KITEC INFORMATION No274 (2015, Spring)

274
KITEC
INFORMATION
No.
2015 SPRING
巻頭言
一般財団法人 九州産業技術センター 評議員 小山 一民
(九電テクノシステムズ株式会社 代表取締役社長)
賛助会員の広場
株式会社ミドリ印刷
私の研究室
九州工業大学宇宙環境技術ラボラトリー 趙 孟佑 教授
支援企業の紹介
株式会社ウラノ 長崎工場
お 知らせ
KITEC INFORMATIONは
ホームページにも掲載しております。
http://www.kitec.or.jp/
センターからのお知らせ
平成27年度(後期)人材育成助成の実施について
平成27年度 九州地域新産業戦略に基づくイノベーション創出事業
−機械工業振興チャレンジ研究調査−
KITEC INFORMATION
2015 No.274
●巻頭言
一般財団法人 九州産業技術センター 評議員
........................................... 1
小山 一民(九電テクノシステムズ株式会社 代表取締役社長)
●賛助会員の広場
株式会社ミドリ印刷..................................................................................................................................... 2
●私の研究室
九州工業大学宇宙環境技術ラボラトリー 趙 孟佑 教授............................................................................. 4
●支援企業の紹介
株式会社ウラノ 長崎工場......................................................................................................................... 8
●センターからのお知らせ
「平成 27年度事業計画」の概要...............................................................................................................10
平成 27年度(後期)人材育成助成の実施について...................................................................................13
平成 27年度 九州地域新産業戦略に基づくイノベーション創出事業
- 機械工業振興チャレンジ研究調査 -.....................................................................................14
●センターの活動報告
技術企画委員会、理事会及び評議員会を開催..........................................................................................15
平成 26 年度事業報告..............................................................................................................................16
九州地域新産業戦略に基づくイノベーション創出事業
・第 3 回事業化可能性検討分科会 開催報告........................................................................................ 21
・第 4 回コーディネータ連絡会 開催報告............................................................................................. 22
・第 2 回ニーズ発表会 開催報告........................................................................................................... 23
・第 2 回事業推進委員会 開催報告...................................................................................................... 24
平成 26 年度九州地域ものづくり中小企業化支援事業
関係機関連絡会開催報告. ................................................................................................................ 25
............................................................................. 26
九州地域環境・リサイクル産業交流プラザ(K-RIP)
K-RIP 設立「15 周年記念セミナー」
、
「環境イノベーションフォーラム」
&「マレーシア環境ビジネスミッション団」派遣の報告
. ........................................................................................... 29
九州ヘルスケア産業推進協議会(HAMIQ)
[医工連携マッチングセミナー in 宮崎]
[第 2 回“ヘルスケア産業づくり”貢献大賞]
[ポピュレーションセミナー]
[海外における医療機器関連市場開拓等]
[上海におけるヘルスケアサービス事業性調査]
●シリーズ
平成 26 年度(後期)国際研究集会参加報告. .......................................................................................... 32
●九州経済産業局情報
. ............................................................... 36
平成 27年度 戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)
. .......... 37
平成 27年度 シーズ活用研究開発事業[予告]
(革新的ものづくり産業創出連携促進事業の内数)
研究開発税制について ~平成 27年度税制の改正~................................................................................ 38
人事異動.................................................................................................................................................. 39
九経マンスリー........................................................................................................................................ 40
. ..........................................................................................41
九州地域の鉱工業動向(平成 27年 2 月速報)
●産総研九州センター情報
最近の特許情報........................................................................................................................................43
●その他ご案内
技術相談のご案内. ...................................................................................................................................44
賛助会員制度へ入会のご案内...................................................................................................................45
●
巻頭言
●
KITEC 2015 No.274
電力量計のスマート化について
一般財団法人 九州産業技術センター 評議員
小山 一民
(九電テクノシステムズ株式会社 代表取締役社長)
我社は、2012年1月1日に㈱キューキと九州計
装エンジニアリング㈱が合併して出来た、大変新し
い会社です。
力会社のセンターサーバに通信する機能③お客さま
との連系を遠隔で解除できる開閉機能
これらの機能は、北海道から沖縄まで同一仕様で
700名強の従業員で、九州電力向けの制御用機
作られ、日本中の電力会社が日本中のお客さまに直
器や電力量計を作っています。また、一般向けにも
接アクセス(契約)できるようになります。電力小
様々な機器を作っています(売上の10%程度)
。
売自由化はこの仕組みで実行できるようになります。
合併のきっかけは、九州電力が従来の機械式電力
量計(機械式メーター)を止め電子メーター(スマー
そして、スマートメーターが起点になり、各種スマー
トグリッドが形成されるようになると思います。
トメーター)に切り替える方針を出したことです。
今まで、電力量計の世界は殆んど注目されること
その後、この動きは全国大の動きとなり、国が進め
のない、非常にマイナーな世界でした。一部の専門
ている「電力システム改革」の電力小売全面自由化
メーカーが電力量計を作り、私共もその一部を担当
を達成する為のインフラ整備事業となりました。今
させてもらっていました。しかし、スマートメーター
後7〜8年で全国のメーターがスマートメーターに
に変わり、スマートグリッドの起点になるというこ
取り替わることになります。これを契機に、私共は
とで、大きく脚光を浴びるようになりました。日本
合併することにいたしました。
中の大手電機メーカー(重電・白物・通信等あらゆ
私共は、それぞれ50年以上の歴史を持つ会社で、
るメーカー)が参入する様になりました。コスト競
機械式メーターの製造と修理を毎年70〜80万個
争も大変激しくなっています。又、日本だけでなく
やっています。これが今後スマートメーターに変わ
世界中のメーカーも日本参入をうかがっています。
り、製造・修理の概念が大きく変わります。10年
中小企業の我々には、大手と対当な競争は出来ませ
毎(検定更新の為)に解体修理していた機械式メー
ん。九州の地で、地元の強みを生かし、大手とアラ
ターから修理しない(使いきり)の電子メーターに
イアンスを組んで生きていくしかないと思っています。
変わります。
幸い我社は、九州電力の「発電所」
「変電所」
「制
機械式メーターは、10年毎に修理し、30〜40
御所」「配電線」等の監視・制御に拘わる仕事や、
年間使う、大変丈夫な精密機械です。これを120
保安に拘わる仕事など、電力系統の神経系の仕事を
人程度の従業員で守ってきました。それがこれから
行っています。この経営資源を最大限に活かしてい
無くなっていきます。
『巧』の世界がまた一つ消え
きたいと思っています。
る思いです。
スマートメーターを起点に我社の周りで仕事が大
過去、
「蒸気機関車が電車」に、「機械式時計が電
きく変わろうとしていますが、幸い我社は3年前に
子時計」に、
「固定電話が携帯電話」にと、大きな
合併し、体力を強化して「電力量計のスマート化」
変化(技術の継承を伴わない)がありましたが、我々
対応を進めてきました。
の世界にもその変化がやってきました。
従業員の不安を出来るだけ取り除き、新しい環境
で頑張ってもらいたいと思っています。
まずは、今まで外に出していた仕事の内製化を進
め仕事を確保していきます。
スマートメーターには3つの機能があります。①
電気の使用量を30分値で計量する機能②それを電
それなりの準備ができました。
従業員の皆さんも、少しは安心できていると思い
ます。
若手従業員には、「この大きな環境変化を上手く
乗り切れば大きなチャンスだ」と発破をかけています。
今、我々には、大きなチャンスが来たと思ってい
ます。
1
●
賛助会員の広場
●
KITEC 2015 No.274
●いつも、何かのお役にたちたいと願っております。
●
●いつも、何かのお役にたちたいと願っております。
いつも、何かのお役にたちたいと願っております。
● いつも、何かのお役にたちたいと願っております。
代表取締役
代表取締役
坂本満康
代表取締役
坂本満康
坂本満康
㈱ミドリ印刷は平成27年1月、創業47周年を迎えることができました。
㈱ミ
ド
㈱ミ
ドリ印刷は平成27年1月、創業47周年を迎えることができま
リ印刷は平成27年1月、創業47周年を迎えることができました。
した。
お客さま・協力会社・社員のみなさまのおかげと心よ
り感謝する次第です。
㈱ミドリ印刷は平成27年1月、創業47周年を迎えることができました。
お客さま・協力会社・社員のみなさまのおかげと心よ
り感謝する次第です
お客さま・協力会社・社員のみなさまのおかげと心より感謝する次第です。
。
お客さま・協力会社・社員のみなさまのおかげと心より感謝する次第
当社では環境問題をはじめいろいろな取り組みを行っています
。情報伝達
当社では環境問題をはじめいろいろな取り組みを行っています
。情報伝達
当社では環境問題をはじめいろいろな取り組みを行っています
。情報伝達
です。
の手段と
して発展してきた「印刷」ですが、昨今はインターネットをはじめとす
の手段と
して発展してきた「印刷」ですが、昨今はイ
ンターネ
ッ
ト
をはじめとす
弊社では環境問題をはじめいろいろな取り組みを行っています。情報
の手段と
して発展してきた「印刷」ですが、昨今はインターネットをはじめとす
る電子の普及などによりさまざまなニーズがあります。
る電子の普及などによ
伝達の手段として発展してきた「印刷」ですが、昨今はインターネット
る電子の普及などにより
りさまざまなニーズがあり
さまざまなニーズがあります
ます。
。
私たちは「印刷」を通してお客様が抱える諸問題に対し、積極的に真剣
をはじめとする電子の普及などによりさまざまなニーズがあります。
私たちは「印刷」を通してお客様が抱える諸問題に対し、積極的に真剣
私たちは「印刷」を通してお客様が抱える諸問題に対し、積極的に真剣
に取り組み一緒に解決できる「ソ
リューションプロバイダー」としての新たなス
私たちは「印刷」を通してお客様が抱える諸問題に対し、積極的に真
に取り組み一緒に解決できる「ソ
に取り組み一緒に解決できる「ソリ
リューションプロバイ
ューションプロバイダー」と
ダー」としての新たなス
しての新たなス
テージへ大き
く踏み出します。
剣に取り組み一緒に解決できる「ソリューションプロバイダー」として
テージへ大き
く踏み出します
。
テージへ大き
く踏み出します。
の新たなステージへ大きく踏み出します。
これからもお客さ
まとともに歩みながら明るい未来の創造にまい進していきます。
これからもお客さ
ま
これからもお客さ
まと
とと
とも
もに歩みながら明るい未来の創造にまい進し
に歩みながら明るい未来の創造にまい進していき
ていきます
ます。
。
これからもお客さまとともに歩みながら明るい未来の創造にまい進し
ていきます。
経営理念
企業理念
経営理念
経営理念
会社概要
会社概要
会社概要
会社概要
受 賞
受 賞
受 賞
受 賞
いつも、何かのお役にたちたいと願っております。
いつも、何かのお役にたちたいと願っております。
いつも、何かのお役にたちたいと願っております。
いつも、何かのお役にたちたいと願っております。
社 名 株式会社ミドリ印刷
社 名
株式会社ミドリ印刷
代 表 者
取締役会長 坂本
満成
社 名
株式会社ミドリ印刷
代 表 者
取締役会長 坂本
代表取締役 坂本
満康満成
代 表 者
取締役会長 坂本
満成
代表取締役 坂本
創 業 昭和43年1月4日
代表取締役 坂本 満康
満康
創 業
昭和43年1月4日
設 立
昭和63年1月4日
創 業
昭和43年1月4日
設 立
昭和63年1月4日
資 本 金
2,000万円
設 立
昭和63年1月4日
資 本 金
2,000万円
事業
内 容 プランから印刷までの総合印刷
資 本 金
2,000万円
従 業 員
事
業
内
容
プランから印刷までの総合印刷
ミドリ印刷
80名 川本印刷 20名
事 業 内 容 プランから印刷までの総合印刷
従 業 員
ミドリ印刷
従 業 員 ミドリ印刷 80名 川本印刷
80名 川本印刷 20名
20名
日本印刷産業連合会
■(社)
日本印刷産業連合会
■(社)
「印刷産業環境優良工場
奨励賞」
日本印刷産業連合会
■(社)
株式会社ミドリ印刷 本社
(グループ本部)
株式会社ミ
ド
本社
(グループ本部)
株式会社プリ
ンティ
ング福岡
株式会社ミ
ドリ印刷
リ印刷
本社
(グループ本部)
株式会社プリ
株式会社プリンテ
ンティ
ィング福岡
ング福岡
2
■
「印刷産業環境優良工場
「印刷産業環境優良工場 奨励賞」
奨励賞」
株式会社ミドリ印刷
株式会社ミ
ド
営業部
・工場部
株式会社ミ
ドリ印刷
リ印刷
営業部
営業部・
・工場部
工場部
本 社 〒812- 0016
福岡市博多区博多駅南6丁目17番12号
〒812本
〒812-0016
0016
本 社
社
TEL福岡市博多区博多駅南6丁目17番12号
092-292-0300 FAX 092-483-9089
福岡市博多区博多駅南6丁目17番12号
TEL
092-292-0300 FAX
TEL 092-292-0300 FAX 092-483-9089
092-483-9089
営 業 部 〒812-0857
福岡市博多区西月隈1丁目2番11号 〒812-0857
営
業 部
工 場 部
営 業 部 〒812-0857
TEL福岡市博多区西月隈1丁目2番11号 092-441-6747
(代)FAX 092-473 -1275
工 場 部
福岡市博多区西月隈1丁目2番11号 工 場 部 TEL
-1275
(
TEL 092-441-6747
092-441-6747
(代)FAX
代)FAX 092-473
092-473 -1275
川本印刷㈱ 〒812- 0888
福岡市博多区板付2丁目5番20号
〒812川本印刷㈱
〒812-0888
0888
川本印刷㈱
TEL福岡市博多区板付2丁目5番20号
092-591-5110 FAX 092-591-5113
福岡市博多区板付2丁目5番20号
TEL
092-591-5110 FAX
TEL 092-591-5110 FAX 092-591-5113
092-591-5113
福岡市環境行動賞「優秀賞」
■ 福岡市環境行動賞
「優秀賞」
■ 福岡市環境行動賞
「優秀賞」
デジタルプリント ピーコム・1
デジタ
ルプリ
・
SEJ事業部
デジタ
ルプリン
ント ピーコム
ト ピーコム
・11
SEJ事業部
SEJ事業部
■
福岡市「社会貢献優良企業」
■ 福岡市
「社会貢献優良企業」
■ 福岡市
「社会貢献優良企業」
川本印刷株式会社
川本印刷株式会社
川本印刷株式会社
●
さまざまな
取り組み
賛助会員の広場
●
KITEC 2015 No.274
環境問題等に積極的に取り組んでいます。
弊社は、お客様のお役に立つことを第一に考えながら、環境問題をはじめとして、品質、個人情報などの問題に
対して具体的に取り組んでいます。
「全印工連CSR認定制度」
社会から求められる
様々な要請に応えます
九州インターンシップ
推進協議会
NPO法人
子育て応援宣言
福岡どうぶつ会議所
男女の仕事と
家庭の両立を応援!
