SATOYAMAイニシアティブ推進ネットワーク第1回実務者連絡会議 議事録 (司会) それでは、ここからは「実務者連絡会議」を開催させていただきます。まず、石川県環境部 里山創成室長の奥本から、一言ご挨拶を申し上げます。 (事務局) 引き続きではございますが、本ネットワークの第1回実務者連絡会議ということでございます ので、改めて一言ご挨拶を申し上げます。 本ネットワークにつきましては、国連大学、環境省をはじめ、多くの関係の皆様方のご理解・ ご協力の下準備を進め、昨年9月、SATOYAMA国際会議が開催されていた福井県で無事、 設立総会を開催させていただきました。関係各位にはこの場をお借りして、改めて御礼申し上げ ます。 本ネットワークは、何分、設立してまだ間もないことから、ネットワークとしての取組はこれ からでありますが、今後どういうふうに進めていくかということについて、皆様とともに考え ながら、進めさせていただきたいと思っております。 これからの時間は、忌憚のないご意見を頂く中で、私ども事務局を預かる石川県と福井県とで、 皆様方とともに、SATOYAMAイニシアティブを広げていきたいというふうに考えており ます。 また、皆様が一堂に会する場というのはなかなかございませんので、会議が終わった後、30 分ほど交流会ということで、ご出席の皆さん同士の交流をして頂く時間の場を設けさせていた だきたいと思います。本日は限られた時間ではございますが、どうかよろしくお願いしたいと 思います。 (司会) それでは、お手元の次第に従いまして進めさせていただきます。まず、平成25年度取組報告 及び平成26年度事業について、事務局からご説明をさせていただきます。 (事務局) 事務局の石川県環境部里山創成室の山本と申します。SATOYAMAイニシアティブ推進 ネットワーク第1回実務者連絡会議、こちらの資料に沿って説明させていただきます。座って 説明させていただきます。 まず1頁ですけれども、平成25年度事業の実施状況ということで記載してございます。 (1) の会議等の開催についてでございますけれども、昨年9月13日に本ネットワークの設立総会 を開催しております。SATOYAMA国際会議が福井県で開催されておりましたけれども、 そちらの方で設立総会を開催させていただきました。この設立総会におきましては、武内国連 大学上級副学長、星野環境省自然環境局長からもご挨拶をいただきまして、共同代表に石川県 と福井県、副代表には国際自然保護連合に就任頂きました。 その後ですけれども、同会場において、IPSI-4のサイドイベントとして「SATOYA MAダイアローグ」を開催させていただいております。引き続き、武内国連大学上級副学長に モデレーターということでご登壇いただきまして、西川福井県知事、谷本石川県知事がSATO YAMA国際会議に参加されている国内外の皆様とダイアローグ・セッションということで開催 いたしました。 2頁をお開きください。こちらには普及啓発ということで記載させていただいております。 普及啓発ツールということで、ホームページは、12月までにホームページを開設させていた だきまして、皆様にもご連絡を申し上げたところかと思います。順次、内容を充実させていた だきたいと考えておりますので、ご協力方よろしくお願いいたします。パンフレットにつきま しては、年度末までに作成したいと考えておりますけれども、作成しました際には、このホーム ページの方にもデータをアップさせていただきまして、皆様方に、例えばお声掛けいただく際 にお使いいただけるようにですとか、印刷したパンフレットにつきましては、我々事務局の方 でも、各種イベント・会議等でPRのために使わせていただきたいと考えております。 続きまして3頁の方をご覧いただきたいと思います。こちらは情報発信ということで、いくつ かの全国のイベント・会議等に出て参りました。11月には、兵庫県豊岡市で開催された第3回 生物多様性全国ミーティングの方にも参加して参りました。それから12月になりますけれども、 エコプロダクツ2013ということで、パネル等を展示させていただきましたけれども、それ に加えまして、今日もお見えになっている団体もいらっしゃいますが、生物多様性ナレッジス クエアとの連携ということで、シールラリーに参加させていただきまして、17団体が連携を して取組をPRするという機会を持たせていただいたところです。 続いて4頁の方には、会員相互の交流・連携ということで記載してございますけれども、まず、 名簿の作成につきましては、現在、102団体の皆様に参加をしていただいておりますけれども、 名簿の方はデータで送信させていただいたところでございます。また、ホームページの方に会員 専用ページを設けさせていただきたいと思っておりますので、そちらの方でも充実させていき たいと考えているところです。それから、まさに本日でございますけれども、会員セミナー、 引き続き実務者連絡会議ということで、会員の皆様にお集まりいただいて、交流・連携をして いただければと考えております。駆け足ではございますけれども、以上が平成25年度の取組 状況ということで、ご報告申し上げました。 引き続き、5頁をご確認いただきたいと思いますけれども、今後の取組についてということ で記載してございます。今後の取組については、事務局の方で素案を検討しまして、去る12月 に設立発起団体を務めていただいた皆様方にご相談を申し上げる機会を持ちまして、ご意見等 を頂戴したところであります。まず、ネットワークとして今後取組を進めていくにあたり、目標 を設定して進めてはどうかという案に対しては、目標の設定も大事だけれども、SATOYA MAの定義でありますとか、SATOYAMAという言葉を分かりやすく、理解してもらえる ような表現を考えていくことが必要ではないかというようなご意見をいただきました。その上 でネットワーク全体の目標であるとか、あるいはその達成に向けた取組別の目標というものが 必要であろうと、そして、それをネットワークのメンバーの皆さんで共有していくことが必要 であるというふうに考えているところでございます。 それから、ネットワークの目標に向かって取組を進めていくために、プロジェクトを設定し ていきたいという案に対しましては、ネットワーク全体で進めていくプロジェクトもあるし、 個別に連携して進めていくプロジェクトがあるのではないかというご意見をいただいたところ であります。ネットワークの立ち上がりの時期でもありますので、まずは、発信ということを 中心に全体で進めていってはどうか。また、会員同士による連携プロジェクトというのは、その プロジェクトのテーマを探るために、例えば、新年度においてSATOYAMAの現地を会員の 皆様で視察していただいて、そこでの課題やニーズを抽出、探していく作業を進めてはどうかと いうふうに考えているところでございます。それでは、もう少し具体の内容についてご説明し たいと思います。 次に6頁をご覧ください。まず、SATOYAMAの定義でございますけれども、SATO YAMAの定義を明確にして皆様方で共有していくということにつきましては、ネットワーク の規約では第2条第2項に定義の記載はございますけれども、より分かりやすい、共感を得ら れるような表現をしていくことで、よりこのSATOYAMAという言葉あるいは取組の裾野 が拡がっていくのではないかという観点から、ここで例としていくつか記載させていただいて おります。例えば、 「私たちの暮らしと繋がる身近な自然」でありますとか、 「日本のふるさと、 原風景」というような表現が考えられるのではないかということで例として挙げております。 先ほどの涌井先生のお話にもございましたけれども、人と関わり合うことで形成・維持されて きた二次的自然環境をいかに分かりやすく表現するかということで、このような例を挙げさせ ていただいております。 続きまして、7頁には、ネットワークの全体の目標を記載してございます。参加団体で目標 を決め、それを共有しながら取組を推進していってはどうかということで、この目標について は外向きに発信していくことも想定しながら、 「SATOYAMAムーブメントを起こそう」です とか、 「SATOYAMAの輪を全国に広げよう」といったような例を挙げさせていただいており ます。ネットワークのメンバーの方にもそうですし、一般の方にも受け入れられやすい目標が 日本全体にも広がるようなイメージということで例を挙げさせていただきました。 8頁をご覧ください。8頁につきまして、全体の大きな目標に向かって、ネットワークの取組 毎に目標を設定してはどうかということで、今、ネットワークの取組としましては「普及啓発」 「情報発信」 「対話と実践」がございますので、その観点からいくつか例を挙げさせていただい ております。また、目標年次というところもございますけれども、例えば、国連生物多様性の 10年の最終年にもあたる2020年を目標にしながら進めてはどうかということで記載して ございます。 続いて、9頁をご覧ください。ネットワークの目標を達成していくために必要なこととして、 各セクターの連携による取組、会員の皆さんで一緒になって進める取組をプロジェクトという ことで記載しております。具体的には、会員の皆さん全体でネットワークを盛り上げていくよう なプロジェクトと、個別の会員の連携によるプロジェクトを考えているところでございます。 前者につきましては、例えば、立ち上がりの時期ということで、発信ということに重点を置い てプロジェクトを進めていく。後者については、平成26年度においては、実際の里山等地域 を視察・体験していただくことでその地域の課題やニーズを捉えていこうと、そのうえでプロ ジェクトのテーマを検討、議論してはどうかというふうに考えております。