ASTRO-‐H衛星搭載 軟ガンマ線検出器(SGD)の搭載品を用いた 軌道上環境での動作検証 枝廣育実(広大理), 古井俊也, 河野貴文, 白川裕章, 大野雅功, 高橋弘充, 水野恒史, 田中康之, 深沢泰司(広大理), 渡辺伸, 太田方之, 武田伸一郎, 小高裕和, 林克洋, 一戸悠人, 内田悠介, 桂川美穂, 高橋忠之(ISAS/JAXA), 山岡和貴, 木下将臣, 田島宏康(名大 STEL), 村上浩章, 中澤知洋(東大理), 内山秀樹(静岡大), 他HXI/SGDチーム 日本天文学会2015春期年会 1 ASTRO-‐H衛星搭載 軟ガンマ線検出器 軟ガンマ線検出器(So9 Gamma-‐ray Detector, SGD) -‐ 観測帯域:60-‐600keV -‐ 主検出部:(狭視野)多層半導体コンプトンカメラ(CC) -‐ CC3台, BGOアクティブシールド, ファインコリメータ FC Si-‐Pad BGO CC SGD-‐S CdTe-‐Pad コンプトンカメラ(CC) -‐ Si-‐Pad検出器 32層 -‐ CdTe-‐Pad検出器 BoJom 8層+ Side 2層×4 -‐ 平均積層ピッチ1.8mmで高密度に積層 -‐ コンプトン散乱を積極的に利用して広帯域, 高感度ガンマ線観測を目指す ■衛星搭載品(FM品) -‐ SGD1-‐S 2014年11月末完成 -‐ SGD2-‐S 2015年1月完成 日本天文学会2015春期年会 2 衛星搭載品を用いた試験 2014年11月 ・低温試験 ・熱真空試験 12月 2015年1月 2月 3月 SGD1 SGD2 ・振動試験 ・音響試験 恒温槽 ■低温動作試験 @宇宙研C棟恒温槽 ・軌道上動作温度(温度~-‐25℃, 常圧)での長期動作試験 ・回路パラメータの最適化, 各種線源によるエネルギー キャル, バックグラウンド取得など SGD-‐S Y X Z 視野方向 日本天文学会2015春期年会 3 衛星搭載品を用いた試験 ■熱真空試験 @筑波8mφチャンバー棟 ・軌道上動作環境(温度~-‐25℃, 真空度~1.3×10-‐3Pa)での長期動作試験 ・低温試験試験項目に加え, 熱入出力を模擬した熱バランス試験も兼ねる ■振動試験・音響試験 @筑波 SGD-‐S ・衛星打ち上げの際の振動・音響を機器に加え, 問題なく設計されているか 本研究の目的 SGD-‐Sの衛星搭載品(FM品)を用いた長期動作試験である低温試験, 運用時の状況を 模擬した熱真空試験のデータ解析を行い, FM品の詳細な動作検証を行う。また振動, 音響試験による機器への影響を調べる。 日本天文学会2015春期年会 4 低温, 熱真空試験 解析項目 ■解析データ データ取得中にセットアップの変更がないバックグラウンドデータ ■解析項目一覧 ・ライトカーブ ・スペクトル ・ノイジーなピクセルの有無, 位置 ・CCBUSYキャンセル機能 ・FBGO, HPATフラグ付きイベントレート ・FBGOキャンセル機能 ・BGOシールドとの反同時計数処理 ・ヒット数分布 ・DeltaT分布とイベントレート ・各フラグイベントの設定別割合 CC1 CC2 CC3 イベント…同一CC内での事象 シグナル…同一CC内で起きた複数の反応 ■性能(コンプトン再構成, バックグラウンド除去)は次の内田講演 日本天文学会2015春期年会 5 CC付近の温度履歴 6日間 -‐20 温度[℃] SGD2 低温試験 7日間 SGD2 熱真空試験 7日間 -‐20 -‐20 時間 -‐20 温度[℃] SGD1 低温試験 温度[℃] 温度[℃] ■放熱・熱設計の観点からカメラ部の温度要求を満たしているか 時間 時間 SGD1 熱真空試験 10日間 要求される温度範囲内での動作が行われた ■熱バランス試験 (SGD1 熱真空試験中に実施) ・衛星パネルからの熱入力を模擬した試験により 想定される分布となった 日本天文学会2015春期年会 時間 6 安定動作検証 (1)長期ライトカーブ ■一定のレートでバックグラウンドが取得されているか、放電が生じていないか カウントレート[counts/sec] SGD1 低温試験 長期ライトカーブ SGD1 熱真空試験 長期ライトカーブ CC1 CC1 CC2 CC2 CC3 CC3 4日間 時間 7日間 