命を大切にするために
ワンスター
インターシップで
学生の夢を応援します
ISO9001/ ISO14001 認証取得
福岡県
子育て応援宣言
登録マーク
事業内容
綜合印刷
47年の経験と実績に、心を添えて。
古紙配合率70%再生紙を
使用しています
特殊印刷(UV印刷)表現力が違います!
ポスター、パンフレット、ちらし、冊子、封筒、
速乾性で、急ぎの納期に対応。特殊な紙への印刷、
帳票類など、商業印刷全般をお引き受けいたします。
ニスによるエンボス加工でインパクトある印刷物を。
高精細印刷
本当の美しさへ
自分史
28年の実績と
専門スタッフがお手伝い
通常の印刷よりもきめ細やかな美しい
自叙伝、俳句集、写真集、絵画集等
印刷です。美術書や写真集等の印刷に。
伝えたい思いをしっかりとカタチに。
よかメール
カッターやハサミを使わず安全に
開封できます。社用封筒やDMに、
少部数や低コストもおまかせください。
AR(拡張現実)印刷にプラスして効果的なPR
やさしい封筒
企業のイメージアップに。
印刷物にスマートフォンをかざすだけで、動画や3Dコンテンツを表示。
Web
紙面以上の「雰囲気」や「シズル感」を体感できます。
企画からデザイン、伝わるホームページを
アクセス解析機能を使うと、利用者の反応がわかります。
HPのご相談も
お客様と一緒に丁寧に作成します。
販促品
お気軽にご相談ください
ノベルティグッズ・販促品の企画・制作、
オリジナルデザイン商品のご提案も。
3
●
私の研究室
●
KITEC 2015 No.274
九州工業大学宇宙環境技術ラボラトリー
趙 孟佑
教授
研究
テーマ 宇宙に耐えるものづくり
はじめに
人工衛星、惑星探査機、宇宙ステーションといった宇宙システムには、宇宙プラズマ、超高速微粒子、放射線、
紫外線、原子状酸素、真空、熱サイクルといった地上用システムでは想定しない極限環境への耐性が求められます。
また、機器が故障したとしても気軽に修理を行うことができないため、打上げ前には徹底した検証が求められま
す。宇宙環境に耐えるモノ作り技術は、宇宙という最後のフロンティアを開拓するために必須の技術です。
九州工業大学を含む全国の国立大学は、2004年に一斉に国立大学法人化しました。本学では、その際に、大
学としての特色をうちだすために4つの重点研究プロジェクトを選定しました。その一つとして同年12月に宇
宙環境技術研究センター(La SEINE: Laboratory of Spacecraft Environment Interaction Engineering)が設
立されました(2010年7月に宇宙環境技術ラボラトリーと改称)
。
宇宙環境技術ラボラトリー(以下ラボ)の目的は、小型衛星、高速大容量通信、高精度測地、リモートセンシ
ング、物質創成、観光、探検、エネルギー発生といった次世代の宇宙利用を達成するために必要な耐宇宙環境技
術の研究開発を行うことです。そして、それらの活動を通じて宇宙活動の発展に寄与し、人類社会に貢献するこ
とをミッション(基本理念)としています。 本稿では、その活動内容について紹介します。
活動内容
現在、ラボでは、「宇宙に耐えるものづくり」をキーワードとして、衛星帯電・宇宙材料・超高速衝突・超小
型衛星の4分野を中心に教育・研究活動を行っています。
衛星帯電は、大電力を使用する大型衛星にとって大きな脅威となっています。宇宙プラズマの帯電によって発
生した小さな放電が引き金となって、衛星電力回路でアーク放電が発生し、最悪の場合衛星の全損事故につなが
ります。ラボの帯電放電試験装置は、米国 NASA、フランス宇宙技術研究所(ONERA)と並んで、世界の3極
を占めています。ラボの試験方法をベースとして衛星搭載太陽電池パネルの帯電放電試験方法に関する国際標準
ISO-11221が2011年に制定されました。ラボでは、1999年に当時は MUSES-C と呼ばれていた「はやぶさ」
の試験をして以来、殆どの国産衛星の帯電放電試験を実施し、米国・中国・インドの衛星試験も実施しています。
最近では、国際宇宙ステーションを使った実験を米国ロッキードマーチン社や JAXA と共同で2件実施しました。
4
●
私の研究室
●
KITEC 2015 No.274
それらの実験機器は、ラボとの産学連携により福岡県内の中小企業が製作しています。
衛星帯電放電試験装置
増え続ける一方の宇宙ごみが宇宙空間の利用を脅かしています。ラボでは、最高秒速6.2km を達成できる二
段式軽ガス銃を始め、複数の超高速衝突試験装置を保有し、様々な産学連携研究を実施しています。また、宇宙
ごみ衝突による破砕物飛散分布の評価方法に関する国際標準 ISO-11227の制定並びに改訂作業に参加しています。
二段式軽ガス銃
宇宙空間に直接曝される材料は、放射線・紫外線・原子状酸素等により劣化が進行します。長期間に亘り宇宙
で機能することが要求される衛星を設計する際には、打上げ時のみならず10年後またはそれ以上の材料物性を
考慮した設計をしなければいけません。ラボでは、紫外線や原子状酸素を連続照射できる装置や、材料の機械・
光学・電気的物性を評価できる各種装置を保有しています。それらの装置を使って、宇宙環境耐性を備えた新規
材料の開発や、JAXA や宇宙関連企業との共同研究を実施しています。
超小型衛星の開発が世界的に盛んになっており、50kg 以下の衛星の年間打ち上げ数はこの数年で爆発的に増
えています。2012年に20数機だったのが、2013年に100機弱、2014年には160機を超えました。超小型衛
星は、低コスト・短納期を達成するために、積極的に非宇宙用の技術や部品を採用します。しかしながら、それ
らが宇宙で動くという保証はどこにもなく、地上での試験が欠かせません。しかし、超小型衛星の開発者は大学
や中小企業など宇宙分野への新規参入者が多く、宇宙用の試験装置などのインフラをもっていません。ラボでは、
そのような状況を改善すべく、ワンストップの宇宙環境試験拠点として、超小型衛星試験センターを2010年7
月に設立しました。同センターは、50kg/50cm 以下の衛星について、放射線を除く全ての試験が実施可能で、
5
●
私の研究室
●
KITEC 2015 No.274
超小型衛星に特化した試験センターは世界に類をみません。2012年以降、国内では32機の超小型衛星が開発
されてきていますが、センターではそのうちの23機の試験を実施しています。また、フィンランド・シンガポー
ル・マレーシア等の外国機関の試験も実施しています。更に、超小型衛星試験方法の ISO 国際標準の制定活動も
行っています。
超小型衛星試験センター
2012年5月18日に、ラボ所属の学生が開発した高電圧技術実験衛星「鳳龍弐号」が H2A ロケットにより打
ち上げられました。同年7月には、メインミッションである350V での太陽光発電に成功しました。宇宙におけ
る高電圧発電はプラズマによる帯電のために200V を超えると放電が発生してしまいます。鳳龍弐号では、特殊
な超小型太陽電池を直列接続することで、放電を起こすことなく発電することに成功しました。350V の発電電
圧は、国際宇宙ステーションの160V を抜いて、世界最高記録を達成しています。その高電圧を用いて、放電抑
制に関する様々な実験を行いました。鳳龍弐号による軌道上実験は今も継続中です。鳳龍弐号は、ラボで研究開
発を行っている様々な耐宇宙環境技術の軌道上実証プラットホームでもあります。現在では、自前で衛星を開発
し、宇宙空間を実験室として使用することが可能となっています。現在、開発中の放電実験衛星「鳳龍四号」で
は、太陽電池アレイ放電の電流計測や発光像撮影、真空アークスラスタ実証、材料劣化計測等々の様々な実験を
計画しており、2015年度に H2A ロケットにより打ち上げられる予定です。
鳳龍弐号
6
鳳龍四号
●
私の研究室
●
KITEC 2015 No.274
超小型衛星開発を通じて宇宙参入を図りたい国が世界中で増えています。そのような国々から留学生を受け入
れ、超小型衛星開発に必要な技術、とりわけ試験等のインフラ技術を教える教育プログラムを、国際連合宇宙部
と共同で行っています。九州工業大学大学院工学府では、2013年4月から、英語だけで学位のとれる宇宙工学
国際コースを開講しました。国際コースは日本人学生も対象とし、異文化コミュニケーション能力とシステム工
学的視野を有した、世界に通用するタフな技術者の育成を目指しています。2014年12月現在で、16名の日本
人学生、15ヶ国21名の留学生が在籍しています。
「鳳龍四号」の開発には、国際コースの多くの学生が参加し、
世界的にも稀な多国籍チームによる衛星開発となっています。
鳳龍四号開発チーム
まとめ
宇宙環境技術ラボラトリーは発足以来10年が経過し、この間140近い査読付き論文を出版し、14億円弱の外
部資金を獲得し、12名の博士を輩出し、50名近い留学生を受け入れ、4000名の見学者が訪れました。2013
年には、
「宇宙環境技術に関する産学官連携研究と国際標準化活動」によって宇宙開発利用大賞(経済産業大臣賞)
を受賞しています。
ラボの英語略称は LaSEINE です。パリを流れるセーヌ川と同じ綴りですが、どのような川も一粒の水滴から
生まれ、やがて大きな川となって海に流れて行きます。10年前の発足時には、スタッフ11名、年間予算8000万、
実験室面積が700m2でしたが、現在ではスタッフ15名、年間予算1億8000万円、実験室面積は1400m2に成
長しました。まだまだ大河とは言いがたいですが、これからも教育・研究に励み、世界中から研究者や学生がラ
ボで宇宙環境技術に関する研究をしたいといってやってくる、そんなラボになりたいと願っています。
参考文献
宇宙環境技術ラボラトリー http://laseine.ele.kyutech.ac.jp
超小型衛星試験センター http://cent.ele.kyutech.ac.jp
鳳龍四号 http://kitsat.ele.kyutech.ac.jp/horyu4WEB/horyu4.html
照会先
九州工業大学宇宙環境技術ラボラトリー
趙 孟佑
教授
E-mail: [email protected]
7
●
支援企業の紹介
●
KITEC 2015 No.274
株式会社ウラノ 長崎工場
弊社は、昭和25年にカメラのレンズ磨きから親子2人で始めた小さな町工場でした。その後、時代の流
れと共に農機具、自動車、大型コンピューター、油圧機器、半導体製造装置、エネルギー関連等の部品の加
工へと変化を遂げて参りました。
そして30年ほど前、マシニングセンター加工業者として高度経済成長後に生き残る企業を視野に入れ、
また加工技術の頂点を目指し、宇宙・航空機産業に足を踏み入れました。ロケット、宇宙ステーションをは
じめ、様々な分野における試作品開発等の多品種小ロットで且つ他社が敬遠するような難削材部品を手掛け、
技術の構築を図ってきました。その甲斐あって、2006年、長崎県の誘致で東彼杵町に航空機部品専用工場
である長崎工場を設立したことで、当時開発中であったボーイング787型機の難削材であるチタン材部品
において国内最多受注に至りました。
[社是]
[経営理念]
良いものづくりは、人づくりから。人の成長なくして、企業の成長はありません。1人
1人が己と向き合い、問題を解決し(自立)
、そして、仲間と切磋琢磨し、力を合わせ(共存)
、
知恵を出し、スピードをもって不可能を可能にしていく。諦めることなく“できないこと”
を“できる”に変える力が、働くことへの喜びと明日への糧となり、個人と企業を成長へと
導きます。それこそが、お客様の満足と社会貢献に繋がるものと信じております。
[企業概要] 企
業 名 株式会社 ウ ラ ノ
所 在 地
埼玉本社工場
〒 369-0306 埼玉県児玉郡上里町大字七本木 3563 TEL 0495-33-2511㈹ FAX 0495-33-2514
E-mail [email protected] URL: http://kk-urano.jp/
長崎工場
〒 859-3922 長崎県東彼杵郡東彼杵町八反田郷 57-27
TEL 0957-49-3600 FAX 0957-47-0300
E-mail [email protected]
名古屋営業所
〒 452-0933 愛知県清須市西田中長堀97-2 TEL 052-400-3700 FAX 052-400-3700
E-mail [email protected]
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創
業
昭和25年4月
設
立
昭和38年11月30日
支援企業の紹介
資 本 金
8,000万円
社 員 数
325名(埼玉本社工場 212名、 長崎工場113名)
代 表 者
代表取締役社長 小林正伸
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KITEC 2015 No.274
事 業 内 容 (1)次に掲げる各種機械器具部品のマシニングセンタによる切削加工 ・宇宙、航空機機体、エンジン部品
・半導体製造装置、太陽光パネル製造装置 ・原子力、発電機、発動機、各プラント関係
・医療用機器
(2)治工具の設計・製作
主要取引先
IHI 株式会社 殿、川崎重工業株式会社 殿、新明和工業株式会社 殿、
東京エレクトロン株式会社 殿、
株式会社東芝電力システム社 殿、富士重工業株式会社 殿、三菱重工業株式会社 殿(50音順)
■製品
[ 航空機部品 ]
[ 半導体製造装置部品 ]
[ エネルギー関連部品 ]
■長崎工場 第3工場建設に向けて
