ラグビーウェア(Players clothing)の発展と機能について -発達の歴史と役割を考察する— 〇 鈴木 道男 キーワード (どんぐりラグビークラブ) ラグビーウェア、 デザイン、人間工学、機能、チームアイデンティティ 【目的】 ラグビーウェア(Players clothing)は、その時代 性を反映し、選手やファンに大きな影響力を持つ。 ウェアの役割を解明することで、競技力向上やフ ァン層の拡充、ラグビー普及発展に寄与できる。 期待されるウェアの未来についても考察する。 【方法】 ウェアサプライヤー、メーカー、工場など取材、 所蔵ジャージの年代、素材、デザイン別調査によ り分析した。 【結果と考察】 ① ラグビーウェアの発達(歴史・沿革) 初期のウェアは、綿素材中心に毛混もあった。 ニット素材の編地、段柄ジャージなどのデザイン が多く、使用カラーなど限られたデザインで、各 チームの特徴を表現した。１９９５年頃まで、綿 素材、長袖の伝統的デザインが続いた。 本体に背番号やエンブレム縫い付け、マーク刺繍 などの技法で、重量も相対的に重くなった。 ※年代別 ジャージ素材の変遷・特徴 年代 組成 特徴 デザイン 初期 毛混など 重い 保温 クラシック 1970年代 綿素材 耐久力 価格 段柄 メンテナンス ボックスタイプ 1990年代前期 綿ポリエステル混紡 1990年代後期 ポリエステル合繊素材 機能性 半袖一般化 2000年代以降 合繊素材 フィットタイプ 昇華プリント ② デザイン革命⇒メッセージの発信へ ラグビープロ化、１９８７年ワールドカップ開 催など、スポンサーや大会ロゴマークをウェアに 表示する必要があり、新素材開発、デザイン企 画、縫製技術の研究が進んだ。 ③ 素材革命⇒機能性繊維の普及 吸汗速乾、メンテナンス、引き締め効果 ④ 製造技術の革新、 人間工学に基づく曲線縫製、立体的シルエット 伸縮性素材で動きやすく、斬新なデザインの登場。 ⑤ 多様なデザイン創造 昇華プリント技術の確立と普及により、多様な デザインに対応して、ウェアの軽量化が進む。 A 選手・チームウェア 勝利とプライド表現、運動機能向上 B レフリーウェア 12 色環、補色を意識したデザイン、独立性 C ファン、サポーター レプリカウェアでチームと一体化、 リーズナブルな価格形成でファンに普及拡大 年代 1971 1976 1977 1982 1987 1993 1993 1993 1993 1995 1995 1995 1996 1996 1997 1997 1997 1997 1997 1997 2000 2000 2002 2003 2005 2005 2012 2012 2012 2005 2009 2010 2011 2012 2013 チームなど 桃山学院大学 大阪クラブ 花園高校OB VIPクラブ EBB TIDE RFC Canada EBB TIDE RFC Canada ジェントルマンクラブ ジェントルマンクラブ Ever green RFC Canada TWILIGHTER RFC Canada 台北市代表 Taiwan 銀杏クラブ RANDWICK Sidney どんぐりクラブ Regular BKKCorcaires-RFC France Bangkok-JAPAN Dongri-Bangkok KATANO-RFC Hong Kong 7 Hong Kong 7 どんぐりクラブ Regular2 淡江中学OB 台湾無惑 新竹長城 台北巨人 どんぐりクラブ second BUDGIES RFC Australia BUDGIES RFC Australia BIG RIVER BULLROUTS Referee Original Referee 大阪協会 Referee IRB Referee 日本協会 Referee Golden Oldies Referee 関東協会 袖 長 長 長 長 長 長 長 長 長 長 長 長 長 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 組成％ 綿 100 綿 100 綿 100 綿/アクリル 綿 100 綿/ポリエステル 綿/ポリエステル 綿/ポリエステル 綿 100 綿 100 綿 100 アクリル100 綿/ポリエステル 綿/ポリエステル 綿 100 綿 100 綿 100 綿 100 綿 100 綿 100 綿/ポリエステル 綿 100 ポリエステル 100 ポリエステル 100 ポリエステル 100 綿 100 ポリエステル 100 綿/ポリエステル 綿/ポリエステル ポリエステル 100 ポリエステル 100 ポリエステル 100 ポリエステル 100 ポリエステル 100 ポリエステル 100 重量g 560 470 520 550 750 420 530 540 580 630 560 560 