水道法水質基準項目、基準値及び意義 *は、新規項目(13) 基準項目 基準値 意義 1)一般細菌 100/ml以下 大部分は直接病原生物と関係ないが、多数検出は病原微生物の汚染指標となることから基準値が設定された。 *2)大腸菌 検出100ml中に検出されないこと 糞便性病原菌汚染の指標、大部分の大腸菌は病原性はないが、病原性大腸菌の飲料汚染問題等があり、病原生物の汚染指標として基準値が設定された。 工事排水混入等により検出され可能性があるが、その率は極めて低い。カドミウムは肝臓、腎臓に多く蓄積され、長期間摂取により肝臓機能障害や骨髄障害 を起こす。毒性を考慮して基準値が設定されている。 3)カドミウム及びその化合物 カドミウムの量に関して0.01mg/l以下 4)水銀及びその化合物 水銀の量んに関して0.0005mg/l以下 5)セレン及びその化合物 セレンの量に関して0.01mg/l以下 6)鉛及びその化合物 鉛の量に関して0.01㎎/l以下 7)ヒ素及びその化合物 8)六価クロム化合物 ヒ素の量に関して0.01㎎/l以下 六価クロム化合物の量に関して 0.05㎎/l以下 9)シアン化物イオン及び塩化シアン シアン素の量に関して0.01㎎/l以下 10)硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 10㎎/l以下 11)フッ素及びその化合物 フッ素の量に関して0.8㎎/l以下 12)ほう素及びその化合物 ホウ素の量に関して1.0㎎/l以下 13)四塩化炭素 0.002㎎/l以下 毒性が極めて強く、極微量でも摂取していれば体内に蓄積されて中枢神経障害等を起こす。毒性の強いメチル水銀を基に基準値が設定された。 セレンは必須元素であり、金属セレンの毒性は低いが、化合物の毒性は非常に高い。基準値は、慢性毒性である皮膚障害、胃腸障害、神経過敏症、貧血、 低血圧症等を引き起こすことを考慮して設定した。 主な由来は給配水管からの溶出である。生体内では骨に沈着し、長期摂取で貧血や血色素量の低下等の中毒症を示す。神経障害としては、特に低年齢層 に対する学習力の低下等の報告もある。体内蓄積の耐容量として基準値が設定された。 蓄積性の有毒物質で、長期間摂取により慢性毒性として爪や毛髪の萎縮、肝硬変、知覚麻痺等を起こす。基準値の根拠は不明だが、安全性を考慮して従来 からの基準値が維持された。 六価クロムは三価クロムより毒性が強く、肝臓、腎臓等に蓄積される。急性毒性として腸カタル、尿毒症等慢性毒性として黄疸を伴う肝炎等がある。水道水中 では塩素により酸化されてすべて六価クロムになることから、安全性を考慮して基準値が設置された。 有害物質は含むべきではないとの考え方による。シアンイオンは血液毒としての急性毒性が極めて強く、致死率は高い。シアンは塩素消毒により塩化シアン になるので、基準値には塩化シアン中のシアンが含まれている。 メトヘモグロビン血症の原因物質として健康影響上問題視されている。なお、硝酸イオンは生体内で速やかに亜硝酸イオンに還元されるので、亜硝酸態窒素 と同様な作用があると考えられている。基準値は胃酸の濃度が成人よりも高く亜硝酸イオンの抵抗性が小さい低年齢層を考慮して設定された。 過剰摂取により斑状歯を発生することから、予防の視点から基準値が設定された。 主として、消化器障害を起こす。海水を淡水化した時に生成される率が高いので、淡水化による水道水に対して基準値が設定された。これにより通常の水道 水での安全性も図られている。 肝臓、腎臓、肺障害があり、特に肝臓毒を基に基準値が設定された。 WHOガイドライン(第3版)によると、発がん性については、ラット飲水投与で鼻腔がんと肝臓腫瘍が認められている。わが国では、ラットの肝細胞腫瘍が増加 することから、基準値が設定された。 *14)1,4-ジオキサン 0.05㎎/l以下 15)1.1-ジクロロエチレン 0.02㎎/l以下 吸入試験による発がん性を考慮して設定された。 16)シス-1.2-ジクロロエチレン 0.04㎎/l以下 慢性毒性としての肝機能障害を考慮して基準値が設定された。 17)ジクロロメタン 0.02㎎/l以下 IARCで、人に対して発がん性の可能性があるものとして基準値が設定された。 18)テトラクロロエチレン 0.01㎎/l以下 IARCで、人に対して発がん性の可能性があるものとして基準値が設定された。 19)トリクロロエチレン 0.03㎎/l以下 IARCで、人に対して発がん性の可能性があるものとして基準値が設定された。 20)ベンゼン 0.01㎎/l以下 IARCやUSEPAで、人に対して発がん性の可能性があるものとして基準値が設定された。 *21)クロロ酢酸 0.02㎎/l以下 塩素処理副生成物。ラットによる試験から得られたデータから、飲料水の寄与率を20%として基準値が設定された。 22)クロロホルム 0.06㎎/l以下 トリハロメタン成分、発癌性あり(jorensonら、1985)動物実験で求めたNOAELを基に、飲料水の寄与率を20%として基準値が設定された。 23)ジクロロ酢酸 0.04㎎/l以下 塩素処理副生成物。DeAngeloらの報告に基づき、発癌性のリスクを計算して基準値が設定された。 