2015年6月着工、12月完成を予定し、現在準備を進めております。今後数年は、MRJ(三菱リージョ
ナルジェット)の開発をはじめ、海外航空機メーカーもこぞって様々な機種の開発、改良を進めると同
時に、量産体制も加速する激変期を迎えます。弊社は、その航空機産業激動期に挑むため、技術革新、
人材採用の拡大、人材育成に益々精進して参ります。
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KITEC 2015 No.274
「平成 27 年度事業計画」
の概要
1.情報収集及び提供事業
事 業 内 容
<KITEC INFORMATION の発行>
・当財団の機関誌「KITEC INFORMATION」を年4回発行し、会員企業へのサービスを念頭に置いた内容の掲載に
努める。
<ホームページ等による情報の提供>
・当財団の活動を広く理解していただく手段として、ホームページ及びメールマガジンを通じてタイムリーな情報の受
発信を行う。
<30周年事業の実施>
・財団設立から30周年のあゆみをまとめた30周年史を発行する。
2.産業技術振興事業
(1)九州地域新産業戦略に基づくイノベーション創出事業 【JKA の競輪補助事業】
事 業 内 容
【新産業戦略調査研究活動】
九州経済産業局が策定した「地域新産業戦略」の実現の一翼を担うため、戦略分野等を参考に、外部委員から
構成される事業推進委員会において、当年度の実施方針を策定するとともに、事業全体の統括管理及び実施結果の
自己評価を行う。
<事業推進委員会> 委員14名以内 実施方針を策定するとともに、統括管理及び実施結果の自己評価を行う。また、機械工業振興チャレンジ研究調
査の採択のための審議を行う。
<事業化可能性評価分科会> 委員6名程度
実施してきた研究開発支援に係る継続研究・追加支援の必要性について検討・評価を行う。
【事業創出調査研究活動】
<コーディネータ活動> 企業の技術ニーズを中心としたニーズ・シーズ調査発掘のためのコーディネータ
(12名程度)
を委嘱し活動を行う。
<コーディネータ連絡会> 統括コーディネータを座長として、コーディネータ連絡会を開催し、活動の活性化及び進捗状況の管理を行う。
<機械工業振興チャレンジ研究調査(公募)> 事業化に向けた産学連携の取り組みを広く募集するため、研究調査を公募・採択(6件程度)する。
<ブラッシュアップ研究会>
技術シーズ・ニーズが一致した案件及び公募により事業推進委員会で採択された案件については、課題解
決に向けた対応を行うため、ブラッシュアップのための研究会を開催する。
<ニーズ発表会>
コーディネータ活動で発掘・登録されている技術ニーズを中心に、マッチング・実用化・事業化を促進するため、
ニーズ発表会を開催する。
<事業プロデュース活動>
専門家派遣活動事業化の可能性がある案件については、事業プロデューサーを中心に、中小企業支援機構
等の他の機関と連携し、事業化計画の策定支援を行う。
<専門家派遣活動>
事業プロデュース活動の結果、事業化を具体的に進めるため専門家の派遣を実施する。
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(2)新産業進出支援事業
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KITEC 2015 No.274
【国の委託事業】
事 業 内 容
<ヘルスケア分野>
九州ヘルスケア産業創出推進協議会( HAMIQ)の事務局として、「健康寿命」が延伸する社会の構築を実現す
るため、ヘルスケアサービス産業と医療機器産業の創出、集積を目指し事業を実施する。
<環境分野>
九州地域環境・リサイクル産業交流プラザ( K-RIP)の事務局として、クリーン分野の技術融合、先端産業と地
域産業との融合によるイノベーション創出や、国内の市場変化やアジア等の海外市場に対応したビジネスを組成し、
海外展開を後押しする。
(3)戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)等
【国の委託・補助事業】
事 業 内 容
・事業管理機関として、プロジェクトの円滑な運営管理等を行う。
・新規案件については補助金(2/3)になったことに伴い、管理事業は、企業からの要請に従い柔軟に対応する。
(4)
ものづくり中小企業事業化支援事業
【国の委託事業】
事 業 内 容
九州地域の産業支援機関連携の下で、主に研究開発型中堅・中小企業の事業化を支援することを目的とした取り
組みを行う。
(5)オープンイノベーションソリューションサイトの運営・管理
事 業 内 容
技術開発に必要な外部資源の導入を目指す企業から技術ニーズ(課題)を預かり、その概要を WEB 上で公
開することにより、九州域内の優れた技術を持つ企業や大学、公設試等から提案をもらいニーズ企業の技術課題
と解決可能なシーズとのマッチングを促すサイトを運営・管理する。
3.普及啓発事業
(1)技術交流事業
事 業 内 容
<大学等産学連携推進機構長との意見交換会>
九州、沖縄地域の国立大学等の産学連携推進機構等と協力体制を整えるとともに、当財団が目指す九州地域
のネットワークの構築に理解を深めるため、産学官連携に関する現状・課題、運営等に関する意見交換を行う。
<産業技術振興に繋がる学会や当財団と関係機関との連携事業等>
・国立研究開発法人 産業技術総合研究所九州センターの産業技術オープンデーへの参画
・九州ファインセラミックス・テクノフォーラム(KFC)の開催 等
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(2)国際技術交流事業
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KITEC 2015 No.274
事 業 内 容
<九州経済国際化推進機構(環黄海経済・技術交流会議等)>
海外との産業交流を通じた九州地域の活性化を図るため、引き続き、九州経済国際化推進機構の一員としての活
動を行う。
4.振興支援事業
(1)成功報酬型コーディネータの設置
事 業 内 容
主体的に企業に出向き、保有技術の高度化や埋蔵技術を発掘するなど事業化を見据えた技術戦略を展開する「利
益を企業と共有する成功報酬型コーディネータ」を配置し、もって管内中小企業等の技術革新、新たな市場の創造
に資することとする。
(2)支援事業
事 業 内 容
<九州イノベーション創出戦略会議(KICC)> これまで培った戦略会議の構成機関の広域連携体制の下で、九州地域における新産業の創出に資する取り組みを
推進する。
<技術相談> 国立研究開発法人 産業技術総合研究所九州センター及び「九州地域新産業戦略に基づく事業創出推進事業」
のコーディネータ活動のバックアップを得て、研究・技術開発に取り組む地域企業に対する技術支援を行う。
<他機関との連携等支援事業> 産業技術振興に繋がる学会や関係機関との連携事業等に積極的に関わって行く。
5.人材育成助成事業
事 業 内 容
九州地域における産業技術の振興を図るため、大学等の若手研究者の留学や国際学会等での発表に対し、滞在費、
海外渡航費等を助成する。
6.収益事業
(1)産業技術振興支援(事業化支援)
事 業 内 容
対象企業が、試作品及び新製品を市場化していくために抱えている技術開発及び事業化などの経営課題を解決す
るため、当財団が実施する産業技術振興支援の中で、事業化プロデューサー等と協働して、コンサルティング業務
を行う。
(2)試験分析事業
事 業 内 容
試験分析事業廃止に伴い、土壌改良工事及び建屋の解体工事を実施し、賃借用地の更地整地後、佐賀県農林
水産商工本部企業立地課へ土地返還を行う。(返還時期:平成27年12月目途)
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KITEC 2015 No.274
平成 27 年度(後期)人材育成助成の実施について
(一財)九州産業技術センターでは、平成7年度より実施しております人材育成助成基金事業の平成27年度(後期)
助成候補者を下記により募集いたします。
1.人材育成助成の趣旨
(一財)九州産業技術センターの人材育成助成基金は、九州地域の大学、工業高等専門学校の工学系、特に電力、
エネルギー関係分野を専攻する若手教員、博士課程学生及び修士課程学生(ただし、博士課程への進学を希
望する者)の留学等に対する助成を通じて九州地域の産業技術の向上、振興に寄与することを目的としております。
2.人材育成助成の種類及び期間
(1)留学(募集期間:8 月~ 11 月)
■長期国外、国内留学 件数:2 件以内 期間:1 年以内
■短期国外留学 件数:3 件以内 期間:3 ヶ月または 6 ヶ月以内
(2)国際研究集会(募集期間:前期 8 月~ 11 月、後期 4 月~ 6 月募集)
(前期、後期合わせて)
件数:10 件程度 期間:1 週間程度
3.助成対象の範囲
九州地域の工学系学科を有する大学及び工業高等専門学校
( 9 国公立大学、11 私立大学、8 工業高等専門学校)
4.平成 27 年度後期人材育成助成候補者募集
(1)平成 27 年度(後期)国際研究集会参加
■実施時期:平成 27 年 8 月~平成 28 年 3 月に参加予定のもの
■助 成 額 :35 万円/件 以内
■採択件数:10 件程度
(2)申込締切日
■平成 27 年 6 月 12 日(金)
(3)その他
■申込の詳細は(一財)九州産業技術センターのホームページ(http://www.kitec.or.jp/)から
人材育成の申込み要項をご参照下さい。
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センターからのお知らせ
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KITEC 2015 No.274
平成 27 年度 九州地域新産業戦略に基づくイノベーション創出事業
- 機械工業振興チャレンジ研究調査 -
本研究委託は、九州域内の大学等研究機関、公設試及び産学連携推進機関、研究開発課題を持つ企業等に機械工業振興チャ
レンジ研究を行うものです。この研究調査は企業との共同研究を行う実用化研究開発テーマについて、産学フォーメーション
を整え、研究会を開催し、ブラッシュアップすることにより、国のものづくり中小企業・小規模事業者等連携事業創造促進事
業等の支援制度を活用し、九州地域の産業競争力強化へ向けて実用化・事業化を図ることを目的としております。
1.対象者
募集対象者は、九州域内に所在する大学・短期大学・高等専門学校(以下、「大学等」という)、独立行政法人・地方自治体
の試験研究機関(以下、「公設試」という)、九州域内の研究開発型中堅・中小企業(中小企業庁の中小企業の定義に該当する
企業)及び産学連携推進機関(TLO等含む)の研究者とします。
(複数の大学等、公設試、産学連携推進機関等との共同研究も可。)
申請者は、九州域内の研究開発型中堅・中小企業が望ましい。
※中小企業庁の中小企業定義 http://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html
2.対象となる研究開発フェーズ
対象となる研究は、応募段階で既に産学フォーメーションが整っている等、事業化に向けた熟度が高く本研究を通じ直ちに
実用化、事業化につながる研究、又は、国の研究開発事業等への応募、採択を目指す研究を対象とします。
3.採択予定件数及び委託費
6 件程度 1 件当たり120 万円以内(消費税を含む)
なお、委託調査に伴って開催するブラッシュアップ研究会開催費用については、
別途当財団から支出します。
(
(
4.委託期間
契約日より平成 28 年 3 月 18 日(金)まで
5.募集期間
平成27年 4 月10日(金)から 平成27年 5 月8日(金)まで
6.対象とする研究開発分野
対象とする研究開発分野は、九州地域の産業競争力に向けて重要と目される地域の戦略産業分野で下記に掲げる技術分野
とし、その成果が機械工業の振興に寄与するものとします。
①クリーン分野、②医療・ヘルスケア・コスメティック分野、③農林水産業・食品分野
7.対象となる経費
機械工業振興チャレンジ研究調査委託費の対象となる経費は次のとおり
(1)旅 費 ①旅費、②交通費
(2)事業費 ①実験材料費、②臨時傭役費、③その他経費
当財団から支出するブラッシュアップ研究会開催の対象となる経費は次のとおり
・旅費、航空賃(海外からの招聘のみ対象)、交通費、謝金、会場費
8.応募の方法
詳細な募集要綱及び申請書様式については、下記の当財団ホームページに掲載していますので、ダウンロードして所定の申
請書様式に記入のうえ、(一財)九州産業技術センター 技術振興部宛へ 電子メールで送信お願いします。
(ホームページ URL http://www.kitec.or.jp 、E-Mail:[email protected] )
この事業は、競輪の補助により作成しました。
http://ringring-keirin.jp
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
技術企画委員会、理事会及び評議員会を開催
技術企画委員会開催
平成 27 年 3 月 10 日(火)、平成 26 年度技術企画委員会を開催しました。
同委員会では、平成 26 年度事業実施状況の報告をいたしました。また、平成 27 年度事業計画をご
審議いただきました。