イメージとしまして は、次の頁に実施フローをお示ししておりますが、平成26年度におきましては、大きく分けて、 「発信プロジェクト」と「マッチングプロジェクト」ということで記載してございます。全体で 発信に取り組むとともに、あるいは、SATOYAMAエクスカーションと書いてございます けれども、里山等地域を皆様にご覧いただきながら、そこでの課題ですとかニーズを捉え、テ ーマを探っていければというふうに考えておりまして、平成27年度以降になろうかと思いま すけれども、それらを踏まえ、次のステップに繋げられればというふうに考えているところで ございます。 次の11頁につきましては、SATOYAMAエクスカーションということで記載してござい ますけれども、開催場所としましては、石川県、福井県もございますし、その他自治体、フィー ルドをお持ちのところで、是非自分たちのところでも開催したいというご要望がございましたら、 皆様のご意見を聞きながら進めていきたいと考えているところでございます。 最後に、12頁になりますけれども、今後のスケジュールということで記載してございます。 平成26年度につきましては、定期総会を7月頃に開催したいと考えておりまして、こうした 会議に合わせSATOYAMAエクスカーション、視察も開催できればというふうに考えており ます。 加えまして、資料の中には、事前に各団体にご協力いただきましたメッセージシートをまとめ たものをお配りしております。事務局としましては、こうしたメッセージシートを是非参考に させていただいて、来年度の事業に活かしていきたいと考えておりますし、いろいろな取組や 興味・関心、要望なども記載してございますので、皆様方におかれましては、是非ご参考にして いただければ幸いと存じます。事務局の説明は以上でございます。 (事務局) それでは、本日は第1回目の実務者連絡会議ということで、皆様初めての顔合わせということ にもなりますので、参加団体の皆様による自己紹介も兼ねまして取組内容等をご紹介いただけれ ばと思います。大変短い時間で恐縮でございますが、各1分程度で簡潔にご説明をいただけれ ばと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。 (アサヒビール株式会社) 皆様初めまして。アサヒビール社会環境部のワン チアリンと申します。まず自己紹介です けれども、私は日本の出身ではなく、台湾の出身です。日本の大学を卒業してアサヒビールに 入社し、現在は社会環境部において、生物多様性、環境の啓発活動などを主な業務として仕事 をしております。 アサヒビールの取組紹介ですけれども、メッセージシートの2頁に簡単な記載がございます けれども、アサヒビールは2010年に生物多様性宣言を策定し公開をいたしました。詳細に 関しましては、アサヒビールのホームページでご覧いただけますので、ここでの説明は割愛さ せて頂きます。主な取組としましては、広島に「アサヒの森」というトータル2,165haの 社有林を1941年から所有しまして、社員の手で森林管理を行なっています。そして、アサヒ ビールの工場が全国8カ所にございまして、全ビール工場の水源地の森保全活動、あるいは営業 拠点によるレクリエーションの森の保全活動、また、皆様ご存知かと思いますけれども、弊社 の主力商品であるアサヒスーパードライ、1本1円「うまい!を明日へ!」プロジェクト、その 寄付金額は累計22億円ほどございますけれども、その8割が生物多様性の保全に寄与している ところでございます。などなど、いろいろな活動がございまして、ネットワークを通してご紹介 できたらと思います。簡単でございますが、以上でございます。 (積水樹脂株式会社) 積水樹脂の宮原と申します。どうも初めまして。よろしくお願いいたします。私どもの取組 としましては、配布資料にA3の資料をご用意させていただきましたが、2010年度を社会 貢献元年という位置づけで、社会貢献という切り口で、いろいろな環境貢献活動や社会貢献活 動を強化して進めております。主に森林保全活動ですとか、主要事業所が滋賀県にございます ので、ヨシ刈り活動ですとか、事業所内に生息している珍しい生きもの、食虫植物であったり とか、日本最小のハッチョウトンボなどが生息していますので、そこのエリアを守ったり、そ ういった取組も数年前から開始しております。簡単ではございますが以上です。 (株式会社伊藤園) 初めまして、伊藤園の笹谷と申します。伊藤園の茶殻の封筒に資料一式が入っておりますの で中をご確認ください。これは茶殻でできた封筒ですけれども、中に、茶殻のあぶらとり紙、 後程ご紹介するトリプルSのCSRの考え方の資料、環境新聞の記事はまた後程ご参照で、今、 名詞代わりにCSR報告書ですね、白いディレクターチェアの冊子があります。これを使って 当社のご紹介をしたいと思います。これはデイレクターが、映画監督が座る椅子です。開きま すと、幕が開くとありまして、映画の幕が開きまして伊藤園の新しい歴史が始まります。その 次の頁、幕が本当に開くと、21世紀フォックスのような、映画ですとガオーっと出てきます けれども、その代わりに、お~いお茶の25年の歴史をご紹介しています。このストーリーは、 7つのストーリーでオムニバスストーリーにしました。これは、川上から川下までのバリュー チェーンの順番になっていますので、茶産地育成事業の茶畑の事業から、製造、販売、流通、 商品、そういう段階に分かれていまして、特に今回のテーマですと、茶畑の事業なんかは、次の 頁に、茶産地育成事業をパートナーとやっていますよと写真で語っていまして、写真で語って から当社の社員が、この事業はこういう事情でやっているんですとあります。その後、専門家 の方の御意見をいただく、こういったパターンでできております。この中で、特に里地里山の 関係では、7番目のストーリー7が、非常に関係がございますので、後程ご参照いただきたい のですけれども、阿部治先生という、自然を考える教育のESDの第一人者でありまして、私 が対談しております。その次の頁には、先ほどお話がありました滋賀県でのヨシ刈りの経験な どを踏まえた話もございますし、生物となりますと、鷲谷いずみ先生の対談の内容もあります ので、ご参照いただきたい。 ここまでが7つのストーリーで、ストーリーが終わりますと映画ですから評論家コーナーが ありまして、ここでは5大新聞の論説員がディスカッションしているものがあります。その後に、 いろいろな有識者からのご意見、それからこれはCSR報告書だったのかというふうにありま して、最後の頁は、トップインタビューで、最後に社長が出てきて、社長のメッセージが、人 と人とのつながりで共有価値を目指しますということで、その中で、環境にも人にも優しい社会 を目指すとあります。最後の枠のところ、エンドロールです。エンドロールで、伊藤園は三つ 目指しておりまして、環境にやさしい企業、人にやさしい企業、社会にやさしい企業と挙げてお ります。以上、読んでいかがでしたかという仕組みになっております。これは私自身も気に入っ ておりまして、隅から隅まで読みあわせしましたので、御参照ください。以上です。 (大成建設株式会社) 大成建設の環境本部の埴田と申します。初めましてという方、ご無沙汰しましたという方も いらっしゃると思いますけれども、当社は建設会社ということでございますので、何等か環境 にメスを入れているということが本業になってしまいます。今回の資料には、パンフレットを 2冊お入れいたしました。エコロジカルプランニングというものと、自然環境再生技術の2冊 です。建物をたてるということと、ダムなどで山を削ったりいたしますが、何れにしろ、どん なことにしろ、まずエコロジカルプランニングということで、その地域がどういう特性がある のか、どういう特徴を持っているのかという環境カルテを作ってから様々なプランニングをや っていきます。それから、環境再生技術ということが、当然ながらミティゲーションというこ ともありますし、失われた緑地をどこかで再生するということも必要でございますので、そう いう技術を持っていますということで、どういう取組で臨んでいるかということがこの自然環 境再生技術の方に入れております。参考にしていただければと思います。 当社の取組紹介ということで、メッセージシートに何点か書きましたけれども、この近くに 大手町タワーができまして、そこに大手町の森という、3,600㎡の緑地、何百種類の高木を 入れております。こちらはいきもの共生事業所の認証を受けましたので、本当にこの近くですの で、すぐ地下鉄に入らないで、ちょっと東京駅の方にワンブロックくらい歩いていただければ すぐに目に入りますので、どうぞお帰りにお立ち寄りください。東京建物さんと当社が事業主 になって進めております。 今回のSATOYAMAイニシアティブでは、先ほど涌井先生がおっしゃられましたけれども、 工場立地法の緑地が25%緩和されたということで、その分を別のものに代償ということになり ますので、そういう意味でも当社は生物多様性のオフセット、環境省さんも出されております けれども、そういうオフセットとか、そういうことを里地里山の再生の方にうまく活用できれ ばいいんじゃないかなと思っております。以上です。 (高等教育コンソーシアム信州) 高等教育コンソーシアム信州事務局の中山と申します。高等教育コンソーシアム信州というの は、長野県内の大学の連携事業でありまして、事務局は信州大学の中にございます。