24)ジブロモクロロメタン 0.10㎎/l以下 *25)臭素酸 0.01㎎/l以下 トリハロメタン成分、塩素処理副生成物。動物実験試験で求めたNOAELを基に、飲料水の寄与率を20%として基準値が設定された。 オゾン処理副生成物、臭素イオンが多く、pHが高いほど多く生成する。発癌性については、ARCではグループ2Bに分類されている。毒性影響としては、吐 き気、嘔吐、腹痛、下痢、呼吸困難、腎機能障害、聴覚障害が報告されている。動物実験の結果からリスクを考慮して基準値が設定された。 28)29)30)31)の総量である。現行の浄水工程で行う塩素処理により生成される物質で、残留塩素と同様に水道水の特徴項目でもある。消毒副生成物の全生 成量を抑制するための総括的指標として基準値が設定された。 水中にフミン質や類似物質が存在すると塩素処理により生成される。動物実験で求めたNOAELを基に、飲料水の寄与率を20%として基準値が設定され 26)総トリハロメタン(4成分の総和) 0.10㎎/l以下 *27)トリクロロ酢酸 0.2㎎/l以下 た。 28)ブロモジクロロメタン 0.03㎎/l以下 トリハロメタン成分。Aidaの報告によるLOAELから基準値が設定された。 29)ブロモホルム 0.09㎎/l以下 *30)ホルムアルデヒド 0.08㎎/l以下 トリハロメタン成分。NTPの動物試験のNOAELから基準値が設定された。 塩素やオゾン処理で生成される副生成物で、非常に高い発癌性を有している。実験的に求めたNOAELを基に、シャワーなどからの吸入量も考慮して基準 値が設定された。 31)亜鉛及びその化合物 亜鉛の量に関して1.0㎎/l以下 *32)アルミニウム及びその化合物 アルミニウムの量に関して0.2㎎/l以下 水道では、給排水管由来と考えられる。味覚と色への影響を考慮して基準値が設定された。 水処理用凝集剤由来と天然由来がある。人への有害性は明らかではない。アルツハイマー病や透析痴呆症などの神経性疾患との関連についての研究が進 められている。基準値は、白濁や異味への影響を考慮して設定された。 33)鉄及びその化合物 鉄の量に関して0.3㎎/l以下 水道では、給排水管由来が考えられるが、人体に対する毒性は低い。金属味や着色障害を考慮して基準値が設定された。 34)銅及びその化合物 銅の量に関して1.0㎎/l以下 35)ナトリウム及びその化合物 ナトリウムの量に関して200㎎/l以下 水道では給配水管由来が考えられるが、人体にたいする毒性は低い。金属味や着色障害を考慮して基準値が設定された。 地質由来の他、水道水では凝集沈殿処理時や腐食防止のためのpH調製に使用する水酸化ナトリウム等のナトリウム性アルカリ剤によるものがある。味覚障 害を考慮して基準値が設定された。 36)マンガン及びその化合物 マンガンの量に関して0.05㎎/l以下 色度を高め、着色障害を考慮して基準値が設定された。 37)塩化物イオン 200㎎/l以下 塩味の味覚から基準値が設定された。 38)カルシウム、マグネシウム等(硬度) 300㎎/l以下 味覚面では金属味、生活用水としては石鹸の泡立ち障害を考慮して基準値が設定された。 39)蒸発残留物 500㎎/l以下 溶存物質の含有量で、この値が高いと味覚など全ての面で水質低下が考えられる。味覚の観点から基準値が設定された。 40)陰イオン界面活性剤 0.2㎎/l以下 洗剤由来であるが、発泡などの外観上の障害を防止することから基準値が設定された。 *41)ジオスミン 0.00001㎎/l以下 藍藻類や放線菌が産生するかび臭物質である。臭気を感じない濃度から、基準値が設定された。 *42)ボルネオール 0.00001㎎/l以下 藍藻類や放線菌が産生するかび臭物質である。臭気を感じない濃度から、基準値が設定された。 *43)非 イオン界面活性剤 0.02㎎/l以下 洗剤由来であるが、発泡防止の観点から基準値が設定された。 44)フェノール類 フェノールの量に換算して0.005㎎/l以下 工場排水の混入があると、塩素処理により不快臭をつける。異臭味障害を考慮して基準値が設定された。 *45)有機物全有機炭素(TOC)の量 5㎎/l以下 有機物質の総体的汚染指標。従来の過マンガン酸カリウム消費量と整合性を考慮して基準が設定された。 46)pH値 5.8~8.6 銅施設の腐食を防止する観点から、基準値が設定された。 47)味 異常でないこと 不快感を与え、飲用障害を起こすほか、汚染の指標でもある。異常を感知することも含めて基準値が設定された。 48)臭気 異常でないこと 不快感を与え、飲用障害を起こすほか、汚染の指標でもある。異常を感知することも含めて基準値が設定された。 49)色度 5度以下 水道の場合はほとんどが給配水施設の腐食による鉄由来からの着色障害である。着色障害を考慮して基準値が設定された。 50)濁度 2度以下 亜鉛引き給排水管からの溶出由来や土砂等の混入による濁りで、外観上の不快感や味覚障害等の飲用障害防止の観点から基準値が設定された。
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