委員から頂いた貴重なご意見、ご提言は、今後の当財団事業運営に反映してまいります。
理事会及び評議員会開催
平成 27 年度の事業計画、予算について審議する理事会及び評議員会を開催しました。
当日は、平成 26 年度事業の経過、決算見通しについての報告、平成 27 年度事業計画、予算につい
ての審議がなされ、いずれも原案どおり承認されました。
[平成26年度第5回理事会]
◦日 時
平成 27 年 3 月 25 日(水)14:05 ~ 14:55
◦場 所
当財団会議室
[平成26年度第3回評議員会]
◦日 時
平成 27 年 3 月 26 日(木)14:00 ~ 15:05
◦場 所
当財団会議室
第5回理事会
第3回評議員会
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
平成 26 年度事業報告
1.情報収集及び提供事業
(1)情報誌(KITEC INFORMATION)の発行 (発行部数:460 部)
情報誌である「KITEC INFORMATION」を年 4 回発行し、情報提供を実施した。また、掲載コンテ
ンツを充実させるとともに、本誌の配布先の見直しも行った。
(2)ホームページによる情報の提供
会員企業など地域の研究開発型中堅・中小企業との双方向コミュニケーションを図るため、メール
マガジンを発行し原則として 2 週間に1回の定期発行を実施した。また、ホームページに情報誌「KITEC
INFORMATION」を掲載し、電子媒体での情報提供を開始した。
2.産業技術振興事業
(1)九州地域新産業戦略に基づくイノベーション創出事業 (JKA 競輪補助事業)
① 新産業戦略調査研究
事業推進委員会及び事業化可能性検討分科会を設置、開催し、コーディネータ活動や研究会開催に
よる技術開発支援の進捗状況等の事業全体を統括、管理することによって、企業や研究機関のニーズ
に沿った適切な事業を効果的、効率的に実施した。
ア)事業推進委員会
イ)事業化可能性検討分科会
② 事業創出調査研究
ア)事業化調査研究会(公募)
公募対象を大学・公設試等の研究機関に、企業も対象に含め公募を行い、23件の応募があり、一次審査、
二次審査を経て6件を採択した。事業化4件、国プロ申請2件の予定である。
イ)マッチングコーディネート活動およびブラッシュアップ研究会を開催
企業と大学等研究機関の技術ニーズ・シーズのコーディネート活動を行うためコーディネータを委
嘱し活動した。活動件数は目標を大きく上回り、研究会の件数も、目標を達成した。
ウ)コーディネータ連絡会
コーディネータ活動の成果目標を示し、より効率的、効果的な活動を支援するため開催した。
エ)ニーズ発表会
コーディネータ活動及びオープンイノベーションソリューションサイトで発掘・登録されている技術ニー
ズについて、マッチング・実用化・事業化を促進するため、ニーズ発表会を開催した。
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(2)
センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
新産業集積創出基盤構築支援事業 (国の委託事業)
① 医療・ヘルスケア・バイオ分野
「健康寿命が延伸する社会の構築」の実現のため、東九州メディカルバレー構想等と連携し医療・福
祉機器関連産業、介護周辺サービスの創出をめざして専門家を配置し活動した。
ア)ヘルスケア産業戦略シンポジウム
先進事例及び国等の最新施策情報を紹介するシンポジウムを福岡市内で開催した。
イ)医療機器等開発・事業化促進研究会
医療機器の開発のための研究会を福岡市内で開催し、事業化促進を支援した。
ウ)大手医療機器メーカーと地域ものづくり企業とのマッチング
地域ものづくり企業の医療機器分野への参入、医療機器の高度化を促進するため、ものづくり企業
が有する技術や製品等を紹介するなど、関連メーカーとのマッチングを実施した。
エ)日本医学会と産業界とのマッチング
学会員が集う学会の場において、ものづくり企業の出展等を実施した。
オ)海外における医療機器関連市場開拓等
海外の医療機器分野、ヘルスケアサービス分野をターゲットとした事業性調査を実施した。
カ)HAMIQ ツアー(現場体感型ニーズ発掘事業)及び教育現場における健康学習出前講座
医療機器、ヘルスケアサービスの創出の一環として、先進的な取組を行っている会員等を訪問し、学生・
留学生の視点で気づきや発見を企図し、学生の研究や進路、また、留学生が帰国後、日本製医療機器
導入や医療・介護サービス等の活用につなげる「HAMIQ ツアー」を実施した。
②アジア・クリーンクラスター戦略産業展開事業
九州地域の環境・エネルギー関連企業、大学等で組織する「九州地域環境・リサイクル産業交流プラザ
(K - RIP)
」の広域ネットワークを中心に以下の事業に取り組んだ。
ア)国内事業
有益な技術シーズ及び企業ニーズの情報収集を行うとともに WEB ページ・メルマガ・情報誌等を一
体的に運用した成功事例の発信などを通じて、クリーン分野のネットワーク拡充、新事業創出・市場
開拓支援を行った。
イ)海外事業
昨年度マラッカ・グリーン・テクノロジー(MGTC)と締結した LOI(基本合意書)をベースに、マ
レーシア・マラッカ州の環境ニーズを深堀し、九州企業のマレーシア進出を視野に入れた具体的な案
件組成へ向けた協議を行った。
水処理関係で1社、エネルギー関係で1社がそれぞれ現地企業と現地環境プロジェクト組成のための
LOI(基本合意書)を締結した。
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
③ グローバルニッチトップ企業育成支援事業
日本再興戦略及び九州・沖縄地方成長産業戦略を踏まえ、企業 OB 人材等の派遣を行い、グローバル
ニッチトップ企業の競争力強化に向けた支援及びグローバルニッチトップを目指す企業の育成を行った。
ア)企業育成支援活動
○支援対象企業及び担当専門家の選定委員会の開催
○企業支援活動
イ)展示会出展支援
支援の結果、ほとんどの企業から高い評価を受け、海外展開の足掛かりとなることができた。
(3)戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)等 【国の委託・補助事業】
鋳造、鍛造、切削加工、めっき等の技術分野の向上につながる研究開発や事業化のため、プロジェ
クトの事業管理機関として受託、又は補助事業者として契約し、中小企業・大学・公設試験研究機関
等の効率的な事業運営を進めた。
本年度は、医工連携推進事業にも提案、採択され、ものづくり企業から医療機器分野への挑戦に寄与、
事業化に向けた事業の管理を行った。
(4)九州地域ものづくり中小企業事業化支援事業 【国の委託事業】
地域の研究開発型中小企業において、ものを売るための意識、戦略、営業力等の向上をめざし、販
路開拓のためのビジネスマッチング・展示会出展支援等を実施することにより、中小企業の事業化促
進を図った。
ア)事業化・マッチングプロデュース活動
○支援対象企業の確定及び担当プロデューサーの選定
支援候補企業を抽出し、企業の現状と課題、支援希望内容等事前ヒアリングを行い、プロデューサー
連絡会において支援対象企業を決定し、担当プロデューサーを選定した。
○事業化・マッチングプロデューサー連絡会の設置・運営
支援課題等を情報共有し、支援の方向性を調整・検討するため連絡会を開催した。
○支援方策検討ワーキンググループの設置・運営
効果的な支援のため、支援対象企業の現状、課題、支援方針等について協議を行った。
イ)ビジネスマッチング及び展示会等出展支援
○ビジネスマッチング
専門家等を派遣し、ビジネスマッチングを実施するとともに、展示会を活用するため、展示会の出展前、
出展時及び出展後の支援を実施した。
○展示会出展支援
九州域内の研究開発型中堅・中小企業10社に対して東京で展示会出展支援を行い、319件の相談案
件を受ける成果となった。
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
(5)オープンイノベーションソリューションサイトの運営 技術開発に必要な外部資源の導入を目指す企業から技術課題(ニーズ)を預かり、その概要を公開
することにより、九州域内の優れた技術を持つ企業や大学、公設試等から提案をもらい、解決可能なシー
ズとのマッチングを促すサイトを運営・管理し、効率的な効果をもたらしている。
このサイトは大阪産振機構が平成24年4月に開設、同10月に当財団が、平成25年1月には神戸商工
会議所と連携。現在、2府14県のネットワークを構築している。
3.普及啓発事業
(1)地域技術交流事業
①大学等地域共同研究センター長との意見交換会
九州の国立大学を中心とした地域共同研究センター長と情報交換を行った。
②(独)産業技術総合研究所九州センターのオープンデーに参画
「地域オープンイノベーション促進事業」において、九州各県の公設試に整備した機械装置の普及促
進のためパネル展示と専門家を配置し、技術相談コーナーを開設した。
(2)国際技術交流事業
第 21 回九州(日本)
・韓国経済交流会議および第 13 回環黄海経済・技術交流会議に参加。
4.振興支援事業
(1)地域オープンイノベーション促進事業 【国の委託事業】
我が国における成長産業の育成を目指しつつ、地域企業によるイノベーション創出を促進するため、
地域の中核的な試験研究機関の基盤整備を行う事業を実施した。
ア)九州・沖縄地方運営協議会
○4回開催した。
イ)設備の効果的な利活用方策
○専門家の配置
7名の専門家を事務局及び設備を設置した公設試に配置し、九州地域の企業や関係機関に広域活用さ
れ、地域における新産業の創出につながる活動を展開した。
○専門家連絡会
活動における情報交換や専門家の活動の進捗状況を把握し、効果的な活動を促すため開催した。
○九州地域での広域的な活用を促すため、設備の普及を目的としたセミナーを開催した。
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
(2)九州イノベーション創出戦略会議(KICC)
九州イノベーション創出戦略会議の事務局として、企業の技術課題解決に資する活動及び、ビジネ
スモデル構築を支援し、地域発のイノベーション創出の加速化を図った。
ア)構成機関の関係者とのネットワークの維持継続・通常総会の開催
イ)ワンストップ(技術相談)サービスの推進
九州地域における企業の様々な技術課題に対し、
「技術相談ワンストップサービス」の仕組みを有効
に活かした取り組みを実施した。
ウ)
「ビジネスイノベーション研究会」で構築したビジネスモデルの普及啓発活動
技術開発だけではなく、知財等を考慮したビジネスモデルの構築や新市場の創造等に関する技術経
営等の課題について議論した「ビジネスイノベーション研究会」活動内容の普及のため、セミナーを
開催した。
エ)試験研究機器等データベースの更新と活用促進
大学・高専、各県公設試、産業支援機関等が協力して整備した開放試験研究機器データベースについて、
最新のデータに追加・更新し、幅広い活用に努めた。
(5)技術相談
九州地域における様々な技術課題に対し、九州イノベーション創出戦略会議ネットワークと産総研
九州センター福岡サイトの協力を得て対応した。
5.人材育成事業
九州地域の産業技術の振興を図るため、大学・工業高等専門学校における工学系の若手研究者を対
象とする長期・短期留学及び国際研究集会参加に対して、外部委員で構成する選考委員会で厳正な選
考の結果、6名を助成した。
収益事業
1.試験分析事業
九州地域の環境保全に寄与するため、環境水や産業活動により生ずる工場排水、河川水等の分析測
定を実施し、その証明事業を行った。また各企業事業所内の作業環境測定やコンクリ-ト骨材のアル
カリ骨材反応試験を行った。
2.産業技術振興支援(事業化支援)
試作品及び新製品を市場化していくために抱えている技術開発及び事業化などの経営課題を解決す
るため、事業化プロデューサー等を派遣して、3社についてコンサルティング業務を中心とした支援を
行った。
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
九州地域新産業戦略に基づくイノベーション創出事業
◎第3回事業化可能性検討分科会 開催報告
1.日 時 平成27年2月5日(木) 14:00~16:00
2.場 所 (一財)九州産業技術センター 3F 会議室
3.出 席 者
分科会委員6名、オブザーバー2名(九州経済産業局)、事務局3名
4.議 題
(1)平成26年度 JKA 補助事業の自己評価Ⅰ
事務局より、平成26年度の JKA 補助事業の自己評価Ⅰについて説明を行った。
・目標に対する結果
1. 成長戦略調査研究
項目
目標
結果
事業推進委員会
開 催 回 数:2回 / 年
委 員 数:14名程度
開 催 回 数:2回 / 年
委 員 数:14名
事業化可能性検討分科会
開 催 回 数:3回 / 年
委 員 数:6名程度
開 催 回 数:3回 / 年
委 員 数:6名
2. 事業創出調査研究
項目
目標
コーディネータ活動
コーディネータ連絡会
委託研究調査公募
ブラッシュアップ研究会
ニーズ発表会
結果
活動件数:150件
コーディネータ数:12名程度
活動件数:209件
コーディネータ数:12名
開催回数:4回 / 年
開催回数:4回 / 年
委託件数:6件
委託件数:6件
研究会件数:26件
年平均回数:3回程度
研究会件数:25件
年平均回数:2回
開催回数:2回
開催回数:2回
