI センターでは、鋼材流通に関する業務の効率化・簡素化を
目的に、鉄鋼 EDI 標準の開発、維持管理ならびに標準化に関する各種調査・研究を実施してい
る。平成 27 年度は以下の事業を推進する。
(1) 鉄鋼 EDI 標準の見直し検討
・ 現行の鉄鋼 EDI 標準について、需要家からの様々な情報提供に関するニーズに対応すべ
く、昨今の通信インフラ環境および IT 技術動向を踏まえた見直しを検討する。
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(2) 業界外の EDI 標準化の動向把握
・ 他業界や国際的な EDI 標準化の動向把握に努める。
(3) 「鉄鋼 EDI 標準」の維持・管理
・ 企業間で電子商取引を実施する際の鉄鋼業界の標準である「鉄鋼 EDI 標準」に関し、業
界で標準化した各種コードの維持ならびに発番・管理業務を実施する。
(4) 標準企業コードの登録・管理
・ 「鉄鋼 EDI 標準」に基づく電子商取引の実施に際しては、「標準企業コード」の取得が必
要となっており、その発番・管理業務を通じて、引き続き鉄鋼業界の業界コードセンタ
ーとしての役割を果たす。
16.情報管理関係
会員サービスの基盤となる事務局内ネットワークの更新・維持管理、セキュリティの向上に
努め、会員向け情報提供業務の充実化や情報授受の迅速化と鉄連事務局業務の効率化を推進す
る。
(1) 会員サイトの適切な管理の継続
・ 会員向け情報提供ツールである会員サイトについて、会員による適切な利用の継続を要
請するとともに、適宜、アクセス状況の把握・分析を行い、会員の共有財産である同サ
イトの情報漏えい防止に努め、会員への情報提供の一層の適時性、利便性の向上を図る
べく、当該サイトの運営管理を徹底する。
(2) 事務局内ネットワーク基盤の更新・維持管理
・ 事務局内ネットワークについて適切に維持管理し、適宜、所要の更新を進めることによ
り、耐障害性を高め、会員サービスレベルの維持・向上を図るとともに、事務局業務の
効率化を推進する。
・ ネットワークセキュリティについて、サイバー攻撃の動向等引き続き最新情報の収集に
努めるとともに適切な監視を継続し、安全性の確保に努める。
(3) IT 技術に係る動向調査
・ 急速に進展・変化する IT 技術の動向を注視し、会員向け情報提供業務の充実化、効率化
に資する新技術等の把握と適用可能性について検討を行う。
17.広報関係
社会的認知度向上活動として推進している「ものづくり教育」、「採用活動支援」の活動の
内容を充実化させるほか、鉄鋼業界の動向や諸課題への取り組み状況・成果等を、記者会見、
プレスリリース、ウェブサイト、メールマガジン、パンフレットなど各種媒体を用いて PR し、
わかり易く、タイムリーに情報発信を行う。
(1) 鉄鋼業の社会的認知度アップを目的とした活動
-ものづくり教育活動
・ 将来の鉄鋼業を担う人材となる小学生ならびに小学校教諭を対象に以下の活動を展開し、
鉄鋼ならびに鉄鋼業に対する理解促進を図る。
○ 社会科副教材「ハツラツ鉄学」の配布先の拡大に向けて、九州地区の工業高校の
多い自治体、東京都・大阪府の児童数の多い市区等を重点対象とし、各自治体の
教育委員会の協力を得て、全小学校への「ハツラツ鉄学」の配布定着化を図る。
○ 社会科副教材「ハツラツ鉄学」の利用申込みのあった全ての小学校に、鉄鋼業を
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コンパクトに紹介した DVD「Let’s!鉄学」を配布して授業で活用して貰うこと
で、鉄鋼業に関する理解度が深められるよう対応する。
また、全国・各地区の小学校社会科教員組織が開催する研修会等の機会を捉えて、
「ハツラツ鉄学」及び「Let’s!鉄学」の活用の働きかけを実施し、当該教材の
利用拡大を図る。
○ 東京都小学校理科教育研究会と共同で、鉄に関連した実験・工作を内容とする
「教員向け研修会」を、授業での実演に視点を置いて内容見直しを行い継続実施
する。
○ 小学校教諭を対象とした製鉄所見学会を継続開催し、教育現場とのつながりの維
持・強化に努める。
○ 理科実験教室「鉄の不思議教室」、科学技術館鉄鋼展示室「鉄の丸公園1丁目」
ワークショップ(実験・工作)、「たたら製鉄体験イベント」等を効果的に実施
し、多くの子供たちに直接ものづくりの楽しさと素材としての鉄の面白さを伝え
る。
-採用活動支援活動
・ 鉄鋼業界紹介サイトの掲載コンテンツの内容見直しを実施するとともに、新卒採用に係
る採用活動開始時期変更初年度の学生の対応状況を把握し、利用媒体の特徴を活かした
より費用対効果の高いものとし、鉄鋼業の産業としての魅力をアピールすることにより、
鉄鋼業への就職を志向する学生の増加を図る。
-情報発信
・ 定例会長記者会見、各種プレスリリース等を通じて、マスコミ、オピニオンリーダー、
有識者等に向けて、鉄鋼業界が抱える諸課題に関する業界の意見、要望について積極的
に情報発信を行い、業界の立場や考え方についての理解促進を図る。
・ メールマガジンの配信を通して、鉄連ホームページへのアクセスを促し、鉄鋼業界への
