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§9
※
無機化学の基本知識
これをベースに書き込んで!!
Ⅰ.典型元素
(壱)
1 族元素
(H を除く、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr をアルカリ金属という)
<単体の性質>
①
冷水と激しく反応。空気中で酸化されるので石油中に保存。(H2O、O2 と反応しやすい)
②
比重 2 以下(Li<Na<K)、融点が低く、やわらかい軽金属。
③
炎色反応。Li:赤、Na:黄、K:紫。
<化合物の性質>
①
NaOH
②
NaHCO3
:
加熱すると Na2CO3 になる。
③
Na2CO3
:
白色粉末。酸を加えると CO2 を発生。製法~ソルベー法(アンモニアソーダ法)
④
アンモニアソーダ法(ソルベー法)
(弐)
:
2 族元素
白色固体、カセイソーダともいう。潮解性がある。CO2 をよく吸収する。
(Be、Mg を除く Ca、Sr、Ba、Ra をアルカリ土類金属という)
<単体の性質>
①
融点の低い軽金属。
②
常温で水と反応する。
③
炎色反応。Ca:橙、Sr:赤、Ba:黄緑。
④
Be、Mg
→アルカリ土類金属ではない。(②、③に反する。ただし Mg は熱水とゆっくり反応)
54
§9
無機化学の基本知識
<化合物の性質>
①
Ca(OH)2
②
CaO
:
生石灰。NaOH との混合物はソーダ石灰→塩基性乾燥剤。
③
CaCO3
:
白色固体(結晶は方解石)、石灰石の主成分。水に不溶、酸や加熱で CO2 を発生する。
④
CaCl2
:
中性乾燥剤。
⑤
CaSO4・2H2O(セッコウ)、CaSO4・1/2H2O(焼きセッコウ)
⑥
炭酸カルシウムから生成する化合物
(参)
:
白色固体。消石灰。水に溶かすと石灰水。CO2 を吸収する。
:
ギブスに使われる。
14 族元素
(ⅰ)
C
<単体の性質>
①
ダイヤモンド、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン
②
ダイヤモンド
:
共有結晶で非常に硬い。(Si と同構造)
③
グラファイト
:
電気伝導性。気体、液体をよく吸収する。(活性炭→多孔質)
<化合物の性質>
①
CO2
②
CO
:
:
無色、無臭、酸性気体。
無色、無臭、猛毒気体。
55
→
同素体。
層状構造。
§9
(ii)
無機化学の基本知識
Si
<単体の性質>
①
ダイヤモンドと同じ構造の共有結晶。
②
天然では、水晶、石英として存在。(天然では単体として存在しない)
③
半導体、太陽電池、光ファイバー。
<化合物の性質>
①
SiO2
②
SiC
③
SiO2 からシリカゲルまでの流れ
(肆)
:
:
HF と反応する。NaOH で加熱すると水ガラスになる。
ダイヤモンドに次ぐ硬さ。
15 族元素
(ⅰ)
N
<化合物の性質>
①
ハーバー・ボッシュ法とオストワルト法
56
§9
(ii)
無機化学の基本知識
P
<単体の性質>
①
P4(黄リン)…自然発火(水中保存する)、有毒。
/
P∞(赤リン)…安定、無毒。
→共に燃えると P4O10(五酸化二リン)
②
P は直接水と反応しない。
<化合物の性質>
①
P4O10
: 白色固体。潮解性→酸性乾燥剤。
②
H3PO4
:
(伍)
無色結晶。
16 族元素
(i)
O
<単体の性質>
①
O3 と同素体。O3…Kl デンプン紙を青変。強酸化剤。有毒。淡青色・特異臭。
②
クラーク数が最大。(O、Si、Al、Fe、Ca、Na、…)
(ii)
S
<単体の性質>
①
S8…斜方硫黄(塊状結晶)
/
※
ポリマー…ゴム状硫黄
/
S8…単斜硫黄(針状結晶)
