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平成27年6月11日
担当課 商工部新産業振興課
直通 092-643-3453
内線 3777
担当 小野、木戸
世界初! 福岡発の次世代電子回路規格が IEC 国際標準規格として成立
~ 日本の半導体産業の国際競争力強化に貢献! ~
〇
福岡県では、大学等の頭脳資源や半導体関連企業の集積の地域ポテンシャルを最大限に
活用し、世界レベルの半導体開発拠点化の推進に取り組んでいます。
○
このたび、福岡県の支援により設置・運営している(公財)福岡県産業・科学技術振興財団
三次元半導体研究センターの友景肇(ともかげ はじめ)センター長(福岡大学 工学部教授)
が中心となって、産学官連携のもとで開発した「部品内蔵基板」の製造と品質管理に関する規
格が国際電気標準会議(IEC)において国際標準規格として成立しましたのでお知らせします。
○
「部品内蔵基板」は、スマートフォンやウェアラブル端末等をより小型化するために必要な次
世代の電子回路技術として大いに期待されています。
○ 「部品内蔵基板」に関する国際標準規格でこれまでに成立したものはなく、今回成立した福岡
発の規格は世界初となる画期的な成果です。
○
今回の規格に基づき「部品内蔵基板」を製造する際には、国産の材料や装置が利用できると
ともに、ノウハウなど規格書に書き込まれていない知見について三次元半導体研究センターか
らサポートを受けることができることから、国内企業にとって非常に有利なビジネス展開が期待
できます。また、国内メーカーの得意とする技術を積極的に取り込むことで、今後の国際標準
規格の改訂・追加においても日本が主導的な立場をとることが可能となることから、この分野
における将来的な国際競争力の維持・向上にも貢献するものです。
○
福岡県では、三次元半導体研究センターへの支援を通じ、今回成立した国際標準規格の普
及・導入による県内企業の技術力向上を図るとともに、国際標準規格の提唱元である利点を
活かして、半導体関連企業との共同研究開発を活発化させるなど、センター利用の一層の促
進を図ってまいります。
○
つきましては、友景センター長が知事に成果を報告し、その後、記者会見にて詳細な説明を
行います。皆様のご参加をお待ちしております。
【表敬訪問概要】
日
時:
場
所:
表敬訪問者:
平成27年6月16日(火)11時45分 から 11時55分
知事応接室 (福岡県庁行政棟南棟8階)
(公財)福岡県産業・科学技術振興財団 三次元半導体研究センター長
友景 肇 (福岡大学 工学部教授)
【記者会見の概要】
日 時: 平成27年6月16日(火) 12時00分 から 12時20分
場 所: 記者会見室 (福岡県庁行政棟南棟8階)
出席者: (公財)福岡県産業・科学技術振興財団 三次元半導体研究センター長
友景 肇 (福岡大学 工学部教授)
※福岡大学連絡先:
福岡大学 企画部広報課長
重冨 洋二
電話番号 092-871-6631(代表)
(内線 4630)
平成27年6月11日
この件に関する問い合わせ先
(公財)福岡県・産業科学技術振興財団
三次元半導体研究センター
TEL092-331-8510
担当 福本、野北
○ 今回の国際標準規格概要について
今回の国際標準規格は、以下に示すような、部品内蔵基板に関する用語定義、構造、製造過程におけ
る試験方法や出荷時の検査方法等を規格化したもの。
これは、友景肇 三次元半導体設計センター長が提唱し、JPCA(日本回路工業会)が技術を取りまと
めて以下の4規格に分割し、JISC(日本工業標準調査会)から IEC に提案していたもの。
1 適用範囲と構造、用語、仕様 (IEC TS 62878-2-1)
(適用範囲) ・・・ 商品、技術、実装と接続、製造方法など当該規格が適用される範囲の規定
(構造)
・・・ 接続方式と工程埋込み後の構造に関する規定
(用語)
・・・ 世界中で使われる用語の統一
(仕様)
・・・ 板厚、穴、導体、内蔵部品などの仕様統一
2 試験 (IEC TS 62878-2-4) ・・・ 穴径など外形試験、導体抵抗など電気的試験、温度・湿度など
環境試験、燃焼性や耐溶剤性など化学試験に関する規定
3 検査 (IEC 62878-1-1) ・・・ 電気特性や外観、内部透過など出荷検査に関する規定
4 設計 (IEC TS 62878-2-3)・・・ 形状や実装の構成、ビア接続方式、埋込み層厚、部品、配線などの
設計仕様の統一
○ IEC ( International Electrotechnical Commission )について
国際電気標準会議。電気・電子技術分野における規格の標準化を行っている国際機関。1906 年創設。各
国の標準化団体・機関で構成され、日本は 1953 年に加入。本部はスイスのジュネーブ。
○ 部品内蔵基板とは?