平成19年 にできまして、もともと主に大学同士の単位互換を進めてきたんですけれども、ここのところは、 東日本大震災では長野県栄村というところも大きな被害にあいまして、そちらの復興支援などを 通じまして、我々コンソーシアムが連携をして、地域に何か貢献できないかということも進めて おります。長野県には里山がたくさんありますけれども、同時に高齢化も進んでおりますので、 大学生など若い力を使って何か貢献できないかということで模索しているところであります。 どうぞよろしくお願いいたします。 (中越パルプ工業株式会社) 皆さん初めまして、中越パルプ工業の片岡と申します。当社は、皆さんがお使いになる印刷 用紙からクラフト用紙、新聞用紙などを取り扱う素材の製紙メーカーです。当社は、鹿児島と 富山に製紙工場を持っているんですけれども、鹿児島の工場の方では、日本の竹だけを使った、 竹紙というものを作っております。現在、年間2万トンの竹を使用して、製紙原料として使って いくというような独自の取組を行なっています。また、印刷用紙、コンセプトをつけた紙で、 クレジット方式で日本の間伐材を積極的に活用していきましょう、そして販売価格の方に寄付金 を付けています。その寄付金で、協業しているNPO法人にそれを託して、一過性の里山保全 ではなくて、実際に里山を使って社会的意義の高い活動を行なっている団体さんを支援すると いう活動を行なっている、そのような紙を販売しています。工場の方では、社有林などを使って 地域住民の方と里山についていろいろな取組を行なっているところですけれども、我々東京と いうと、そうした地域の方となかなか接する機会がないものですから、せっかく本社が東京・ 銀座にあるということから、銀座から里山についても発信していこうということで、いろいろ なことを初めて、今度、3月7日に、日本自然保護協会さんと一緒に里山についてイベントを 開催したいと、いろいろ取り組みを始めていく最中の会社です。応援いただければと思います。 よろしくお願いいたします。 (公益財団法人地球環境戦略研究機関) ありがとうございます。今、長い名前をご紹介いただきました、公益財団法人地球環境戦略 研究機関・IGESの三村と申します。よろしくお願いいたします。私ども、研究機関でござい まして、名前のとおり、若干、国内というか海外の仕事もさせていただいております。本部が 葉山にございまして、それ以外に国内にも関西、北九州、海外には、バンコク、北京ということ でいくつかのブランチを持っておりまして、延べ100人ほどの研究員、その内30人が外国人 というような構成になっております。基本的には、どちらかというと気候変動に関する業務で あるとか、経済に関すること、社会変革に関することが中心でございまして、このSATOYA MAイニシアティブの関係では、メッセージシートにも書かせていただきましたけれども、里山 の経済価値であるとか、定量評価みたいなもの、これを少しやらせていただこうと。それから IPSIさんのメンバーということで、海外のいろいろな里山の推進に関することの調査研究 をさせていただいているところでございます。また、時間があれば、今日は研究員が二人参って おりますので、交流の場なのでお話を聞く機会ということも考えております。どうぞよろしく お願いいたします。 (横浜国立大学) 横浜国立大学の社会人博士課程の学生の佐藤祐子と申します。まず、横浜国立大学の里山里海 に関わる取組として、メッセージシートに書かせていただきました内容を簡単にご説明させて いただきます。横浜国立大学では、研究・教育活動として、リスク共生型環境再生リーダー育成 プログラムという、大学院の中でサブコースのような形で協力を行なっています。その中で、 岩手県陸前高田市、宮城県岩沼市・南三陸町、福島県二本松市などの被災地において、生態学 的に再生していくにはどうしたらいいかということで現地視察、植林などを行なっています。 また、神奈川県の葉山町でも、森林管理や耕作放棄地に関しての取組について、現地視察など を通して学んでいます。海外のフィールドではマダガスカルで調査それから教育をしておりま して、マダガスカルでは森林伐採、土壌浸食が進んでいるんですけれども、そのために住民の 方々の生活が困窮したり、農地の生産性が悪くなったりということがございまして、そのこと について教員と学生が現地の方の話を聞きながら考えているということで、私はそのサブプロ グラムの学生になります。私自身は、テーマとしましては、横浜市には里山がかなり住宅地の 中に残されておりまして、都市の中の里山が人間の生活にどう良いのかという、健康という切 り口で評価をしております。もともと私仕事としては公衆衛生の専門家、コミュニティの健康 をジャッジして環境アセスメントをどうしていくかというところで仕事をしておりまして、今 まで応援してきたところでは、沖縄のやんばる地域、岩手の北上地域といったところで活動を させていただいております。最後に宣伝として、3月8日に知床に大学院を作ろうという財団 が立ち上がっておりまして、そちらの方で野生生物の反乱を食い止めるという講座がございます。 ご興味のある方はどうぞお越しくださいませ。以上です。ありがとうございました。 (特定非営利活動法人アースデイ・エブリデイ) 皆様初めまして。NPO法人アースデイ・エブリデイの代表代行の服部と申します。主な取組 としましては、メッセージシートに記入させていただいていますが、団体として活動を行なって いるものと連携団体、支援事業として活動を行なっているものの二つがございます。連携団体 としては、本日欠席をしておりますが、国連生物多様性の10年市民ネットワークや、海と田 んぼのグリーン復興プロジェクトという東北復興ですね。具体的には、昨日まで、日本百貨店 や国連大学の周りで、東北グリーン復興事業者パートナーシップ事業として、浦戸諸島の復興 で、お母さんの手作りの島のお裾分けとして牡蠣の料理や販売を行なっておりました。一方で、 アースデイ・エブリデイの単体としての活動は、東京の町田市の方で里山保全活動を行なって おります。以上です。ありがとうございました。 (環境ふくい推進協議会) 環境ふくい推進協議会の吉田と申します。福井県の環境政策課で事務局を務めております。 本協議会は、福井県民の環境活動の推進母体として平成6年に設立された団体です。里山に関 する取組をご紹介します。メッセージシートに記載しておりますが、環境活動事例発表会という ことで、本協議会の総会時に環境活動の実践者の発表会を開催しております。また、環境バス ツアーとして、環境に関する3分野のコースを用意した日帰りのバスツアーを実施しております。 今年度は自然環境分野として福井市内の里山体験や里山保全活動の見学を行いました。市町環境 連携事業としては、福井県内の市町や市町が推薦する民間団体が企画する事業に対して、その 一部を助成することによって、県内の環境保全活動の活性化を図っています。 情報発信としては、情報誌「みんなのかんきょう」を年2回発行させていただいています。 また、随時メルマガの配信を行なっており、協議会のイベントやその他環境に関する情報を発信 しています。福井生物多様性保全支援事業を実施しておりまして、県民事業者からの寄付金を 生物多様性の保全活動を実践する県内団体へ費用の助成を行なっています。最後に、今年度、 福井県で開催されたSATOYAMA国際会議2013inふくいへの積極的な参加ということ で、里山ステイや若者を対象としたイベントなどへ積極的に協力を行いました。以上です。 (認定特定非営利活動法人 共存の森ネットワーク) 認定NPO法人共存の森ネットワークの神谷と申します。本日は代表代行で参加させていた だきました。個人的な話ですが、実は今年1月にこちらの団体に入ったばかりになりまして、 それまでは別の企業に勤めておりましたので、こちらの業界であまりお知り合いがいなくて非常 に寂しい想いをしておりますので、本日はせっかく皆様とこのようにお目にかかれましたので、 いろいろとお話をお伺いできればいいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 私どもの団体なんですけれども、大きな取組として、聞き書き甲子園を毎年行っておりまして、 毎年100人の高校生が、森ですとか海の達人に話を聞きに行って、その技術や知恵をレポート にまとめるというような取組を行なっています。こちらの取組からもわかるように、私どもの 団体は、自然を守って継続的なものにしていくには、まず自然を愛する人づくりが一番大切だ というところをコンセプトに行っておりまして、高校生や大学生などのそういった自然に対する 取組を支援しております。今年度から新しく始まった取組として、高校生や大学生を今までは 支援をしてきたんですが、今年度からは「学校の森・子どもサミット」を林野庁等と共催して 行なうことになりました。学校林というものを皆様ご存知かと思うんですけれども、実は非常 に歴史が長く、明治から学校林を学校に一つ設置するようにというような訓令が出まして、始め は学校の資材として、学校にあるような木ですとか、様々な資材を学校の木材建築に直接使った りですとか、その資材を売って貯めたお金で学校のいろいろな資金を作ったりですとか、そう いったことに主に使われていたんですけれども、最近では資金というよりも環境教育にその森林 を使っていこうというような取組がされておりまして、地域によっては非常に熱心に学校林の 中での環境教育を行なっている学校もございます。一方で、学校林をせっかく持っているのに、 労力ですとか、それを保持していく資金や技術などがないということで、放置されてしまって いるような学校林があったり、森林教育に積極的に取り組みたいと思っていてもなかなかそう いった場所がなくて、手を付けられないというような学校もたくさんいらっしゃいまして、そち らを企業、NPO、団体、学校同士、先生ですとか、そういったところの強いネットワークを 作っていきたいということで、今年度より大きなサミットが開かれることになりました。