・各項目について詳細説明実施。
(2)H26年度自己評価Ⅰについて
事務局より、H26年度事業の自己評価Ⅰについて説明を行った後、意見交換を行った。
この事業は、競輪の補助により作成しました。
http://ringring-keirin.jp
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
◎第 4回コーディネータ連絡会 開催報告
1.日 時
2.場 所
平成27年2月10日(火)10:30~12:30
(一財)九州産業技術センター 3F 会議室
3.出席者
コーディネータ11名、事務局6名
4.議 題
○コーディネータ活動及び研究会(コーディネータ案件)実績について
○活動件数及び研究会開催件数等について
○コーディネータ活動について個別説明
○ブラッシュアップ研究会(コーディネータ案件)について個別説明
○意見交換
• ニーズ調査においては、1回程度の訪問で企業が製品開発等の重要なニーズ情報を話さない場合
がある。このような企業に対しては複数回ニーズ調査に行く必要がある。
• オープンイノベーションサイトでニーズ情報をキーワード検索で探すと、多数ヒットして絞り込
めない。セキュリティー上、詳細な情報はアップされていない。キーワードを工夫してある程度
絞り込めたら、事務局経由で先方の担当コーディネータとの情報交換ができるように設定する。
等
この事業は、競輪の補助により作成しました。
http://ringring-keirin.jp
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
◎第2回ニーズ発表会 開催報告
1.日 時
平成27年2月10日(火)14:00~17:00
2.場 所
ハイアット・リージェンシー・福岡 2階 リージェンシーⅡ
(福岡市博多区博多駅東2-14-1 TEL:092-412-1234)
3.発表者
公益財団法人 大阪産業振興機構
統括コーディネータ 夏川 一輝 氏
3.出席者
コーディネータ30名、事務局 5 名
4.議 題
技術ニーズ説明会(ニーズ提示型ビジネスマッチング事業)
提案方法について
主 催:一般財団法人九州産業技術センター
共 催:公益財団法人大阪産業振興機構
この事業は、競輪の補助により作成しました。
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
◎第2回事業推進委員会 開催報告
1.日 時 平成27年2月19日(木) 10:00~12:00
2.場 所 (一財)九州産業技術センター 3F 会議室
3.出 席 者
委員12名 事務局5名
氏名
所属
役職
委 員 長 若山 正人 九州大学
理事・副学長
副 委 員 尾家 祐二 九州工業大学 大学院情報工学研究院 電子情報工学研究系
教授
委
員 犬養 吉成(独)産業技術総合研究所九州センター
代理出席:
イノベーションコーディネータ
委
員 栗田 澄彦 ㈱ PAT
代表取締役社長
委
員 竹下 哲史 長崎大学 産学官連携戦略本部共同研究支援部門
部門長・准教授
委
員 友景 肇 福岡大学 工学部電子情報工学科
教授
委
員 前田 隆 株式会社トライアンド
代表取締役社長
委
員 安田 誠二(公財)佐賀県地域産業支援センター 研究開発推進課
科学技術コーディネータ
委
員 山内 恒 九州大学 産学官連携本部研究推進グループ
グループ長・准教授
委
員 野村 善幸 崇城大学 生物生命学部 応用微生物工学科
教授
委
員 劉 孝宏 大分大学 工学部 機械・エネルギーシステム工学科
教授
委
員 古澤 邦夫(一財)九州産業技術センター
専務理事
4.議 事
○平成26年度 JKA 補助事業概要説明
○平成26年度 JKA 補助事業状況報告
○平成26年度 JKA 補助事業 自己評価Ⅰ
○平成27年度 JKA 補助事業「九州地域新産業戦略に基づくイノベーション創出事業の概要」について
○意見交換
事務局より H26年度事業の自己評価Ⅰについて説明を行い、意見交換後承認を得た。
この事業は、競輪の補助により作成しました。
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
平成 26 年度九州地域ものづくり中小企業化支援事業
関係機関連絡会開催報告
九州地域の中小企業支援機関との連携体制構築・強化、情報の共有化を図るため、本事業の実施成果等
の発表を行った。
関係機関連絡会開催概要
ⅰ)開催日時
ⅱ)開催場所
平成27年3月3日(火)
13:15~16:40
リファレンス駅東ビル 2階 Y -1
(福岡市博多区博多駅東1丁目16-14 TEL:092-432-0058)
ⅲ)開催内容
1)開会挨拶
九州経済産業局 地域経済部 技術振興課 課長 原 正
2)議 事
<第Ⅰ部(13:20~14:10)>
(1)講演
演題:平成27年度戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)について
講師:中小企業庁 経営支援部 技術・経営革新課 津田 直也
<第Ⅱ部(14:20~15:50)>
(1)挨拶 一般財団法人九州産業技術センター 技術振興部長 二階堂 正憲
(2)平成26年度九州地域ものづくり中小企業事業化支援事業の概要
(3)事業化支援事例報告(20分×4名)
<第Ⅲ部(16:00~16:40)>
(1)講演
演題:新市場創造型標準化制度について~標準化をビジネスツールに~
講師:経済産業省 産業技術環境局 基準認証ユニット 基準認証広報室 室長 松原浩司
3)閉 会
ⅳ)参加者数 58名
ⅴ)開催風景
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
九州地域環境・リサイクル産業交流プラザ(K-RIP)
K-RIP 設立「15周年記念セミナー」
、
「環境イノベーションフォーラム」
&「マレーシア環境ビジネスミッション団」派遣の報告
1.K - RIP 設立15周年記念セミナー
)は、
「九州地域の環境ビジネスの育成・
九州地域環境・リサイクル産業交流プラザ(以下「K - RIP」という。
振興を通じた地域経済の活性化」を目的として、平成11年11月に設立された会員数約370から成る産学官金
のネットワーク組織で、本年で15年目を迎えました。
K-RIP ではこの節目の年に、今後更なる九州の環境ビジネスにおけるネットワーク強化、新事業創出によ
る環境産業の振興を目的とした「15周年記念セミナー」を開催しました。
K-RIP 会員企業3社にご登壇いただき、これまでの K-RIP のネットワーク・支援メニューを活用したビジ
ネスモデルの形成や取組事例等をご講演いただきました。当日は K-RIP 設立当初から携わられた方々をは
じめ、たくさんの方にご出席いただき、セミナー後の交流会も含めて大盛況となりました。
(1)開催日時:平成27年3月18日(水)15:30~17:50 (18:00~交流会)
キッチン)
(2)会 場:福岡合同庁舎 新館3階 大会議室 (交流会 1階 M’
(3)参加者数:セミナー84名(交流会56名)
(4)プログラム
【主催者挨拶】 K-RIP 会長 鶴田 暁 氏
【ご来賓挨拶】 九州経済産業局 資源エネルギー環境部
部長 折田 憲一 氏
「K-RIP15年の歩み」
【K-RIP 紹介】 タイトル:
発 表 者:K-RIP
マネージャー 嶋田 駿一 氏
【事 例 紹 介】 タイトル:
「農業で活かせるリサイクルシステム」
講 演 者:楽しい株式会社
代表取締役 松尾 康志 氏
タイトル:
「中国大連市での水処理事業」
講 演 者:清本鐵工株式会社
代表取締役 専務執行役員 清本 邦夫 氏
タイトル:
「世界初!
! ハイブリッド型輻射冷暖房システム『ecowin HYBRID』」
講 演 者:株式会社エコファクトリー
鶴田会長挨拶
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九州経済産業局 折田部長挨拶
代表取締役社長 村上 尊宣 氏
セミナーの様子
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
2. 環境イノベーションフォーラム
一次産業従事者が持つ課題と環境・エネルギー及び半導体・エレクトロニクス関連企業が持つ技術シーズのマッ
チングを図ることで、クリーン分野技術の一次産業分野への適応拡大を目指すとともに、一次産業従事者の生産
性向上、省エネ化等を実現し、地域活性化につなげることを目的として、「一次産業に活かせ!九州の先端環境
技術」をテーマに、
「環境イノベーションフォーラム」を開催し、基調講演や、九州内企業によるプレゼンテーショ
ンを実施しました。
(1)開催日時
:平成27年2月4日(水)
14:00~17:20 (17:30~交流会)
(2)会 場 :㈱ニューウェルシティ宮崎 (宮崎市宮崎駅東1-2-8)
(3)主 催 者
:九州経済産業局、
(一財)九州産業技術センター、(一社)九州経済連合会
九州半導体・エレクトロニクスイノベーション協議会(SIIQ)
環境省九州環境パートナーシップオフィス(EPO 九州)
九州地域環境・リサイクル産業交流プラザ(K-RIP)
九州農業成長産業化連携協議会
(4)共 催
:宮崎県、宮崎県太陽電池・半導体関連産業振興協議会
(5)後 援
:九州農政局
(6)参加者数
:102名
(7)プログラム
【基調講演】
演 題
:
「マイクロバブル発生装置の特性と農業及び水産業への利用」
講 師
:熊本県立大学 環境共生部
教授、学部長 堤 裕昭 氏
【企業プレゼンテーション】
タイトル
:
「低コスト安定供給を実現する植物モデルを目指して」
プレゼンター :株式会社ひむか野菜光房
タイトル
:
「二次産業農業を目指して」
プレゼンター :株式会社果実堂
タイトル
取締役 嶋本 久二 氏
執行役員 栽培管理本部 本部長 高瀬 貴文 氏
:
「園芸施設環境データの収集及びハウス自動開閉装置」
プレゼンター :サンクールシステム株式会社
タイトル
:
「簡単に設置できる無線利用型スマートアグリ」
プレゼンター :吉玉精鍍株式会社
タイトル
代表取締役 宮永 泰宏 氏
本社工場 情報 SG 課 課 長 畝原 広美 氏
:
「農業廃棄物を資源に 廃棄農作物の低コスト堆肥システム
廃プラ農業資材の油化・炭化システム」
プレゼンター :楽しい株式会社
基調講演 熊本県立大学 堤氏
代表取締役 松尾 康志 氏
講演会の様子
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
3.「マレーシア環境ビジネスミッション団」派遣
K-RIP は、アジア・クリーンクラスター戦略産業展開事業の一環として、九州の環境関連企業のアジア展開を
支援すべく、マレーシア・マラッカ州との環境産業交流事業に取り組んでいます。今回のミッション団派遣では、
環境産業交流事業の具体的な成果に繋げるべく、マレーシアがマラッカ州を先行地域として取り組んでいる「Green
City Action Plan」への九州企業の参画に係る官民協議や現地調査等の実施を通じて、現地での環境プロジェク
ト組成や現地企業とのビジネスマッチングを図る取組を実施しました。
】参加者は K-RIP、九州経済産業局、企業10社 合計17名
【ミッション日程(※1日、6日は移動日)
官民協議の様子
タスクフォース・ミーティングの様子
水処理関係 LOI 締結
エネルギー関係 LOI 締結
上記協議等を踏まえ、ミッション参加企業の内、水処理及びエネルギー関連企業の2社が現地のカウンターパー
トとの間で、具体的なプロジェクトに関する LOI(合意書)を締結するなど、今後さらなる環境ビジネス交流の
深化が見込まれます。
《KITEC 会員の皆様へ 》
入会のご案内
K-RIP では、環境ビジネスに精通したマネージャーが、会員の皆様のニーズに合ったビジネスプランを
ご提案しています。事業内容や入会方法に関しましては、下記連絡先にお気軽にお問い合わせ願います。
福岡市博多区博多駅東2-13-24 一般財団法人九州産業技術センター内
(TEL)092-474-0042 (FAX)092-472-6609 事務局 中尾、嶋田
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センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
九州ヘルスケア産業推進協議会(HAMIQ)
[医工連携マッチングセミナー in 宮崎]
宮崎県企業局 県電ホールにて「医工連携マッチングセミナー in 宮崎」を開催しました。今回は宮崎県臨
床工学技士会様と宮崎県庁の産業集積推進室様にもご協力いただき、感謝申し上げます。
セミナーでは、宮崎県内外のものづくり企業様などにご参加いただき、宮崎県臨床工学技士会に所属され
る4名の臨床工学技士の方々による「医療現場における医療機器等へのニーズ」発表を実施しました。また、
「医工連携による医療機器開発のポイント」を先生のご
基調講演では九州保健福祉大学の竹澤真吾教授に、
経験を踏まえて、具体的に解り易くご講演頂きました。
セミナー終了後には名刺交換会を実施しましたが、皆様、話が尽きないほどの盛況ぶりで、セミナーに参
加して良かったとの声が多く聞かれました。
日 時
平成27年 1 月29日(木)
14時30分~19時00分
会 場
宮崎県企業局 庁舎一階 県電ホール(宮崎市旭1丁目2番2号)
基調講演
九州保健福祉大学 保健科学部 臨床工学科 医療現場のニーズ発表
(1)