従来、基板の表面に実装していた LSI(大規模集積回路)やインダクタ、コンデンサ、抵抗器などの部
品を基板に埋め込むことで、 モジュールの高密度化・薄型化に貢献する技術が部品内蔵基板である。携
帯電話やスマートフォン用のモジュール基板として多く利用されるようになってきている。
電源モジュールを内蔵した開発例
1 円玉
従来の電源モジュール(部品を全て
表面実装、厚さ 1.5mm)
電源モジュール用の部品を全て基板内部
に内蔵したモジュール。(厚さ 0.5mm)
三次元半導体研究センターにおける部品内蔵基板の国際標準規格等に関する取り組みについて
三次元半導体研究センターでは、センター内に開設された福岡大学半導体実装研究所と密接に連
携し、部品内蔵基板の国際標準規格等に関する共同研究や普及活動に積極的に取り組んでいます。
(1)企業コンソーシアム(フジコ)との共同研究
ο福岡大学と企業29社が個別契約を結び、今後の半導体実装技術を共同研究するコンソーシアム
(Fukuoka University Jisso Consortium(フジコ))を組織化
ο福岡大学、フジコ参加企業との共同により、下記の研究開発を実施
・ 国際標準規格に沿った部品内蔵基板の評価
・ 部品内蔵基板を活用した電子部品の研究開発
・ 部品内蔵基板に関連した研究開発
・ 半導体三次元実装関連の研究開発(TSV、シリコンインターポーザー)
・ 設計データフォーマット規格の研究開発
ο研究の実施にあたっては、国事業(文部科学省・地域イノベーション戦略支援プログラム、国立
研究開発法人 科学技術振興機構・A-STEP 事業、経済産業省・省エネルギー等国際標準開発(国
際電気標準分野)事業など)も活用
(2)部品内蔵基板に関する国際標準規格の普及促進
ο経済産業省の事業を活用しての国際標準化へ向けての研究開発と JPCA(日本回路工業会)との連携に
よる登録活動
οJPCA との連携による、企業への国際標準規格の普及および技術移転の推進
ο複数企業との共同による部品内蔵基板に関する信頼性試験の実施
οセンターと福岡大学半導体実装研究所の連携により評価キット※を開発
※評価キット・・・配線設計、工程設計、材料設計、試作(実験)
、評価・解析を一貫して行うことが
できる開発環境のこと。
、
半導体実装研究所
三次元半導体研究センター
・企画
・設計
+
・材料
・インフラ
・プロセス
半導体実装研究所
・シミュレーション
・評価・解析
+
SIPOS TEG SI0601
当センターと福岡大学の連携により評価キットを構築
(3)第二弾の国際標準をめざす設計データフォーマット規格(FUJIKO)の確立・普及
ο基板設計 CAD からの変換フォーマットを統一し、IEC へ提案予定
οFUJIKO データフォーマットを国際標準化することで、日本が電子機器開発の根幹となる設計技術を
主導出来る体制を構築し、日本企業の競争力向上に寄与していく