今は まだ始まったばかりでございまして、協力していただける企業、団体の皆様を募集していると ころでございますので、もしご興味があられましたらお声掛けいただければと思います。どう ぞよろしくお願いいたします。 (国際自然保護連合日本委員会) 国際自然保護連合日本委員会の運営委員の柏木と申します。国際自然保護連合日本委員会は、 国際自然保護連合・IUCNの日本国内の会員の集まりです。現在、外務省、環境省及び21 団体で構成されています。自然保護あるいは生物多様性に関連した活動をしている団体が集ま っています。生物多様性条約あるいは自然保護に関連した事柄について様々な活動、講演会、 その他の活動をやっているわけですけれども、事務局が日本自然保護協会の中にあります。事務 局長は本日来られないので我々が参りました。それから、生物多様性条約やレッドデータブック に関するパンフレット等も出しています。私たちの今の生物多様性に関連した取組の中で一番 大きなものとして「にじゅうまるプロジェクト」という、愛知目標、国連生物多様性の10年 に向け国内の様々なセクター、団体でそれぞれがやっていく、そのための宣言をして進めていく、 そういうためのプロジェクトを行なっています。愛知目標の達成のための各目標の内のいずれ かに取り組むということを宣言し、それを具体的に行っていくという形になるわけですけれども、 その宣言をした200前後の団体がそれぞれの活動を実践しています。 もう一つ私自身の団体も、にじゅうまるプロジェクトの一つとして、田んぼの生物多様性向上 10年プロジェクトをラムサールネットワーク日本が事務局となってやっています。これは里山 と少しでも関係がある田んぼに関して、一つ一つ実際の活動をやっていこうという形で進めて いるもので、きちんとした計画を作って、それに基づいてやっていくと進んでいくんじゃない かということで、どういう計画を作ったらいいか参考になるようなパンフレットも作っており ます。もしご興味がありましたらご連絡いただければと思います。以上です。 (公益財団法人埼玉県生態系保護協会大宮支部) 埼玉県生態系保護協会大宮支部です。この協会は、もともと埼玉県に野田というところがあり まして、野田のサギが全国的に有名だったんですけれども、そのサギが昭和初期に急にいなく なりました。いなくなったことの原因が農薬だったということで、そういうことに気が付いた 獣医師がいるんですが、今の池谷会長ですが、このまま放っておくと大変になるということで 発足させました。埼玉県の中で、30くらいの支部がありまして、私は大宮支部でして、大宮 支部は昔の大宮市を中心に、里山が残っているところをこれ以上街にならないように、今ある 緑地を保護しようということで取り組んでいます。具体的に言うと、今取り組んでいるのがミ シシッピアカミミガメをどういうふうに駆除するかということで10人くらいのメンバーで取 り組んでいます。そういう支部が県内のあちこちにあります。毎月、ナチュラルライフという 月報も出して、皆さんを呼び込んでやっていこうと取り組んで 質問なんですけれども、石川県と福井県が主催ということで、何故石川県、福井県が立ち上 げられたのか、その辺について教えていただきたいと思います。 (三方五湖自然再生協議会) 三方五湖自然再生協議会の坂川と申します。三方五湖といいますのは、福井県の南、若狭の 地域にある湖でございます。五つある湖の総称なんですが、淡水の湖、淡水と海水が混ざった湖、 海水の湖とそれぞれ条件が違っておりまして、そこにはいろいろな生物が暮らしておりまして ラムサール条約にも登録されたところでございます。そういった湖をシンボルということで、 湖とその周辺環境の保全再生活動を行なっております。活動の中身としましては、侵略的外来 生物の駆除、環境教育、環境に優しい農法、湖岸の再生、後、昨年にSATOYAMA国際会議 があった折には、水田魚道によって湖と田んぼのつながりを再生しているといった活動をエク スカーションの時に見ていただきました。組織としましては、鷲谷いずみ先生を会長ということ で、研究機関、地域の民間団体、NPO、行政、関係団体で構成しております。それぞれの部会 のところをいろいろな団体が事務局になって活動を行なっているということでございます。 最後に、私事になりますけれども、今回は三方五湖自然再生協議会ということで参加させて いただきましたが、仕事といたしましては福井県の里山里海湖研究所に勤めております。昨年 のSATOYAMA国際会議が終わった後に、三方五湖の湖岸のところに、里山里海湖について の業務を行うということで10月にできた研究所でございます。研究所ということで当然研究 を行なっていくわけですけれども、今、研究員の募集を行いまして、4月から採用して研究活動 を行なっていくこととしています。また、研究だけではなく、教育、実践ということで、自然 再生活動団体の皆様とともに実際に活動を行なっていくということで、研究・教育・実践の三つ の柱に活動を行なっていくことを目標にしております。まだまだできたばかりの組織なので、 具体的な活動についてはこれからということになりますが、皆様のお力添えをいただきながら 活動を行なっていきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたしたいと思います。以上です。 (環境省) 環境省で国連生物多様性の10年日本委員会の事務局を務めております宮崎と申します。本日 はありがとうございます。参考資料でパンフレットや資料などいろいろと入れさせていただき ましたが、国連生物多様性の10年日本委員会は、SATOYAMAイニシアティブ推進ネット ワークさんも入られている委員会でして、子ども向けの図書の選定ですとか、いろいろな小冊子 など、いろいろな形で、生物多様性ということが一般に主流なものになるようにいろいろな活 動をしております。普及啓発につながるツールなど、いろいろなものがございますので、また 何かセミナーなり活動される際にはご提供できるものがあるかと思いますので、ご連絡頂けまし たらご協力させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 (農林水産省) 農林水産省の環境政策課の畠沢です。よろしくお願いいたします。農林水産業は、まさに里地 里山に密接に関連していると思っておりまして、先ほど島田専門官からもお話がありましたけれ ども、私ども環境省と一緒になって里地里山検討委員会等、中でも今後の里地里山のあり方等 について検討しているところでございます。先ほど各種事業の照会がありましたけれども、農林 水産省からは1件しかご報告いたしませんでしたが、実は、農林水産業の事業としましては、 数十、数百ある中で、そのほとんどが里地里山に関連する又は資するものと考えておりまして、 今後も取り組んでいきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。 (岐阜県) 岐阜県環境生活部自然環境保全課の山田と申します。よろしくお願いいたします。岐阜県では、 平成24年度から、森や清流を守るために使わせていただきますということで、 「清流の国ぎふ 森林・環境税」を県民、法人の皆様にいただくことによりまして、 「清流の国ぎふ」づくりを目指 して様々な事業を展開しております。里山づくりにつきましては、この森林・環境税の事業の 中に5つの柱があるんですけれども、その中の一つに位置付けまして、具体的にはメッセージ シートにも書かせていただいておりますが、里山林の整備事業ということで市町村、各種団体 の皆様に補助をさせていただいたり、環境保全モデル林整備事業などを行なっております。里山 の整備につきましては、主に林政部の方で取り組んでいるんですけれども、私が在籍しており ます環境生活部においては、主に獣害対策、ニホンジカの対策ですとか、生物多様性の保全と いうことで、今年度につきましては、生物多様性の地域セミナーを県内5会場で開催いたしま して、里山づくりに取り組んでいらっしゃる活動団体、外来種の駆除に取り組む活動団体など、 いろいろな取組を行なっていらっしゃる皆様を県民の皆様にご紹介することで生物多様性の保全 の考え方を県民の皆様に広く知っていただこうというような活動を行ないました。森林・環境 税は5年間というお約束でいただいているものですので、まずは森林・環境税の取組を中心に、 里山づくりをはじめ、森や清流を守る取組を進めていきたいと思っております。皆様の活動を 参考にしながら取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 (神奈川県) 神奈川県の農地保全課の平岡と申します。神奈川県からは今日は二人でお招きさせていただ きました。お手元のメッセージシートの23頁に県の取組について記載してあります。水色の リーフレットもご参考にしていただければと思います。神奈川では、平成20年4月に「神奈川 県里地里山の保全、再生及び活用の促進に関する条例」ということで条例を制定しまして、里地 里山の保全等を行う活動団体と地権者との協定を県の方で認定しまして、そちらを支援している という取組を行なっています。現在、15地域16団体を県の方で認定しまして取組を支援して おります。 また、県民の皆様への取組の理解促進ということで、シンポジウムの開催や体験学校といった 取組も行なっているところです。