670 400 450 470 430 530 440 470 350 370 290 250 280 200 250 300 380 180 290 340 250 250 240 生産国 日本 日本 日本 日本 Canada Canada 日本 日本 Canada Canada Taiwan 日本 Australia 日本 Thailand Thailand Thailand 日本 China 不明 日本 Taiwan Taiwan Taiwan Taiwan China China China Australia 日本 日本 China 日本 China 日本 ※すべて所蔵しているジャージ抜粋にて調査 2015 年 ⑥ 未来のウェア役割と方向 斬新なデザイン、身体能力維持向上、軽量化で、 選手をサポートするウェアが登場する。 デザイン⇒勝利、強さ、誇り、華やかさ、憧れ、 よりイメージを重視 機能 ⇒体力維持、パワーアップ、持久力向上 縫製技術⇒選手個人のオーダーメード普及 情報発信⇒洗練されたロゴマーク、 チームアイデンティティ表現 【まとめ】 ラグビーウェア(Players clothing)は１９９５年 以降～技術革新が起こる。新しい素材とデザイン は、２０００年代にトップチームから一般チーム まで飛躍的に普及発展、その地位を確立する。 ラグビーウェアの発達は、ラグビー普及に大きく 寄与し、プレーヤーの安全とプライドを醸成する 大切な要素である。またスポーツ経済の拡大にも 貢献する。 斬新なデザインと機能性は、勝利を呼び、選手 やファンを華やかなスタイルで魅了し、ラグビー 競技の魅力、新鮮な楽しみのオプションを広げる。 ２０１９年ワールドカップに向けて、ますます 進化するウェアに注目をしたい。 ラグビーウェア(Players clothing)の発展と機能について －発達の歴史と役割を考察する－ 日本ラグビー学会 ２０１５年３月２８日(土) 発表者 鈴木 道男 見た目のイメージ • 第一印象 資料 http://www.gant.jp/ 目的 ラグビーの魅力をウェアから考察 • ラグビー、スポーツを支える用具の進化 • ラグビーウェア(Players clothing)は、その時代性を反映し、 選手やファンに大きな影響力を持つ。 • ウェアの役割を解明⇒競技力向上やファンの拡大、 ラグビー普及発展に寄与できる。 • 期待されるウェア(ジャージ)の未来を考察する。 ウェアの役割 • 選手の安全保持 • 運動機能向上 • チームアイデンティティー表現 • メッセージ ラグビーを構成するものが進化 • グラウンド クレイ ⇒ 天然芝、人工芝、 ボールの進化 天然皮革 ⇒ 合成皮革 ウェアの変遷 天然繊維⇒合成繊維 ※年代別 ジャージ素材の変遷・特徴 年代 組成 特徴 デザイン 初期 毛混・綿など 重い 保温 クラシック ～1970年代 綿素材 耐久力 価格 段柄 1990年代前期 綿ポリエステル混紡 1990年代後期 ポリエステル合繊素材 2000年代以降 合繊素材 メンテナンス ボックスタイプ 機能性 半袖 昇華プリント フィットタイプ 年代 1971 1976 1977 1982 1987 1993 1993 1993 1993 1993 1993 1995 1995 1995 1996 1996 1997 1997 1997 1997 1997 1997 2000 2000 2002 2003 2005 2005 2012 2012 2012 2005 2009 2010 2011 2012 2013 チーム な ど 桃山学院大学 大阪クラブ 花園高校OB V I Pクラブ (North side club) EBB TIDE RFC Canada EBB TIDE RFC Canada Pacific Northwest Vancouver ジェントルマンクラブ ジェントルマンクラブ 迷惑倶楽部 (福岡) Ever green RFC Canada TWILIGHTER RFC Canada 台北市代表 Taiwan 銀杏クラブ (大阪協会Referee) RANDWICK Sidney どんぐりクラブ Regular BKKCorcaires-RFC France Bangkok-JAPAN Dongri-Bangkok KATANO-RFC Hong Kong 7 Hong Kong 7 どんぐりクラブ Regular2 淡江中学OB Taipei 台湾無惑 新竹長城 Taiwan 台北巨人 どんぐりクラブ second BUDGIES RFC Australia BUDGIES RFC Australia BIG RIVER BULLROUTS Referee Original Referee 大阪協会 Referee Ｉ Ｒ Ｂ (Dubai) Referee 日本協会 Referee