2015 年度 S 学期駒場初修スペイン語二列 第 1 回授業プリント(教員―藤田護) 初修スペイン語二列 第 1 回授業(2015 年度 S 学期) ―『Dímelo』「文字と発音」― 1.文字と発音 (1)アルファベット ・ch と ll は 1994 年までは独立した文字として扱われていた(欧州統合の進展による文字体系の 共通化と関連)→辞書を見るときに注意 ・l:舌先を上の歯茎にしっかりとつける、r:舌先を軽く上の歯茎にぶつける、弾く ・ll:「エリェ」「エイェ」「エジェ」 ・ñ:senhor(ポルトガル語、プロヴァンス語) 、senyor(カタルーニャ語)、signore(イタリア語)、 seigneur(フランス語) →ñ はスペイン語のアイデンティティ―1991 年 5 月 30 日付で EU の文化教育審議会は ñ をスペイ ン語アルファベット固有の文字として公式に認知した (2)母音 ・日本語の母音はあいまいな発音をするので、意識して少しハッキリめに発音する。特に i は日 本語のときより口を横に引いて、u は日本語のときより口をすぼめて。 ・母音の分立→音節が分かれる *もう一つの覚え方―i か u が入っていたら二重母音、入っているのに分立している場合はアクセ ント符号を付ける (3)注意が必要な子音の発音 c:後ろに a, u, o の母音がある時は[k]、それ以外の e,i の場合では[Ө] *スペイン南部とラテンアメリカでは[Ө]は[s]と発音される d:語末の d はあまりはっきりと聞き取れないことがある g:後ろに e,i の母音がある時は[x]、それ以外では[g] j:[x] *スペイン南部とラテンアメリカでは[x]は日本語のハ行の子音と同じ q:que「ケ」 、qui「キ」 「クェ」「クィ」ではない r:語頭で震える音、語中で弾く音(日本の「ラ」と同じ) rr:語中で震える音 x:cf. México, mexicano y:「イェ」か「ジェ」 (「リェ」にはならない) z:[Ө] *スペイン南部とラテンアメリカでは[Ө]は[s]と発音される ・二重子音の発音は日本語にないので、間に母音を挟んだような発音にならないように注意。 (初級の段階においてここの発音を苦手とする人が多い。) Cristo―「キリスト」 ( 「クリスト」 ) (瓜谷 2002、p.157) 1 2015 年度 S 学期駒場初修スペイン語二列 第 1 回授業プリント(教員―藤田護) (4)綴り字の規則 動詞の活用語尾などで重要になってくる。 c と g の文字がそれぞれ二通りの発音に分裂するのがポイントで、その抜けた間をどう埋めるか というふうに考えて表を埋める(授業で図解します)。 2.音節とアクセント 音節分けがなぜ必要なのか →アクセントの位置を把握するために必要である。 →日常的には、歌を歌うとき、デモ行進で叫ぶときなどに役に立つ。 →単語の途中で行を改めるときは音節の途中で切ってはいけない(これは現代ではあまり重要で はないか)。 (これ以外の点は、基本的に教科書をそのまま覚えるだけ。 ) ・-n と-s が他の子音と別の扱いをされるのは、-n は動詞の活用語尾に、-s は動詞の活用語尾と名 詞の複数形の語尾として出てくるのですが、それぞれアクセントの位置が変わらないためです。 この点は第 1 課でもう一度戻って確認します。 3.基本単語とあいさつ 「スペイン語」は「スペイン人(名詞) ・スペインの(形容詞)」を表す単語の男性・単数の形 español と同じだが、元々はカスティーリア(Castilla)地方の言葉が広い範囲に普及したものなので「カ スティーリア語(castellano) 」とも呼ばれる。 (ちなみにペルーでは español とはほとんど言わずに castellano と言う。 ) [練習]上の説明と同じ理屈で以下の言語名を確認してみましょう。 英語( ) ポルトガル語( 日本語( ) フランス語( ) )イタリア語( ) ドイツ語( ) ・挨拶には様々なバリエーションがあり、地域によって何がよく使われるかも変ってきます。 (例)アンデス地域では Buenos días よりも短かい Buen día がよく使われます。 ・Buenas noches は「こんばんは」だけでなく「おやすみなさい」にも使われます。 ・「調子どう?」と聞かれたときの答えのグラデーション bien ― regular / más o menos ― mal (ただし特に más o menos は日本語の「フツー」より若干悪い方に受けとられることが多く、こ れを使うと「どうしたの?」と聞かれることがあります。bien を使いながらも声のトーンで相手 に伝える方法がよく使われます。) 2 2015 年度 S 学期駒場初修スペイン語二列 第 1 回授業プリント(教員―藤田護) ・「あなたは?」と聞き返すときは、¿Y tú?(親しい相手)、¿Y usted?(敬意を込めて) (第 1 課の人称代名詞を参照) ・「ありがとう」のグラデーション Gracias. ― Muchas gracias. ― Muchísimas gracias. ・「どういたしまして」のバリエーション No hay por qué.(または単に¿Por qué.) Con mucho gusto. ・ (例) 「さようなら」の adiós はアンデス地域では、その後しばらく会わないようなときの別れの あいさつに使われ、そのうち会いそうな人や軽い挨拶としては「また後で」を意味する Hasta luego. が使われます。「また会おうね」と特に言うときは Nos vemos.と言います。 ・Hasta la próxima semana.(また来週) Hasta el próximo lunes.(また来週の月曜日に) 4.[練習] 自己紹介の中で自分の名前の綴りを言ってみる - ¿Cómo te llamas? - Me llamo Ayumi. A, Y, U, M, I. - Me llamo Guillermo. G, U, I, L, L, E, R, M, O. Encantado. - Encantada. (名前を実際にアルファベットで綴りを説明することを deletrear と言います (参考―letra「文字」) 。 英語の動詞の spell に対応します。 ) 3
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