ここで条例制定から5年経ったということで、条例の見直し や指針の改訂という作業を行いまして、新しい取組ということで来年以降いろいろと取り組んで いこうというふうに思っております。そういったところの参考にさせていただこうと思っており ますのでどうぞよろしくお願いいたします。 我々、農地保全課というかということで、里地里山といいますと環境省さんをはじめ自然環 境の課、後、山というと森林、林野庁さんということで、なかなかそういう方々とお付き合い がなくて、こういう機会をきっかけにいろいろな方とお付き合いしていきたいなと思っており ますので、どうぞよろしくお願いいたします。 (埼玉県) 埼玉県環境部みどり自然課の牧野と申します。埼玉県の事例としましては、平成20、21 年度あたりから、自動車税の一部を基金に積み立てまして、 「みどりの再生」という事業をして おります。今のところ27年度までの予定なんですけれども、そのみどりの基金を活用しまして、 各ボランティア団体さんに対して補助をしたり、直接森林整備などを行なっているところです。 そのうちの一つの事例として、埼玉県と東京都にまたがる狭山丘陵という、緑の島と言われて いる西武ドームがあるところなんですけれども、そこに埼玉県の施設で「さいたま緑の森博物館」 がございまして、85haの森林、その内の20haについて里地里山として保全していきま しょうと、残りの65haは手付かずで自然遷移そのままに任せましょうとやっています。その 20haを対象に、平成24年度に森林保全の活用協議会を立ち上げまして、県や地元の市、 NPO団体、個人の方に集まっていただいて保全活用協議会を結成しました。森林20haの 内、いくらか区割りをしまして保全していきましょうという取組をしているんですけれども、 なかなかうまく進んでいない状況でございます。課題としましては、いかに団体さんに参加して いただいて協力いただくかということで足踏みをしている状況で、昔は、里山というのは利用 から始まって循環していたんだと思いますけれども、今利用がされていないので動機づけが一番 難しいのかなと感じております。取り組んでいくなかで、昔は地域で里山が利用されていたわけ でして、価値観がその地域で一緒だったのかなというふうに感じております。今は、里山を守る ためいろいろなところから協力をいただいているので、価値観が違う方が皆さん集まってきて おりますので、その価値観や森林整備の過程、目指すべきゴールですね、その辺がちょっとずつ 違っているので、いかにそれをすり合わせていけばいいのか悩んでおります。この会でいろいろ 勉強させていただければと思います。今日はよろしくお願いいたします。 (徳島県) 皆さんこんにちは。徳島県自然環境室の土井と申します。メッセージシートの28頁にあり ます本県の取組を見ながらお聞きいただければと思いますが、徳島県でも、昨年10月に「生物 多様性とくしま戦略」を策定しまして、実行に移しているところです。この生物多様性とくしま 戦略には二つの特徴があると考えておりまして、ここにも記載しておりますけれども、一つは 生物多様性を地域資源として捉えまして、それを将来にわたって利活用していく中でコンパクト な循環型社会を築いていこうということで、まさに里山保全に繋がっていくような内容になって おります。もう一つの特徴が、この策定にあたりまして県内の22の環境保護団体、NPOなり 任意団体なりの方が生物多様性徳島会議という連携組織を作られまして、生物多様性地域戦略 のあり方をワークショップ等を開いて検討しまして、その結果を知事に提出しまして、それが 2年半前くらいになりますけれども、それをたたき台に県が戦略を策定したという経緯がござ います。策定過程におきましても、生物多様性徳島会議さんと県が協力しながら県内10カ所 でワークショップを開きまして、どういう生態系サービスを活用していきたいかであるとか、 その上での課題などを地元の方から意見抽出をして戦略の中に盛り込んでいる内容になっており まして、その結果として記載してありますような12の重点施策を掲げているということでござ います。お恥ずかしい話、県として他の県さんが紹介されたような生物多様性保全のための事 業や資金を全くと言っていいくらい持っていないんですけれども、市民の連携で助けていただ いているというのが徳島県の実態でございます。生物多様性徳島会議さんは戦略ができた後も 運営上も助けていただいておりまして、自ら環境省の地球環境基金をとっていただきまして、 生物多様性リーダー育成プログラムでありますとか、徳島大学の学生さんは高校生や中学生など でも分かるようなかみ砕いた内容の生物多様性に関するサイエンスカフェをショッピングセンタ ーや商店街で開いていただいているなど、本当にいろいろな方に助けていただいて運営している ような状況でございます。そのような県内でできている連携を全国的にも広げていけたらあり がたいなと思いまして参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。 (栃木県) 栃木県自然環境課の墨谷と申します。お世話になります。栃木県は、原木しいたけの生産が 盛んな県なんですけれども、コナラ林、クヌギ林を十五年、二十年で伐採して、榾木として活用 するというサイクルが回っていた県です。那珂川流域を中心に今でも手入れされた里山林が多く 残っている地域なんですけれども、東日本大震災の福島第1原発の事故の影響、出荷制限を受け ておりまして、原木が使えなくなって、これからの栃木県の里山林ということでは転機を迎え ているのかなというふうに感じております。 一方、栃木県でも「生物多様性とちぎ戦略」を策定しておりまして、メッセージシートは29 頁になりますが、 「里地里山保全再生プロジェクト」を重点プロジェクトの一つに位置付けており ます。具体的な取組としましては、森林環境税を活用した森林整備を市町村交付金として実施 しているんですけれども、その内のメニューで、地域で活動をしている団体の方にhaあたり 100万円を上限に支援しているメニューがあるんですが、いろいろな活動団体の方ができて きまして、例えば那珂川町小砂地区では「日本で最も美しい村」に認定したり、古民家を再生 して里地里山としての地域づくりをする団体がでてきたり、地域の活性化にも繋がっているの かなというふうに考えております。今後の取組としましては、それを今度は地域の活性化として 循環してずっと継続的に活動をつなげていける仕組みづくりや県としての支援が課題と考えて いるところですので、皆様の活動事例を今後の参考にさせていただきたいと思っておりますので よろしくお願いいたします。 (長野県) 長野県の神谷と申します。皆さんこんにちは。私は環境部自然保護課というところで働いて いるんですけれども、希少野生動植物の保全の対策、外来種対策、国立公園・国定公園・県立 公園等の管理、後、特徴的なのは長野県というと高山帯がございますので登山道の整備など、 そのようなことを私どもの課で業務として取り組んでおります。私は希少野生動植物対策を担当 しておりますが、希少野生動植物に関しましては、長野県は数多くの種類の動植物がいるんです が、先ほどの講演の中でもありましたとおり、希少野生動植物が生息生育する場所というのは 里山という部分、その里山についても過疎地域が非常に多いというような中で、生息環境自体 が伝統的な農林業で保全されてきたという部分が最近の状況ではなかなかの難しくなってきて いるというような状況です。そんなような状況にある中で、今回、SATOYAMAイニシア ティブ推進ネットワークに参加させてもらっているんですけれども、どうやって保全の対策が、 言ってみればどうやって地域毎支えていくかというようなところが一番大きな問題だと思って おります。そういうようなところで皆さんとの連携というようなものが特に重要だろうなという ふうに思っておりますので、情報交換しながら、特に一緒に活動ができる輪ができればありが たいと思っております。よろしくお願いいたします。 (金沢市) 金沢市の森林再生課の割田と申します。よろしくお願いします。金沢市では、中山間地域では 過疎化、高齢化が進んでいる集落が約30カ所あるのですが、平成24年度から20世帯40人 の熊走町をモデル地区としまして「里山の灯りサポート」モデル事業を行なっています。活動 内容としましては、活動拠点として集落にあった築60年の民家を市で借り上げまして、そこ に委託したシルバー人材センターの職員に常駐してもらいまして、地元住民から要望される里山 の仕事をやってもらっています。25年度の実績としましては、放置された畑のそばの生産支援、 市民農園の開設、賑わいの創出としまして、朝市の実施や交流祭りなどを行なっています。以上 です。 (国連大学サステイナビリティ高等研究所) SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ事務局の天野と申します。長い名前 ですが、短い名前ではIPSIと言う名前で呼んでいます。よろしくお願いいたします。簡単 にIPSIのことを説明いたしますと、こちら国内版の国際版になります。先ほど涌井先生の お話にありました社会生態学的生産ランドスケープという考えを世界に発信したところ、自分 たちの国にも地域にも、そういった里山のようなところがある、でも今ちょっと維持できない、 ちょっとずつ無くなってきているんだよねということで、何とか維持して再構築しようという ことで、2010年の愛知県名古屋市で開催されたCOP10でこの考えが提唱されパートナー シップが設立されました。