Golden Oldies Referee 関東協会 袖 長 長 長 長 長 長 長 長 長 長 長 長 長 長 長 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 半 組成％ 綿 100 綿 100 綿 100 綿/アクリル 綿 100 綿/ポリエステル 綿 100 綿/ポリエステル 綿/ポリエステル 綿/ポリエステル 綿 100 綿 100 綿 100 アクリル100 綿/ポリエステル 綿/ポリエステル 綿 100 綿 100 綿 100 綿 100 綿 100 綿 100 綿/ポリエステル 綿 100 ポリエステル 100 ポリエステル 100 ポリエステル 100 綿 100 ポリエステル 100 綿/ポリエステル 綿/ポリエステル ポリエステル 100 ポリエステル 100 ポリエステル 100 ポリエステル 100 ポリエステル 100 ポリエステル 100 重量g 560 470 520 550 750 420 620 530 540 640 580 630 560 560 670 400 450 470 430 530 440 470 350 370 290 250 280 200 250 300 380 180 290 340 250 250 240 生産国 日本 日本 日本 日本 Canada Canada Canada 日本 日本 日本 Canada Canada Taiwan 日本 Australia 日本 Thailand Thailand Thailand 日本 China 不明 日本 Taiwan Taiwan Taiwan Taiwan China China China Australia 日本 日本 China 日本 China 日本 ※すべて所蔵しているジャージ抜粋にて調査(2015年資料) スタイリッシュに進化 その背景 • １９８０年代 日本のラグビー人気が全盛 • １９８４年 早稲田・明治のゲームに６万人 • １９８７年 第一回ワールドカップ開催 • １９９５年 「ラグビーアマチュア宣言」撤廃 • プロ・アマのオープン化 ウェアに企業ロゴ表示 • フィールド上に広告表示 ⇒強豪国の収入増加 • ２００３年 JAPAN RUGBY トップリーグ発足 • プロのリーグ発足・拡大 ⇒ メディア露出 • ２０１９年 ワールドカップ日本開催 デザイン革命⇒メッセージの発信へ • １９９６年以降 資料 http://www.rugbygoods.com/ ラグビープロ化により、スポンサーや大会ロゴマークを ウェアに表示する必要があり、プリント技術が発達 ⇒新素材開発、デザイン企画、縫製技術が進化 • 素材革命⇒機能性繊維の開発・普及 • 吸汗速乾、簡易なメンテナンス、引き締め効果 昇華プリント デザイン・技術の向上 資料 http://www.suzuki-ap.jp/scrum/company.html 製造技術の革新 • 人間工学に基づく曲線縫製、立体的シルエット • 伸縮性素材で動きやすく、斬新なデザインの登場。 資料 http://www.rugbygoods.com/ ウェアの配色 レフリーウェア チームカラーと重ならない配色 ハッキリと区分けできる独立性 １２色相環 補色の意識 三原色を調整・組み合わせる 対戦チームとレフリー 未来のウェア役割と方向 斬新なデザイン、身体能力維持向上、軽量化で、 選手をサポートするウェアが登場する。 デザイン 機能 縫製技術 情報発信 ⇒勝利、強さ、誇り、華やかさ、憧れ、よりイメージを重視 ⇒体力維持、パワーアップ、持久力向上 (選手寿命の延長) ⇒選手個人対応するオーダーメード普及 ⇒洗練されたロゴマーク、チームアイデンティティ表現 世界のラグビーウェアと競合 資料 2014 http://www.rugby-japan.jp/ 資料 2014 http://www.rugby-japan.jp/ デザイン開発 • ウェアのデザイン進化 • 素材の進化 • 斬新なロゴマーク 発信力 • 全体のバランス まとめ ラグビーの魅力 競技力の戦い⇔ウェアの戦い 観客を魅了する • ラグビーウェア(Players clothing)は、１９９５年以降技術革新 • ２０００年代にトップ強豪チームから一般チームまで飛躍的に普及発展 • ラグビーウェアの発達は、ラグビー普及に大きく寄与 • プレーヤーの安全とプライドを醸成する大切な要素 • スポーツの存在感を増し、経済効果増大、普及拡大にも貢献 • 斬新なデザインと機能性は、勝利を呼び、選手やファンを華やかなスタ イルで魅了し、ラグビー競技の魅力と楽しみのオプションを広げる。 • ますます進化するウェアに注目したい。 ありがとうございました。
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