理解促進を図る。
・ 日本鉄鋼業の現況に関する正しい知識と理解の促進を目的とした PR パンフレット「日
本の鉄鋼業・2015 年版」を刊行する。
(2) キャンペーン、シンポジウム等の実施
・ 下記分野において、各種キャンペーン、シンポジウムを実施する。
○ 環境省主催のエコライフ・フェア(6 月)への出展を通じ、鉄鋼業界の環境・省エ
ネ対策への取り組みをPRし、鉄鋼業界のイメージアップを図る。
○ 鉄鋼需要の拡大を図るべく、鉄鋼の市場開発事業等の PR を積極的に展開する。
(3) クリーン・コール・デーの運営協力
・ 一般財団法人石炭エネルギーセンター(JCOAL)が主催するクリーン・コール・デーの記
念行事に協力し、石炭の重要性およびクリーンな利用についての理解、啓蒙活動を通じ
て、鉄鋼業のイメージアップを図る。
(4) ライブラリー関係
・ 業界の鉄鋼情報センターとして、鉄鋼に関連する内外の諸資料の収集、整備に努め、会
員および一般の方々への資料情報の提供を推進する。また、鉄鋼ならびに鉄鋼需要業界
等に関するビデオ・DVD を無料で貸出する「映像ライブラリー」事業を、内容の充実を図
りながら継続する。
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18.標準化センター
製造者およびユーザーの要求に基づいて、鉄鉱石、鋼材、試験検査、取引などの規格活動を
迅速に実施するとともに、国際標準化活動にも積極的に取り組む。
(1) 規格の開発および改善
-JIS の制改正
・ 平成 27 年度は、総計 69 件の JIS の見直しを実施する。43 件については確認(継続)
とし、1件は制定、24 件は改正を進める。鉄連での最終規格案審議(三者委員会)は
24 件を提案する。特に重要な案件は以下の通り。
○ 鉄及び鋼の新分析方法1件(鉄鉱石-吸湿水定量方法・カールフィッシャー滴定
法)の新規格制定
○ 鉄鋼業界法(原料の JIS、ISO 規格の補完規定。20 件)の JIS への取り込み継続。
○ ぶりきの ISO 規格大改正が最終段階にあることから、JIS 改正案を作成する。
-ISO 規格の制改正
・ 平成 27 年度は、総計 133 件の ISO 規格の見直しを実施する。特に鉄連が主導する ISO
規格開発案件について早期実現に向けた活動を行う。特に重要な案件は以下の通り。
○ ぶりきの ISO 規格改正
平成 23 年から規格の改正に向けて検討を行っており、平成 27 年度中の規格発行
を目指す。
○ 高強度鋼の水素遅れ破壊評価方法の ISO 規格制定
日本の鉄鋼各社の試験方法を ISO 規格に織り込む形で規格案作成に努める。
(2) 受託事業-ISO 規格の適正化
・ 平成 27 年度は 12 件(ぶりき、原料、試験、分析など)の鉄鋼関連 ISO 規格について、対
応する JIS の優れた内容、または日本の技術を取り入れる活動を行う。
(3) ISO 幹事国業務
・ 下記6件の ISO 委員会について幹事国業務を行う。
① ISO/TC17(鋼)
② ISO/TC17/SC1(鋼材の分析方法)
③ ISO/TC17/SC9(ぶりき及びぶりき原板)
④ ISO/TC102(鉄鉱石および還元鉄)
⑤ ISO/TC102/SC1(サンプリング)
⑥ ISO/TC67/SC5(油井管)
(4) 鉄鋼分析用認証標準物質
・ 溶鋼・鋼材の成分分析の精度管理における最高位標準物質として、現在 310 種を販売・
貸し出しを行っている。平成 27 年度は、20 品種の標準物質製作に努め、8 品種の販売
を開始する。
(5) ASEAN 鉄鋼評議会(AISC)との交流に向けた取り組み
・ AISC メンバー国関係者と、各国・地域の規格化に関する課題等について意見交換を実
施するとともに、効果的な検討体制の構築に向けた対応を行う。
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19.日本鉄鋼連盟の運営に係わる諸課題への対応
(1) 会員・会費制度の見直し
・ 現行会員・会費制度見直しに向けた論点整理を踏まえ、新制度の見直しの必要性等につ
いて検討を行う。
(2) 主要各国・地域の鉄鋼関連団体との交流促進
・ worldsteel、AISC(ASEAN 鉄鋼評議会)
、AISI(米国鉄鋼協会)等、主要各国・地域の鉄
鋼関連団体と鉄連との間で事務局間会合を適宜開催し、環境、通商、標準化等、幅広い
分野での意見交換を通じて相互の交流促進を図る。
20.地区関連データの整備
・ 各地区別の鉄鋼関連動向、一般経済、需要産業の活動状況に関する統計情報の収集・整
備を行い、統計資料として取りまとめ地区会員等の参考に供する。
21.その他
(1) 鉄鋼産業懇談会
・ 経済産業省製造産業局が主催する鉄鋼産業懇談会の事務局業務を実施し、各種統計情報
の収集や調査への協力を行う。
(2) 全国小棒懇談会
・ 鉄鋼メーカーと商社で構成される全国小棒懇談会の事務局業務を実施し、各種統計情報
の収集や調査への協力を行う。
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