設立当初は51団体のメンバーだったのですが、今は155団体まで 成長いたしまして、近日中にはですね、どちらも南米なんですけれども、3団体が加わる予定に なっております。主な活動として、メンバー間での情報共有やワークショップ等を開きまして、 そういった場所を提供させていただくと同時に、国連大学というところですので研究ということ で、IGESさんらをはじめパートナーの方々と共同研究等を行なっています。私たちはどう しても国際的な立場ですので、日本というのは本当にすばらしい活動がたくさんされているん ですけれども、私たちが日本だけに偏ってその場所を供給したりするというようなことができ なかったので、このようなネットワークができたことは大変心強く思っております。私は主に 研究のアシスタントをしておりまして、本日はネットワークの情報共有の場を設けたり、ニュ ース発信などを担当している高附と小村も同席しております。どうぞよろしくお願いいたします。 (特定非営利活動法人鴻巣このうとりを育む会) 鴻巣こうのとりを育む会、NPO法人でございます。我々の目標はただ一つでございまして、 コウノトリを空に飛ばそうということを目標にやっています。涌井先生のお話のように、里山 とか、野辺、里、それから田んぼとか、水面にいる生物の環境をこれから磨いて、農家の人達 ともいろいろ相談しながら、コウノトリが住める環境づくりに力を入れてやっていきたいと思っ ております。どうぞよろしくお願いいたします。 (事務局) それではここから、先ほどの事務局説明や皆様方の取組紹介を踏まえて意見交換をさせていた だきたいと思います。以後の進行は、福井県環境政策課の前川参事及び石川県環境部里山創成室 の奥本が務めさせていただきます。先ほどの御質問も含め二人からお話をさせていただきます。 よろしくお願いいたします。 (事務局) 今ご紹介を預かりました福井県環境政策課参事の前川でございます。皆様、今、それぞれの 取組をご紹介いただきありがとうございました。ここからは意見交換ということで、皆様の取組 を踏まえて、先ほど事務局からご説明を申し上げました来年度からの事業計画や活動の方向性 について、ご提案やご意見をいただければ幸いと考えております。隣の奥本石川県環境部里山 創成室長と一緒に進めて参りたいと思いますので、ぜひご協力をお願いしたいと思います。 まず、26年度事業につきまして、お手元の資料の5頁からということになりますけれども、 取組の方向性やテーマにつきまして意見交換をさせていただきまして、その次に、広くネット ワーク全般についてのご意見やご提案について、ここは伊藤園さんからご提案について承って おりますが、意見交換を進めていきたいと思います。 それでは、今後のネットワークの今後の取組の進め方について、ご意見をいただきたいと思 います。ここでは、先程事務局から説明があったとおり、ネットワークの取組を行っていく上で、 メンバー間で共有していく目標があるといいのではないかということでの全体の目標や取組別 目標を記載しております。その前に、6頁になりますけれども、 「SATOYAMA」という言葉 を一般の方々に広めていくにあたっては、わかりやすく定義することが必要であるのではないか いうことで記載しております。それから目標の達成に向けては、ネットワークの取組としてプロ ジェクトを始動させていくということで、9頁からでございますけれども、全体で盛り上げてい く、発信していくプロジェクトと会員さん同士の連携によるプロジェクト、発信プロジェクトと マッチングプロジェクトの2種類があってよいのではないかということで、10頁では実施フロ ーということでお示しさせていただいたところであります。 ここまでのところで、そうじゃなくてこうした方がいいですとか、具体的にこういうことは こういうふうにやった方がいいんじゃないかですとか、いろいろなご意見があろうかと思います が、是非ご意見のある方はお願いしたいと思います。 (事務局) いきなりこう言われてご意見をということもなかなか難しいと思いますので、ちょっと9頁 をご覧いただきたいと思います。先ほど長野県さんからもお話がありましたように、今回参加 されている多くの方が自分たちの取組を発表したい、世に広めていきたいという方々と、こうい ったネットワークに入ることによって情報収集や連携を通して自分たちの活動に活かしていき たいという、大きく分けて二つかなというふうに思っております。そういう意味ではただ漠然 と会員になっていただくことだけが目標とは考えていなくて、入っていただく中で、パートナー を見つけていただくというのが大事だというふうに思っております。参加メンバーの皆様はノウ ハウに長けた方々が大勢いらっしゃいますので、例えば、SATOYAMA塾ということで、 自分たちのノウハウを会員の皆様にいろいろと情報提供していだく、それが資料であったり、 セミナーであったり、今日は涌井先生のご発表でしたけれども、例えば、東京で開催するやり方 もあれば、現地に来てほしいという声があれば出向いて開催するということも考えられると思い ます。会員の皆様方に自分たちのノウハウを提供していただける方を募らせていただいて、SA TOYAMA塾といような形で進めて行きたいという考え方がございます。 もう一つは、ネットワークの会員は行政やNPOの方が多いのですが、もっと企業の方にも 参画していただくなど、いろいろな方に関心を持っていただくことが重要でして、そういう意味 では、今日お集まりのメンバーの方以外の方にも声をかけて、現地に足を運んで、フィールド ワークを体験していただいて、里山をよく知っていただくというような取組を26年度に行なっ ていきたいと思っております。そして、SATOYAMAイニシアティブということの発信を 一般の人にどのように分かりやすく説明していくか、そして、会員の皆様方が具体のマッチン グとしてやるような中身について、26年度の取組による実際の交流を通じて、いろいろ検討 させていただきたいと思います。まず、そのことの考え方についてご意見をいただければと思い ます。いかがでしょうか。もしないようでしたら、これは私どもが一方的に進めるということは ございませんので、今日欠席の皆様方にもお知らせいたしまして、皆様のご意見を聞きながら 進めさせていただきたいと思います。 それでは、伊藤園の笹谷様からご提案を承っておりますので、是非ご説明をいただければと 思います。 (株式会社伊藤園) それでは、お手元の資料に考え方を簡単にまとめてきたのでご紹介します。今日は両県の熱心 なこうした会合のセッティングは企業としても非常にありがたく思っておりまして、伊藤園の 中でどうしたらいいかいろいろ考えまして、企業の角度から、企業としての基本的な考え方は どんな感じで、生物多様性なり里山についてどういうふうにフレームワークを持っているかと いうことでまとめました。最初に、トリプル“S”というのがでてきますが、企業がこういう ことで活動する上で三つの要素があります。まず、CSRということで企業の社会的責任とい う考え方がどういうふうになされているか、二つ目が、皆さんと価値を共有していこうという 時代になっていますので、共有価値の創造ということを理解する必要がある、三番目が、みん なで学ぶべきじゃないかという時代になっているESDという考え方、この三つなんですが、 まず1枚めくってください。2010年にISO26000というのが定まって、CSRとは 何かについて定義が決まりました。それまでは、自分は生物だ、自分は応援だ、自分は環境だ、 美術館だ、これらはみんなCSRだったんですが、CSRの定義が国際的にも決まったので、 これが定着しつつあるというのが現状です。かつ、CSRのCを取ってしまって、ソーシャル レスポンシビリティで、あらゆる組織がみんな世のため人のためを考えるべきだなという規格 が決まったんですね。この規格が国際標準として決まりましたので、おそらくは生物多様性の 関係の国際機関もみんなこれを踏襲してきます。どういうふうに決まったかは次の下の頁ですが、 簡単に言えば、組織が法例を守って、関係者の意見をよく聞いて、本業を活用しながら実践して ください、社会と環境の持続可能性のためですよ、持続可能性というのは、世のため、人のため、 自分のため、そして子孫のためという世代軸が入ってくると思いますが、そういうことをみんな で考えましょうよという時代になったということですね。そうしますと、5頁にありますように、 おおよそ逆三角形に整理されると思いますが、企業なり組織は自分の組織が成長したい、関係 者は持続可能な消費、これは消費者ですね、持続可能な調達関係者、持続可能な生計、これは 労働者ですね。一方、社会と環境も限りある地球をちゃんと持続可能にしましょうというと、 ここにある三つの関係がトリプルWINの関係にならなければいけないでしょうと。ところが 今の時代、企業だけではとてもできないし、自治体だけでもなかなか難しい。それぞれのステ ークホルダーは強みがあるけれども弱みもあって、相互に補完しながらやらなければならない。 みんなでやりましょうと書いているのは、下にありますように多様な関係者との協働でいきま しょうと、パートナーシップですね。これが、ISO26000という世界中のマルチステーク ホルダーである、今日お集まりのいろいろな関係者ですね、自治体、企業、NPO、学者、消費 者、労働者、10年がかりで作ったんですね。その作った結果がこの考え方なんです。この中で、 企業にも、NPOにも、いろいろなところに関係あるのは、本業とは何かということが非常に 大事なんですね。今までは、企業は儲かったので寄付しましょう、自然団体にお助けしましょう と、こういうモードだったんですが、よくあるのは自然には寄付するけれども自分の身の回りを 汚くしているという企業がけっこう多いじゃないですか。