→鎖状構造
→環状構造
が同素体である。
単斜・ゴム状硫黄は常温で放置すると斜方硫黄になる。
57
§9
無機化学の基本知識
<化合物の性質>
①
H2S
:
強い還元剤。キップの装置。火山ガス。
②
濃 H2SO4
:
不揮発性(沸点が高い)、脱水作用、酸化作用、吸湿(乾燥)作用。弱酸。
③
希 H2SO4
:
強酸
④
接触法
(陸)
17 族元素
(F、Cl、Br、I、At をハロゲンという)
<単体の性質>
①
酸化力が大きい。
F2(淡黄色/気体)
②
Cl2 の発生装置
…
>
Cl2(黄緑色/気体)
水(HCl の除去)
→
>
Br2(赤褐色/液体)
濃硫酸(水蒸気の除去)
58
>
l2(黒紫色/固体)
§9
無機化学の基本知識
<化合物の性質>
①
②
ハロゲン化水素とハロゲン化水素酸
沸点の高さ:HF
>
Hl
>
HBr
>
HCl
酸性の強さ:Hl
>
HBr
>
HCl
≫
HF(弱酸。水素結合。ガラスを侵す)
(漆)
ハロゲン化銀
18 族元素
(He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rn)
すべて閉殻構造。
<単体の性質>
①
Ar
:大気中に 0.934%存在
②
He
:イオン化エネルギーが最大
③
液体にもなる。
④
最外殻電子数
→
He2つ、その他8つ
/
59
価電子数
→
0
§9
(捌)
両性元素
無機化学の基本知識
(Al、Zn、Sn、Pb)
<単体の性質>
①
単体・酸化物・水酸化物が、酸とも、強塩基とも反応する。(単体は水素発生)
②
過剰の水酸化ナトリウムに溶ける。
③
Al
→
濃硝酸に溶けない。
(不動態)
④
Zn
→
過剰のアンモニア水に溶ける。
⑤
Pb
→
塩酸、硫酸に溶けない。
※その他に
※その他に
<化合物の性質>
①
Al2O3
:
②
AlK(SO4)2・12H2O
③
ZnO
④
PbCrO4
⑤
スズ+鉛→はんだ
⑥
テルミット反応。
:
アルミナ。
:
白色顔料
:
微量のクロムを含むとルビー、微量の鉄・チタンを含むとサファイア。
ミョウバン。複塩。凝析剤。
→
絵の具の白。
黄色、クロムイエロー。
60
§9
無機化学の基本知識
Ⅱ.遷移元素
※
共通の性質
①
高融点で、密度も大きい重金属。
②
有色のイオン・化合物が多い。
③
M 殻に 8 個以上の電子が入り、価電子数が族番号と一致しない。多数の酸化数をもつ。
④
多くの元素が錯イオンを形成する。
(壱)
Cu
<単体の性質>
①
赤色金属。熱・電気伝導性に優れる。
②
酸化力のある酸に溶解。
③
銅+亜鉛→黄銅(しんちゅう)、銅+スズ→青銅、銅+ニッケル→白銅
<化合物の性質>
①
CuO
:
②
Cu2O
③
Cu(OH)2
④
CuSO4・5H2O
:
黒色粉末。
赤褐色粉末。フェーリング反応。
:
青白色沈殿。シュバイツァー試薬(セルロースを溶かす:銅アンモニアレーヨン)
:
青色結晶。風解性あり→CuSO4 白色
61
§9
(弐)
無機化学の基本知識
Ag
<単体の性質>
①
銀白色金属。熱・電気伝導性に優れている。(最大)
②
酸化力のある酸に溶解。
<化合物の性質>
①
Ag2O
:
暗褐色沈殿
②
AgCl
:
白色沈殿
③
Ag2CrO4
(参)
:
赤褐色沈殿
Fe
<単体の性質>
①
灰白色金属
湿った空気中で錆びる。磁化されやすい。(強磁性体・・・・・・Fe、Co、Ni)
②
不動態をつくる。(不動態・・・・・・Al、Fe、Ni)
<化合物の性質>
①
Fe2O3
:
赤色粉末(ベンガラ)
②
Fe3O4
:
黒色粉末(四酸化三鉄)
③
FeCl3・6H2O
:
黄褐色結晶
熱水で Fe(OH)3 のコロイド
→
なぜこの化合物から得るか?