特定医療法人 友愛会 野尻中央病院 (2)
宮崎生協病院 (3)
宮崎県立宮崎病院 臨床工学科 (4)
宮崎県立延岡病院 臨床工学科 教授 竹澤 真吾 様
平田 朋彦 様
川越 信宏 様
外山 芳久 様
大田 善久 様
[第2回 “ヘルスケア産業づくり” 貢献大賞]
昨年度に引き続き、今年度も“ヘルスケア産業づくり”貢献大賞の募集を平成26年10月~12月の期間に
実施し、4分野、全25件の応募を頂きました。現在、事務局と審査委員により、5つの賞(大賞、九州経済
産業局長賞、九州経済連合会長賞、奨励賞、特別賞)の対象案件を選考しております。
各賞の受賞者は平成27年7月に実施される九州ヘルスケア産業推進協議会の総会において、表彰され、簡
単なプレゼン発表を実施して頂く予定です。
「第2回“ヘルスケア産業づくり”貢献大賞」について
http://hamiq.kitec.or.jp/html/kouken/2014/index.html
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●
センターの活動報告
●
[ポピュレーションセミナー]
[健康投資・健康経営セミナー(大手企業向け)]・・・共催:九州経済連合会
●開催時期: 平成27年2月2日(月)
●開催場所: 福岡市 電気ビル 共創館
●講 師 等: 経済産業省ヘルスケア産業課 江原 氏、
東京大学政策ビジョン研究センター 健康経営研究ユニット 古井 氏、
正興 IT ソリューション(株) 有江 氏
●出席者数: 48名(企業経営者、管理部門責任者等)
[健康サービス産業創出セミナー]
・・・共催:鹿児島市
●開催時期: 平成27年2月2日(月)
●開催場所: 鹿児島市 ソーホーかごしま会議室
●講 師 等:(株)タニタ 丹羽 氏、
JTB ヘルスツーリズム研究所 高橋 氏、
(有)True Balance 山下 氏
●出席者数: 90名(サービス事業者、医療・介護機関、金融機関、自治体等)
[薩摩川内市ヘルスケアセミナー]
・・・共催:薩摩川内市
●開催時期: 平成27年2月3日(火)
●開催場所: 薩摩川内市 薩摩川内市国際交流センター
●講 師 等:(株)くまもと健康支援研究所 松尾 氏、
(株)タニタヘルスリンク 土志田 氏
●出席者数: 250名(サービス事業者、医療・介護機関、金融機関、市民、自治体等)
[指宿ヘルスケアを考える会]
・・・共催:指宿市
●開催時期: 平成27年2月23日(月)
●開催場所: 指宿保健センター
●講 師 等: 鹿児島女子短期大学 住澤 氏
●出席者数: 40名(介護事業者、サービス事業者等)
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KITEC 2015 No.274
●
センターの活動報告
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KITEC 2015 No.274
[海外における医療機器関連市場開拓等]
[タイにおける医療関連産業(機器・サービス)市場開拓に向けたネットワーク構築事業]
医療機器の海外展開を図るため、海外における医療機器関分野をターゲットとした市場動向や商習慣等、
事業性調査を実施した。
●実施時期: 平成27年2月16日(月)~2月21日(土)
●実施場所: タイ国内バンコク市他
●参 加 者: 3名
●成
果: タイ国内の医療機関、介護士育成学校や医療機器の製造拠点を訪問し、同国内の医療事情
など市場の現状と動向等の把握を行った。
[上海におけるヘルスケアサービス事業性調査]
●実施時期: 平成27年3月4日
(水)~6日
(金)
●実施場所: 中国上海(介護施設、公立病院、医療機器販売会社、JETRO 上海事務所、在上海日本国総
領事館)
●参加者数: のべ10名(うち現地合流6名)
●成 果: 中国の高齢者人口は現在1億人を超えており、医療・介護事業者にとっては非常に大きなマー
ケットである。上海は高齢化に対する危機意識もあり健康志向が高く、富裕層も多い。また、
日本的な介護サービスに対する評価も高くニーズもあるため、上海における事業性は高い
と予測できた。ただし、日中間における文化や習慣の違いを無視しての成功の可能性は低
いので、中国の国内事情に精通した協力者等を確保することが、必要不可欠と考えられる。
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●
シリーズ
●
KITEC 2015 No.274
平成 26 年度(後期)国際研究集会参加報告
International Workshop on Coated Conductors for Applications 2014
参加
九州大学大学院システム情報科学府 修士2年
小野寺 優太
2. 研究発表について
1. 会議概要
2014年11月30日( 日 )か ら12月3日( 水 )に 韓
報告者は磁気モーメントのベクトル測定による高温
国・済州島の済州グランドホテルにて、International
超伝導テープ線材の磁化特性の評価についてポスター
Workshop on Coated Conductors for Applications
発表を行った。高温超伝導テープ線材は、その超伝導
2014(CCA 2014)
が開催された。本会議は高温超伝
状態に転移する臨界温度の高さと抵抗ゼロで流すこと
導テープ線材を用いた応用機器のための線材開発、技
が出来る電流密度の大きさから、電力ケーブルや変圧
術開発について協議することを目的とする国際ワーク
器、回転機など電力・エネルギー応用機器への適用に向
ショップである。第一回が2000年にドイツで開催され、
けた研究開発が精力的に行われている。近年、国内外
以後、欧州、アジア、アメリカにて開催されている。今回
のメーカーによって長尺線材の商用生産が開始され、応
の参加者数は148人と過去最高の参加者数に並ぶ人数
用機器の開発が加速している。その中で重要な問題点
であった。11カ国から発表者が集い104件の発表が行
として顕在化しているのが、高温超伝導線材特有のテー
われた。
プ形状に起因する問題である。すなわちアスペクト比が
今回会議が開催された済州島は「韓国のハワイ」と呼
高いテープ状の構造をしていることから、発生した磁場
ばれ、中央にそびえる漢拏山を中心に牧場や茶畑、みか
によって生じる線材自体の磁化と磁化電流が機器の特
ん農園など、のどかな光景が広がっており観光・娯楽施
性に影響を与える。特に、巻線内の素線は斜め磁場に
設が多数あるほか、海産物なども豊富なため、韓国国
晒されるため印加磁場の角度に対する依存性の評価が
内のみならず日本などからも多くの観光客が訪れる場
求められるが、今のところ十分に評価されていないばか
所である。そのため、会議の間のコーヒーブレイクには
りか、そのための手法すら確立されていない状況である。
飲み物やお菓子とともに山盛りの甘いみかんが並べら
そこで我々は、磁気モーメントのベクトル計測手法を取
れ、昼食や夕食では多くの海鮮料理に参加者は舌鼓を
り入れることにより、斜め磁場中における磁化緩和測
打っていた。
定を実現するとともに、そのモデリングを行った。これ
夕食の様子
32
賑わうポスターセッション会場
●
シリーズ
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KITEC 2015 No.274
により、線材磁化を考慮した機器設計が可能になるとと
もに、高温超伝導テープ線材そのものの高性能化にも
資することが期待できる。
聴衆からは、斜め磁場中における磁化緩和の測定手
法の詳細や電流輸送特性のモデリング方法について質
問を受けた。本測定では、サンプルを低温・磁場中で回
転させることで斜め磁場を印加し、二つの高感度磁気
センサを用いることで緩和を測定しているのであるが、
特殊な測定手法でもあるためか、幾人からも質問を受
けたのが印象的であった。それと同時に、本研究のニー
訪問した変電施設
ズや有用性を改めて実感した。
3. 訪問先での情報収集
本国際会議に参加した最大の収穫は、各国の高温超
伝導テープ線材の開発状況や応用機器の開発における
問題点を把握出来たことである。アジアやアメリカ、欧
州など各地から集った線材メーカーの成果報告、パネル
ディスカッションを通して、超伝導応用機器を普及させ
るには線材の特性向上と製造コストの低減が必要不可
欠であり、応用においては線材剥離の問題が顕在化して
いることを知った。線材開発の動向や解決すべき問題
点を見据えつつ、今後の研究に役立てていきたいと感
じた。
敷設された超伝導ケーブル
研 究 所 見 学 で は 韓 国 電 力 の Superconducting
Power System Center JEJU を 訪 問し た。同 施 設 で
は、実系統下に直流80kV、500 MW の容量を有する
500m 長の高温超伝導電力ケーブルシステムを導入し、
実証試験が行われている。超伝導ケーブルは従来の電
力ケーブルに比べて送電時の損失を大幅に低減するこ
とが出来るうえ、送電可能な電力容量が交流では5倍、
直流では10倍にも達するため、将来の電力需要の増加
に資する技術として期待されている。超伝導ケーブル
の実系統を用いた実証試験がアジアやアメリカ、欧州な
ど各地で行われているが、今回見学を行った施設は第
二世代と呼ばれる希土類系テープ線材を使用してケー
ブルを作製しているのが特徴であり、同ケーブルを使用
した実証試験はここが世界初である。敷設されたケー
超伝導ケーブルの模型
ブルや冷却設備などの周辺機器を間近で見る貴重で有
益な機会であった。
最後に、このような有意義な渡航を実現して下さっ
た本研究集会参加助成に心より感謝を申し上げます。
33
●
シリーズ
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KITEC 2015 No.274
平成 26 年度(後期)国際研究集会参加報告
ASME 2014 International Mechanical Engineering Congress and Exposition
参加
佐賀大学 海洋エネルギー研究センター 助教
小山 幸平
1.はじめに
をカバーする機械工学分野における世界最大級の国際
2014年11月14日から20日まで、アメリカ機械学会
会議である。本年は、カナダ東部のケベック州モントリ
主催による2014年世界機械工学会議(ASME 2014
オールで開催された。発表論文の募集は会議開催の約
International Mechanical Engineering Congress
9ヶ月前から始まり、査読を経て講演論文集への採録お
and Exposition)がカナダのモントリオールで開催され
よび講演の可否が決定される。会議は初日の Keynote
た。報告者は、平成26年度(後期)国際研究集会参加助
eventとパネル討論に始まり、会議開催期間を通じて基
成を受けて本国際会議に参加し、研究発表、情報収集お
調講演や企業招待講演が行われた。一般講演では、機
よび交流を行った。以下において、会議の概要、研究講
械工学における20の分野で2400件を超える研究発
演内容、会議期間中の交流などを報告する。
表が行われた。開催地モントリオールはすでに冬を迎
えており、会議の期間中には数センチの積雪がある日
2.会議概要
もあったが、会議には約2000人が参加し、会場である
本国際会議は、アメリカ機械学会が毎年秋にアメリカ
あるいはその周辺国で開催しており、幅広い学術領域
モントリオール国際会議場(Palais des congrès de
Montréal)では活発な討論が行われた。
3.研究講演について
報告者は、Advences in Heat Transfer EquipmentⅠの
セッションにおいて、論文番号 IMECE2014-36689、
題目「Visualization of FC-72 Flow Boiling in Paralleland Counter-Flow Plate Heat Exchangers( 並流型
および向流型プレート式熱交換器における FC-72流動
沸騰の可視化)
」の研究発表を行った。内容は、海洋温
度差発電で用いられるプレート式熱交換器の性能特性
研究集会会場のモントリオール国際会議場
(Palais des congrès de Montréal)
に関する研究である。
海洋温度差発電は、海洋表層の温海水と深海の冷海
水との温度差を利用して発電を行う技術である。海洋
温度差発電は自然エネルギーのひとつであり、エネル
ギー・環境問題を解決し持続可能な社会を構築するた
めに、その開発が期待されている。海洋温度差発電設
備の主要な構成機器は、ポンプ、蒸発器、タービン、発電
機および凝縮器である。海洋温度差発電の実用化のた
めには、タービンに供給する蒸気を生成するための蒸
発器の性能が重要であり、蒸発器に関する研究が重点
Keynote event 会場
34
●
シリーズ
的に進められている。
海洋温度差発電の蒸発器には、小型化やメンテナン
ス性の観点で有利なプレート式熱交換器の使用が想定
●
KITEC 2015 No.274
で運転されているのかを尋ねられるなど、地球環境問
題に対応した発電技術への関心の高さをうかがうこと
ができた。
されている。報告者が本国際会議で発表を行った研究
は、このプレート式熱交換器の高効率化に関する研究
4.情報収集
である。報告者の研究グループは、高効率が得られるプ