世界中を見渡すとそういうのは駄目 だと、自分のこと身の回りのことをきちんとやってから自然など応援してください、寄付は否定 しないけれども、まず本業のやっていることでやりましょうということになったんですね。これ は世界中で決まった基準で、慈善活動は否定しないけれども代替はできませんよとハッキリ書い てあります。これが今の時流です。 次の頁に、じゃあ何を企業なり組織がやるのかということで、7つの主題を決めてくれたん ですね。これがすばらしい。真ん中に組織統治があって、人権を守って、労働慣行をやって、 環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティへの参画、この7つをきちんとやりましょ う、それぞれの組織の強さを発揮してやりましょうと。この中のコミュニティというのはすば らしいですね。おそらく里山の一番大事なのはコミュニティですよ。身の回りの鎮守の森、身 の回りのことをみんなで大事に育てましょう、人の生活、自然の生活、それぞれの融合体をう まく守っていきましょうと、これはコミュニティ課題なんです。今の時代、上にありますよう に全体的アプローチ、下に相互依存性ということがあって、ISO26000はそれぞれ個別的 に、蛸壺的にやってはいけませんよ、相互に関連付けてやりましょうというふうになっています から、おそらくは今の生物多様性の考え方、里山の考え方はちょっと環境寄りすぎるんですね。 環境だけではなくて、人権という意味では人にもやさしくなるし、癒し効果もあるじゃないです か、コミュニティもちゃんとやりましょうと、相当いろいろなことに絡むんですね。絡むよう にやりましょうというのがこのテーマでした。それから、下にパートナーシップの時代、繋がり を求めながらやりましょうと、ですから今日は石川県さん、福井県さんがこうやって集まりを 作っていただくだけで私はありがたいと思って飛んできているんですが、こういう関係者が皆 さんで知恵を出し合いながら生きるという時代になりました。 これによって、次の頁のCSVと言いますが、共有価値を目指して、企業にとっては経済価値 も大事だけれども、社会的課題も両方、一石二鳥で解決しましょうよという時代に企業もなって います。そうしますと、もう一回逆三角形にあたりますが、トリプルWINのところを、共有 価値を創造して、企業は企業で収益に繋がるような活動になっていただくとありがたい。今は メセナ時代みたいに、こういう生物だから儲けの一部を差し上げましょうということは株主の 対応でとても企業は難しくなっているんです。そういう経費はどんどん削られています。です から、生物多様性や里山への応援をしてくださいといって、経団連さんなどにいろいろ声をか けても、本業に関係ありませんからとなってしまうんです。本業に関係ありますよというと、 じゃあやりましょうとなります。こういう構造ですね。 その次がもう一つ大事で、じゃあわかったとCSR、社会的責任を企業はやるんだな、共有 価値を目指して、儲かるしかつ自然や環境にも優しくやるんだなと、ただそのことを分かる人 がいないといけない。企業の中には分かる人が本当に少ないです。それで、社員などに教育を してみんなでわからなきゃいけないということで持続可能な開発のための教育、ここにも持続 可能性、サステイナビリティというのが出てきます。自分のため、人のため、社会のため、明日 のため、子孫のためを考えるという考え方を社内でも勉強しましょう、組織みんなで勉強しま しょう、今日もみんなで勉強して帰りましょう、気づきをもって帰りましょうと。今度、名古屋 で大きな会合がありますよね。COP10の直後にこの会議を招致しますということで、国連 のESDの10年の会議が11月に名古屋市であります。それも生物多様性に関係あると思う のですが、これは、ともに知る、学ぶ、つながる、人づくりになり、地域づくりになる、こう いうコンセプトですね。これは先ほどのISO26000の7つの主題から教育を抜いてきま すと、組織統治における防災、人権教育、社員教育、環境教育、コンプライアンス、消費者、 地域の自然・文化等に関する教育、これらを全部引き抜いて総合的に教育とするとESDなん です。いわば一昔前の寺子屋みたいなイメージです。寺子屋は鎖国時代でしたから、横文字の TERAKOYA、そういうようなモードだと思います。そういうモードですべきだと。そう しますと、三つの“S”で、CSRをISO26000できちんと体系を作って、CSVで共有 価値を目指す接点づくりをして、ESDでみんなで考える習慣をつける、このトリプル“S”で 企業の経営をやるべきだと、これは私の説であり、伊藤園のやっている展開です。 そうすると、この考え方をこのSATOYAMAに適用するとどうなるかというと、テーマ の中の、今日先生のお話もあったようですが、生物とか種とかコウノトリとか、これはすごく 大事なんですが、企業の方にそう言ってもちょっと今忙しくてとなってしまうんですね。そう ではなくて皆さんに関係ありますよという方が早いんですね。せっかくのネットワークで普及 するには理解者を増やさなければいけない。そういう意味で、生態系サービスという概念は非常 に良いです。供給サービスは、食糧、燃料、木材、繊維など、それらの企業が皆関係あります よね。農業から何から皆関係あります。二番目の調整サービスは、先ほどの大成建設さんがや っておられるような環境にどのような影響があるか勉強、計画をするという部分ですね。後は 文化的サービスがすごく大事です。あの風景を見たら気持ちが良いなとか、民宿活動ができるな とか、そういう事業も絡めてプログラムを組む、SATOYAMAエクスカーションというのも、 癒しの効果があるというふうに文化面も入れると深みが出ます。そうすると教育系の方がみんな 入ってきますよ。例えば、日能研さんなんかは環境教育に非常に熱心なんですね。何故かという と、心の癒しに関係がある、そういう意味での教育に関係があるということですね。最後の基礎 サービスは、バイオテクノロジーなどの会社も関係があります。これは会社系の方が皆関係あり ますので、あなたも関係ありますよというお誘いになる。そういう意味で、先ほどのSATO YAMAの定義の中で身近というんですが、個人の身近なんですね、個人だけじゃなくて、一次 産業、二次産業、三次産業も恵みから受けている。恵みから受けていることを理解していただく と皆関係がある、企業系の方も皆関係がある。そうすると活動に広がりが出る。 次に、プラットフォームを作ろうというふうに書いていますが、プラットフォームを作るとき は5要素です。政府の円卓会議で提示しています。 「主体的な参画」 、これは今日皆さんが集まっ ていること自体がこれにあたると思います。それから「互尊互敬」、企業ってそんなことを考え ているのか、NPOさん、行政はこうなんだとお互いの立場の違いを理解する。三番目は「柔軟 な代表」ということで、頭に柔軟性を持っていろいろな事を言う奴がいるなと思って帰る。それ から「協働による創造」ということで、何か接点がありませんかでしょうか、一緒に出来ること はありませんかということ、最後が「開かれたコミュニティ」 、円卓みたいにして皆でディスカッ ションをする、この要素をプラットフォームになるべくやってみたらいいと思います。 私は、プラットフォームは二つくらいのやり方があるなと思っていまして、一つ目の提案は、 例えば、研究機関とか大学の方にも入っていただいた方がいいと思うんですが、人間って発表 したいんですね、やっていることを発表したい、発表の場がほしい、発表に対してリアクショ ンがほしい、そういう場にならないかなということで、特に企業は私これをやっていますとい っぱい言いますよ。ただ、企業だからということでなかなか聞いてもらえない。しかし、プラ ットフォームの場で発表すると、そういうフレームの中でなるほどね、となるんですね。そう いう意味で、企業も発表できる場所があるとありがたい。そのためには発表できる場所を実行 委員会みたいなものを作って、自治体、関係省庁、企業、NPO、研究機関、そして大事なの はメディア、そういう実行委員会を作って、その実行員会が主催するプラットフォームで発表会 をする。発表は三つですね。まず情報交換をして事例発表をする場。これはSATOYAMA 塾のようなものも良いと思うんですね。事例発表をいっぱい分科会でやればいいと思います。 例えば、午前に、分科会の発表セッションがあって、午後くらいに、今日のような先生に来て いただいて基調講演、それから産官学でいろいろな立場の人が意見交換するようなシンポジウム。 また、外に出ると展示会場があって、個性を発揮して、いろいろな形で展示をしたり、映像を 見せたり、ポスターセッションをしたりする。この三つを組み合わせたスキームで何かやります と、1年間あそこを目指して頑張ろうという出口にもなる。何回か続けていきますと、3年目、 4年目くらいには相当きちっとした蓄積になってくる。場合によっては、シンポジウムでミニ 宣言などを作ることも可能です。そうしますと皆の旗頭になる。 2番目が、ESDのやり方もそうなんですが、ロゴマークやキャラクター、キャラクターは、 今、ゆるキャラが相当厳しいので新たに作っても厳しいと思いますが、少なくともロゴマーク があると、私はこういう活動をしていますというときに、事務局が要件の整った活動にはマー クを付けられます、また、企業のホームページでもバナーを貼ってリンクを貼れる、そういう ものがあると企業は非常にありがたいんです。