<Fe2+と Fe3+の識別>
①
NaOH
②
[Fe(CN)6]4-
K4[Fe(CN)6]
③
④
KSCN
Fe3+(フェリ):黄褐色
Fe(OH)2:緑白色沈殿
Fe(OH)3:赤褐色沈殿
青白色沈殿
黄血カリ
[Fe(CN)6]3-
K3[Fe(CN)6]
Fe2+(フェロ):淡緑色
赤血カリ
チオシアン酸カリウム
Fe4[Fe(CN)6]3
濃青色沈殿(ベルリンブルー)
Fe4[Fe(CN)6]3
暗褐色溶液
濃青色沈殿(ターンブルブルー)
変化なし
62
[FeSCN]2+
血赤色溶液
§9
(肆)
(伍)
無機化学の基本知識
Cr
①
不動態をつくる。酸化クロム(Ⅳ)→強磁性体。
②
K2CrO4
③
K2Cr2O7 :
赤橙色結晶(酸化剤)
④
PbCrO4
黄色(クロムイエロー)
:
:
黄色結晶
Mn
①
MnO2
②
KMnO4
:
黒色粉末(酸化剤)
:
黒紫色(酸化剤)
63
§9
無機化学の基本知識
Ⅲ.沈殿
K
①
基本的に沈殿しないイオン
②
Cl-で沈殿する陽イオン
③
アルカリ土類金属イオンの沈殿
④
OH-、S2-の沈殿はイオン化傾向で覚える!
Ca
Na
Mg
Al
Zn
Fe
Ni
Sn
⑤ 過剰の NaOH に溶解する
⑥ 過剰の NH3 水に溶解する
⑦
沈殿生成反応は、酸・塩基反応!
64
Pb
(H2)
Cu
Hg
Ag
Pt
Au
§9
無機化学の基本知識
Ⅳ.気体の製法
各気体の性質と、製法
ⅰ)
H2
ⅱ)
N2
ⅲ)
O2
ⅰⅴ)
ⅴ)
Cl2
CO
ⅴⅰ)
CO2
ⅴⅱ)
NO
ⅴⅲ)
NO2
ⅰⅹ)
SO2
ⅹ)
NH3
ⅹⅰ)
HCl
ⅹⅱ)
H2S
65
§9
①
無機化学の基本知識
気体の製法のまとめ
66
§9
②
捕集法
③
乾燥剤
無機化学の基本知識
Ⅳ.その他
①
セラミックス
(1)
土器、陶器、磁器
(2)
ガラス
…
…
アモルファス
ⅰ)
ソーダ石灰ガラス
ⅱ)
石英ガラス
(3)
セメント
全て粘土で形成。
…
ほぼ炭酸カルシウム
…
…
→
金属酸化物で着色。
融点、屈折率が一定ではない。
ケイ砂
+
炭酸ナトリウム
+
金属酸化物で着色。
炭酸カルシウム
ほぼ石英
酸に弱い
+
粘土
+
セッコウ
+
67
砂利・骨材
⇒
コンクリート
§9
②
肥料
…
基本は
③
合金
④
金属の腐食
⑤
金属の製錬
(1)
鉄の製錬
(2)
銅の精錬
(3)
アルミニウムの製錬
…
K、P、N
無機化学の基本知識
(肥料の三要素)
酸素と水が絶対条件。
金属ごとに異なる。
68
§9
Extra
Mission
1
【
無機化学の基本知識
基本正誤問題
】
1.
H を除く 1 族元素(Li、Na、K など)をアルカリ金属という。
2.
アルカリ金属は石油中に保存する。
3.
潮解性をもつ物質は溶解熱が吸熱のため、乾燥剤に適さない。
4.
アンモニアソーダ法によって、炭酸水素ナトリウムを経て炭酸ナトリウムが得られる。
5.
2 族元素の Mg、Ca、Ba はすべてアルカリ土類金属である。
6.