会議期間中、報告者は主にエネルギーに関するセッ
レート式熱交換器の運転条件として一般的に考えられ
ションで行われた研究講演を聴講した。その中でも特に、
てきた向流型ではなく、低効率とされてきた並流型で運
新エネルギーに関する講演が印象に残った。熱電変換
転することにより、向流型よりも高い熱通過率が得られ
技術に関する講演では、発電コストに関する質問が相
ることを示し、そのメカニズムを解明した。熱交換器の
次ぎ、新エネルギー導入時の課題となることが多いコス
型式を並流型に切り替えたことで、作動流体の加熱が
トの問題を明確にすることの重要性を痛感した。アメリ
速やかに行われるようになり、発泡点が熱交換器上流
カの研究者による講演においては、太陽光発電や地熱
側に遷移した。これに伴い熱交換器内部が強く攪拌さ
発電に関するものが多くみられた。広大な土地を有す
れ、温度境界層が効果的に破壊されたため、熱通過率
るアメリカの特徴を活かしたものであり、新エネルギー
が増加した。向流型と並流型との切り替えは、システム
開発においては、地域特性を適切に活用することの重
の配管経路を変更するのみであるため、低コストで容易
要性を再認識した。また、発展途上国出身者の視点に
に高効率化が可能であるという特徴がある。
基づく講演があり、国内の研究集会ではみられない内
当該セッションの参加者は、北米、ヨーロッパ、アジ
アにまたがり、発表後の質疑応答では、報告者が示した
容が新鮮であるとともに、エネルギー問題において幅
広い視野を持つ必要性を強く感じた。
方法によって、発電効率がどの程度改善されるかの質
問を受けるなど、非常にシンプルな方法による伝熱促
5.交流
進技術が注目された。また、海洋温度差発電そのもの
会 議 期 間 中 に は、日 本 か ら の 会 議 参 加 者 であ る
に対する質問もあり、海洋温度差発電が何度の温度差
首 都 大 学 東 京 の 浅 古 豊 教 授、鹿 児 島 大 学 の Hong
Chungpyo 准教授とお会いし、関連分野の議論と情報
交換を行った。浅古教授は、報告者が博士後期課程に
在学していた際の指導教員であり、Hong 准教授も報告
者と同じく浅古教授の指導を受けていた。また、報告者
と同じセッションで研究発表を行ったイタリア・ナポリ
第2大学の Oronzio Manca 教授と交流を図り、別セッ
ションで偶然居合わせた際にも握手を交わすなど、有
研究発表時の様子
意義な交流を行った。
6.おわりに
参加した会議は機械工学分野における最大規模の国
際会議であるため、参加者の国籍も多岐に渡っていた。
そのため、自らの考えを伝える意思の強さや積極的に
交流を図る姿勢の必要性を痛感した。今後も自らをさ
らに高め研究活動に取り組みたいと考えている。
最後に、本助成を受けた渡航により、国際会議での研
究発表および交流ができたことを記し、
(一財)九州産
会場入口にて撮影
(左:Hong 准教授、中:報告者、右:浅古教授)
業技術センターに謝意を表します。
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KITEC 2015 No.274
九州経済産業局情報
平成 27年度 戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)
この事業は、デザイン開発、精密加工、立体造形等の特定ものづくり基盤技術(12分野)の向上につ
ながる研究開発、その事業化に向けた取組を支援することが目的です。中小企業・小規模事業者が大学・
公設試等の研究機関等と連携して行う、製品化につながる可能性の高い研究開発及びその成果の販路開拓
への取組を一貫して支援します。
<対象者>
中小ものづくり高度化法の認定を受けたものづくり中小企業・小規模事業者を含む、事業管理機関、
研究等実施機関、総括研究代表者(PL)、副総括研究代表者(SL)、アドバイザーによって構成され
る共同体
<支援内容・支援規模等>
○補助事業期間:
2年度又は3年度
○補助金額(上限額)
:
・初年度4,
500万円以下
・2年度目 初年度の2/3以内(定額:1,000万円以内)
・3年度目 初年度の1/2以内(定額:750万円以内)
○補助率:
①大学・公設試等(補助率:定額、1,500万円を上限 )
②中小企業・小規模事業者等 (補助率:2/3)
○公募期間:
平成27年 4 月13日(月)~平成27年 6 月11日(木)
○採択予定件数:
140件程度採択する予定。
※上記件数は、現時点での想定となっておりますので、予告無く変更されることがあります。
《特定ものづくり基盤技術(12分野)
》
①デザイン開発技術、②情報処理技術、③精密加工技術、④製造環境技術、⑤接合・実装技術、
⑥立体造形技術、⑦表面処理技術、⑧機械制御技術、⑨複合・新機能材料技術、⑩材料製造プロセス
技術、⑪バイオ技術、⑫測定計測技術
※詳細は、以下のホームページをご覧下さい。
中小企業庁(http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/2015/150413SenryakuKoubo.htm)
本件に関する問い合わせ先
九州経済産業局 地域経済部 技術振興課
TEL 092-482-5464
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九州経済産業局情報
平成 27年度 シーズ活用研究開発事業[予告]
(革新的ものづくり産業創出連携促進事業の内数)
※本事業の要件等については、現在検討中であるため、今後変更される可能があります。
詳細につきましては、公募開始日に、九州経済産業局のホームページに掲載いたします。
http://www.kyushu.meti.go.jp/support/index.html
○募集期間:平成27年度5月頃~平成27年6月頃(予定)
<対象者>
○大学等の技術シーズを活用して商品開発等を行う中小企業・小規模事業者。
<補助対象事業>
○中小企業・小規模事業者が技術の市場価値を評価できる専門家の目利きを踏まえて行う、大企業や大学
等の知を活用した研究開発。
○中小企業ものづくり高度化法12技術分野(※)を活用していること。
(※)12技術分野
①デザイン開発技術、②情報処理技術、③精密加工技術、④製造環境技術、⑤接合・実装技術、⑥立体
造形技術、⑦表面処理技術、⑧機械制御技術、⑨複合・新機能材料技術、⑩材料製造プロセス技術、
⑪バイオ技術、⑫測定計測技術
<支援内容・支援規模>
○補 助 期 間: 1年度又は2年度
○補助上限額: 2,
000万円
○補 助 率: 2/3以内
<補助対象経費>
○機器設備費、事業費(技術導入費、専門家費、旅費、外注費、知的財産権取得関連経費など)、
労務費、共同研究費、委託費、間接経費(直接経費の30%以内)
本件に関する問い合わせ先
九州経済産業局 地域経済部 技術企画課
TEL 092-482-5462
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研究開発税制について
〜平成 27年度税制の改正〜
企業のオープンイノベーション(外部の技術・知識を活用した研究開発)を促進し、企業(大・中堅・
中小・ベンチャー企業)
・橋渡し研究機関・大学等が各々の機能を発揮しつつ有機的に連携するイノベーショ
ン・ナショナルシステムの強化を図るため、控除率を大幅に引き上げるとともに中小企業の知的財産権の
使用料等を対象費用に追加するなど、オープンイノベーション型の抜本的拡充が実現。
改正概要
○ オープンイノベーション型の抜本的拡充(控除率大幅引上げ・控除上限別枠化・対象費用拡大)
(恒久措置)
○ 総額型とオープンイノベーション型をあわせ、控除上限30%の確保(総額型25%+オープン
イノベーション型5%)
(恒久措置)
○ 繰越控除制度は廃止。
新制度
※詳しくは、経済産業省ホームページ(研究開発税制)をご参照下さい。
http : //w w w.meti.go.jp /policy /tech_promotion /ta x.html
本件に関する問い合わせ先
九州経済産業局 地域経済部 技術企画課
TEL 092-482-5461
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九州経済産業局人事異動
◎平成 27 年 4 月 1 日付発令
生
(氏 名)
越 晴 茂
(新)
大臣官房参事官(原子力担当)
(旧)
地域経済部長
堀
尾
容
康
地域経済部長
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構国
際部長
石
丸
晃
総務企画部参事官(地域創生担当)
国際部国際事業課長
下津浦 一 博
総務企画部参事官(観光担当)
地域経済部製造産業課長
川
原
昌
喜
総務企画部参事官(農林水産業・九州ブランド担当) 総務企画部参事官(農業・九州ブランド担当)
兼産業部産業課農業成長産業化支援室長
兼産業部産業課農林水産業成長産業化支援室長
山
本
俊
文
総務企画部参事官(次世代・基盤産業担当)
兼産業部流通・サービス産業課サービス産業室長
兼産業部流通・サービス産業課コンテンツ産業支
援室長
産業部産業課長補佐
兼産業部産業課産業振興室長補佐
治
総務企画部参事官
兼産業部中小企業課中小企業金融室長
総務企画部総務課長補佐
兼総務企画部総務課情報公開・個人情報保護・政策評
価室長補佐
兼総務企画部総務課広報・情報システム室長補佐併任
兼総務企画部総務課企画調整係
秋
吉
英
山
田
英
樹
総務企画部参事官
兼産業部中小企業課中小企業経営支援室長
地域経済部新産業戦略課長補佐
兼産業部流通・サービス産業課サービス産業室長補佐
兼産業部流通・サービス産業課コンテンツ産業支援室
長補佐
兼地域経済部地域経済課消費税転嫁対策室転嫁対策調
査官
兼産業部中小企業課消費税転嫁対策室転嫁対策調査官
田
志
招
則
総務企画部調査課長
地域経済部情報政策課長
兼総務企画部参事官(地域情報統括担当)
谷
川
重
美
国際部国際事業課長
資源エネルギー環境部資源エネルギー環境課長補佐
兼資源エネルギー環境部資源エネルギー環境課エネル
ギー環境広報室長補佐
兼資源エネルギー環境部資源エネルギー環境課電力・
ガス事業監査官
兼地域経済部地域経済課消費税転嫁対策室転嫁対策調
査官
兼産業部中小企業課消費税転嫁対策室転嫁対策調査官
知
識
芳
秀
地域経済部新産業戦略課長
総務企画部参事官(次世代・基盤産業担当)
兼産業部流通・サービス産業課サービス産業室長
兼産業部流通・サービス産業課コンテンツ産業支援室長
田
中
繁
孝
地域経済部情報政策課長
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構串木野
国家石油備蓄基地事務所長
生
島
敬
二
地域経済部製造産業課長
総務企画部参事官(地域経済戦略担当)
産業部中小企業課長
松
崎
治
洋
産業部産業課長
兼産業部産業課産業振興室長
名
垣
眞
一
産業部中小企業課長
地域経済部新産業戦略課長
資源エネルギー環境部鉱害課長
地域経済部製造産業課長補佐
兼地域経済部地域経済課消費税転嫁対策室転嫁対策調
査官
兼産業部中小企業課消費税転嫁対策室転嫁対策調査官
兼地域経済部技術振興課工業標準審査官
田
中
一
久
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KITEC 2015 No.274
九州経済産業局情報
九経マンスリー
平成27年4月8日
九州経済産業局
今月の管内経済動向:九州地域の経済は、緩やかに持ち直している。
生産は持ち直している。輸出は持ち直している。個人消費は持ち直しの動きがみられる。雇用情勢は改善している。
国内需要や海外経済の動向などを引き続き注視する必要がある。
概 況
1.生産動向
2月の鉱工業生産指数(季節調整済)は、103.5 で前月比▲3.9%と
5か月ぶりの低下となった。
2.設備投資動向
平成 27 年度の設備投資計画は、製造業は前年度比 +5.8%、非製造
業は同▲19.6%で、全産業では同▲8.1%と前年度を下回る見込み。
3.貿易動向
2月の輸出額は、前年同月比▲4.9%と6か月ぶりの減少、輸入額は
同▲12.9%と2か月連続の減少となった。
4.消費動向
●大型小売店販売額
2月の大型小売店販売額は1,171 億円で前年同月比 +2.2%と8か月
連続の増加となった。百貨店は403 億円で同 +1.1%と3か月ぶりの増
加、ス−パ−は768 億円で同 +2.9%と8か月連続の増加となった。
●コンビニエンス・ストア販売額
2月のコンビニエンス・ストア販売額は705 億円で、全店では前年同
月比 +4.3%と41 か月連続の増加、既存店では同 +1.3%と6か月
連続の増加となった。店舗数は4,711 店となった。
●乗用車新車登録・届出台数
2月の乗用車新車登録・届出台数は、普通車・小型車・軽自動車す
べてで前年を下回り、乗用車全体で前年同月比▲14.7%と2か月連
続の減少となった。
●家計調査
2月の消費支出(二人以上の世帯)は24 万 7,157 円で、前年同月比
▲3.3%と8か月連続の減少となった。可処分所得(勤労者世帯)は、
同▲5.0%と8か月連続の減少となった。
●家電販売額
2月の家電販売額は前年同月比▲27.1%と11 か月連続の減少とな
った。パソコン、冷蔵庫、エアコン等が前年を下回った。
●旅行取扱高
2月の九州の主要旅行業者3社の旅行取扱高は、国内旅行は前年同
月比 +3.2%と4か月連続の増加、海外旅行は同▲10.1%と5か月連