これがSATOYAMA推進ネットワークで認 めていただいている活動なんだなということで、ある程度のルールの下でマークが付けられれ ば、我々、伊藤園のTシャツを着て、おーいお茶のキャンペーンをする際に、マークを付けて、 今日はこういうマークで着ていますなど、そういうことで商品の展開なんかもできる。そうい うことになるとこれはソフト的なプラットフォームですね。ですから、企業が乗りやすい、乗 ったらうまく回れそうだいうふうに思うものがあるとありがたい。私は、これは企業だけでは ないと思います。NPOさんも組織展開をどうやってやるかということに非常に苦労されてい て、NPOさん同士のアイディア勝負の時代になっていて、自分のやっていることをうまく発 信して理解者と協力者をいっぱい増やしたい、そういう普遍的な構造になっていると思います。 プラットフォームで最も成功したのが道の駅だと思います。道の駅にみんな乗っかっている。 これは建設省が、昔、私は農林水産省で仕事をしていて、その後環境省にも出向していたことが あるんですが、この道の駅がすばらしいんですね。駐車場と情報機関を作っただけなのに、いろ いろな機能のものとか、いろいろな自治体の組織や直売所がみんな乗っかった。あれはハード・ プラットフォームですね。私が提案しているのはソフトのプラットフォームですけれども、こ れも一つのアイディアとしてせっかくの機会ですのでご提案させていただきます。 三つの“S”が大事だということについて、思いが募って最近はしゃべるだけではもったい ないということで書き始めたので、今言ったことをもうちょっと理解したいという方は、書いた ものもありますので参考にしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。 (事務局) どうもありがとうございました。大変有益なお話だったと思います。具体的なご提案につき ましては、今後検討して参りたいと思います。今の伊藤園様のお話について、ご質問やご意見 はありますでしょうか。どうぞ。 (埼玉県生態系保護協会大宮支部) 今お話いただいた内容について、大きい企業にとって中身がある話だと思いますけれども、 自分たちの活動をしている場所の中小企業や有限会社など、そういう企業に対してどういうふう に営業をすればいいか。生態系サービスなど、どの辺を強調すれば、きっかけが生まれるか。 (株式会社伊藤園) どんな企業も、一番思いを込めているところがあるので、お誘いをしようとする内容とその 企業の本業のコアのところの接点を考えると良いと思います。接点がダイレクトに、例えば、 伊藤園のようにお茶の会社だから茶産地育成事業や茶殻リサイクルをやっていますと、それは 本業そのものなんですね。もう一つは、本業に関連付けてというところをうまく使ったらいい と思います。思いがあって継続的に応援したいと、例えば、地元にいるのでこの取組には非常 に思いがあるので応援したいんですと継続性を持って展開してくれるのであれば、それはそれ で一つの理解者だというふうに思います。もう一つは、本業のスキルですね。例えば、トヨタ織 機さんのようなモノを作っている会社は、モノづくりのノウハウがあるわけです。そのモノづ くりを里地里山の活動にそのノウハウを活かせませんかとお誘いすると乗ってくると思います。 その三つに関連するようなことを探してあげると相手に響く。相手に響かない限り、今忙しい から勘弁してくれということになる、そういうイメージですね。 (事務局) ありがとうございました。他に何かございませんか。どうぞ。 (神奈川県) 神奈川県の農地保全課の近藤と申します。先ほど平岡からも話がありましたが、私たちは農村 の方からの視点で里山の活動に取り組んでおります。今日の参加者の皆様のご所属を見ますと、 どちらかというと生物多様性の方からの取組が多いと思いますが、農村でもともと生活があって 里山が継続されてきたところからすると、私たちは里山の恵みを多面的な機能という言い方を しておりまして、例えば、風景が綺麗だとか、生活文化が伝承されているとか、自然とのふれ あいの場があるとか、生物多様性もそのうちの一つというような言い方をしております。里山 をどうやって守るのかというのがまさに私たちの県でもいろいろ課題がございまして、事務局 から提案がございましたように情報発信やマッチングは非常に重要であると考えておりますが、 発信する情報が読んでくださる皆さんにとって、自分にとってどう関係があるのかということ がわかりにくいと、こちらからの一方的な発信だけになって皆様の心に届かなかったり、皆様の 参加の動機付けになっていかないのかなということを考えておりまして、これからは本県としま しても、どうやって皆様の心に届くような情報を発信していけばいいのかということを考えな ければいけないと思っております。一つには、里山の活動をするとどんな効果があるのという ことが分かれば皆さん取り組み易いのではないかということで、例えば大学ですとか研究機関 の方には、県がお金がないものですから、独自にやっている研究の成果などがあれば、そこを わかりやすく情報を提供していただくのが良いんじゃないかというふうに考えております。 それから企業の話が出ましたけれども、静岡県さんで一社一村運動というような企業と地域 が一緒になって活動するということをやっておられまして、私どももそこで情報を得まして、 それを活用して里山の方でも同じような取組を、数は少ないんですけれどもやりはじめており ます。一つは、鉄道会社さんにお話しをしましたところ、里山であるイベントがあれば、運ぶ 道具として私たちの事業がうまく使えるんじゃないかということで、まさに本業を活かした取組 というところで支援をいただいているというような形です。そうした形で、企業の皆様にも、 環境や生物多様性だけのアプローチだとなかなかハードルが高く感じられてしまうのではないか と思います。どんな形でも地域で活動を継続していくにあたっては、さまざまな課題があると 思います。農家の方ですとインターネットを使えないということもありますので、そうした情報 をサポートしてあげることだけでも非常に助けになるとおもいますので、まさに多様な分野で 企業さんとメリットのある結びつきができればいいのかなと。そういうようなこともいろいろ 発信できていければ非常に有効なのではないかと思いまして、このプロジェクトが進んでいけば いいのかなと思いました。以上です。 (事務局) ありがとうございます。12月の幹事会のときにもあったのですが、企業さんにとっては全く の慈善事業ということではなくて、本業に関係して、本業に役立つもの、そしてそれが里山の 保全にも、社会にも役立っているところが大事なんだろうというふうに思います。もう一つあ ったのは、取り組んでいる活動を多くの方に知っていただくという、光を当てるという作業が、 これは企業さん、NPOさん、自治体さんにとっても大事なことなんだろうなと思っておりま して、今のお話と合うかどうかわからないんですけれども、そういうプラットフォームとして 機能するということが非常に大事なんだろうなと感想として思いました。先ほどの質問で、なぜ 石川県と福井県がこのネットワークをということがありましたので、最後にお答えして終わり たいと思います。 (事務局) 先ほど、埼玉県生態系保護協会大宮支部さんからご意見をいただきましたが、今回、石川県、 福井県の主催の会議ではなく、皆さんに参加いただいておりますSATOYAMAイニシアテ ィブ推進ネットワークの担当者会議として開催させていただいております。なぜ石川、福井が こういった形で声をかけてやり始めたかといいますと、愛知県でCOP10が開催されたという ことは皆様ご存知だと思いますが、先ほど国連大学さんからもご説明がありましたように、そ の時にSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ・IPSIが立ち上がりまして、 石川県も福井県もメンバーとして参加しております。そういった国際的な推進組織が立ち上が ったのですが、国内については推進組織がない、IPSIの国内版という意味合いでこうした 組織を立ち上げたいというところで、国連大学さん、環境省さんからもご意見等をいただいて、 国内のネットワークを広げていこうということで立ち上げさせていただきました。私どもの県 においては、先ほど神奈川県さんのお話とも相通じるものがあるんですけれども、生物多様性 の保全のためには、そこに人が住んで生業がある、コミュニティを形成するという意味で地域 づくりがある、それらがあって里山が保全され、生物多様性が保全されるという取組で進めて おりますので、そういった意味で、自然環境の保全だけではなく、幅広に取り組ませていただ きたいと思っておりますし、農林水産省さんにも入っていただいて、活用事業についても情報 提供をさせていただきたいと思っております。 本日は時間も無くて、皆様方と一緒に勉強する会になってしまいましたけれども、今後、皆様 方が情報交換できる、情報の発信ができる場として、そして企業さん、NPOさん、自治体さん の取組がクローズアップされて、そういった取組が各地で広がるように、事務局としても知恵を 出して、今後とも皆様方と一緒になってやっていきたいと思いますし、皆様方の参画型のネット ワークにしていただければというふうに思います。 (事務局) 以上で実務者連絡会議を終了させていただきます。この後、短い時間ではございますが、交 流会を開催させていただきます。せっかくの機会でございますので、会員の皆様方同士の情報 交換とともにさらなる交流を深めていただければと思います。 本日はありがとうございました。
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