CaO は生石灰、Ca(OH)2 は消石灰と呼ばれる。
7.
石灰水に息を吹き込むと白く濁るが、さらに吹き込み続けると透明になる。
8.
ダイヤモンド、黒鉛、フラーレンは炭素の同位体である。
9.
黒鉛は、層状構造をしているためはがれやすく、電気を通さない。
10.
ダイヤモンドは、共有結晶で非常に硬い。
11.
ケイ素の単体は地殻中に豊富に存在している。
12.
水晶、石英は SiO2 で表され、CO2 と同じ構造である。
13.
SiO2 を HF で溶解させたものを水ガラスという。
14.
ハーバー・ボッシュ法によってアンモニアから、硝酸が得られる。
15.
硝酸や、ハロゲン化銀は感光性があるため褐色ビンに保存する。
16.
赤リンは自然発火するため、水中保存する。
17.
オゾン(O3)は酸素の同素体で、無色・無臭である。
18.
オゾンや、塩素はヨウ化カリウムデンプン紙を青変させる。
19.
斜方硫黄、単斜硫黄、ゴム状硫黄は硫黄の化合物である。
20.
希硫酸は強酸である。
21.
濃硫酸は還元作用を持つ。
22.
ハロゲンの中で最も酸化力が大きいのはフッ素である。
23.
常温・常圧で、臭素は液体、ヨウ素は固体である。
24.
ハロゲン化水素酸の中で、HF のみが弱酸である。
25.
フッ化銀(AgF)は、水に溶けない。
26.
希ガスは 6 種類あり、すべて最外殻電子数が 8 個である。
27.
アルゴン(Ar)は空気中で 3 番目に含まれている気体である。
28.
両性元素である亜鉛は単体、酸化物、水酸化物が、酸とも強塩基とも反応する。
29.
アルミニウムを濃硝酸に入れると不動態となる。
30.
両性元素である鉛は塩酸にも、硫酸にも溶解する。
69
§9
無機化学の基本知識
31.
遷移金属の化合物やイオンは無色のものが多い。
32.
銅と亜鉛の合金は、はんだと呼ばれる。
33.
銅は電気伝導性に優れているため、導線・電線に利用される。
34.
銀は熱や電気を伝えにくい。
35.
銀は水酸化物にならず暗褐色の酸化物になる。
36.
Fe(OH)3 は濃青色沈殿である。
37.
黄色の Cr2O72-は酸性にすると、赤燈色の CrO42-に変化する。
38.
Cl-で沈殿するイオンは Ag+、Cu2+、Zn2+である。
39.
Cu(OH)2 は赤褐色沈殿である。
40.
Zn2+は塩基性で硫化物(S2-)の沈殿をつくる。
41.
ZnS は白色沈殿、CuS は黒色沈殿である。
42.
Cl2 は黄緑色の気体である。
43.
NO は赤褐色の気体である。
44.
亜鉛に塩酸を加えると塩素が発生する。
45.
塩化アンモニウムに水酸化ナトリウムを加えて加熱するとアンモニアが発生する。
46.
塩化ナトリウムに濃硫酸を加えて加熱すると塩化水素が発生する。
47.
銀に濃硫酸を加えて加熱すると二酸化硫黄が発生する。
48.
銅に希硝酸を加えると二酸化窒素が発生する。
49.
アンモニアは、ソーダ石灰で乾燥できる。
50.
二酸化硫黄は水上置換で捕集する。
70
§9
無機化学の基本知識
<解答>
1.
○
31. ×
2.
○
32. ×
3.
×
33. ○
4.
○
34. ×
5.
×
35. ○
6.
○
36. ×
7.
○
37. ×
8.
×
38. ×
9.
×
39. ×
10. ○
40. ○
11. ×
41. ○
12. ×
42. ○
13. ×
43. ×
14. ×
44. ×
15. ○
45. ○
16. ×
46. ○
17. ×
47. ○
18. ○
48. ×
19. ×
49. ○
20. ○
50. ×
21. ×
22. ○
23. ○
24. ○
25. ×
26. ×
27. ○
28. ○
29. ○
30. ×
64