時間 ■長期ランニング試験中は安定的にデータ取得が行われた (レートの高い箇所は線源照射, テストパルス測定時) 日本天文学会2015春期年会 7 安定動作検証 (2)DeltaT分布とイベントレート DeltaT分布 頻度 ■DeltaT[counts/sec] (待ち時間分布) 横軸live ame, 縦軸頻度を指数関数で ficngしたベキB DeltaT分布 直線にのらない I(t)dt = Ae−Bt dt liveame[sec] これらは一致するべき (ズレがあればノイズによるトリガーの影響が 考えられる) ■総イベント数/live ame [counts/sec] ライトカーブ ライトカーブ イベント数増 10時間 10時間 SGD2熱真空試験 CC2 ■取得データごとに確認を行い, 全データとも誤差の範囲で一致 →検出器の安定動作を確認 ■直線フィットからのずれやイベント数増があればシグナル位置分布 により状況を確認した →多くは右図のようなCdTe-‐Sideでのノイズ 日本天文学会2015春期年会 8 SGD2熱真空試験 CC3 バックグラウンドスペクトル counts SGD1 Si Spectra 赤:CC1 CdTe-‐BoJom Spectra CdTe-‐Side Spectra CdTe-‐BoJom Spectra CdTe-‐Side Spectra 緑:CC2 青:CC3 0 400 800 ADCValue counts SGD2 Si Spectra 0 400 800 ADCValue ■低エネルギー側(ノイズ成分)の振る舞いは異なるが, 各CCで同程度のイベント取得が確認された ■バックグラウンド除去については内田講演参照 日本天文学会2015春期年会 9 BGOアクティブシールドとの反同時計数処理 BGOアクティブシールド ■視野外からの宇宙線や荷電粒子を遮断 ■BGO信号との反同時計数処理によりbgd除去 →従来の検出器の感度より一桁以上高い性能の 実現を目指す CC1 CC2 CC3 FastBGO など 頻度 宇宙線イベント 黒:全直線イベント 緑:UDつき 青:Hitpatつき 赤:FastBGOつき Hitpat ~150keV FastBGO ~250keV UD ~7MeV ■宇宙線イベントを用いた反同時係数処理の効率 CCで直線状に10回以上シグナルをだしたイベントのフラグを調べた ・直線イベントに対し, ほぼ100%の効率で Ana信号がついている →BGOとCCとの同期が取れている ・要求性能に対しては今後検証 シグナル数 日本天文学会2015春期年会 10 振動試験, 音響試験 ペデスタル分布 ■解析目的 ・振動試験, 音響試験後に読み出し線が外れていないか →各試験で同じ設定で取得したペデスタル分布を調べ, 前後の試験で比較を行った ペデスタル…ガンマ線が入っていない時の各ピクセルのADC値 1 SGD1 低温試験前常温機能試験に 対するFWHMの比 FWHMの比 中心値の比 SGD1 低温試験前常温機能試験に 対する中心値の比 1 低温試験前 Z軸加振後 音響印可後 常温機能試験 X軸加振後 熱真空試験後 常温機能試験 Y軸加振後 低温試験後 熱真空試験前 常温機能試験 常温機能試験 ■試験前後でペデスタル分布の変化は なく, 全ピクセルで読み出しがされている ため, 配線が外れたピクセルはない →仕様通りに機器が製造されている 日本天文学会2015春期年会 11 まとめ ASTRO-‐H衛星搭載品のSGD1,2の試験データを用い, 機器の詳細な動作検証を行った ■低温試験, 熱真空試験データ解析 バックグラウンドデータを用いた解析により, 各種解析項目を調べ, 機器の正常かつ安 定的な動作やデータ取得状況を確認した ■振動試験, 音響試験データ解析 衛星打ち上げ時に想定される振動, 音響を加えた後も機器の配線が外れることはなく, 問題なく設計されている ■エネルギー較正や要求性能に対する評価は内田講演参照 今後 ・フラグつきイベントを用いたバックグラウンド除去 ・フラグつきイベントのレートを調べ要求性能との比較 日本天文学会2015春期年会 12
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