続の減少、合計では同▲0.8%と2か月連続の減少となった。
●賃金(現金給与総額)
12 月の賃金(5人以上の事業所)は、全産業では前年同月比 +1.9
%と15 か月連続の増加、製造業では同▲1.1%と16 か月ぶりの減
少となった。
5.住宅建設動向
2月の新設住宅着工戸数は、持家、分譲住宅が前年を下回り、全体で
は前年同月比▲11.0%と2か月ぶりの減少となった。
九州の主要経済指標(27年2月)
■生産動向【九州経済産業局】 生産指数
103.5
(参考)出荷指数
107.0
在庫指数
119.6
前月比 前年比
▲3.9
▲0.8
▲5.6
1.3
0.9
6.0
(25 年度、26 年見込、27 年度計画 )
■設備投資動向【日本銀行福岡支店】
25 年度
26 年度
27 年度
全産業
16.9
16.4
▲8.1
製造業
▲5.0
16.1
5.8
非製造業
37.8
16.8
▲19.6
■貿易動向【財務省】
輸出通関額
454,873 百万円
輸入通関額
477,558 百万円
▲4.9
▲12.9
■大型小売店販売額【九州経済産業局】
合計
117,115 百万円
百貨店
40,310 百万円
スーパー
76,805 百万円
2.2
1.1
2.9
■コンビニエンス・ストア販売額【九州経済産業局】
商品販売及びサービス売上高
705 億円
全店
既存店
店舗数
4,711 店
4.3
1.3
■乗用車新車登録・届出台数【福岡県自動車販売店協会等】
乗用車計
45,124 台
▲14.7
普通車
11,148 台
▲22.6
小型車
12,785 台
▲10.8
軽自動車
21,191 台
▲12.2
■家計調査【総務省】
消費支出(二人以上の世帯)247,157 円
可処分所得(勤労者世帯) 367,817 円
平均消費性向(季調値、全国)
72.9%
(実質) ▲3.3
(実質) ▲5.0
▲2.4
■家電販売額【GFK ジャパン】
販売額前年同月比(中国・四国・九州)
▲27.1
■旅行取扱高【九州運輸局】
国内旅行
7,754 百万円
海外旅行
2,844 百万円
合計
10,598 百万円
3.2
▲10.1
▲0.8
■賃金【各県】( 26 年 12 月 )
全産業
製造業
1.9
▲1.1
6.物価動向
2月の消費者物価指数 ( 九州 ) は、102.8 で前年同月比 +2.3%と21 か
月連続で上昇(前月比は▲0.2%)。国内企業物価指数は、103.3 で . 前
月から横ばい(前年同月比は+0.5%)。
■住宅建設動向【国土交通省】
住宅着工計
6,242 戸
持家
2,342 戸
貸家
2,921 戸
分譲住宅
930 戸
7.雇用動向
2月の新規求人倍率は1.49 倍で前月から横ばい、有効求人倍率は
前月比 +0.01ポイントの 0.98 倍となった。
■物価動向【日本銀行・総務省】
消費者物価指数(九州) 102.8
企業物価指数(全国)
103.3
▲0.2
0.0
2.3
0.5
8.公共投資動向
2月の公共工事請負金額は、前年と比較して国等が減少し、全体で
前年同月比▲3.2%と7か月連続で減少となった。
■雇用動向【九州各労働局】
1.49 倍
新規求人倍率(季調値)
月間有効求人倍率(季調値)0.98 倍
0.00
0.01
0.13
0.12
9.企業倒産動向
2月の倒産件数は前年同月比▲11.3%と3か月ぶりの減少、負債金
額は同▲25.8%と2か月連続の減少となった。
■公共投資動向[工事請負]
【西日本建設業保証 (株)】
請負金額
696 億円
▲3.2
▲11.0
▲10.3
▲1.6
▲33.2
■企業倒産動向【(株) 東京商工リサーチ福岡支社】
倒産件数
55 件
負債金額
7,110 百万円
▲11.3
▲25.8
(注)
・
「1. 生産動向」の指数は季調値、ただし前年比は原数値で比較。
・
「3.貿易動向」は、九経マンスリー平成 26 年3月版から、山口・沖縄を含まない。
・
「4. 消費動向」中、消費支出・可処分所得の前年比は、算出にあたって消費者物価指数(総務省)により実質化。また、平均消費性向は前月差、前年差で表記。
・
「4. 消費動向」中、賃金(現金給与総額)は、調査対象月の翌々月末に公表されるため、1月遅れで表記。今月分については、厚生労働省・各県の統計結果の公表が遅れているため、
更新していない。
40
KITEC 2015 No.274
九州経済産業局情報
九州地域の鉱工業動向(平成 27 年2月速報)
1.
概 況
○ 基調判断
持ち直している
平成 27 年2月の鉱工業生産指数 ( 季節調整済 ) は 103.5 となり、前月比が▲3.9
%と5か月ぶりで低下し、前年同月比は▲0.8%と3か月ぶりの低下となった。
(平成 22 年=100)
原 指 数
季節調整済指数
前年同月比 %
前 月 比 %
九州
全国
生 産
103.5
▲3.9
97.7
▲0.8
出 荷
107.0
▲5.6
101.3
1.3
在 庫
119.6
0.9
121.0
6.0
在庫率
112.1
3.6
118.3
▲3.0
生 産
98.9
▲3.4
95.3
▲2.6
出 荷
100.2
▲3.4
95.3
▲3.1
在 庫
111.8
0.5
115.0
7.3
在庫率
112.8
4.3
116.3
9.3
▲印は低下を示す。
九州の鉱工業生産指数と前年比の推移
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-35
-40
-45
前年同月比
九州生産指数
全国生産指数
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
前 年 同 月 比︵ % ︶
生 産 指 数︵ 季 節 調 整 済 ︶
140
135
130
125
120
115
110
105
100
95
90
85
80
75
70
65
60
平成27年2月
九州
103.5
全国
98.9
H27 (年)
※ 時系列表は当局ホームページからダウンロード出来ます。
(http://www.kyushu.meti.go.jp/stat/index.html)
※ 全国分の鉱工業指数については経済産業省ホームページをご参照下さい。
(http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html)
(本発表資料のお問い合わせ先)
九州経済産業局総務企画部調査課長 田志
担当者:上野、本多、村山
電話:092-482-5418
41
KITEC 2015 No.274
九州経済産業局情報
2.業種別動向
業種別の前月比をみると、化学・石油石炭製品工業、鉱業、その他工業など 15 業種
中4業種が上昇し、はん用・生産用・業務用機械工業、輸送機械工業、電気・情報通
信機械工業など 11 業種が低下した。
【 生 産 】全 15 業種中 上昇4業種、低下 11 業種、横ばい0業種
季節調整済指数
前期(月)比 %
前年同期(月)比 %
26 年
1∼3 月
104.1
5.7
8.5
主な上昇・低下業種/ウェイト
上昇
化学・石油石炭製品工業
鉱業
4∼6 月
100.2
▲3.7
2.1
7∼9 月 10∼12 月
97.7
99.8
▲2.5
2.1
▲0.5
1.3
前 年
同月比
前 月 比
前月 今月
825.9
4.3
41.4
その他工業
6.0
0.1 ▲12.9
低下
530.0
▲8.9
▲2.6
はん用・生産用・業務用機械工業
1,119.2
▲7.1
▲0.6
輸送機械工業
2,448.7
▲0.6
19.8
575.5
▲8.9
16.8
電気・情報通信機械工業
26 年
11 月
99.4
0.1
▲0.3
12 月
100.8
1.4
2.5
季節調整済指数
前期(月)比 %
前年同期(月)比 %
4∼6 月
101.6
▲5.3
0.2
7∼9 月
99.5
▲2.1
▲1.3
4.4 皮膚用化粧品、発酵エチルアルコール 等
18.2 金鉱石 等
1.3 自動車用タイヤ、平版印刷(オフセット印刷)等
▲14.4 反応用機器、半導体製造装置 等
▲4.2 軽・小型乗用車、鋼船 等
▲11.3
一般用タービン・エンジン発電機、
開閉制御装置 等
26 年
10∼12 月 11 月
103.6
105.0
4.1
4.1
2.3
1.6
12 月
104.9
▲0.1
4.5
R
27 年
1月
113.3
8.0
5.0
【 在 庫 】全 15 業種中 上昇8業種、低下7業種、横ばい0業種
季節調整済指数
前期(月)比 %
前年同期(月)比 %
2月
103.5
▲3.9
▲0.8
主な上昇・低下品目
【 出 荷 】全 15 業種中 上昇6業種、低下9業種、横ばい0業種
26 年
1∼3 月
107.3
6.1
7.9
P
R
27 年
1月
107.7
6.8
2.6
26 年
1∼3 月
4∼6 月
7∼9 月 10∼12 月
112.5
3.3
▲0.8
117.4
4.4
3.2
123.0
4.8
11.2
112.8
▲8.3
3.5
26 年
11 月
115.0
▲3.3
3.2
P
2月
107.0
▲5.6
1.3
R
P
12 月
27 年
1月
2月
112.8
▲1.9
3.5
118.5
5.1
6.7
119.6
0.9
6.0
九州の半導体・自動車関連の生産指数
(平成22年=100)
自動車関連
生産指数=112.8
前月比▲4.2%
130
120
除く.半導体・自動車
関連
生産指数=101.4
前月比▲3.4%
110
100
90
半導体関連
生産指数=96.9
前月比▲9.3%
80
70
60
H22
H23
H24
半導体関連
H25
自動車関連
H26
H27(年)
除く、半導体・自動車関連
《注:半導体関連、自動車関連は以下の品目を合成して指数化》
42
半導体関連:半導体素子+集積回路+半導体部品+半導体製造装置+半導体・IC 測定器
自動車関連:四輪自動車+自動車部品+乗用車用エアコン+二輪自動車+二輪自動車部品+普通鋼鋼帯+普通鋼冷間仕上鋼材
+特殊鋼鋼材+亜鉛めっき鋼板+アルミニウム二次・二次合金地金+アルミニウムダイカスト+線ばね+金型+PM モーター
+電気照明器具+タイヤコード+プラスチック製機械器具部品+自動車用タイヤ
除.半導体・自動車関連: 鉱工業(全体)−(半導体関連+自動車関連)
●
産総研九州センター情報
●
KITEC 2015 No.274
【最近の特許情報】
( 26 年 9月〜26 年11月)
特許番号
(登録日)
出願番号
(出願日)
第5633845号 特願2010-174727
(H26.10.24)
(H22.8.3)
発明の名称
代表発明者
要 約
フォトクロミック
物質及びその製造
方法
秋山守人
化学的、熱的に安定を有し、且つ可視光によってフォトクロミズム
を示すフォトクロミック材料を実現する。
【解決手段】本発明の物質は、下記式(1)
Ba(a - b)CabMgcSidOeMf …(1)
(式中、1.8≦ a ≦2.2、0≦ b ≦0.1、1.4≦ c ≦3.5、1.8≦ d ≦2.2、
e =(a + c + 2d) で あ り、M は、Eu、Nd、Li、S、C、Ti、Al、
V、Mn、Cr、Fe、Cu、Ni、Co、Ge、Zn、Ga、Zr、Y、Nb、In、
Ag、Mo、Sn、Sb、Bi、Ta、W、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、
Eu、Er、Ho、Tb、Tm、Yb、Lu、P、Cd、及び Pb からなる群から
選択される少なくとも1つの元素であり、0≦ f である。
)
で表され、上記物質を構成する各元素を含む原料とホウ酸との混合
物を焼成する工程を含む方法によって得られたものである。
発明の名称
代表発明者
要 約
菊永和也
【課題】
(1)非破壊による静電気帯電を計測する、
(2)金属や絶縁
物が混在する中で計測対象の環境影響を少なくして静電気帯電を計
測する、
(3)近接させずに静電気帯電を計測する、との3つの条件
を同時に満たす、静電気帯電計測方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明の静電気帯電計測方法は、計測対象物に予め選
定した振動数、振幅の振動を与える付与工程と、計測対象物の振動
に伴って発生する電磁波の強度を計測する強度計測工程と、計測工
程で計測された電磁波の強度に基づいて、前記計測対象物の静電気
帯電状態を計測する状態計測工程とを備える。
谷 英治
【課題】耐酸化性や耐食性に優れた炭化ケイ素系耐熱性超軽量多孔
質構造材を提供する。
【解決手段】有機多孔質構造体の有形骨格に樹脂類及びシリコン粉
末を含んだ第一スラリーを含浸させ真空或いは不活性雰囲気下にお
いて炭素化し、真空或いは不活性雰囲気下において反応焼結させて
炭化ケイ素化し、シリコンを溶融含浸してシリコン被覆層を形成し、
次いで樹脂類を含む第二スラリーを含浸させ炭素化するとともにシ
リコン被覆層の少なくとも表面を炭化ケイ素化する。
( 26 年12 月〜27年 2 月)
特許番号
(登録日)
出願番号
(出願日)
第5665151号 特願2012-556820
(H26.12.19) (H24.1.25)
第5665122号 特願2011-034474
(H26.12.19) (H23.2.21)
静電気帯電計測方
法及び装置
炭化ケイ素系耐熱
性超軽量多孔質構
造材及びその製造
方法
43
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